キャメロン・ディアス






キャメロン・ディアスには何かある。青い瞳とブロンドヘアーを持つキャメロンは16歳からモデルとして働くようになり、
1994年にジム・キャリーと共演した『マスク』でスクリーンデビューを飾り、その後エドワード・バーンズとの『彼女は最
高』、キアヌ・リーヴスとの『フィーリング・ミネソタ』そして去年の夏にヒットしたジュリア・ロバーツとの『ベスト・フレン
ズ・ウェディング』、去年の秋にはユアン・マクレガーとの『普通じゃない』と続々と映画に出演するようになった。そう
みんな彼女の笑顔に魅了されていくのだ。

今まさに機の熟した25歳のキャメロンの最新作が下品なコメディ『メリーに首ったけ』である。ヒロインのキャメロンは
多くの男性達から注目の的となる女性、その男達は私生活で2年半に渡るキャメロンの恋人である『ワイルド・シング
ス』のマット・ディロン、『アメリカの災難』のベン・スティラー、『マウスハント』のリー・エバンス、『キャビン・ボーイ』のク
リス・エリオット、そしてグリーン・ベイ・パッカーズのアメフト選手ブレット・ファーブルが演じている。

『メリーに首ったけ』は『ジム・キャリーはMr.ダマー』『キングピン』で大躍進中のファレリー兄弟の監督・脚本による最
新作。二人はウディ・アレンとは違うタイプのコメディを作っている。釣り針で鼻を引っ掛けられるシーンが面白いと思う
人なら、きっとペニスがジッパーにはさまるシーンもOKのはずだ。でも、かわいい子犬が電気ショックで燃えて煙を出
すシーンを見て気に障ったら、精液のかたまりをめぐるギャグは見ないほうがいい。体の不自由な松葉杖の男が床に
落とした鍵を拾おうと四苦八苦するギャグや、誰かに耳をさわられると荒れ狂う精神薄弱者も映画には出てくる。



先月ロサンジェルスで行なわれたプレス用の試写会での観客の反応は泣くほど笑い転げる人と怒り心頭で不快感を
あらわす人の真っ二つに分かれた。ファレリー兄弟の下品なコメディはユーモアと嫌悪感の間にある一線を踏み越え
ているのではないかと議論を巻き起こしている。確かに精神的、肉体的にハンデを背負っている人たちのことを笑わ
ずに彼らと一緒にこの映画を楽しむことができるだろうか?

ウェストバージニアの山々が遠くに見える由緒あるグリーンブリールリゾートで行なわれた最新インタビューでキャメロ
ン・ディアスはこの疑問に対してわかりやすく丁寧に答えてくれた。「これだけははっきりしてるの。私達はハンデキャ
ップを背負ってる人たちを馬鹿にしてるわけじゃない。からかう対象になってるのはマット・ディロンが演じたような変
態男達で、彼らを馬鹿にする人たちを冷やかしてるのよ」一息ついてさらに話してくれた。「ハンデのある人たちとすご
す生活は重荷になることもあるかもしれないけどその分報われるだけの価値だってあるはず。だって彼らはまわりの
人の人生を豊かにしているから。この映画では観客は誰の心も傷つけずに笑えるのよ。これは素晴らしいことだと思
うわ」

この映画のコメディのセンスはこれまでの映画とはまったく違うと観客はみんな思ったはずだ。最も下品で爆笑するシ
ーンでは限界ギリギリの表現に挑んでいる。キャメロンはこの"ヘアジェルシーン"について笑いながら話してくれた。
「脚本を読む前にこのシーンがあるってことは聞かされてて、その時は嫌な気持ちだったんだけど、脚本を読んだら本
当に可笑しかったの。だからシーンを演じる前に特に準備なんてしなかったわ」



「ファレリー兄弟は現場ではずっと映画の登場人物たちにリアリティを持たせるように言ってた。二人はこれまでのコメ
ディとは違うものを作りたがってた。観客には物語と登場人物達に気持ちを向けさせるようにしてたわ。観客があのヘ
アジェルシーンを違和感なく見てくれるかが俳優として勝負どころだったの。そして一番の爆笑シーンになった。みん
な信じられない!って驚きながら笑ってくれたのよ」

「私が一番心配だったのはメリーが馬鹿に見えないようにすることだった。はじめメリーは他人に対して寛容な人物だ
と思ってたけど、演じてるうちに、まわりのことをそれほど気にしない無自覚な人なんじゃないかと思うようになったか
ら」


『メリーに首ったけ』でキャメロン・ディアスは実生活で恋人のマット・ディロンと初共演している。二人は3年前ミネソタ
でキャメロンは『フィーリング・ミネソタ』、マットは『ビューティフル・ガールズ』の撮影していた時にはじめて出会った。
昔から一般的に一緒に住むカップルは一緒に仕事をすべきではない言われているが、ハリウッドではどうなのだろう
か。ファレリー兄弟はそんな風習にも逆らっているのだろうか。



キャメロンは言う。「マットと私が一緒にできる仕事を探していたときにこの映画のオファーがあったの。だからちょうど
いいタイミングだったわ。同じ撮影現場で同じ時間を過ごせて本当に楽しかった」

恋人と一緒に仕事をしたこの作品で、キャメロンは監督の期待通りのリアリティを表現できたのだろうか?マットから
個人的あるいは仕事の面で何か新しい得るものはあったのだろうか?キャメロンはちょっと間をおいてから皮肉っぽく
言う。「私は自分の人生になんにも期待しないの」

まじめに答えてくれませんか?「まじめに?どうやって言えばわからないけど、二人で一緒にやってうまくいかないっ
てこともありえたかもしれないけど、そうはならなかった。お互い分別があるからうまくやれたの。仕事場では他人の
ふりをすることもなかったし、二人一緒だからといって大きな荷物を現場に持ち込むこともなかった。本当に気楽に仕
事ができたの。それだけよ」

「自分自身なにか得るものがあったのかどうかなんてわからない。女優という仕事の面白いところ、やりがいのあると
ころは毎回観客に違うイメージを持ってもらえることなんだけど、メリー役はとびきり変わった役柄だった。これまでい
ろんな役を演じてきたけど、同じような役が重ならないよう、常に新しい役柄に挑んで、次から次へうまく自分のイメー
ジを変えてこれたように思う」

キャメロンは次回作のクリスチャン・スレーターとの共演作『ベリー・バッド・ウェディング』についても笑いながら話して
くれた。「信じられないことに、また花嫁を演じるのよ。『フィーリング・ミネソタ』と『ベスト・フレンズ・ウェディング』、映
画の中で結婚するのは次で三回目なんだから」

最後に彼女は笑いながら付け加えた。「自分がこれからどうなるかなんてわからない。ひとつだけ言わせてもらえば、
映画の中でウェディングドレスを着るのはもう勘弁して欲しいわ」




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