写本画像を読む
画像のロック
電子画像を通して写本を読む場合、オリジナルの改変には、十分に注意しなければなりません。Photoshopなどの画像アプリケーションの多くは、画
像編集機能を持ちます。間違って、変なところに点を打ってしまったりしたら大変です。その小さな点が、とんでもない読み間違いを引き起こしかねません。で
すから、閲覧用の画像は、何らかの形で編集不能にしておく必要があります。
方法は筆者の思いつく限り、画像を編集不能にする方法は二つしかありません。
- 書類をOSの機能でロックしてしまう:MacOSで書類をロックするには、Finder上で、ロックしたい書類を選択した後、
ファイルメニューの「情報を見る」を選び、情報ウィンドウを表示します。情報ウィンドウの下の方に「ロック」と書かれたチェックボックスがありますから、
これをチェックします(FileManagerには書類を一括してロックする機能もあります)。
- 書類をCD-Romに焼いてしまう:メディアがリライタブルでなければ、いやでも書き換え不能になります。
この二つの方法はそれぞれ欠点があります。まず、CD-Romは基本的にハードディスクよりアクセス速度が遅いため、書類を開くのに時間がかかるように
なります。一方、OSによる書類のロックは、書類を開くたびに、「書類...はロックされているので何の変更もできません。それでも開きますか?」とい
う、大きなお世話としか思えない警告文が出ます。つまり、どちらの方法をとっても、快適に書類を開くことができないのです。
けれども、写本画像を頻繁に開けたり閉じたりする必要はあまりありません。どちらの方法でも、まあまあ我慢はできますので、あきらめてください。いっそ
う、画像編集ができない、閲覧専用ソフトを使えばよさそうなものですが、これはこれで不便です。コントラストも輝度も調整できないとなると、電子画像のメ
リットの一つが完全に失われます。
写本を読む――画像の調整
最初にお約束したとおり、写本の読み方そのものは説明しません。これについては、筆者のような小物の意見を聞くのは時間の無駄というものです。ただ、電
子画像の特性を十分に生かせるように、電子画像で次のことができる、ということだけは知っておいてください。
第一に、電子画像は拡大ができます。虫眼鏡でディスプレイをのぞく、などということのないように、画像の拡大縮小の方法はマスターしましょう。
Photoshop
Elementsの場合、コマンドキーと+キーを同時に押すと、拡大が行われます。縮小にはコマンドキーと-キーを同時に押します(他の多くの画像ソフト
にも同じことが当てはまります)。Photoshop
Elementsには、虫眼鏡もついています。ツールボックスのカラーボックスの上です。これを選んで、画像をクリックすれば、位置を指定して拡大を行う
ことができます。縮小したいときには、オプションを押しながら、クリックします。
第二に、電子画像はコントラストと輝度の調節ができます。下の画像で、Sans gant da-
maige ne sera dep-tis 、つまり、Sans grant dammaige ne sera
departisと確信をもって読むのはかなり困難です。
一方、輝度とコントラストを調整した下の画像では、上の画像で読みにくかった、da-
maigeのaiとeが、かなりはっきりと読みとれます。
実は、写本のこの部分はインクに覆われており、プリンタで印刷などを行った場合、全く読めません。おそらく印画紙に焼いても同じでしょう。読めるように
焼くには職人技が必要になります。しかし、電子画像でコントラストをつけると、見事に文字が読めるようになるのです。Photoshop
Elementsでコントラストと輝度(明るさ)を調整するには、「画質調整」メニューの「明るさ・コントラスト」のサブメニュー「明るさ・コントラス
ト」を使います。
実は、Photoshop
Elementsの機能は多様で、様々な機能を使うことで、さらに画像を細かく検討することも可能です。文字の輪郭をはっきりとさせたり、文字を浮かび上
がらせたりといったこともできます。これ以上の詳しいことは、Photoshopのマニュアルや解説本をご参照ください。
なお、上の写本画像はWeb用に画質が落としてあります。ディスプレイ上では、それとなく違いがわかるでしょうが、印字した場合、どちらの画像も似たり
寄ったりということになりますので、ご注意ください。
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