ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています    自己決定の大切さ

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  マーク        「自分の意思を大切に」

  ジェロントロジーの一環として勉強してきました「成年後見制度」の理念は、
 ①残存能力の活用 ②自己決定の尊重 ③ノーマライゼーション の三原則です。
 この理念は、北欧の福祉理念と一致しています。

  人生における節目には特に自己決定として自身の意思を反映させることが
 大切ではないでしょうか。しかし私たちは、自分の意思を反映させる能力が
 失われてしまう可能性があります。元気な今こそしっかりと意思表示し、
 多くの関係者と話し合い、高齢期の今、自分の意思をしっかりと伝えておきたい
 と考えています。

マーク  生き方には自分の意思が大切

 1. 医療に関する自己決定

  体が、不調で医師に診療をしてもらう時に自分の意見を言うことが出来ますか?

 
 医師の言いなりとなっていませんか。医師は、専門家ですから、正しい診察をする
 ことでしょう。しかし、本人の意思をはっきりと伝えることがより以上に効果的な
 診療ができ、治療がスムースに進むと思います。可能ならば、初診は家族と一緒に
 医師の説明を聴くことをお勧めしたいものです。


  
特に、延命に関することは、元気な今、伝えておくとか、書類として提示しておく
 ことをお勧めします。
  胃ろうに関しては、殆どが当事者である本人の意思を確認できないようです。
 胃ろうしてもしなくても家族は悩むものです。
 悩むあなたは優しくて苦しんでいる方(両親等)のお世話をこころを込めて行った方です。

 医師に「胃ろうしなければ後僅かの命」と告げられると家族としては悩みに悩むものです。
 胃ろうしなかったから、親が亡くなったとか、胃ろうしたから親を苦しめたとか、
 尽きぬ悩みに苦しむものです。その例を多く見てきました。

  そのことからして、本人の意思をはっきりとさせておくことは、残された家族の悩みを
 少しは和らげると考えます。言葉でも良し、書類でも、信頼できる家族に伝えておく事を
 お勧め致します。可能なれば書類として作成しておきたいものです。

  最近は、「延命治療に関する公正証書」として残している方もおります。
 公正証書とすることは、作成前によく考えること、公証人との話し合い、
 家族との話しあいなど、多くの手間をかけることで自分自身の意思が固まってくる
 と思います。書類があれば本人の意思として医師に提示することが出来ます。
  多くの方が、胃ろうは造設したくないと言っていますが、現実にはその方達も胃ろう
 をしてしまっていると言う現実があります。

 

 
2. 終の棲家に関する自己決定

 
 独居高齢者は、終の棲家に多くの方が悩んでいます。現在も、相談がきていますが、
 私は、あくまでも私であり、相談者本人にはなれません。自己決定が最も大切です。

  約十年間、電話相談と高齢者カウンセリングをしてきましたが、データーの提示や
 アドバイスはしていましたが、決定的な言葉は使ったことはありません。

  自分で決めると言うことは、良くも悪くも自分自身の責任として解決策を模索します。
 しかし、こちらの意見ばかりを求めて行動を決定した方は、往々にして他人の責任として
 しまうようです。

  
自己決定は、他人の意見を参考にし、自分の考えをまとめて最終的に自分の意思で
 決めることとなり、それは、素晴らしい人生の歩み方だと思います。


 
 現在、有料老人ホームを検討している高齢者に相談をもちかけられていますが、
 その方は、自分の意思がなく、こちらの話すことが最も大切という感じです。

 
お手伝いはしますが、どうするこうすると言う意見は話しません。

  
何時までも決めることができずに、同じところを行ったり来たりしています。
 その内に、私は、相談に乗ってくれない人という評価を受けることでしょう。

  大切なことは、本人自身のこころで決めることが大切であり、
 その為には、多くの人の話を聴き、資料などの勉強をし、施設そのものを訪問して、
 相談者本人が、自分の考え方をまとめてゆくことと思います。
 相談を受ける側の者は、相談をする側の人にはなれません。

  
自分で決めることの大切さをしっかりと認識することが、これから先の幸せに
 つながることになります。

 
 3. 自分の意思で支援者を決める

   ある会合で、特別養護老人ホームの施設長とお話をする機会がありました。
 その折に「老人ホームで一番困ることはどのようなことでしょうか」と質問しました。

 施設長「色々とあります」
 私  「多くの施設で感じることですが、利用者の家族の意見の相違で職員が
     困っている場面に出会ったことがあります」
 施設長「その通りです。ご家族の意見がそれぞれ違い対応に困ることが多々あります。
     特に胃ろうなどの場面が困ります。それと、治療面においてもご家族の意見
     をまとめて欲しいのです」

  
施設で生活している高齢者の親族でも、何時も面会に来られる方とあまり面会もなく
 想像や理論による要求ばかりを求める方がいるようです。多人数の親族がいる場合には
 兄弟姉妹の中で一番施設を訪問できる方をリーダーとして、施設側との窓口を決めておく
 必要があります。

  難しい事とは思いますが、高齢者自身が、元気な間に「誰がリーダー」とか、同居者を
 話し合っておけば、介護が必要となった場合に交渉事がスムースに解決するのではない
 でしょうか。

  私たちの場合は、兄妹の一番下でしたが妻が殆どの窓口として話合いをおこなって
 きました。それでも時々は揉めることもありました。
 他の人は、窓口の方を支える立場をしっかりと守って欲しいものです。
 
  介護は、誰の為でなく、苦しんでいる高齢者の為に何が必要かを考えることが最も
 大切なことです。
 

  4. 相続に関しての自己決定

  高齢者の集まりで相続のことを話しますと殆どの方が、
 「私は、お金がないので関係ない」と言われます。しかし、相続は僅かなお金でも
 争族となります。よく言われることですが、親の介護をしたから・・・とか
 色々なお世話をしたから、相続は、有利になると思っている方が多くいます。

  現実にはそうはことは運びません。財産形成に関係していないと言うことで
 全く親の介護や看病をしていなくても平等に分けることを主張します。

  母親の介護が始まってより、母が元気な間に民法643条に則り、委任状を
 作成しました。その上に、母のお金に関して金銭出納簿をこと細かく記帳し、
 誰から見られても良いように整理しておきました。
  本当は、成年後見制度を利用すればいいのですが、十分委任契約で母本人を幸せに
 できると考えました。妻と二人で母の日常生活を見ることで、充分に母を幸せにできると
 の考えで、成年後見制度は利用しませんでした。

  元気な間に、被相続人(父母)と相続人相互の話しあいをし、又、
 財産目録の作成も必要でしょう。

 遺言書・成年後見制度(任意後見制度)などの検討をして将来備えることが大切です。
 しっかりと準備することで相続人の苦労や悩みや争いの軽減につながります。


  今から始めましょう。


                     シニア ライフ アドバイザー
                         岡 島 貞 雄



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