病気と障害を負って生きるということ


桜咲き 日は天高く こともなし
 命ある身に 春風ぞ吹く

 昨年四月の拙い自作の歌です。こともないなんていうことはないのです。昨年三月十一日には、東日本大震災がありました。関西もいつ天災にみまわれるか分かりません。我が身にしてみれば、嫌な幻覚と妄想が何日も続いていて、辛くて辛くて、今日死のう、明日こそ死のう、どうやって死のう、でも痛いのは嫌だし、と考える日々でした。気ばらしや用事で外出しようにも、すれ違う人、出合う物、全て私を陥れ迫害しているようで、一人で外出もできません。同じ理由で、新聞もテレビも駄目、ラジオすら聞けなくなりました。仕事どころか、必要最低限の家事をしようにも、病状がひどく、体力も衰えていて寝たきり状態、簡単な料理すらしんどくてできませんでした。家族がいなくなったらどうしよう、どうやって暮らしてゆけばいいのだろう、と不安ばかりが募り、死んだ方が、となるのです。その家族や、支援してくれる筈の医療関係者ともぎくしゃくして煮つまっていました。一人ぽっちでした。

 そんな時、ふと窓を見ると春の日がさしていたのです。思い切って窓を開けました。向こうの通りには桜が満開、優しい春風が頬をなでました。生きている、と思いました。その後、家族や訪問看護ステーションのスタッフの助けで少しずつ外出できるようになりました。岡本先生に、社会資源などのお話も聞き、のたれ死ぬことはないだろうと思いました。

 不安はありますし、死にたいと思うことは今でもあります。当然です。健康な人だって生きることは、楽しいことばかりではなく苦しいことの方が多いと聞きます。まして、精神障害を負った身では、と思います。差別もあります。偏見もあります。でも自分が変わることはできますし、病気や障害があっても学ぶことはできます。苦しい中でも生きていてよかったと思う時はあるものです。美しい空を見るだけでもいいのです。
 
 鳥は飛ばねばならぬ。人は生きねばならぬ。という言葉を残した人がいるそうです。  私は何とか生きてゆきたいと思っています。同じ病気で苦しんでいる方々や、いろんな困難を抱えて苦しんでいる方々にも、生きて欲しいと思います。

  2012年9月


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