ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています     高齢者施設のうれしい話 

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        うれしい話    “ うれしい話 ”
  これまで多くの特別養護老人ホームを訪問していますと、家族からの話しかけや
 目にした光景などうれしい話に出会う場合があります。嬉しくて嬉しくて、
 私のこころが一日中弾みます。


タイトル   うれしい話

1)勤務時間外のお見舞い

 
  特別養護老人ホームでは、入院することは日常的にみられます。ある日ホームを出て
  帰ろうとしていますと、介護職員の若い方とご一緒することになりました。

   「今からデートですか」「はい、デートです。病院に行きます」との答えがあり、
  よく聴いてみますと入院中の利用者のお見舞いに行くと言うのでした。

   この女性介護職員は、仕事が終わり、施設の誰にも話さず病院へお見舞いに出かける
  ところでした。顔いっぱいの笑顔で病院へ向かっていきました。
   その後、その入院中の利用者の家族と私がお逢いした時の話です。
  「母が入院しています。病院では食事も上手に食べることができなくて困っていましたが、
  職員の若い方が食事のお世話までしてくれて、本当に感謝です」
  と話されてすぐに誰かは判りました。特別養護老人ホームから入院しますとほとんどの方が、
  病気は治りますが、体力が衰えて退院してきます。

   家族「私が食べさせても食べないのに、彼女が介助するとよく食べてくれます」と本当に
  うれしそうでした。うれしい話は他人までこころを和ませてくれます。

2)利用者の食事の状況を詳しく説明してくれる

    利用者の家族の方からの話です。はじめに介護職の方から家族へ以下の話がありました。

  「現在はおかゆ食ですが、最近はお母様の食事が進みません」と家族へ説明と食事について
  の相談があったそうです。そこで家族は次のように話しました。

  「在宅での生活では食事が進まない時には、テストとして普通のご飯にしたところ、食べる
  ようになりました」「栄養を考えて食事補助剤としてふりかけの工夫などしていました」と
  話したそうです。(肉の塊が無いようにし、歯がなくとも抵抗なく食べられるようにしたもの)

   そして早速おかゆ食を止めて、ご飯だけは普通食を実行してくれたそうです。
  また、家族は工夫した肉のふりかけを作り、施設に差し入れて他の利用者の方にも食べ
  させて欲しいと、申し入れたそうです。

    以下、家族の話です。
   ① 介護スタッフが母の食事をよく観察し、家族に相談を持ち掛けてくれたこと
   ② 家族の希望をすぐテストしてくれたこと
   ③ その結果を詳細に報告してくれたこと
   その結果、お母様の食欲が出てきたそうです。

   本当に感謝の気持ちでいっぱいですと話されていました。

3) 入所者の状態をいつも報告してくれる施設

    施設を訪問しますと必ずと言っていいほど利用者の健康状態、生活状態を報告して
   くれる施設もあります。
   大切な家族が生活しているのです。報告してくれるほど安心できることはありません。
   と話している家族に出会いました。

    この施設では家族とのコミュニ―ケーションを心掛けているのでしょう。
   施設と利用者家族の協力で、難しい問題も解決することができるのではないでしょうか。

   家族は。大切なお母様(父)の生活の場である施設を訪問し、常につながりをもつことで
   年老いた方々が素晴らしい日常を送ることができると言うことだと思います。

    介護は、施設に入ったから終わりではありません。むしろ施設に入ってから本当の
   介護が始まります。施設の職員の方々と協力することで幸せな時間と素晴らしい施設が
   出来上がると考えています。

    定期的に介護職員・看護師・家族を交えたカンファレス会議が実施されています。

4)利用者と同じ目線で接してくれる施設

   ユマニチュードが高齢者対応をするために大切と注目を浴びていますが、
  私の知っている特別養護老人ホームでは優しく目線を合わせて語りかけている光景に
  出合います。
  ある一人の高齢者(判断能力は定かでない)に近づいてきた介護職員の女性が
   「Aさんお元気ですか」と声をかけますと、Aさんは何を思ったのか、
    自分が食べているプリンをスプーンのまま、その職員に差し出ました。

  すると、この職員は同じスプーンからプリンをパクッと口にしました。
  他人とか、職員とかでなく、全く家族と同様な感じでとても自然体でした。
  私はびっくりしました。と同時に素晴らしい光景を見せてもらったと思いました。
  ただ、このようなことは求めませんが、自然と出る行動には、この職員の優しさと
  素晴らしさを見せて頂きました。

5) 施設の良し悪しは社会が関心を持つことです

  
家族として訪問し、職員と協力し合いながら、自分の大切な親・夫・妻等が安心して
  ゆっくりとした日常が送れるようにしたいものです。

   いつもの言葉ですが、
  今苦しんでいる 高齢者の一日は、私たちの一ヶ月も半年間にも匹敵するものです。
  時間を大切に、素晴らしい高齢者施設にするためには、家族は当然ですが、
  社会全ての人々が、関心をもち協力し合うことが求められています。

 
   

                  シニア ライフ アドバイザー 岡島貞雄

                                               


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