ジム・キャリー






ハリウッドきっての肉体派コメディアンのジム・キャリーがアカデミー協会に対して恨みを抱いていることを責めること
はできない。ジムはコメディアンがシリアスな映画でアカデミー賞を受賞するという機会を一度ならず二度までも逃し
ている。

「僕はこれまでとても恵まれた人生を送ってきたと思う。だから神にかけて言うけどアカデミー賞を受賞できなかったこ
とはもう気にしちゃいない」最新作のコメディ『ふたりの男とひとりの女』のプロモーションでニューヨークにやってきた
ジムは語る。

「嫌な思いをいたこともあったけど、これまで素晴らしい人生を送ってきたし、いい友人達ともめぐりあって、目標を達
成してきた。『トゥルーマン・ショー』ではピーター・ウィアー、『マン・オン・ザ・ムーン』ではミロス・フォアマンと一緒に
シリアスな映画もやった。アカデミーは僕がたくさんのコメディ映画でクレイジーな役をしてるのを見てるから、2本のド
ラマティックな映画でシリアスな演技をしても自分達の主義を曲げるつもりはないんだろうね」



『トゥルーマン・ショー』『マン・オン・ザ・ムーン』という2本のシリアスな映画の後、ジムは自分のルーツであるコメディ
に戻るため気持ちを切り替えた。『ふたりの男とひとりの女』はヒット作『ジム・キャリーはMr.ダマー』と同じファレリー
兄弟と組んだ2本目の映画だ。この映画でジムはアイリーンという女性と恋に落ちる2つの人格を持つ男を演じてい
る。アイリーン役は実生活でも恋人になったレニ・ゼルウィガーだ。この映画はすでに精神病擁護団体から猛反発を
受けている。この映画が精神病をネガティブに描いていて不快だと言うのだ。

「人を元気づけるような心温まるハートがこの映画の根本にあるんだ」ジムは言う。「それに人の心を傷つけず、誰も
やったことがない方法で、僕ら普段やっていることを意図的に暴いている」

映画のプロットを明かすことはできないが、女性から授乳するシーン、牛を殺そうとするシーン、公共の場所での排便
や性器のおもちゃでふざけるシーンなど『ふたりの男とひとりの女』の中でジムは確かにすごいことをやっている。



「あれほど恥ずかしい思いをしたことはめったにないけど、授乳シーンはきわめつけだった。でもあのシーンは僕が自
分で考えたのかもしれない。いやそれもおぼえてないや。あの女性に対してはすごく恥ずかしかったよ」それにもか
かわらずジムは最善を尽くしたと言う。「ガツガツした感じにはならないようにしたけど、そうなってしまった。セリフを言
うのも忘れるほどのめり込んでしまった」

このように映画には少しばかり悩みの種があったようだが、数ヶ月前この映画の裏話が雑誌の見出しを飾ることにな
った。

二度の離婚歴のあるジムは役柄上で恋に落ちることになるアイリーン役のレニ・ゼルウィガーと撮影現場で出会っ
た。二人はずっとロマンスをひた隠しにしてて、共演した俳優達は、撮影終了から数ヶ月後に、テレビのワイドショー
でこのことを知ったそうだ。『ブリジット・ジョーンズ』の日記をロンドンで撮影しているレニは現在の二人のプライベート
の関係について沈黙を続けている。

「僕の個人的なことを知らない人に共有されるのは普通だったらありえないことだと思うけど、僕ら二人は古風なぐら
い情熱的な恋愛をして素晴らしい時間を過ごした。レニのことを人類の宝だって思えるくらいにね」ジムはそう言うが、
レニは二人のことをマスコミからとやかく言われるのをよく思っていないようだ。



「馬鹿げてるわ。だってそういったプライベートのことは報道されるべきじゃないし、守らなければならないことなのに。
私達は短期間で打ち解けて親友になったの。撮影現場の環境もよくて、素晴らしいひとときを過ごした。ジムのことは
とても好きだけど恋愛を仕事場には持ち込むのはよくないわ」

「ひとりの人間のことを知ることはとても自然で純粋で古風なことなの。ジムには本当に惹きつけられて、一緒にいれ
るのがうれしかった。ふたりとも楽しかったわ。撮影が終わって、電話で2、3度、話をしたら、二人がデートしてるって
噂がたったの。気が狂いそうになったわ。違うの、それは真実じゃない。"神様、ジムにはもう会えない"って嘆いたん
だから」女優として、レニはジムを賞賛する。

「ジムがこの役を完璧に演じようとしてるのを見るのは楽しくて、催眠術にかかったようにうっとりしてジムの演技を見
てた。ジムのような演技をできる人っていないんじゃないかしら。本当に心からそう思うわ」



ジム・キャリーはカナダのハイスクールを中退して、数年間小さなコメディクラブで働き、10代の終わりにスターダムに
のし上がるためにハリウッドにやってきて、『In Living Color』という低俗なテレビのバラエティ番組に出演するように
なった。そして1994年にあわれなペットの探偵を演じた『エースベンチュラ』でブレイク。今では映画の出演料も驚くほ
どはねあがり、ハリウッドの億万長者メンバーの一人になっている。『ふたりの男とひとりの女』のギャラは2000万ド
ルだそうだ。

ジムは次にロン・ハワード監督の『グリンチ』に出演する。これほどの大作映画に出て、莫大なギャラをもらっているに
もかかわらず、ジムはオフスクリーンでは普通の生活を営んでいる。

「僕の生活には大きな変化はないよ。ただみんなが僕のことを知っているという事実を除いてはね。自意識が強くな
るとガッツも失われていく。だから自分の生活はよりシンプルになるようにしている。どういうわけか、もともとそういう
性質ではあるんだけど、日常生活でみんながするような部屋を掃除したり、洗濯したりするのが気持ちいいんだよ」

「有名になった時、お金があるんだから、まわりのことをやってもらう人を雇ったらいいんじゃないかって言われた。で
も僕はバットマンの分身のブルース・ウェインみたいになりたかった。自分の服ぐらい自分で洗濯しなきゃいけないこ
とぐらいはわかってるしね」






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