原編成 第一・第二マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ、ギター、男声合唱
スコア 原編成と同じ
パート譜 原編成;と同じ
解説 マリオ・マチョッキは、1874年4月4日ローマで生まれ、1955年11月9日にパリで亡くなったマンドリンとプレクトラム・オーケストラのための啓蒙者で作曲家。
ギターに堪能であった父から手ほどき受け、早くからマンドリン、ギターをBRONTOLIと、 CONSORTIから、ソルフェージをBENEDETTIに学び、聖チェリア音楽院でCETACCIOLI教授から作曲と指揮を学んだ。17歳で、有名な
ローマ五重奏団(Quintette Romain )の研修チェリストとなり、プロのトレーニングを受け、数年間南アメリカに赴いた。その後ベルギーのリエージュでオーケストラ指揮者をつとめ、1900年パリに教授所を設立し、ギターの教則本を出版した。1905年にパリに定住し、彼はいくつかのオーケストラを指導した。
1905年、Monsieur De Romeの変名でマンドリン誌L'Estudinatinaをパリで創刊、フランスのマンドリン・ギター界の指導的地位を得て1934年5月にL'orchestre
à plectre誌と名を改め、1939年までプレクトラム・アンサンブルのための作品を数多出版した。
彼自身の作品も、マンドリンオリジナル作品、クラシックの編曲作品など約800曲にものぼる。あまりの多作に、オルガ・デリス伯爵夫人(Comtesse
Olga Delys)の別名でも多くの作品を残している。
彼のロマンチックなスタイルの音楽は、明るさとドラマが混在したものであり、母の血をひくスペインの民族音楽に触発されており、19世紀後半から20世紀初頭にかけて非常に人気があり、アマチュアを主体そするマンドリン界に評価された。「麦祭」は彼の代表的な作品の一つである。
曲は四楽章からなり、作者により次の解説が掲載されている。
1.黎明 麗しい陽の一瞥は黄金の鋲をめた大空を灰色に染めてゆく。黎明の光はまたたいている。そして夜の暗闇が物した喪のかおぎぬは静かに消えてゆく。突如明るい陽は流れて会堂の風見の雌鶏が紫に美しく彩られた。これが安息した夜の終りで、又活動すベき日の初めである。
2.楽しき目覚め 新緑の夏と豊満な収穫とを讃美する鐘の音は歓声の様に響いてくる。これを聞くと村人達は疾く起き出でて祭神の衣を着ける。そして輝かしい面を見せて村道を右往左往する。やがて彼方の牧場から今日の祭りに到る牧人の笛の一曲が聞こえてくる。それから会堂の御告の鐘が遠く響いてゆく。村人はやはり村道を往ったり来たりしている。
3.麦の歌 会堂の鐘を合図に集まった村人達のミサが終ると若い人達は一団となって、古風な野趣を帯びた麦の歌を合唱する。これは伝統的なものであるが、形式、韻律などは一定していない。
4.祭の後に 一同は再び料亭に会合する。互に心からの喜悦を尽すとやがて名残を措しんで散会する。そして彼方へ此方へ森へ畑へ・・・・・と急いでゆく。幾組かの若い夫婦達は麦の歌を高唱しながら仕事に親しむ。
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