INTERVIEWS



        

ボビーとピーターのファレリー兄弟によるロマンティックコメディ『愛しのローズマリー』でグウィネス・パルトローはいつ
ものシリアスな雰囲気とは違った、これまでにない一面を表現して、素晴らしい才能を見せています。

ピーターとボビーは脚本家のショーン・マニハンと一緒にはじめからローズマリーの役をグウィネスを念頭において脚
本を書いています。二人はリアルな演技ができる人を求めていたので、映画の出演者には単なるタレント以上のもの
を追い求めていました。「グウィネスはとびきりの美人という枠だけにおさまりきれないくらいの素晴らしい資質を持っ
てる。」ボビーは言います。「この世のものとは思えないほどの美しさ、なんとも言えない輝きががあって、笑って幸せ
そうな素振りを見せるだけで好きになってしまう。そんな資質がローズマリーというキャラクターに必要とされてたん
だ」
グウィネス・パルトロー(ローズマリー)



この役のどこが気に入ったのですか?

本当にスウィートな映画だって思ったわ。それに面白かった。そういうところはいつものファレリー兄弟の映画と同じな
んだけど、スウィートであると同時に、太っている人たちを最後まで見捨てずに優しく擁護しているところが気に入っ
て、この映画に関わりたいって思ったのよ。

これまでの役とはかなり違いますよね?

役を演じていて、矛盾しているようで実は正しいって思えるような、いい意味でのパラドックスに陥いったの。

変身のために撮影現場でコルセットをつけるのはいかがでしたか?

コルセットを身につけるのは別に苦しくはなかったし、ちょっと楽しかった。

コルセットをつけて初めて人前に出たときはどんな感じがしましたか?

それはもうかなり気が動転したわ。だってメイキャップして階段を下りても、誰もまったく私と目をあわそうともしない
の。みんなとてもそっけなくて軽蔑されてるような感じだった。アメリカという国で肥満体でいるっていうことがどういう
ことなのか、どれだけみんながそのことに無感覚で人の自尊心を傷つけるようなことをしているかがはっきりとわかっ
たから、彼らに対して深く感情移入できるようになったわ。

あなたの考え方も変わりましたか?

ええ。実際2週間の撮影期間のかなりの部分を太った人として過ごしたけど、この映画に出なかったら、太った人たち
の気持ちがまったくわからなかったと思う。





ジャック・ブラックはいわゆる典型的なロマンティック・コメディの主演男優というタイプではない。実際、この映画がロ
マンティックな映画でのはじめての主役だ。ファレリー兄弟は女たらしでも観客が許せてしまうような男優が必要だと
わかって、今人気急上昇中の主演男優を起用しようと探していた。ジャック・ブラックはその"平凡な人間"という資質
で主役に選ばれたのだ。

ジャックはグウィネス・パルトローの相手役を演じることになってちょっと怖気ついていたことを告白してくれた。でもそ
の恐怖感はグウィネスの隠れた一面を知るにつけて消え失せてしまった。「僕には思いもよらなかったんだけど、グウ
ィネスにはちょっといかれたところがあって、いつも気違いじみた歌詞の歌を作って面白い顔で歌って大笑いさせてく
れるんだ。」

ジャック・ブラック(ハル)



グウィネス・パルトローの恋人役を演じる自信はどれくらいありましたか?

ゼロ。まったくなかったよ。真剣な話、この話が来る1ヶ月前に「ロマンティックな役もできるってことを各映画会社に言
っといてくれ」ってエージェントに冗談で言ったんだ。そしたら本当にこの役のオファーがきた。ジョークのつもりだった
のにね。前向きなジョークが前向きな現実になった。このことは共演した背の高い大きな男、そうトニー・ロビンスから
学んだよ。

映画の中では美しい女性が美しくない女性に変身します。その変身についてあなたはどう感じましたか?

僕は変身前も変身後もどちらも好きだ。演じ手にとっては変身後の醜い女性を演じるのはやっかいなことかもしれな
いけど、見かけも中身もすべてその人から出てくるものだからね。

グウィネス・パルトローはあなたの最初のキスシーンで気をほぐしてくれましたか?

いや、誰も気をほぐしてくれなかったよ。ぶっつけ本番だった。脚本にもなかったし、キスシーンがあるってことさえ知
らされてなかった。キスシーンが終わった後でグウィネスに「ごめん。自分でもかなりぎこちなかったと思う」って謝っ
たら、こう言われた。「いいえ、よかったわよ。本当に。私はもうキスシーンは何百回もしてるの。でも次にするときはミ
ントの口臭止めをしてきてね」

あなたのような面白い人と仕事をするのはグィネスには難しかったんじゃないですか?

いや、それは違う。「サタデーナイトライブ」での彼女を見てないのかい?あの娘はコメディでも他の出演者を圧倒して
た。彼女のパワフルな言動に僕のほうこそついていくのが大変だったよ。

この映画に参加して楽しかったですか?

うん。素晴らしい時間を過ごせたよ。

ファレリー兄弟についてはどう思いますか?

僕にロマンティックな役をやらせようなんてファレリー兄弟以外誰も考えないんじゃないかな。

その気持ちに何か変化はありましたか?

いいや。一度しか味わえないような素晴らしい時間を過ごせた。

端役を演じるのは気にしませんか?

端役を演じるのは大好きだ。主役の次よりも4番目とか5番目とかもっと下っ端の役のほうがいい。与えられたらどん
な役だって演じるよ。オーケストラでも最もいい役割をするのはたいていバイオリンじゃなくて5番目とか6番目のトロン
ボーンだからね。

アルバムはどうですか?

アルバムはいい仕上がりだよ。作り始めた時の勢いがそのまま最後まで持続できたんだ。今までで一番のアルバ
ムだっていう自信もある。あらゆるファンタスティクな作品と同じように、時代に先駆けてるしね。






ピーター・ファレリー(脚本・監督)



ピーターとボビーのファレリー兄弟はこの面白いロマンティック・コメディの脚本を二人で書いて、製作と監督も二人で
行なった。周知のとおり二人は常に新しい可能性を切り開いてきた。今度の『愛しのローズマリー』では観客が応援
したくなるようなハートのある登場人物達を描こうとしている。ファンが期待している言葉や映像によるユーモアも健在
でいつもどおりの型にはまらないラブストーリーになっている。

「この映画の中にはたくさんの笑いがあるけど単なる笑いじゃない。」ピーターは説明する。「ひとりの男が自分の心
が一番大事だということを発見する、本当に見て欲しいのは物語のこの部分なんだ」


あなたの最も大きな悩み事は何ですか?

自分でも愚かで浅はかで馬鹿げているってことはわかってるから、そんな人間にはなりたくないんだけど、もし歯がま
ったくない女の子に会ったら彼女とデートしたいとは思わない。そんな自分にぞっとするよね。もっと大きな心を持った
人間になりたいけど、まだなれないんだ。

この映画のアイデアはどういう風に浮かびましたか?

友達のショーン・マニハンが考えたんだ。ショーンは盲目で13歳の時から網膜が退化していって徐々に視力を失って
いった。そんな彼のアイデアだったんだ。実際には外の世界が見えないショーンだけに見える世界。それを僕らは考
えてみた。彼と一緒に座って脚本を書いたけど、楽しかったよ。

どうやってキャストを選びましたか?

弟のボビーが2年前にマサチューセッツ州のウィリアムズタウンでやってた芝居を見に行ってグウィネス・パルトロウ
に出会ったんだ。その晩二人でビールを飲みに行ったらしいんだけど、次の日の朝、僕に電話がかかってきた。「グ
ウィネスが次の僕らに映画の出てくれる」「えっ、何?」「グウィネスに映画に出て欲しいって頼んだんだよ」「そうか。
それはうれしいなあ」って僕は笑ったよ。それがこの『愛しのローズマリー』なんだけど僕らは最初から彼女を念頭に
置いて脚本を書いた。彼女は驚くべき才能を持ってる。

映画の中でのいくつかの重要な役で俳優でなく素人の人間を使うのはなぜですか?

演技っていうのは簡単なんだよ(笑)。まあ理由としては、僕らの映画にはたくさんの役があって、その役はみんな自
分の友達みたいな役なんだ。友達がみんな映画に出たがるから、出してるだけさ。





トニー・ロビンス(本人役)



トニー・ロビンスは俳優としてではなく、自己催眠術の権威者として有名な人間である。ファレリー兄弟と脚本家ショー
ン・マニハンは主人公ハルの人生を変えるような経験をもっとリアルに表現するためにロビンスをキャスティングするこ
とを決めた。

この映画に出るようになった経緯、ファレリー兄弟と仕事をするのはどうだったのかを教えて下さい。

面白いことに、書かれた脚本の中に私の役はなかった。ショーン・マニハンはTVショッピングで私のテープを買ったけ
ど脚本にはまったく書いていない。ショーンは霊媒師がハルを変えるように書いてたんだ。ファレリー兄弟はエレベー
ターの中で人生を変えられるような人物って誰だろう?ってこの映画をもっと実生活に基づいたリアルなものにしよう
と考えて、トニー・ロビンスと一緒にエレベーターにいたら人生を変えられるに違いないって結論になったんだ。だから
二人は私にこの役を依頼してきた。脚本を読んで笑ったよ。まあもともと二人の映画は大好きだったんだけどね。でも
同時にとてもエモーショナルで難しい役だった。内面の美しさを見つけることについては自分のメッセージを盛り込ん
でみた。だから演じるのはスリリングだったよ。

二人は私の好きにさせてくれてたから演じるのは信じられないほど楽しかった。撮影初日に現場に行って、二人に言
ったんだ。「脚本はすべて暗記したけど、あれはまったく自分とは程遠いから自分のしたいようにさせて欲しい。でも
自己中心的にはしないつもりだ。自分が現実にはこういう風にしてるってことをやってもいいかい?」二人はぜひやっ
てくれって言ってきた。映画の中のハルを治療するするシーンは私が現実にやってることだけど、周りはまだ準備し
ていなかった。撮影に入った時、ジャック・ブラックは自分が私にぶたれるとは思ってもいなかった。ジャックは「何をす
るんだ!」って言ったよ。ファレリー兄弟はそれを気に入ってそのまま続けさせてくれた。だからあれは脚本にない私
のアドリブだったんだ。

自分の役の特徴について少し話してくれますか?

謙虚で素晴らしいとても愛すべきやつだ(笑)。いや、自分自身を演じたなきゃならないなんて、本当に馬鹿げてるよ
ね。どこに最も注意を払ったかというと、撮影中もずっと可笑しかったから笑いをこらえるのに必死だった。それが一番
の悩みの種だったね。

役を演じるのは大変でしたか?それともただいつもどおりにふるまっていただけですか?

まったく演技はしていない。映画でやってることは実生活でもやってることだ。でもそれは大きなスクリーンの中でたく
さんの面白い俳優達が一緒にいて気楽な気持ちでやらせてもらった。

他の俳優達と仕事をするのは楽しかったですか?

楽しんだよ。ジャック・ブラックとジェイソン・アレクサンダーは狂ってるね。僕も狂ってるけど、あれほど狂っちゃいない
ない。彼らぐらいに狂ってみたいよ。撮影は本当に楽しかった。




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