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《E I C A S》

EICAS(アイキャス:Engine Indicator&Crew Alerting System)は上下2画面あり、両操縦席中間にプライマリーEICASが、センターペデスタル最前方にセカンダリーEICASが配置されています。プライマリーEICASには主エンジン計器としてN1(低圧コンプレッサー・タービン回転率)計とEGT(Exhaust Gas Temperature:排気温度)計、残燃料表示計が常時表示される他、画面右側には状況に応じてフラップ角指示計やギア位置表示計、それにEICASメッセージが表示されます。セカンダリーEICASは、MCP右側EICAS C/P(コントロールパネル)のシナプティック/ディスプレースイッチをプッシュする事によりENG(第2エンジン計器)ページを始めとしてSTAT(ステータス:各種状況)、ELEC(エレクトリカル:電力系統)、FUEL(フューエル:燃料系統)、ECS(エンバイロンメンタル・コンディショニング・システム:空調系統)、HYD(ハイドローリック:油圧系統)、DRS(ドアーズ:扉)、GEAR(ギア:脚)の各ページが表示されます。ですからセカンダリーEICASはEICASという名前が付いているものの、実際はMFD(マルチ・ファンクション・ディスプレー)に近い感じです。B777では更に一歩先を行き、ACARS(エーカース)の機能や電子チェックリストの機能を持たせ名前もMFDと改めています。














プライマリーEICAS

プライマリーEICASにはN1計、EGT計といった主エンジン計器の他、残燃料や燃料温度(フューエル・ジェスティン:燃料投棄装置をアームした時は燃料投棄後の残燃料がこの部分に表示される)が表示され、フラップやギアが下りている時にはその状況をも表示します。又セカンダリーEICASにENG若しくはECSページを表示させている場合、プライマリーEICAS下方にダクト圧力及び客室高度関連の計器が表示されます。

PS1.2シミュレータの機体はGE社製CF6−80C2B1Fエンジンを装備しています。CF6は2軸のハイバイパス・ターボファン・エンジンで、N1計を推力設定の際のリファレンス計器として使用しています。その為EPR(Engine Pressure  Ratio:エンジン圧力比)計は装備されていません。PS1.3ではP&W社製のPWシリーズ・エンジンとRR社製のRRエンジンも装備可能になりますが、こちらの方はいずれもEPR計が推力設定の際のリファレンス計器として使われています。RRエンジンは3軸なので、N1計・N2計の他にN3計も装備されています。

TATインジケーター

現在のTAT(Total Air Temperature:全温度.速度が増すほど機体周りの空気が圧縮され温度が増加する.その外気温度)を摂氏気温で表示する.



スラスト・リファレンス・モード

FMCが運航状況に応じてセレクトしたスラストリファレンス(推力基準)・モード名、若しくは乗員がセレクトしたスラストリファレンス・モード名を表示する.

モード名

表示時期

推力

TO(テイクオフ)

機体電源がオンになった時〜上昇出力に切り替わる迄

定格離陸出力

TO1(テイクオフ・ワン)

CDUTHRUST LIMページでセレクトした時〜上昇出力に切り替わるまで

減格離陸出力(TOよりも一段階減格して運用)

TO2(テイクオフ・ツー)

   〃    〃

減格離陸出力(TOよりも二段階減格して運用)

D−TO(ディレート・テイクオフ)

   〃    〃

仮想気温入力による減格離陸出力

CLB(クライム)

CLB1(クライム・ワン)

CLB2(クライム・ツー)

@上昇出力に切り替わった時〜巡航開始地点迄.A巡航中にステップクライムする際の上昇中.

定格上昇出力

減格上昇出力(一段階)

減格上昇出力(二段階)

CON(コンティニュアス)

エンジン故障が検知された時

最大連続運用出力

CRZ(クルーズ)

巡航〜降下時

巡航〜降下時に使用出来る出力

G/A(ゴーアラウンド)

@着陸に際しフラップを下ろした時Aトガスイッチをプッシュした時

着陸復航出力

アシュームド・テンパレーチャー

仮想気温を入力する事により離陸出力を減格(リデュース/ディレート)する場合、CDUのTHRUST LIMページのLSK1Lに仮想気温(摂氏)を入力すると、その値がプライマリーEICASにも表示される。スラスト・コンピュータは入力された仮想気温(実際の気温よりも高い温度を入力しておく)を基に離陸出力を算出する。

《N1計》

リファレンスN1(N1計上方)

(緑色)FMC若しくは乗員がセレクトしたリファレンススラスト(基準推力)を表示する。逆噴射の際にはリファレンススラスト表示が消え、代わりにREV(リバース)メッセージが表示される。

(アンバー色)リバースレバーのインターロックが解除され逆噴射の態勢が整えられている最中、若しくは逆噴射(リバーススラスト)の状態から元の状態(フォワードスラスト:前進推力)へ戻る最中、REVメッセージがアンバー色で表示される。正常に逆噴射が行なわれている時は緑色でREVメッセージが表示される。

インターロック* 誤って逆噴射が作動しないよう機械的にロックする装置。エアグランドセンサー(機体が地上にあるか飛行中かを判断する装置)が2組ともGND(グランド:地上)である事を示し、尚且つスロットルレバーがアイドル位置にあり、リバースレバーがリバース・ディテントに入りリバースの態勢が整った時に初めてインターロックが解除される。

N1回転率

(白色)現在のN1回転数を%でデジタル表示し、バーチカル・インジケーターにアナログでも表示する。N1回転率はある特定の回転数を基準として%で表示する為、回転率は100%を超す事もある。ちなみにPS1.2で使用しているCF6-80C2B1Fの最大N1回転率は117.5%。

(赤色)N1運用限界回転率に達すると表示が赤色に変わる。

レッドライン

(赤色)N1運用限界回転率の位置に赤線が表示される。

マキシマムN1

(アンバー色)最大許容推力の位置にアンバー色の線が表示される。

リファレンスN1(バーチカル・インジケーター内)

(緑色)基準推力の位置に表示される。

(マゼンタ色)VNAVがエンゲージしている時は線がマゼンタ色に変わり、FMCの指示する目標推力の位置に表示される。

*逆噴射の際には表示が消える。

コマンドN1

(白色)スロットルレバーの角度に応じて白線が移動する。ジェットエンジンの特性上、スロットルレバーを操作しても実際に所定の推力が得られるまでタイムラグが生じる。−400ではスロットルレバーを操作した時点でレバーの角度に応じたN1回転率の位置に白線が表示される為、マニュアルによるスロットルコントロールがよりスムーズに行なえるようになった。

ナセル・アンチアイス

(緑色)エンジンのナセル部分の防氷装置が作動している時にNAIと表示。

ウイング・アンチアイス

(緑色)主翼の防氷装置が作動している時にWAIと表示。

《EGT計》

EGT

排気温度を摂氏でデジタル表示し、バーチカル・インジケーターにアナログで表示する。

(白色)EGTが通常の運用範囲内にある時。

(アンバー色)EGTが最大連続限界温度(925℃)に達した時。但し離陸時若しくは着陸復航時は、最大連続限界温度に達しても5分間は白色で表示される。又エンジンが1基停止した時には、最大連続限界温度に達しても10分間は白色で表示される。

(赤色)エンジンスタート時にEGTが限界温度(870℃)に達した時、若しくは離陸時に限界温度(960℃)に達した時。

レッドライン

(赤色)離陸時の限界温度の位置に赤線が表示される。

アンバーライン

(アンバー色)最大連続限界温度の位置にアンバー色の線が表示される。

マキシマム・スタートリミット

(赤色)エンジンスタートの際、推力がアイドルで安定する迄の間、若しくはフューエル・コントロールスイッチがカットオフ位置にある時、エンジンスタートの限界温度の位置に赤線が表示される。

セカンダリーENGエクシーダンス・キュー

(シアン色)セカンダリーENG計器の値がリミットを超えると、当該ENGのEGT計の下にSEC ENGメッセージが表示される。通常の運用範囲内に値が収まった時点で表示が消える。

インフライトスタート・エンベロープ

(マゼンタ色)飛行中にいずれかのエンジンのフューエル・コントロールスイッチをカットオフ位置にセットした時、エンジン火災スイッチが通常の位置(スイッチが引っ込んだ位置:IN)にあれば、当該高度においてエンジンを再始動させるのに適した速度の範囲が表示される。