02.5.19 はじめての大冒険 (前編)
この日はママが病院旅行で前の日からいませんでした。前の日もママは朝からいなかったのでパパが二人を亀川小学校へ連れていき、遊ばせたのですが、夕方自転車がパンクしてしまい、乗れなくなっていたのです。そのため二人を乗せて遊びに連れて行くことができません。しかもこの日は日曜日で、近くの自転車屋さんはみんな閉まっていて、開いているお店はかなり遠くになります。そこでパパは悩んだ末に、試しに二人を歩かせてみようと考えました。
一番近い自転車屋さんは紀三井寺の「よねだ」で、距離はだいたい5kmくらいでしょうか。大人でも、ふつう自転車では行かない距離です。のんびり遠足気分で行けば子供たちも歩いてくれるかもしれない。それに自転車が直れば、その後は子供たちを乗せて楽に移動できると考えたのです。
そこでパパは朝から子供たちにごはんを食べさせて、着替えさせて、おしっこをさせて、おむつを替えてから、いつものように紙パンツやよだれかけや抱っこベルトや帽子や日焼け止めクリームなどを準備しました。そしてここからが重要なのですが、ぽんちゃんに「みんなで遠足みたいに歩いて自転車屋さんに行く?」「自転車屋さんに行って自転車直してもらおうか?」と聞きました。すると案の定、ぽんちゃんはうれしそうに、「うん、行く!」と答えました。
天気予報に反して、朝起きた時は雨が降っていたので、パパは洗濯などをしながら止むのを待って、10時過ぎにようやく雨が上がったので出発しました。当然、初め、「自転車に乗りたい」と言いましたが、「壊れていて乗れないから、直してもらおうね」と言って歩かせました。
少し歩き、いつもイチゴを買う販売所の前を通りかかると、ちょうどおばちゃんがイチゴを並べていたので1パック買いました。途中、子供たちは何度も「おなか空いた」とか、「疲れた」と言ったので、その度にこの時のイチゴや、家から持ってきたアメを食べさせて歩かせました。
車が通る大きな道路だと危ないので、パパはずっと中の道を選んでいきました。子供たちはご機嫌で、道ばたのいろんなものを見つけて拾ったり、いろんな面白いものにひっかかって遊びながら歩くのでなかなか前に進みません。初めパパはお昼までに自転車を直し、ダイエーでお昼を食べようと思っていました。しかしそんな予想はとんでもなく裏切られ、スーパーウジタの所に来た時、お昼になってしまいました。仕方がないので、ファミリーマートに入っておにぎりとサンドイッチを買い、お店の前の駐車場の車止めに3人で座ってお昼ごはんにしました。子供たちはもちろんお菓子も要求したので、おにぎりを全部食べるという約束で、ひとつずつ買ってもらいました。
子供たちはおおむねご機嫌で、いろんなものを見つけてははしゃいで走ったり、たまに車が通ると、大騒ぎして端っこに逃げたりしていましたが、パパはパンクした自転車を押して、子供たちのペースに合わせてゆっくり歩くので、すでに足がとてもだるくなり、ただひたすら「早く着いてくれー」と念じながら歩いていました。約3時間15分後の1時半頃、ようやくサイクルショップよねだが見えてきました。しかし疲れ果てたパパは、ここで恐ろしい光景を見ることになるのです。
