- 登場人物紹介 - ネタバレあります。

タザリア王国

ジグリット・バルディフ Ziglit.BALDIF
タザリアの皇子ジューヌにそっくりな貌を持つ。
そのため影武者として育てられることとなる。
王宮に入ってから十四歳になるまで、一切口を利かなくなるが、言葉が使えなくとも、それを補っても余りあるほどの才覚の持ち主。 十四歳のとき、ジューヌと入れ替わる。
皇女リネアに長年にわたって虐められたことから、彼女にだけは萎縮してしまう欠点を持つ。
他人のことには鋭いが、自分のことには疎い。自分のことに対してはかなり我慢強い。


ジューヌ・タザリア Jeune.TAZALIA
タザリア王家の皇子。
双子と見まがうばかりにジグとそっくりな顔をしている。
気弱で姉のリネアの言いなり。
リネアの言動のせいで、ジグリットに深い恐れを抱いている。
内向的で社会性がない。神経過敏で、常に怯えている状態。


リネア・タザリア Linea.TAZALIA
ジューヌの姉。タザリアの皇女。
弟にそっくりなジグを最初は疎ましく思っていた。
やがてリネアは精神的にも肉体的にもジグを追い詰めるが、彼女自身その気持ちを整理できない。
嫉妬深く、歪んだ性格の持ち主だが、生まれながらにして人の上に立つ知性と風格を兼ね備えている。
錆色の長い髪を一つにくくり上げ、額を出している。
結構長身でジグリットと同じくらい。ゴージャスな雰囲気の美人。
王家の紋章が入った金板の耳飾りをつけている。


クレイトス・タザリア Kratos.TAZALIA
タザリアの王。
ジグを気に入り、ジューヌの影武者とするために育てることにする。
快活で優しい性格の持ち主。
ジグにもジューヌと同じだけの教育を受けさせ、息子のように接する。
生真面目で誠実な男。


エスナ・タザリア
タザリアの王妃。
あまりにジューヌにそっくりなジグの存在を気味悪く思っている。
ベトゥラ連邦共和国のシェイド公国の三番目の皇女だった。
そのため、タザリアとベトゥラ連邦共和国(特にシェイド)とは、友好関係にある。
西北の極寒の国で生まれた王妃は、タザリアの湿気を含んだ暑い蛍藍月(けいらんづき)が耐え難く、その時期はぐったりしている。


タスティン・タザリア
タザリア王の第二夫人の子。タザリア王家の庶子。
色黒で筋肉質、ジューヌとは正反対の体格を持つ。
短気なのが玉に瑕。
リネアの仕打ちがあまりに酷いので、見かけたときにはジグを助けてくれる。
ジグリットにとっては、兄的存在。
その外見とは裏腹に、心の奥では常に王家に対して劣等感を抱いている。
父王に似て、真面目で誠実。ただしリネアを嫌っている。


道化師(カリカチュア)
王宮に潜む老婆。
狂人のように見えるが、ときに正常だったりもする。
ふいに現れて、ジグを翻弄する。
助言を与えたり、騙したりしながら、彼をどこかへ導こうとしている。
足元を引き摺るほど長い破れた長衣を着て、頭巾を被っている。頭巾からは長い鼻だけが見えている。たまに頭巾の影から、澄んだ翠の瞳が見える。昔は美人だったと思われる。


リネアの侍女 アウラ
リネアがテマジの次に自分付きの侍女にした少女。
底意地が悪く、リネアに追従してジグリットを蔑んでいる。
中流貴族の出で、リネア付きになれたことを誇りに思っている。
性格は陰険そのもの 告げ口、悪口、噂話が好き。
外見は暗緑色の髪と瞳の少女。


リネアの侍女 テマジ
ジグリットと仲良くなるも、のちに解雇される。
テマジは没落貴族の少女で、家族の期待を受けて、王家に働きにきていた。
優しくて働きもの。
鳶色の髪と瞳の少女。左右に編んだおさげ髪。そばかすがある。


ナターシ Natashi
ジグリットより二つ下のエスタークでのかっぱらい仲間。
エスタークが火事になり、仲間が死んだのをジグリットのせいだと誤解して、彼を憎み続ける。
少女神アンブロシアーナとは友達。


フツ・エバン Huttu.EVAN
部下の信頼も篤い王宮の近衛隊長。
近衛隊は全員、暗緑色の制服を着用だが、フツだけだらしない着こなし。
口癖は「メンドくせぇ」
なんでも器用にこなすが、大抵は人まかせ。「メンドくせぇ」から。
炎帝騎士団とは犬猿の仲。
観察力が鋭く、ジグの正体に気づいている。


教育係 マネスラー
年齢は30後半。
陰険な男で、事あるごとにジグリットと二人の皇女皇子とを区別し、ジグリットに難癖ばかりつける。
育ちによって人間は区別されるものと信じている。
ウァッリス公国出身で、上流階級(アルコンテス)出身。


炎帝騎士団

ファン・ダルタ Van.DARTA
騎士の中でも栄誉ある称号の一つ、冬将の名を持つ。
敵国では、通称“タザリアの黒き狼”と呼ばれ恐れられている。
エスタークでジグリットと出会ったときは、冷淡だったが、徐々に仲間意識を持つようになる。
誠実で裏のない男。ただし信頼を寄せ、認めた者だけであり、その他には結構冷淡。
チームプレイが苦手で、戦闘においては一匹狼を好む。
外見は黒髪に黒い瞳。長身でガタイは良いが細身に見える。
正装では、黒の革の上下衣に、黒の鎖帷子、それに黒貂の外衣を羽織っているので、全身真っ黒になる。


騎士長 グーヴァー
炎帝騎士団の騎士団長。
過去に何度も戦でその名を轟かせた“嵐世の騎士”の称号を持つ名騎士。
馬上槍攻撃を得意とする騎馬戦士。タザリア王の信頼も篤い。
戦時でないときには、皇子の武術指南師として王宮にいる。
年齢は50を超えている。


ドリスティ・ディッシュ Doristy.DISH
炎帝騎士団の騎士。長弓の使い手。
ただし外見は騎士らしくなく、すらりとした美形の男。
これ以上筋肉がつくのを非常に気にしている。
外見はスカートのようにも見える長い白の外套に、白い手袋。
肩より長い金髪を頭頂部で一つにくくっている。
中流貴族の出。


アルケナシュ公国

アンブロシアーナ Ambrosiana
バスカニオン教の少女神(コレツェオス)
ジグリットが思わず声を出してしまったほどの美少女。
ふんわりした優しい性格。普段はおっとりしているが、時々鋭いことを言う。
元来はおてんばだが、司祭のお小言を逃れるため、大人しく見せている。木登りが得意。
長い金髪で、小柄。少女神である証の椿の五弁花の指輪をつけている。
五歳まではレイモーン王国の草原に暮らす遊牧民の娘だった。


聖黎人ユールカ
バスカニオン教の中でも人間として、尤も主に近いとされる生きた聖人。 少女神ごとに入れ替わる。アンブロシアーナが少女神に選ばれたとき、聖黎人となった。 とても優しい老人だが、大司祭の中には彼に対する反対勢力もある。
軋轢の中で戦っている強い老人である。
穏健派で、教会の力が強くなりすぎることを懸念している。
普段は白い長衣に椿の木から作られた杖を持っている。
(椿はバスカニオン教のシンボル)


ワルド大司祭
淡黄色の長衣を着たバスカニオン教の大司祭。
アンブロシアーナの教育係。
白髭の老人。頭が堅い。


メイスター
大聖堂で働く薬師(くすし)。
かなり気のいい老人である。
ナターシの火傷の薬を作ってくれる。


ゲルシュタイン帝国

アリッキーノ皇子
“皆殺しの蛇皇子”とよばれる、ゲルシュタイン王の息子。 次代のゲルシュタイン帝国の王位継承者。
血を好む残忍な性格。
毒蛇を飼っている。
ウィンガロス三世の嫡男。六番目の皇子。
彼らゲルシュタイン家は鎖蛇の紋章を掲げる。
外見は白金のような髪に、薄墨色の切れ長の目。肌も真っ白。
見るからに悪どい顔つき。


ノナ皇女
ゲルシュタイン帝国の皇女。
唯一、兄に殺されなかった。
アリッキーノを兄として慕っている。
兄と同じ白金の髪に、鮮やかな赤い目を持つ。