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琉歌(りゅうか)詞華集−005 2000/06/08 (週刊)
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■■■ 前号の訂正 ■■■
前号で間違いがありましたので、ここで訂正いたします。
それは、取り上げたうたの共通語訳の二行目です。訳が抜けていた
部分がありました。
◎十嶽勝りよわちへ
の訳が
○首里城内の十のウタキ(聖地)は、
となっていましたが、正しくは次の訳です。
○首里城内の十のウタキ(聖地)の(霊力が)高まり、他のウタ
キよりもすぐれたものとなり
宗教的な背景があり、訳しにくい部分なのですが、上記のように私
訳を施しておきます。
たとえば、和歌の研究の歴史と厚さを考えると、琉歌の研究はまだ
その緒に着いたばかりです。たとえば、研究の基礎とされる、テキ
ストの確定もまだまだです。
でも、和歌にはない魅力を秘めているのことも確かです。これも日
本語のうた表現の重要な側面だと思うのですが。
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▼△▼ うたわれる琉歌(本文・読み・共通語訳) ▼△▼
●石屏風節(イシヌビョォブブシ)
◎846番
あたら歌節や アタラ ウタフシヤ
切れ切れになとれ チリヂリニ ナトゥリ
三味線の糸に サンシンヌ イトゥニ
貫やりおかな ヌチャイ ウカナ
○あたら大事な歌の節が
切れ切れになって人人に忘れ去られようとしている
今覚えている中に三味線の弦に
譜を取っておきたい
(島袋盛敏・翁長俊郎『評音・評釈琉歌全集』武蔵野書院 1968)
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▲▽▲ 解説など ▲▽▲
私の利便のために、『評音・評釈琉歌全集』の歌番号を付けること
にしました。もし、この本を見ることができる方は、そこには島袋
盛敏による「評釈」が記されていますから、ご参照下さい。
また、旋律名である節名がある場合は、これも記すことにします。
和歌と琉歌の大きな違いの一つは、琉歌がおもに三線とともに、音
楽とともにあることです。多くの琉歌集が節名ごとにうたを分類し
ています。つまり、詞章よりも旋律が大事だとも言えるのです。通
常の和歌では考えにくいことです。
上記のうたは、その辺の事情を表しています。「歌」を忘れないよ
うにではなく、「歌節」を忘れないように、と言っています。それ
ぞれのうたは「……節」と旋律名で呼ばれます。
そう考えると、普通の琉歌集は、まるでカラオケで使うような歌詞
集だとも言えるわけです。おそらく、三線で琉歌をうたう人にとっ
ては、歌詞集であることが当たり前だと思われます。古いところで
は『琴歌譜』といった、和歌についての楽譜というものも存在しま
すが、やはり和歌はその始まりはさておき、一般的には、詠み、読
まれるものでしょう。
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▼ ひとこと ▼
書き始めたころ、読者の方から忠告されたことですが、こんなメル
マガでも週刊はけっこうきついことを実感しています。そのせいで
もないでしょうが、ここ数日風邪を引いていました。
このメルマガは無理をしないで、楽しく書きたいので、週刊という
原則が崩れることもあるかと思いますが、読者の皆様なにとぞご容
赦下さい。
さっそくですが、7月2日に学会での発表を控えて、日頃の勉強不
足がたたっています。次号が予定通り出ないときは、なにとぞお許
し下さい。
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※※ 注 意 ※※
このメールマガジンは、筆者ができうる限りにおいて学問的な厳密
さを前提として記しているつもりですが、メールマガジンという媒
体の性質上、かなり端折って記さざるを得ません。もし、ここでの
記述に興味を持ち、さらに深く追求なさりたい場合は、その方面の
学術書などに直接当たって下さるよう、お願いいたします。
上記の理由で、ここには筆者のオリジナルな考えが記されているこ
ともあります。よって、ここから引用される場合は、その旨お記し
ください。
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