脚注書類
脚注は行単位でつけることができます。脚注用の書類は、原稿と同じ行に脚注内容を書き込めば、それがディプロマティック版では脚注として、組み版されま
す。したがって、脚注書類の中では改行をダイレクトに使うことはできません。改行は\\\indent もしくは\par
で表します。次行でのインデント(字下げ)は自動的に行われます。次行でインデントが不要な場合には\\を使ってください。タブは\hspace
{15mm}などと長さで表現します。複雑な書式で自在に脚注文書を作るには、LaTeXやTeXに関するかなりの知識が必要です。
éを\'{e}などとTeXの規則にしたがって表記する限り、日本語とフランス語を自由に混用できます。また、マクロも利用できます。TSIPAなどの
フォントを使えば発音記号も表せます。マクロが法は本書で解説されている通りですし、欧文特殊文字やその他の記号の表記法、TSIPAの利用法は、比較的
簡単に身につけることができます。
いずれにせよ、脚注書類を作るには、ある程度本書以外の参考書に目を通さねばならないでしょう。これは、書式が定型化している本文やプログラムの世界に
属する略語のマクロ定義と異なり、一般論で語ることができないからです。どのような脚注が必要になるかは、校訂者により、校訂対象の写本や作品により、大
きく異なってきます。非常に複雑なことをやろうとする場合、詳しい人に尋ねるというのも一つの手です。筆者もお問い合わせにはできる限り、対処しますが、
全てのご要望にお応えすることは到底できません。たとえば、図版を入れたいなどと言われたら、空白をあける方法を教えるので、後は切り張りしてください、
としか、答えられません(TeXで図版を書くことは不可能ではありません)。
脚注内容が欧文フォントのみで書かれている、つまり、和文が混在していない場合には、添付のText_LaTeX.plを利用することがで
きます。アクサン付きの文字や合字などといくつかの記号を、TeXの規則にしたがって自動的に書き換えることができます。表や複雑な引用のない叙述的な脚
注であれば、十分に変換できます。なお、Text_LaTeX.plが正常に機能するよう、次の点は守ってください。まず、\はマクロやLaTeXへの指
示を行うためだけに利用してください。|はあなたが定義したマクロ名の後につけることだけが許されます。ただし、||と二つ重ねた場合、特別扱いになりま
す。この場合は、||がきちんと出力されます。同じ行に複数の注釈が必要な場合に、注釈を仕切るのに利用できます。
Text_LaTeXが変換できるのは、´`¨ˆのついたa, i, u, e, o, A, I, U, E, O、ç, Ç, œ, Œ, æ,
Æ, ÿ, Ÿ, ñ,
Ñの各文字、•·«»°…√≠<>&πøの各記号です。なお、―は、――と二本続けるとmダッシュに変換されます。これは、Macの
ダッシュが若干短くハイフンとみわけがつきにくいため、筆者が習慣的に用いていた表記法です。―だと変換されず文字化けしますので、ご注意ください。なん
と勝手な言い種だと怒られそうですが、LaTeXはハイフン二つでnダッシュ、ハイフン三つでmダッシュを出力できますので、筆者の身勝手もそれほどご迷
惑にはならないでしょう。
以下はJeditで作った脚注書類の例です(赤色の三角形はスペース、曲がった矢印の入った赤色の四角形は改行を意味します)。原稿の行と脚注の行は一
対一対応しています。脚注がない行には改行のみが入っています。また、Text_LaTeX.plの利用を前提としているため、アクサン付きの文字やギュ
メなどが通常の文字で表されています。
Text_LaTeX.plプログラム
Text_LaTeX.plを起動すると、次の文章がウィンドウに出ます。
Bonjour, c'est Text_TeX.pl produit par
Ogurisu Hitoshi
professeur adjoint
à l'université de Wakayama
(Japon)
Saisissez le nom du fichier que vous souhaitez
manipuler avec Text_TeX. Appuyez sur la touche
return ou enter, pour achever la saisie:
notes(brut)
上記では、処理対象の書類名を入力します(拡張子をつけている場合には拡張子も含めてください)。青字はユーザーの入力です。Text_LaTeXと同
じフォルダの中に原稿がある限り、書類名だけの入力で構いません。別のフォルダにある場合には絶対パスを入力しなければなりません。書類名を入力し
return(enter)キーを押すと、次の質問が出ます。
Vous souhaitez de conserver les nom des macros
ou d'executer les macros utilisés dans vos notes ?
[1 et return (enter)] exercer les macros
[return (enter)] conserver les noms de macros comme tels
これは、あなたが定義したマクロを実行するかどうかを尋ねています。\per|をたとえば、横棒の入ったpで出力するかどうかが、問題となっているので
す。1を入力しreturn (enter)キーを押せば、マクロが実行され、脚注内でも、略語を用いることができます。一方、return
(enter)だけを押すと、あなたが定義したマクロだけは、無効化され、マクロ名がイタリックで示されるようになります。em perere
などとなります。ただし、この機能を利用するためには、macrosと命名されたマクロ定義ファイルがText_LaTeXと同じフォルダの中に入ってい
る必要があります。通常ディプロマティック版では、脚注の中でも、マクロが実行され、略語が出力された方が便利でしょう。なのに、returnキーだけ押
すと、マクロ名がイタリックになる仕様になっているのは、ご想像の通り、このプログラムはテキスト・クリティック版でも利用できるようなっているためで
す。こちらの場合、通常、略語をそのまま利用しない方がよいわけです。
変換作業が終了すると、
La manipulation est achevée.
と表示されます。Text_LaTeX.plと同じフォルダ内に、元の書類名に(converted)を付けた名前の書類が新たに生成されます。これを
notesと改名し、他の必要な書類とともにEdit_Dip_LaTex.plと同じフォルダに入れ、Edit_Dip_LaTex.plを実行すれ
ば、本文に脚注がつきます。
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