補足及び練習方法 | ||||
日本語が持つ問題点 | ||||
顔の筋肉が自在に動かないと、歌う声を出すときに使用する口やその周りの筋肉を動かすことができません。無表情な顔からは、けっしていい声がでません。 しかも、それくらい直ぐできると安易に考えていると、自分では動かしてるつもりでもほとんど動いていない場合がほとんどです。意識して動かすことを練習する必要があります。 また、発声法の教科書などに載ってる「軟口蓋をあげる」ということも、まず筋肉をうまく動かすことができるようにならないと出来ません。 つぎに、この筋肉が動かないと、口の開け方のコントロールがしにくくなって、共鳴場所が狭くなったり、発音がきれいにならなかったりします。 腹筋については、うまく動かないことは、息のコントロールに関して問題が生じます。日本語には腹筋を使って喋る音をほとんど含んでいません。このため、腹筋の動きが悪く、腹式呼吸にすぐ対応できない人が多くいます。このため、日本人の息は、概して息が弱く、薄く、遅い傾向があります。 それに対して、外国語では息をしっかり使わないと発音できない音(p・fなど子音)が含まれ、頻繁に使われています。このことにより、息を強く、厚く、早くできます。この、息を出すスピードや量が問題となります。 さらに、アクセントの問題もあります。日本語のアクセントは高低でつけますが、外国語はアクセントの強弱でつけます。このことも日本人が腹式呼吸になじめないひとつの要素となります。 また、日本語は、表音語なので一音一音が独立して短く切りやすくフレーズを長く保つという習慣ができにくいのに対して、外国語のようにアクセントの強弱があると、言葉の流れを作るので息を流しやすく、長いフレーズを歌う習慣ができます。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習1 | ||||
@ 顔を動かす 思いっきり口を開けてみましょう。中途半端はだめです。特に女性の場合、人目を気にして少ししか動かさない傾向があるので注意が必要です。つぎに、口だけでなく、顔面の筋肉がすべて動いて、変な顔になるように動かしてみましょう。 A 頬を動かす 頬の筋肉だけを動かしてみましょう。口をあまり動かさずに頬の筋肉だけが動きますか?これは、笑ってる時の顔です。そのときに動いてる筋肉を意識して動かせるようにしましょう。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習2 | ||||
@ お腹を動かす まず、腹筋を動かせるようにする練習です。「フッ、フッ、フッ」と短く息を出してみましょう。そのときに、腹筋が一緒に動いてますか。意識して腹筋を動かしながら息をする練習をしましょう。 A 息のスピード調整 腹筋を使いながら、息を出すスピードを調整できるようにしましょう。上下の歯の間を少し開けて、「スゥー」という風に、そこから息の出ている音を出してみましょう。もちろん、お腹が膨れるくらい十分息を吸って、その息を腹筋を使って出していきます。 まずは、どれくらい長く出せるか試してみましょう。30秒くらいはいけましたか?長く出来る人なら1分くらいも可能です。 次に、3拍伸ばして1拍休んで息を吸うとか、7拍伸ばして1拍吸うなど、長さを変えて息をコントールする練習をしましょう。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習3 | ||||
@ 横隔膜を下げる 鼻で息を吸いながら、徐々に横隔膜を下げていきます。必ず鼻だけで息を吸うようにします。これがコツです。お腹に息が入ってくるような感じがしたら正解です。(ただし、息はお腹ではなく、肺に入っているのですが。) うまくいかない場合は、横になってみましょう。人は寝てるときには腹式呼吸をしています。仰向けに横になっておなかに手を当て、おなかが膨れる状態を確認しましょう。その時に横隔膜が動いてるので、その感じを立って出来るようにしましょう。 A お腹を膨らませる、けど、柔らかく @の練習のとき、お腹が膨れてくるはずですが、無理に張る必要はありません。膨れても、押したら戻ってくるように柔らかくしておきます。腹筋を無理に緊張させてパンパンに張るのは返ってリラックスできなくなり、間違いです。 B 肋骨を張る&背筋もつかいましょう お腹が膨らむようになったら、今度は一番下の肋骨が息を吸ったときに動いて外側に張ることが出来るようにしましょう。この時、背筋も動いているとベストです。 C ささえる 以上の状態で息を吸って、それをゆっくり「スー」と音をたてながら吐いて行きます。この時、張った肋骨が出来るだけ元に戻らないように吐いていきましょう。この練習では、お腹を膨らませておく必要はありません。逆に、肋骨を張った状態を維持することに重点をおき、お腹の部分は徐々にへこませていきましょう。この感覚が、息を支えるという表現で言われるものです。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習4 | ||||
@ ノドを開ける 自分の人差し指を一本伸ばし、それを口の中にゆっくり入れていきます。すると、口の中が広がりノドが下がっていく状態を感じることができます。この感覚で、ノドが開いた状態というのをまず覚えましょう。 A ノド仏を下げる 男性の場合はすぐわかるのですが、女性の場合も少し探せば分かります。自分のノド仏を軽く触って、それを下げる動きをしてみましょう。この時、ノドは空いています。発声練習の時に、このノド仏を下げるということに意識を集中しているとノドが空いた状態で声が出るようになります。 この方法は有効なんですが、うまく出来ない人は声を出そうとすると、自然にノド仏が上がっていき、下げたまま声を出せるようになるには時間がかかります。 もう一つの関連したことで、ノドをあけることと、口を開けることが連動してしまって、ノドを開いたまま歌おうとすると口が必要以上に開いて、言葉が不鮮明になることがあります。 でも、日本人にはノドが閉じて声が出にくい傾向の人のほうが多いので、最初のうちは、発音よりノドを開けるほうを優先させるべきでしょう。 B 割り箸ノド開け これも効果のある方法です。TVで紹介されたり、これの方法に関する本も出ています。割り箸を2本用意し、その幅の広い方を左右の奥歯で噛んだまま声を出す、という練習方法です。 この練習の利点は、器具を利用するので、開けた状態を維持して比較的声がうまく出せるという点です。ですので、この方法を使うときには、割り箸を入れた状態で声をいろいろ出してみましょう。それから割り箸を離し、その口のまわりの格好で声を出して、ノドの開いた状態が確認しましょう。 C 上に開ける 詳しい発声の本には、「軟口蓋を上げる」と書いてあります。軟口蓋とは、舌の付け根の上部、上あごの部分のことです。ですから、本当はノドは下げて開けるより、ノドを上げて開けるといった感覚の方が正しいでしょう。しかし、日本語にはこの感覚がないので、まずは開けやすいノドを下げて開ける感覚をつかみ、それから軟口蓋を上げて開ける方法を取るほうがいいでしょう。 D 舌出し 通常の基礎練習の中での、ノドを開けるための練習方法は、舌だしと呼ばれる練習方法が有効です。舌を口から前方下におもいっきり突き出します。この時ノドが開いています。10回・20回と出す目標数を決めて発声練習前にやって見ましょう。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習5 | ||||
@ ハミング よく響かせるための基本はハミングです。 しかし、このハミングの仕方を間違っている場合が多いので、次のような点を注意して練習しましょう。まずよくある間違いは、口をしっかり閉じてハミングする場合です。今、共鳴のための練習をしています。その共鳴するためには、振動が必要です。しかし、口をしっかり閉じてしまうと、かえって振動を止めてしまうことになります。ですから、口は軽く閉じて、出来るだけ力を抜いた状態でよく振動が得られることに注意して練習しましょう。 次の間違いは、「鼻の方に響かせて」とよく言われるのを守ろうとして、鼻にだけ意識がいってしまい、口のことを忘れてしまう場合です。この場合は、口の中が狭い状態のハミングになります。共鳴をさせるのですから、共鳴箱は大きな物を使いましょう。口の中にゆで卵をほおばったようなつもりでハミングしましょう。 ただこれも、口の中をおおきく広げることに注意がいって、力まないことが大切です。 大事なことは、体や顔をリラックスさせて、よく振動が得られて、よく響く状態を身につけることです。 A ハミングから声へ ハミングの感じをつかんだら、そのハミングを声にしてみましょう。まず、リラックスして良いハミングをします。そうしたら、こんどは口を開けてハミングしてみましょう。まだ、声になってはいけません。 口を開けたハミングって、今までにやったことがないと、イメージが掴めなくて、うまく出来ませんか? では、この口を開けたハミングの具体的なやり方です。ハミングする時の息は鼻からのみ出ています。ですので、口を開けても鼻からのみ息が出るようにします。そのため、舌の奥を上げて、口の中に息が流れてこないように遮断してしまいます。こうすれば、口を開けたままハミングが出来ます。これを、ハニングと呼ぶこともあります。 この状態から、上げていた舌をゆっくりさげて、口に息を流してみましょう。こうすると、ハミングでつかんだ共鳴をうまく声として出すことが出来ます。 B 鼻つまみ 次に、逆の方法です。鼻をつまんで声を出してみましょう。うまく声が出ていますか?うまく声が出せれば、それは間違っています。 鼻をつまんで声を出せると言うことは、息が口からのみ出て、鼻の方に息がまわっていないということです。つまり、声帯で生まれた音を含んだ息が鼻の方に届いてないということです。これでは、鼻や頭で響きを作れません。 だから、鼻をつまんだら、鼻にかかった鼻声にならなくてはいけません。「鼻をつまんで鼻声を出す」、このときに流れる息の方向が、共鳴を得るためのポイントです。 この練習は、ハミングが「m」や「n」という子音を使っての練習であるのに対して、鼻をつまんだ方法では母音を含んだ言葉を使っての練習できるので、より実用的です。 C 「ズッーーーーーー」 演劇の発声法にマスク共鳴というのがあります。マスク(顔面)を使って共鳴を得る方法だそうですが、それを歌で使って見ましょう。[Z]の発音をすることが出来ますか。[Z]だけの発音です。「ウ」の母音が入らないようにしてください。 それが出来たら、今度は、それを長く伸ばしてみましょう。これが、表題の「ズッーーーーーー」の感じです。 この練習は、共鳴している場所を顔の前のほうに持ってくることが出来るようになり、ノドの奥だけで鳴っている、こもった声から開放してくれます。 この響きから声を得るには、「ズッーーーーーー」と言っている時には、上の歯と下の歯の間をかなり狭くしているはずです。この歯の間隔をゆっくり広げながら「z」から「A」の母音に変えていってみてください。途中で「z」の響きを失わないように注意しましょう。 D 口の前に手を持ってくる・耳を手で覆う これは、補助的に共鳴を確保する練習方法です。口の前に手を持ってきたり、耳を手で覆ってみて下さい。こうすることにより、共鳴場所が広がり、自分の声の状態がどんな風になっているかを、よりはっきり聞くことが出来ます。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習6 | ||||
では、実際に発声練習を行ってみましょう。 発声練習の具体的な練習パターンは千差万別で、これがベストというようなものはありません。しかし、そうだからといって、効果の上がらない方法で練習しても意味はないので、幾つかの参考になるパターンを楽譜として乗せる予定です。それらを、うまく組み合わせて効果的な練習を行ってください。ここでは、発声練習を行うときの注意事項をまとめておきます。 @ 発声練習は、練習1から5の内容を含んでおくべきです。「発声練習を始めます」と言って、いきなり声を出すのは止めましょう。まず、息のための準備をして腹筋を動きやすくし、ハミングなども入れながら練習内容を組み立てていきましょう。その日の、練習時間に合わせて、短くてもいいですが「息の準備をして、ノドを開け、よく響かせる」ことを忘れずに。 A しかし、総花的になるのもいけないので、その日の練習のポイントを決めて重点を置くことも大事です。体育祭の後だから声が荒れているのでハミング練習を多く入れよう、と工夫することは大変大事なことです。 B 長期的に練習計画が作れるなら、重点を練習1から練習5に順次進めて行き、成果が現れてきたら、また練習1に重点を戻して進めるといいでしょう C さて、声を出す練習に入ったら、音域に注意しましょう。練習の初めは、声の出しやすい音域から始めて、その幅は最初は小さく、そして、だんだん広くしていきましょう。 D また、練習の初めは息が動いていなくても比較的声の出しやすいレガートの練習を多めにしましょう。そして、だんだん息を多く使う練習を増やしていく方向へ進めましょう。 E 理想的には、その日の練習の終わりに、疲れたノドをリラックスさせるために、クールダウンとしてノドの力を抜くためのパターン練習を行うといいでしょう。最後に、その日に歌った曲のpの部分を軽く歌って終わるなどでも、クールダウンできます。 戻る時は、左側の目次をクリックして下さい。 |
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練習7 | ||||
実際の発声練習には、実にいろいろなパターンの練習が行われています。しかし、その練習パターンのうち、どれが最もいい方法だとは、一概に断定できません。 練習する団体の人数、年齢構成や、合唱経験の多少などによって、適切な方法は変化します。 また、今歌っている曲によっても変わってくると言ってもいいでしょう。 ですので、ここには様々な練習パターンのうち、いくつかを取り上げていきます。実際にやってみて、「これが自分達に合ってる」というのを選んで、練習に役立ててください。 次のようなポイントで、いくつかの代表的にパターンを楽譜で示します。 @ ハミングの練習に効果的な発声パターン A ハミングから、母音を響かせるために効果的な発声パターン B 息のために効果的な発声パターン C のどを開けるために効果的な発声パターン D 母音の共鳴を得るために効果的な発声パターン E 母音の練習のために効果的な発声パターン F 発音のために効果的な発声パターン G 腹式呼吸のための練習を含んだ発声パターン H 和音の感覚を育てるための練習を含んだ発声パターン NEW |
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練習7-1 | ||||
@ ハミングの練習に効果的な発声パターン![]() ハミング練習の時の注意点です。練習5でも書いたように、ハミングは口を閉じて行いますが、その閉じた口を硬く結んでしまう傾向が見られます。よく響かせるために、口元は緩めておきましょう。 また、口を閉じてしまうことによって、いっしょに喉も閉めて練習してしまう傾向も多く見られます。喉は常に開いておきましょう。そのためには、喉仏を下げたり、口の中に大きな空間を作って練習するといいでしょう。 そして、音程が高くなってきたときには、少し口を開けてハミングすると喉が閉まるのを防ぐことが出来ます。 また、ハミングは発声練習の最初にウォーミングアップを兼ねて行うと効果的です。ですので、音形はエネルギーがたくさんいる上行系より、楽に声の出る下降形のほうがいいと思います。 しかし、音が下がるにつれてハミングの響きが弱くなって、「ただ単に声を出しているだけ」にならないように注意すべきです。ウォーミングアップのため、下がりきった音までよく響かせて、声を立ち上げながら練習しましょう。 |
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練習7-2 | ||||
A ハミングから、母音を響かせるために効果的な発声パターン![]() B.F.とは、最近よく使われるようになった用語で、ハミングで歌うことを表します。 続いて出てくる、B.O.は口を開けてハミングすることで、オープンハミングとも呼ばれる歌い方です。練習5でも書いたように、ハニングと呼ぶこともあります。 具体的には、ハミングしながら口を開けるのですが、口からは息を出さずに、鼻からのみ息を出している状態のことです。 ハミングと声の間にこのオープンハミングの状態を作ってから、ゆっくり口の中に息を流します。こうすることによって、ハミングでの響きを声に乗せることが出来ます。 一つ注意点は、声にしたときにあくまで口ではなくて鼻の方で響いていることを確かめながら行うことです。ややもすると、きれいな声をだそうとして声に神経が集中してしまい、響いている状態を忘れて口先だけで声を出そうとしてしまいます。 まだ、きれいな声は必要ありません。この練習はあくまでも、ハミングを使った共鳴を声にのせるための練習です。 |
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練習7-3 | ||||
B 息のために効果的な発声パターン (かつ、口の周りの筋肉を柔軟に使うための練習) ![]() 1小節目は発音をはっきりさせるため、息を沢山使って声を出してみて下さい。そして、そのまま2小節目を、テンポ感を失わないで、そのままの息の流れで歌ってみましょう。 特に、3拍目の4分音符をテヌートしてたっぷり歌います。すると、1小節目で得られた速い息のスピードを保って2小節目を歌うことになります。 この、息のスピードを維持することが、この練習のポイントです。フレーズの最後まで、しっかりした息を使って歌いきる、このように練習がすることが息のために大切です。 |
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練習7-4 | ||||
C のどを開けるために効果的な発声パターン![]() 最初の「no」の音は力をいれずに、「n」の発音を長めに使って、響いている状態を作りましょう。 このとき、のどや口の中が開いているどうかは、あまり気にしなくていいです。それより、次の「na」で、のどを開けて口の中も開けて、明るく響いた母音が前の方に、声として飛んでいる感じをつかみましょう。 最後の下降旋律は、その響きを落とさないように丁寧に降りてくることが大事です。また、「no−na」の5度の跳躍の時には、やわらかく、しかし、しっかり息を送って上げるといいでしょう。 そうすることによって、少しクレッシェンドをかけたような状態にはなりますが、けっして息を上の音にぶつけて大きな声を出すことのないよう注意しましょう。 |
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練習7-5 | ||||
D 母音の共鳴を得るために効果的な発声パターン 1 ![]() 日本語の5つの母音をうまく響かせるための練習です。 この練習は、まず、ゆっくり、休符のところまで一息で声を出してください。メトロノームで60位が、一つの目標でしょう。息が続くならもう少し遅くてもかまわないと思います。 発声する時は、どの母音も同じように響いているかどうかを確認しましょう。最初は上の段の「aeiou」で練習するのですが、いきなり母音だけで発音がうまくいかない場合は、「mamemimomu」と「m」をつけて練習して下さい。 慣れたら次の練習のために、下の段の「ieaou」で練習するといいでしょう。 2 ![]() 次に、音程を変えながら母音を歌う練習です。それぞれの母音の二つ目の音に移る時に、音が流れないようにはっきり音程を上げながら練習しましょう。 母音をもう一度響かせるような感じで歌ってください。この練習では、最初の練習の上の段の発音順ではかえって歌い難いので、楽譜の母音の順序で練習してください。 |
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練習7-6 NEW | ||||
E 母音の練習のために効果的な発声パターン 1 ![]() 母音の発声は簡単なように思われますが、案外、歌いやすい母音と歌いにくい母音がでてくるものです。どの母音も、よく響くように歌うことへの注意が必要ですが、まず、その一つの例です。 「i」と「o」を繰り返すのですが、注意を払わずに行うと、「i」の母音は前に出て明るく響くのですが、「o」の母音はのどの奥のほうで暗く鳴ってしまいます。 ではなくて、「i」も「o」も同じように顔の前のほうで響いているように気をつけなければいけません。 コツは、上の歯を意識して練習するといいでしょう。「i」を発音する時に、上の歯が振動するくらいにしっかり響かせておきます。その後、「o」に移るときに同じ場所で母音を響かせるように意識すると、奥のほうに響きが逃げなくなります。 2 ![]() 母音の発音に、スピード感をつける練習です。 母音は、子音がついてないと、どうしてもゆっくり歌いがちです。もちろん、母音はよく響かせる必要があるので、時間をかけて丁寧に発音するべきなのですが、それと、歌うテンポがゆっくりになってしまうことは違います。 16分音符の一つ一つに息が十分にあるようにして練習しましょう。 これも、最初は「i」と「e」の組み合わせが歌いやすいでしょう。慣れてきたら、「a」と「o」など、母音の組み合わせと変えて、どの母音もスピード感を失わずに歌えるようにしましょう。 |
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練習7-7 | ||||
F 発音のために効果的な発声パターン![]() この練習は、テンポの設定と、使う言葉がポイントになります。 まず、テンポですが、他の発声練習よりは少し早めの感じがするかもしれませんが、ゆっくり練習する時でもメトロノームで80位に設定して、それより遅くならないようにしましょう。早くするなら、100位でも可能でしょう。 日本語の発音は唇が早く動くことがあまりないので、発音のために出来るだけ素早く動かす練習が必要なのです。 次に、練習で使う言葉ですが、この練習に慣れないうちは、「na」、「ya」のような使い慣れた発音でいいでしょう。しかし、発音が上手になるためには、日本語にあまりない言葉を選ぶことが必要です。 例えば、「pa」のような息をしっかり出さないとうまく発音できないような言葉を、導入していくと大変良い発音のための練習になります。 |
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練習7-8 | ||||
G 腹式呼吸のための練習を含んだ発声パターン![]() よく発声練習に使われるパターンだと思います。しかし、練習のときに次のような点を注意しましょう。 まず、ただ単に声を出すのではなく、必ず腹筋の動きを伴いながら声を出すことです。 ただし、激しく動かす必要はありません。軽く動いているのが確認できる程度でオーケーです。腹筋を動かすことだけに神経を集中して、力が入りすぎてしまうことは、声にとっていい状態とは言えません。リラックスして発声しましょう。 また、使用する発音は、すべて「ha」でも構いませんが、最初に「na」を入れるといいでしょう。それは、「na」を入れることで、声を響かせることも維持すべきだからです。「ha」だけの時にはと、息を出す練習だけになってしまいがちですので、その点を注意してください。 |
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練習7-9 NEW | ||||
H 和音の感覚を育てるための練習を含んだ発声パターン![]() by J.S.Bach これは、バッハの作ったもので、カノンとして歌われます。始めから上下2つの声部で合わせるのは難しいので、最初は上の段の音形だけで練習しましょう。 和音の三つの音の中の、どの音を歌っているのかを意識するために、この練習は音名で歌います。ただし、かならずしも、ピアノの「ド」の音から始める必要はありません。適当な高さに移調して、歌いやすい調で歌って下さい。 まず、斉唱で音程が確認をしてから、カノンの練習に入りましょう。まず2パートの練習です。 2番目のパートは2拍遅れて、最初のパートが「mi」の音を歌っている時に入ってくるように練習してください。平行3度で音が重なり綺麗な響きが出来ます。次に3パートに分かれて、さらに、2拍遅れて入ってくると、和音の三つの音が重なり、よりしっかりした響きになって、和音の重なりを意識して歌う練習になります。 下のパートだけで練習しても、同じ効果が得られます。 次に、楽譜どおり2パートに分かれて、1拍ずらした形で歌ってみましょう。ただし、今度は、和音をよく響かせるためだけの練習ではなくなります。 緊張と緩和という、合唱曲の中にもよく出てくる、音楽の基本的な要素を経験できます。 この練習では、音がぶつかりあって濁っている緊張した状態と、その状態から和音として響いてきれいに聞こえる、落ちついた響きの緩和した状態への移り変わりの練習になります。 最初は、テンポをゆっくりとって、緊張と緩和の状態を十分に聞きあいながら練習を始めてください。 |
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