ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています     認知症の人と生きがい 

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                “ 認知症の人と生きがい ”

  認知症に苦しんでいる方の生きがいとはどのようなことでしょう。。
 認知症の方に生きがいなどは考えられないと答える人が多数でした。認知症を
 病む方は、望みなどはないのでしょうか。私の感じですが、私たちより以上に
 何かを求めているように思えます。それが、「生きがい」と言えると思います。
  


タイトル  認知症の人の生きがいについて多くの方に質問してみました。

   下記のような答えが返ってきました。皆様はどのように思われるでしょうか。

   認知症について勉強されている方は、「さぁー」と考えてくれました。
  「そんなものある訳ない」「判断ができない人が生きがいなんか考えられない」
  「自分で判断して行動がとれないのに何が生きがいですか」などなど、
  認知症に苦しむ高齢者は生きていないような答えでした。認知症の方は本当に生きがいを
  持っていないのでしょうか。

   私達より、切実により以上の生きがいを持ち望んでいるように思えてなりません。
  認知症の方々も楽しみや悲しみ、喜び、痛みなどなど私達と同じように感じているはずです。
  私たちは、自分でそれらを解決しようとある程度努力ができますが、
  認知症の方はそれが自分でできません。これらについてグループで話し合ってみました。
  
 1)病気や怪我がなく、身体に痛みがないこと

   安心して日常を暮らせることが、一番の生きがいではないでしょうか。
  高齢になると何処かに体の不具合を持っているものです。
  しかし、それらを心配せずに日常を送ることができれば、それが最もの生きがいと
  思います。そして体に痛みが少なく、怪我の心配のない構造物、部屋の配置など、
  本能的に安心できる空間であれば,、最高の生きがいではないでしょうか。

   老人施設では、大変難しいことです。多くの高齢者が生活しています。
  そして一人ひとり違います。病気に負けない、怪我のない、痛みのないことはすべて
  実現はできないと思います。
  しかし、それらを和らげることは可能ではないでしょうか。
  家族や介護職員・ボランティアなどがチームを組み高齢者の日常を見守り、生きがいに
  少しでも近づけてゆきたいものです。

   在宅の場合は、元気な間は自分の思い通りに日常を送ることができますが、
  いつまでも元気ではありません。体に不自由が出て来ることも想定して、普段から、
  親族・近隣・法的な人達等々多くの方とチームを組みチームの方達と計画を策定して
  おく必要があります。
  そのためには元気なうちに自らがボランティアなどを通じて、近隣社会と絆を構築して
  おく必要があると考えます。
     

  2)外の空気に触れること

    施設での生活でも在宅の生活でも、季節の移り変わり、空の色、草木の芽や若葉、
  そよ風、虫の動きや鳴き声など、自然の変化には思いがあると思います。

   外の空気を味わいたい、自然を感じたいなどと多くの思いを持っているのではないで
  しょうか。しかし、自分でそれを実現することができないのです。
  季節の移り変わりやお祭りなどを、楽しみたい気持ちはいっぱい持っています。

   施設の方も家族の方も認知症に苦しむ方のためにそれらを実現させてあげて下さい。
  そのことにより認知症の進行が緩やかになり、介護している方にとっても負担が減少
  するのではないでしょうか。

 
 3)話し相手が欲しい

    認知症で苦しんでいる人も、こころを開くことができる話し相手が欲しいのです。
   老人施設で一人の方と話していますと何処からかの視線を感じます。
   高齢期認知症と言われる人も話し相手が欲しいのではないでしょうか。

    老人施設でよく見かける光景ですが、双方の会話がかみ合っていなくとも楽しそうに
   会話をしています。聴くことを優先し、話かけますと、うれしそうに話し始めます。
   その内容が少々変だと思っても、最後まで聴くことが大切です。
   同じことの繰り返しでも・・・・。それが、できるのは家族でしょうか。
   介護職員も時間が許す限り話の輪に入って下さい。認知症と言われる高齢者もきっと
   生きがいを感じ取ることでしょう。

 )静かな時間が欲しい

   認知症の方も嬉しい時、悲しい時、怒りの時など私達と同じように感じている時間が
  あると思います。静かにしたいこともあることと思います。

   施設で参加したくないイベントもあることでしょう。
  家族と別行動を望むこともあると思います。静かに時間を過ごしたい時もあると思います。
  できるだけ本人の希望を叶えて欲しいものです。
  自分で自分を表現できない、意思表示ができな方も同じです。
  本人が主役として、周りの人々がその方の希望を感じてあげて下さい。

   家族本位、施設の職員本位でなく、あくまでも本人が主役です。
  それらを実行することは大変なことですが、将来きっと自分のためになります。
  「情けは人の為ならず」です。
  
  5) 高齢者との会話

   元気高齢者の方からよく聴く言葉です。
  「私は、子供の世話になりたくない。子供にも話してある」

   少し変です。世話になりたくないのであれば、子供に世話になりたくないなど話す必要は
  ありません。
  また、親子の人格を認め合っている関係を構築できており、信頼関係ができておれば「世話」
  するも、なにも自然体で環境が出来上がっていると思います。

   親子お互いの困りごとが出てきた場合には自然と環境に合わせて状況が出来あがってきます。
  「世話になりたくない」の反対は「世話になりたい」です。
  親子関係の信頼が最も大切です。信頼関係があれば自然と解決することでしょう。
  


                   
シニア ライフ アドバイザー 岡島貞雄
                                              


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