マット・デイモン






マット・デイモンはファレリー兄弟の新作コメディ『ふたりにクギづけ』でグレッグ・キニアと一緒に生まれつき体のくっつ
いた双子の兄弟を演じて新境地を見せてくれた。そんな彼がニューヨークのホテルでファレリー兄弟やテリー・ギリア
ムとの仕事について語ってくれた。

Q:ファレリー兄弟からこの役を依頼された時は驚きましたか?

M:いや、驚きはしなかったけど興奮したよ。こんなチャンスめったにないからね。脚本を読んで二人と初めて会って話
をしたときとても興奮したことを覚えてる。

Q:この映画のあなたはファレリー兄弟のデビュー作『ジム・キャリーはMrダマー』の主人公と同じ髪型をし
ていますね。

M:僕もはじめはそのことに気付かなかった。撮影前、僕の髪は今より少し長めだったんだけど、初日にヘアメイクの
女性がいる椅子に座った時に「どういう髪型にするの?」って聞いたら、彼女は僕の髪を掴んで、前髪をバッサリ切っ
たんだ。「これでいいわね」って言われたから「そうだね」って答えて撮影してたんだけど、かなり後になってあの映画
の主人公と似た髪型だって気付いたんだ。

Q:双子のどっちの役をするかははじめから決まってたのですか?

M:そのことについては事前に特に話をしなかった。たぶんグレッグがやったもう片方が年上だからだと思う。グレッグ
の役が年上で少しせっかちっていうところが二人がロサンジェルスへ行く物語のポイントにもなってるしね。

Q:ボビー・ファレリーはキャスティングしておきながら、二人は互いに殺し合いをするんじゃないかって思っ
てたそうですが、ずっと一緒にいて気が狂いそうになったことはありますか?

M:僕らをくっつけるために、水泳パンツをはかされて、胸の周りにグルっとゴムでできたスーツを巻いて装着させられ
たのはうっとおしかったね。そんな状態で撮影や待ち時間を入れて12時間ずっと立ってなきゃならなかった。12時間
も立ちっぱなしなんてこれまでやったことなかったよ。信じられなかったね。だって朝3時に起きてからすぐにゴムスー
ツを装着して午後の3時に撮影が終わるまで脱ぐことができなかったんだ。撮影は実質4〜5時間だけど待ち時間もあ
るし、脱ぐのにも1時間以上かかる。長い撮影期間の間ずっとこんな感じだったんだ。



Q:この映画にはさまざまなシリアスなテーマが含まれています。それを意識しながら演技をしましたか?

M:うん。僕はこの映画はごく普通の人間の経験を描いてると思ってる。特別なことをやってるわけじゃない。確かに
極端なところはあるけど、困難な状況に陥ったとき人間はどういう風にその逆境に立ち向かっていくのかっていう物語
になってる。脚本を読んだ時はちょっとやりすぎなんじゃないかって思って僕だって尻込みしたさ。でも実際にファレリ
ー兄弟に会って、登場人物達をどういう風に描こうとしているかを聞かされてから、映画の全体像がくっきりと見えて、
いい映画になることがわかったんだ。ハートウォーミングな物語であると同時に、若い人達に対するポジティブなメッ
セージにもなってる。どんな苦難に陥っても、障害をのりきって成功することができるんだってね。

Q:あなたがた二人は以前からファレリー兄弟の映画のファンでしたか?

M:うん。

Q:だったら映画に出演して自分がどういう状況にさらされるかもわかってましたよね。

M:そうだね。だからたとえ君がこの映画を嫌いでも、そのことに対して何も言うつもりはないよ。

Q:体のつながった双子と実際に話をしたことはありますか?

M:僕とグレッグはないけど、ファレリー兄弟は会って多くの話をしていた。だから『ツイン・フォールズ・アイダホ』とは
違う映画になってる。グレッグは撮影前にかなり調べてたみたいだけど、僕はこの映画に入る前は1年半ほど映画は
休んでたから事前になんの準備もしてなかった。

Q:いつもそうなんですか?

M:いや、いつもは少しは準備してるよ。

Q:契約前に脚本は読まれましたか?

M:いや、読んでない。まずいかな、こんなこと言っちゃ。(笑) グレッグも言ってるように、僕たちはこの映画では大
変な苦労をした。二人は帯でつながれたら最後までずっと一緒に歩かなきゃならなかったし、自分勝手なこともでき
なくなるんだ。体のつながった双子の一人として演技をしなきゃならないしね。ずっと一緒にくっついてる状態だったか
ら、自分自身の気持ちもオープンにして、相手の考えてることもわからなきゃならなかった。



Q:『WILL AND GRACE』のあなたもとても面白かったけど、ああいう役の依頼があればまたやってみたい
ですか?

M:(イギリス風のアクセントで)「喋り続けるんだ。やめろ。そしてもっと私を愛するんだ」そうさ、僕の目標は毎年違う
役に挑戦して、人と会った時に「君があんな役をするとは思わなかったよ」って言われることなんだ。だからそう言わ
れるよう毎回違った役を演じてる。同じことをしたいなんて思わない。共演したグレッグ・キニアともこのことについて話
をしたよ。グレッグだってずっと同じ役をやり続けたら気が狂うだろう。だから彼も自分の将来のためにこのファレリー
兄弟の映画に出演してるんだ。

Q:この映画の前は『ボーン・アイデンティティ』の撮影をしてたのですか?

M:うーん、どうだったかな。いや、しばらくは映画の仕事はしてなかった。ロンドンの舞台に立ってた。

Q:『Greenlight』(TVシリーズのドキュメンタリー)のプロジェクトに参加したのはその後ですか?

M:そうだ。一緒にやったのはベンなんとかという人だった。それまでは待ちの状態だった。

Q:『EURO TRIP』でのカメオ出演はいかがでした?

M:あの映画見た?どうだった?この映画の監督や脚本家、デイブ・メンデル、アレック・バーグ、ジェフ・シェイファー
は大学時代からの友人なんだ。だから僕が『The Brother Grim』の撮影でプラハに行ってた時、奴らに今映画撮って
るから見に来ないかって呼び出されたんだよ。同時録音だったな。僕は頭を剃り上げて、イヤリングをして、さながら
ヘンリー・ロリンスみたいな演技をしたけど、あのシーンが面白くなってるか、まだ見てないからわからないんだ。

Q:次はどんな役をするのか決まってますか?

M:うれしいことにテリー・ギリアムが監督する映画を撮り終えたばかりなんだ。本当に終わったんだよ。テリーは素晴
らしい監督だって思ってたから、一緒に仕事をしてみたかったんだ。『ロスト・イン・ラマンチャ』は見たことあるかい?
テリーがいかに情熱的ですごい監督かがわかるだろう?一緒に仕事ができて本当にうれしかった。僕にとっては大
きな願いを託した特別な映画さ。たくさんのおとぎ話やグリム兄弟が小説を書く経緯がベースになってて、なんて分
類していいかわからないけどとても面白い映画になってる。6ヶ月後には予告編が見れるから楽しみにしててよ。


ヒース・レジャー、マット・デイモン
『The Brother Grim』より

Q:コンピューター・グラフィックはたくさん使っていますか?

M:うん、CGはたくさん使うと思う。

Q:ファレリー兄弟の映画でもCGは使ってますか?

M:いや、使ってない。ホッケーシーンも自分達でやったし、4テイクでOKになった。

Q:他に自分達でやったシーンはどんなのがありますか?

M:オーダーを受けてから短時間で大量のハンバーガーを作るシーンがあったんだけど、ハンバーガーの中身を肩越
しに投げて、ひっくり返すことだってやってのけたよ。

Q:この映画を通して気付いたあなたの長所、あるいは短所はありますか?

M:傲慢なところかな。たぶん、そうかもしれない。

Q:それってベン・アフレックのこと?

M:僕は何も言ってないよ。みんな好き勝手に書いてるようだけど。

Q:演じるにあたって必要なことは何ですか?

M:おそらく訓練だけさ。気持ちをコントロールする訓練。グレッグはこの映画で俳優を演じたけど、僕にはそれがすご
く素晴らしいことのように思えた。彼が演じたウォルトはいくら攻撃されても傷つかない、生来の楽観主義者なんだ。
僕は俳優にはそういう資質が必要だと思ってる。たくさんダメ出しされてもめげずにうまくやっていかなきゃならないか
らね。いくらやってもうまくいかないこともあるだろうし、何度もオーディションに落ちることもあるだろう。そんな時でも
落ち込まないでそれを笑い飛ばせる資質が俳優には必要なんだ。

Q:今は何をしているところですか?

M:このインタビューの後、20分ほど休憩して、飛行機に乗って、『ボーン・スプレマシ−』の撮影のためにドイツに行く
予定さ。


『ボーン・スプレマシ−』より

Q:一作目よりいいものになりそうですか?

M:まだわからないけど、ポール・グリーングラスは『ブラディ・サンデー』を撮った才能のある監督でとても厳しい人間
なんだ。脚本はここにあるけどポールもとても自信を持ってる。いいものになるって信じたい。撮影は夜10時から朝4
時までだから真夜中だ。予定では初日の撮影は10分だけって聞いてたんだけど。

Q:この映画のためになにか準備はしてますか?

M:前作と同じくらいまで体を引き締めるつもりだよ。

Q:体を引き締める暇なんてあるんですか?

M:そうだなあ。今から飛行機に乗るまでに2回ほどバク転でもするかな。

Q:シェールとの仕事はどうでしたか?

M:シェールは女優として本当に一流だった。「見てて。中途半端なことはしないわ。徹底的にやるからね」って初め
から言ってたからね。あんなに高いレベルで仕事をしてる人はこれまで見たことがないよ。あのレベルまでいってる人
ってこの業界でもすごく少ないんじゃないかな。ものすごい情熱でもって自分自身の意識を高めてるんだ。彼女は本
当にクールだったよ。

Q:『Greenlight』のプロジェクトは順調ですか?

M:HBO(全米最大の有料ケーブルネットワーク)が降りたから、ちょっと面倒なことになってる。今はBravo、A&Eや他
のTVネットワークと交渉しているところさ。

Q:DVDで発売される予定はありますか?

M:うん、発売されると思う。DVDで出すためにミラマックスTVに売るようなことはしないつもりだけどね。

Q:『JUNKET』の撮影は終わりましたか?

M:僕の出るシーンはプラハで終わったんじゃないかな。

Q:あの映画の監督達とまた仕事をするつもりですか?

M:うん。彼らが望むならまたやるつもりさ。今は製作の最終段階なんだけど、できることなら予算を増やして、今年中
に撮り直ししようと思ってる。だって『Battle of Shaker Heights』だってあと3日間撮り直しする時間があればかなり良
くなってたはずだからね。いい映画を完成させるのが目標だけど、まだその体制ができてないんだ。

Q:次は女性監督とやってみたらいかがですか?

M:そうだね。とりあえず依頼はなんでも受けつけてるよ。







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