脚注 18


沸点上昇

 

 気液平衡状態では,化学ポテンシャルは,液体と気体で等しい.純粋溶媒に(非揮発性)物質を溶解させると,混合によるエントロピー分だけ,液体の化学ポテンシャルが低下する.液体の化学ポテンシャルが,気体の化学ポテンシャルと等しくなるためには,温度の上昇が必要となる.これが沸点上昇である.液体の化学ポテンシャルと気体の化学ポテンシャルの温度依存性の違い(直線の傾き)は,液体と気体の熱容量の違いによる.なお,純粋溶媒の化学ポテンシャルは,その物質の標準生成自由エネルギーに等しい.

 水の場合,水1Lに,第2成分を1mol加えたときの,混合による自由エネルギーの低下は,水1mol あたり,-56 J/molである.また,水の100℃における,ギブスの自由エネルギーの温度依存性は,液体で,-87J/Kmol,水蒸気で,-196 J/Kmol である.水蒸気の方が温度上昇による自由エネルギーの低下が大きい.その差は,109 J/Kmolなので,モル沸点上昇係数は,第2成分 1molあたり,(56/109=)0.51 K/mol Lと計算される.


凝固点降下

 


化学ポテンシャル

 化学ポテンシャルは,混合物における,ある物質の自由エネルギーです.物質量が変化したときの自由エネルギー変化として定義されます.

 純粋な物資では,化学ポテンシャルは,1molあたりの自由エネルギーと等しい値になります.混合物になると,純粋なときから,混合によってどれだけその物質の自由エネルギーが低下するかを示す,混合エントロピー項で補正します.


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Updated, 12.18, 2001.