ゴールドは人類が最初に発見したとされる金属で、天然では自然金として塊状で産出されます。 特に精錬技術が発達していなくても、簡単に加工できました。 独特の輝きを持ち錆びたり朽ちたりしない永遠の輝きを放つ金属で、古代の埋蔵品でも見る事ができます。 Goldとはサンスクリット語の「輝く」という意味を持つ言葉が語源で、Auはラテン語のAurum(金)という意味でオーロラと同じ語源からなります。 もともと「赤」または「太陽」という意味で独特の赤みがかった黄色の質感を言い表しています。 ラテン語圏内のフランスでは「オール」、イタリアでは「オロ」と呼ばれています。 金の英語名「gold」は、インド・ヨーロッパで黄金という意味の「ghel」に由来するようです。 金属の中で最も展延性が優れているゴールドは、1gが約3,000mの金糸になります。 この金糸はボンディングワイヤーとして「IC」や「LSI」半導体内部で、チップと周囲とを繋ぐ導線として使用されます。 金の展延性を活かして作られる金箔は、0.001mmまで薄く作る事ができます。 1gの金は、畳3分の1の面積に加工できます。 また、人類6000年の歴史で産出された金の量は公式オリンピックプール約2杯分くらいだといわれ、 1トンの金鉱石から5gの金が取れる程だそうです。 金の国際取引の際に使われる単位は、「トロイオンス」といいます。 1トロイオンスは31.1035g。 通常は「オンス」と略して呼ばれていますが、一般的に使われている「オンス」とは単位が異なります。 「オンス」のみの場合の単位は、28.3495gとなります。 現在の金の相場は、国際情勢などにより日々変りますが、 第2次世界大戦前から71年までは、1トロイオンスは35ドルという価格で決められていたそうです。 金は太古の昔より私産価値が高く現代でも変らぬ価値を保っています。 金の地上在庫は13万2300トンで、その内の半分近くを宝飾品などの貴金属として世界中の人々に愛用され続けています。 その次に多い金の使用目的は、世界各国の中央銀行(日本の場合は日本銀行)が基本的資金として保有している事で、地上在庫の3分の1にあたる3万2800トンが銀行の基本的資金として各国の中央銀行の金庫に眠っています。 2万4100トンは民間の投資に利用され、工業製品などの加工品にも1万4300トンが使われています。 ( その他、使用目的不明1300トン ) 純金は「ヤキ」と呼ばれ、ジュエリーやアクセサリーなどの細工加工を施す場合、銀と銅を混ぜ3元合金を作ります。 日本では金の含有量を24分表示率で表示し、「 K 」の単位を付けます。 この「 K 」(カラット)は、アメリカでは「 karat 」イギリスでは「 carat 」と言われますが、ダイアモンドの重さを示す単位のカラット( carat )とは違います。 24分率は、かつて金の基本単位である1トロイオンス( 31.1035g )が24カラットを定めていた事から始まったのです。 99.9%以上( 造幣局では99.99%が望まれる )の金は純金で「 K24 」と表示され、24金と呼ばれます。 金を24分率ではなく千分率で表示する国も多くあります。 この場合、24金は「 1000 」 18金は「 750」と表示されます。 ホワイトゴールドは金とパラジウムの合金で「 K18WG 」「 K14WG 」という表示になります。 「 K14WG 」の場合、14金に対してパラジウムを10の割合で割った合金です。 金メッキの場合はGP、金張りの場合はGF又はGRと表示されます。 金の割金には、銀、銅、パラジウムなどが主に使われます。 シルバーやプラチナの場合は、硬さを増し使用に適した硬度にするという事が一番の目的ですが、独特の色味を持つ金は 配合により色のバリエーションを出す事が可能なので、使用に適した硬度にすると共に様々な色味の金が作り出されています。 「K18イエローゴールド」 一般的なゴールドの事で75%を金、残りの25%の割金の率、銀と銅が同じ割合「5分割り」のもの。銀と銅の割合を変えれば、微妙に色の変化が出ます。銀が多い割の事を「青割り」、銅が多い割の事を「赤割り」と言います。 「K18ホワイトゴールド」 昔は割金としてニッケルを使うのが一般的でしたが、ニッケルは金属アレルギーの原因になりやすいために現在では割金としてパラジウムを使用しています。 「K18ピンクゴールド」 銀と銅の比率が2:8、さらにパラジウムと微量の亜鉛を混ぜてピンク色を出したゴールドです。 「その他のカラーゴールド」 割金のほとんどが銅だけになると、かなり赤みの強いレッド・ゴールドになりますが、銅成分が多いので酸化しやすく くすんだりしてきます。 また特別な配合でパープルゴールドやグリーンゴールドなど、様々な色のゴールドが近年開発されています。
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参考資料
日本ヴォーグ社 宝石の写真図鑑 冷たいジュエリ
八坂書房 宝石ことば
双葉社 宝石の常識
講談社 宝石宝飾事典
読売新聞社 宝石
DeAGOSTINI TREASURE STONE
成美堂出版 最新シルバーアクセカタログ1200
美土理書房 宝石の気能
創元社 彫金教室
NTT出版 華麗なる宝石物語
ムーンフェイス・ローズマリー