リン・シェイ


『メリーに首ったけ』より




リン・シェイは記憶に残る名脇役をこれまで演じてきた。ファレリー兄弟の映画のファンは『ジム・キャリーはMr.ダマ
ー』『キングピン/ストライクへの道』『メリーに首ったけ』『ふたりの男とひとりの女』の常連女優として彼女を知っている
はずだ。もちろん最新作の『ふたりにクギづけ』にも出演している。リン・シェイにファレリー兄弟との仕事、忘れられな
い思い出について話してもらった。

Q:ファレリー兄弟と一緒に仕事をするのは面白いですか?

L:二人とも素晴らしい人物なの。映画監督という仕事を別にしても、とっても面白い人達で、私がこの業界で出会っ
た人達の中で最も寛大で個性的な人達だと思う。なにより二人の生き方が素晴らしいの。生きてる間どうやって人を
笑わせるか?自分のことを笑ったり、シチュエーションを笑うセンスも抜群だし。二人が私のことを気に入ってくれてる
のはすごくラッキーだと思ってる。私は1シーンだけだったけど二人のデビュー作『ジム・キャリーはMr.ダマー』から出
てるの。二人ともとてもオープンで楽しみながら仕事をしてた。脚本には自分たちの表現したいことが的確に書かれ
てて、それは面白いセリフなんだけど同時にハートにもグッとくるセリフなの。単なるギャグを書くギャグライターじゃな
くて、感情のこもった脚本を書くライターだから、内容はコメディ以上のものを表現してて、最終的にはかなりハートウ
ォーミングな映画になってる。あの二人のためだったら私は何だってするつもりよ。二人とも偏見がなくて思いやりが
ある。あらゆる種類の障害者団体と一緒に仕事をしてるし、自分自身に正直に生きて、他人のためにもなる正しいこ
とをしてると思うわ。

Q:二人の映画はムカムカさせるところと笑わせるところのギリギリのラインにいるとよく言われていますが、
あなたはハートウォーミングな映画だと思っているのですね。

L:ええ、絶対にそう思うわ。ひとついい例をあげさせてもらうと『メリーに首ったけ』のW・アール・ブラウンが見事に演
じたウォーレンというキャラクター。マット・ディロンが演じる男はこのウォーレンを激しく罵ってて、言ってることは完全
に不道徳な言葉なんだけど、それはこの男の大口を叩く性格からきてるの。だから観客はマットが演じる男を馬鹿だ
と思って軽蔑して見るようになる。ファレリー兄弟はウォーレンのことを馬鹿にしてるんじゃなくて、マットのような無知
な人間がどれだけ愚かかということを批判を込めて描いてるのよ。


『キングピン/ストライクへの道』より

Q:どうしてファレリー兄弟は同じ人達と何度も一緒に仕事をしているのですか?『ふたりにクギづけ』にもこ
れまでの映画で見た顔がたくさんありました。

L:映画に出てる人間の何人かは基本的に二人の家族や友人なの。だから二人は出て行けとは言えないのよ。二人
の父親なんてどんどん重要な役になってるわ。次の映画では主役をしてるかもね(笑)。同じ人達と何度も仕事をして
ると、そこには成長する過程があるように思うの。ラッキーなことに、二人とも私のことをよく知ってるから、二人が何を
して欲しがってるかがわかるし、私も彼らのために面白いことを思いつくことだってできる。二人は同じ人間と一緒に
仕事をすることがどれだけ価値のあることなのかわかってるはずよ。でも二人は状況を読めずにその場にそぐわない
ことは望んでないの。二人の映画を見てたらわかるけど、ずっと出てた人がいきなり次の作品でいなくこともあるし。

Q:DVDに撮っておきたかったほどの面白い撮影の裏話はありますか?

L:たくさんあるけど、一番なのはやっぱり『メリーに首ったけ』のベンと子犬のパフィーが喧嘩してパフィーが窓から飛
んでいくシーンかしら。キャメロンと私が窓まで走って、パフィーがどうなったか見に行って、その後に悲鳴をあげてド
アから出ていくシーンがあったの。パフィーがなかなかうまく飛んでくれないから何度かやり直しをしてて、ようやくこ
れでいけそうだってことになってピーターが「さあ、もう一回!」って言って、犬を投げて、うまく飛んだから、キャメロン
と一緒に窓まで走って下を見下ろしたの。そしたら窓の下には大きなお尻が!(笑)ボビーのお尻だったのよ。


マット・ディロン、キャメロン・ディアス、リン・シェイ
『メリーに首ったけ』より

Q:面白い話ですね。『愛しのローズマリー』のスーザン・ワードにインタビューした時も彼女は二人のお尻を
見たって言ってました。

L:そうね。二人ともお尻出すので有名だから。なんでも見せたがるのよ。私たちがビックリするもんだから二人とも癖
になってるの。ボビーなんか後で何事もなかったかのように「よかったろ?」って言うのよ。二人は人を驚かしたりふざ
けるのが大好きだから、俳優たちをからかって楽しませてくれるのよ。そう現場は楽しくなきゃならないの。他の自主
制作の映画に出たとき2回か3回ほど現場が重苦しい雰囲気になったことがあったけど、楽しくなくてどうするのよって
腹立たしい思いをしたわ。ファレリー兄弟は人生を楽しむこと、芸術を楽しむことをよくわかってる。

Q:二人の脱ぎ癖について話してもらいましたが、『メリーに首ったけ』ではあなたが窓際でトップレスになっ
てましたよね。現実のあなたもあのような体だと本気で信じてたファンはいましたか?

L:一人いたわ。丁度テレビのパイロット番組に出てた時に12歳ぐらいの男の子が来て私の隣に座ったの。「ねえ、
あなたは映画に出てるよね」って聞かれたから「ええ」って答えたんだけど、「あの映画面白かったけど、あれって本
当にあなたなの?」って私をまじまじと見て、その視線がどんどん下のほうへ向いて、私の胸をじっ〜と凝視しだした
の。「あの胸って本物の胸?」って言われたから、「違うわよ、ちょっと待ってよ。こっちが本物よ」って言い返したわ。
あの人工の胸はゴミ箱に捨てられてたのを拾ってきて、今は私のオフィスの壁に飾ってあるの。もし破産したらネット
オークションにかけてぼろ儲けさせてもらうわ。



Q:あなたは主役よりも脇役を演じることが多いですが、みんなから注目を集める必要のない役を演じるは楽しいです
か?

L:"役の大きさは重要でない"って昔から言われてるけど、それは真実だと思う。現場にいると得るものも大きいし
ね。2、3日、あるいは数週間の間、ひとつの仕事のために現場にいて、自分の役と共演者達とのリズムをつかんで
いくんだけど、現場に長くいればいるほど自分の役が演じやすくなるの。確かに主役をやってみたいとは思うけど、私
は今の状態も好きだし、映画作りはチームスポーツのようなものだから、主役のスターでさえ、映画の中で起こってい
ることの一部分にすぎないと思ってる。まあでも私の場合、自分の出てるシーンは自分がスターだと思ってるからね。
(笑)







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