略語マクロの作りかた
マクロの設定法
LaTeXマクロは次のようにして設定します
\defマクロ名{定義}
マクロの設定に関しては次の点にご注意ください。
- マクロ名は、略語の解釈に、\(欧文フォントではバックスラッシュになります)を付けたものになります。たとえば、perを表
す略語のマクロの名前は、\perになります。テキスト中でマクロを使用する際には、\per|というふうに、|を付けますが、定義では絶対に|をつけて
はいけません。
- マクロ名に使用できるのは、大文字小文字のアルファベットのみです。マクロ名に番号を付ける場合には必ず、名前の最後に数字を入れてくださ
い。\par1、\par2といった具合です。
- LaTeXは大文字と小文字を厳密に区別します。parを表す略語とParを表す略語は、別々に定義しなければなりません。定義内容そのもの
は同一でも構いません。
定義は、LaTeXやTeXの知識があれば、自分で書くこともできます。そうでない場合には、次節の上位マクロを利用してください。上位マクロは、筆者
が提供するプログラムで原稿を処理する限りにおいて利用できる、マクロ作成のためのマクロです。上位マクロの定義や動作については、添付の書類でご確認い
ただけます。
上位マクロ――引数を二つとるもの
引数とは、マクロを利用する際に、ユーザーが自由に指定できる文字のことです。引数が二つあるマクロでは、二つの文字を組み合わせた略語表記を作成する
ことができます。第一の引数が基本文字、第二の引数が添え字になります。引数には、MacintoshのoptionキーやWindowsのaltキーを
押さずに入力できる文字(Low
Ascii文字)なら、多くの場合、そのまま利用できますが、~(チルダ)のように簡単には利用できないものもあります。こうした文字については後で説明
します。
最初の{}の間に入った文字の上に、二つ目の{}に入った文字を載せます。多くの場合、最初の{}内に大文字を入れると、見苦しい仕上がりになります。
大文字に対しては、\dextraを利用してください。
最初の{}の間に入った文字の下に、二つ目の{}に入った文字を置きます。
最初の{}内の文字の左下に、二つ目の{}内の文字を置きます。
最初の{}内の文字の右肩に、二つ目の{}内の文字を置きます。
最初の{}内を貫通する形で、二つ目の{}内の文字を置きます。文字の種類により貫通位置が調整されます(pとbの貫通位置が異なることに注意)。な
お、{}内の-の数は自分で調整しなければなりません。下のように、細身の文字に対しては、---では、横棒が長すぎます。--を使うか、/を使うと良い
でしょう。
上位マクロ――引数を一つとるもの
以下のマクロも、二つの文字の組み合わせで、略語を表記しますが、ユーザーが指定できるのは、基本文字だけです。添え字の方は、あらかじめ設定されてい
ます。
母音字を引数の上に、のせる働きをします。
チルダは引数として簡単に利用できません。上記は\supra, \infra, \transの第二引数を、チルダに固定したものです。
このマクロは、数字を下げて出力するためのものです。数字に似た記号が、略語として使われている場合、数字を、通常の文字のように見せかけて、利用する
ことができます。
上位マクロ――引数をとらないもの
特定の文字を、特定のやり方で、出力するためのマクロです。これらのマクロを使う場合、マクロ名の後にスペースが必要です(}の前では省略できます)。
マクロ名の後のコが90度回転したような記号はスペースを意味しています。
titulusanteは直前の文字の上にチルダをのせる働きを持ちます。これにより、たとえば、Fra\n|ceとし、鼻母音を表すチルダをaの上に
つけるように、マクロ設定することができます。\def\n{\titulusante}が、そうしたマクロの定義となります。buculaは数字の9に
よく似た略語を出力するのに使います。写本内では、この略語は、語尾の-usなどを表すときには肩付きで、con-などの意味の場合には、通常の文字の大
きさで書かれることが多いようです。buculaminiは肩付きの9を、buculamajは字下げした9を出力します。
引数として利用する場合、特殊な扱いを要する文字
LaTeX原稿は、LowAscii文字で、全てを表記するのが基本です(日本語の処理は例外です)。すなわち、optionキーやaltキーを押さな
いで入力できる文字で、本文と出力法の両方を指定しなければなりません。そのため、LowAscii文字のうちのいくつかは、出力法を指定するのに用いら
れ、通常の方法では、本文内で利用することができません。$#&%_^~{}\が、そうした文字の全てです。これらの文字を引数として使う場合に
も、本文の中で利用する場合と同様の手続きが必要です。
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