2007年12月上旬

2007-12-01「エレクトリック・ラブ・ストーリー」
相変わらず休前日は夜更かし。
相変わらず地球も回っているようだ。
夜が明ければ朝がくる。
午前中は保険屋さんと駅前の喫茶店で保険の見直し。
ここんとこボーナス時期になると見直してるな。
ま、生活ってやつはなかなかキビシーよ。
でこの保険屋さんってのが、かっての上司。
いまはどちらも転職して立場逆転。
そういえば昔、いっしょに九州営業して回ったっけ。
鉄道好きの人で、商談までの空き時間にローカル線に乗りたいってんで付き合ったことがあったなぁ。
結構な立場の人だったが、なんつーのか同族会社にありがちなゴタゴタの中、突然辞められたんだよね。
久々に会って「××くんも△△くんも辞めたらしいね」「はい、○○さんも☆☆さんも辞めたみたいですよ」なんて話。
今やサラリーマンぐらい不安定なものはないよ。
午後はトレーニングルームで一汗。
いろんなもんが溜まってくる。
頭の中や胸の奥。
ぐちゃぐちゃにこんがらがって手足に絡まってくる。
それを全部Delete。
帰りにTSUTAYAに寄ると今日はレンタル半額らしい。
目についたDVDを一本借りる。
ケラリーノ・サンドロビッチ監督「1980」。
で観る。
80年、トーキョーのポップカルチャーをふんだんに見せながら、その実、普遍的でどうしようもない人間の業=人を好きになることを描いた作品。
「人を好きになる」ってめんどくさいね。
よく「恋はいくつになってもしていたいですね」なんて言ってるヤツがいるが、そうかぁ?はっきり言って「恋」なんて苦しいだけだろ。
どうしようもない感情に振り回されてヘトヘトになるだけ。
もう「人を好きになる回路」(「恋する回路」ってなんかテクノ歌謡のタイトルみたい)を取り除いて欲しいぐらいだ。
なんつってね。

2007-12-02「すきまから」
夜中、パンを焼く。
っても粉調合するだけの自動ベーカリーで。
妻の実家で眠ってたのを貰ってきたので。
強力粉にスキムミルク、砂糖に塩にバター、水を加えてちょちょっと混ぜてボタン押して終了。
4時間待てば出来上がり。
おぉちゃんと焼きあがった。
部屋に香ばしい匂いが溢れる。
で朝食はパン。
ま、なんてことない味だけど。
ぶらぶろと散歩がてら床屋へ。
オーダーは「テキトーに短く…」。
サラリーマン辞めたら金髪にするんだ。
その前に禿げ上がってきそうな勢いだが…。
娘は友達と学校のバザーへ遊びに出かけた。
最近、めっきり遊んでもらえなくて、寂しいぞぉおぃ(「時効警察」のふせえりの口調で)。
ま、10歳ともなれば当たり前だけどね。
昔、日曜の親父といえばいつもゴロゴロ、ゴルフ番組とか見てたっけ。
今、まさにそんな感じ。
ただテレビに映るのはゴルフじゃなくて「アメトーーク」「ニッポンの教養」「やりすぎコージー」「タモリ倶楽部」…そんなのばっかだけど。

2007-12-03「戦争に反対する唯一の手段は」
雨の月曜。
冷たい雨だ。
一日みっちり仕事して今日も終わり。さようなら。
そうだ、パルコで中古盤市やってたから覗く。
収穫無し。それにしても中古市場でお馴染みのCDってあるな。
「永井真理子」と「ピンクサファイア」は絶対ある。
どこいってもある。
もーいいっちゅーぐらいある。
それと「やまだかってないCD」ね。
もはや誰も買ってないCDだよ。
今日は久々に娘と風呂。
「ドラゴンボール」の主題歌をお題に二人してバカバカしい替え歌を考える。
ここにはとても書けない完全なる下ネタに終始。
娘に「父ちゃん、アホやなぁ」と褒められる。
娘には「くだらないことこそ、大切にしろ!」と常々教育している。

2007-12-04「砂漠に咲いた花」
風が頬を刺すようになってきたな。
今日はなんだか、細かい仕事が次から次へ。
一瞬、耳から煙が出そうになった。
でもなんつーのかな。
これって自分にとって大切な“仕事”なんかな。
食うための仕事ではあるけど…。
マフラーを巻いて夜道を歩く。
「こんなはずじゃなかった」と呟いてみても、全ては遅すぎる。
ここまで来れただけで十分と思わなきゃならないのかな。
やるせなく果てしなく続く道の途中。
冷たい風が頬を刺す。
無力の俺を支えてるのは一体なんだ。
そいつが一番、大切なもんだろう。
いつか恩返しできたらいいな。

2007-12-05「ベガ」
冬の一日。
ぐるぐると今日も気持ちは空回っていく。
踏みつけられて粉々になった落ち葉。
どっかの宗教団体が建ててる趣味の悪い集会所。
腹の突き出たおっさんを神様と崇められるほど、幸せでもなければ不幸でもない。
今日聴いてたのはキセル「タワー」。
冬の音楽。
ゆっくりと浮遊する音がやけに心地いい。
最近のキセルのいい仕事。
[くちなしの丘/原田知世]
恐るべしクオリティだなぁ、原田知世。
20年以上ファンだけど、衰えないねぇ。
きゅんとくるよ。
彼女が教祖なら入信する。

2007-12-06「世界で一番退屈な日」
なんだかなーと叫びたくなるような一日。
手におえないマッチョな思想、ヤダネったらヤダネ。
とりあえず能書きはいいからちゃんと働こうぜ!なんてな。
ま、どーでもいいけどおもんないなー。
ストレスの海で溺れそうだぜ。
あっ今日はもう何も書ける気がしない。
このままフェードアウト

2007-12-07「星空のハートエイク」
金曜。
今日もなんてことない一日。
さみーなぁと肩をすぼませ仕事。
室内なのにさみーよ。
…何もかも…さみーよぉぉぉ。
荒んだ心を癒すべく、今日はPSY・S「Different View」。
85年のファースト。
とにかくPSY・Sのこのファーストとセカンドは無条件に愛しているし、この2枚も僕を愛してくれていると思う。
新しくて懐かしい音がする。
初めて聴いた時も今も同じように。「From The Planet With Love」のサンプリングされた声と生の歌声が重なるコーラス。
年とると涙もろくなっていけねーや。
ラスト曲「私は流行、あなたは世間」の最後のピアノの響き。
放課後の誰もいない音楽室の音がする。
たまらない郷愁に襲われる。
ついつい84〜86年に逃げ込んじゃうのが僕の悪い癖だ。
現実逃避。
でも家に帰り着く前の数分だけ弱音を吐きたいこともある。
こうして風に吹かれて、音に包まれて、ひたすら歩いて、どうにかこうにかやっている。
中野裕之が作ったこの「Teenage」のPV。未だに一番好きなPVなのである。

2007-12-08「幻想列車」
9時起床。
休前日の夜更かし、休日の寝坊は止めようと「ほぼ日」の睡眠論読んで思ったのだが、なかなかそうはいかないな。
で朝からHDDチェック「アメトーーク」(世界のナベアツ、ここにきて出没率高まってるなぁ。来年マジでくるかも)「リンカーン」「タモリ倶楽部」など。
娘は「ハイスクール奇面組」を再読中。
もう大笑いしながら読んでる。
漫画好きの娘だが、「『奇面組』が一番好き!」なんだと。
20数年の時を超え、父から娘に受け継がれる「奇面組」であった。
で午後、大阪へ。
まずはタワーレコード難波店。
直枝政広インストアライブに参戦。
会場に着くと既につかさん、めんちかつさんが。
なぜかステージでギターの調整してるのはかきのきさんという関西地区カネファンを代表する面々。
徐々にステージ前に人が集まりだす。
がステージ開始までにさくっとCINEMA「CINEMA RETURNS」、原田知世「Music & Me」購入しとく。
大阪のタワーは品揃えいいね。
でいよいよ直枝さん登場。
超至近距離でのライブ。
いきなり「やるせなく果てしなく」。
イントロの時点でのけぞっちゃった。
なんたる濃厚な演奏!
続く「センチメンタル」(!)でもはや倒れそうになった。
大好きな曲2連発。
弾き語りバージョンの「センチメンタル」は絶品。
まさに宇宙フォーク。
もうこれだけでもお腹いっぱい胸いっぱいってもんだ。
さらに著書「宇宙の柳、たましいの下着」特典CDからのナンバー「オートバイ」「摩天楼に雪が降る」が続く。
スペイシーでドラッギー。
弾き語りを超えてる、超・弾き語りだな。
わずか4曲ながらこの情報量。
魂削る演奏。
明日のソロライブ「月世界ナオエ」いやが上にも期待が高まる。
っつーか聴くほうも気合入れてかなきゃな。
続いては小移動してジュンク堂難波店での「宇宙の柳、たましいの下着」発売記念、直枝政広トークショー。
トークのお相手は安田謙一氏。
様々な音源を聴きつつ、「宇宙の柳〜」にまつわる音楽話。
いや、実に興味深い話が聞けた。
リスナー歴40年、直枝さんの音楽に対する深い愛が滲み出てたな。
個人的にはピチカートファイヴに触れた部分に反応。
ちょうど昨日カーネーション「天国と地獄」とピチカート「女性上位時代」は表裏一体というか核の部分が同じだなぁなんて考えてたとこだったので、あまりにぴったり、そのまんまな話だったので驚いた。
ヒップホップが一番おもしろかった時代。
小西さんが「バンド幻想」を完全に捨て去ることで突き抜けていったのに対し、あくまでバンドにこだわって回答を出していった直枝さん。
「小西君とはしょっちゅうレコード屋で合ってた」なんていい話だな(ふと「直枝政広 sings 小西康陽」なんてアルバムを妄想する。小西さんのシンガーソングライタータイプの曲、例えば「子供たちの子供たちの子供たちへ」なんて直枝さんに歌ってほしい。)
あとヴァン・ダイク・パークス「JUMP」を巡って「〜あれは誰も真似できなかった。…いや、唯一“Shi-Shonen”がやったんだ。福原まりさんがいたから出来たんだろうけど〜」ってとこにも反応。
これまた昨日夜更かしして観てたのは、福原まりさんのブログにUPされてるライブ映像だし、今日ここに来る時i-podから流れてたのはShi-Shonenだし。
でたっぷり一時間のトークの後はサイン会。
カーネーションを聞き始めて20年。
ほんのちょっとだが、初めて直枝さんと言葉を交わす。
実は数年前ニアミスしたことがある。
勤めてる局に直枝さんがゲストに来たのだ。
それも僕がカーネーション最高っすよ!とうるさく言ってるのを聞いてディレクターさんが入れてくれたのだ。
が、当日僕はどうしても外せないイベントがあって会えなかった。
「YOUNG WISE MEN」のアナログをディレクターさんに託しサインをお願いした。
でそんな話をすると直枝さんは「あぁ、あの時の!イベントでいなかったんだよね。」と覚えていてくれてたのだ。
あの時会えなかったのがやっと会えた。
なんか凄い力が湧いてきた。
今からスタートだって気分。
サインに名前を入れてもらう時、あえて「popholic」って名前にしてもらう。
なんつーか決意表明みたいなもんだ。
でさらに今日から大阪で上映が始まるカーネーションの映画「ROCK LOVE」レイトショーに流れるつかさんたちと別れめんちかつさんと音楽話しながら帰宅。
映画は年明けの京都上映までお預け。
ま、とにかく明日は「月世界ナオエ」さらに明後日は「政風会」だもんね。

2007-12-09「ROCK LOVE」
そうです。
ついにこの日がやってきました直枝政広ソロコンサート「月世界ナオエ」。
いや、もう、なんつーか、言葉にならんですよ、実際。
素晴らしい月世界旅行が出来た。
とりあえず詳しくは後日としますが、今日の「Angel」はロック史に残る名演だった!
まずは言っておきたい。

2007-12-10「同じ道」
そんな訳で直枝さん3days、3日目は政風会@シャングリラ。
昨日も凄かったが、今日はもうぶっちぎった!
生涯のベストライブ!と言っても過言ではないのだ。
もう「見晴らし台から」の時点で涙腺緩んだね。
なんつーかな20年前、16歳だった俺が胸の奥んとこで激しく反応した。
とりあえず昨日のも含めて明日以降書きます。

2007-12-11「Buffalo」
昨日の政風会の余韻も覚めやらずというか覚ましたくない。
そんな雨の一日。
ではまず9日の「月世界ナオエ」から行きましょうか。
三宮まで出るのは久しぶりだな。
ルミナリエと重なって街は大賑わい。
いかがわしい歓楽街を抜け、昭和の匂いがする通りに面した、一際目立つ看板のビルにたどり着く。
今日の会場は「月世界」。
直枝さんのソロライブ会場としては出来すぎだな。
果たして客は集まるのか?なんて心配は無駄だったようだ。
開場を前に既に長い列が出来てる。
「関西でも(ソロライブ)やってくれよぉおい」とは長らく西日本各地の直枝ファンの合言葉だったわけだが、ついに来たんだねこの日が。
皆がみな、餌を目の前にした野良犬みたいな目してる。
そして開場。
月世界は元々キャバレーだった場所。
ゴージャスなシャンデリアの下に半円形のステージ。
それを取り囲むようにソファが並んでいる。
フカフカのソファに腰をおろす。
異空間。
実にいい感じ。
いや、このソファなら何時間でも観てられるな。
拾得のイスとは大違い(いや、あれはあれで嫌いじゃないけど)。
まずはナオエ君グッズを買いこんで、アルコール飲んで直枝さんの登場を待つ。
客電がすっと消え、最初の一音がなる瞬間が好きだ。
ジェットコースターが今まさに滑り落ちようとする瞬間みたいな気持ち。
一曲目は「幻想列車」。
あぁ、これしかないと思ってた。
前日8日の日記のタイトルに僕は「幻想列車」とつけた。
長い音楽の旅。
直枝さんと行く月世界旅行。
まずは幻想列車に飛び乗るのが正解。
少し懐かしい曲、新しい曲、バンドの曲、ソロの曲、政風会の曲…(ま、セットリストは他で見てくださいね)。
直枝さんの曲は、僕にとって人生のサウンドトラックだからな。
耳から入ってきた一曲、一曲が頭ん中、指の先、胸の奥、いろんなとこを揺さぶって日々の泡を浮かび上がらせる。
激しくかき鳴らされるギター、甘く優しく響くギター、繊細に宇宙を紡ぐギター…一本のギターが様々な表情を見せ月世界を包む。
そして何もかもをさらけ出すような唄。
なんだよ。
たまんねーな。
回るミラーボールの下で歌われた「ハリウッド・スキャンダル」(郷ひろみのカヴァー)ですら、たまらなく色っぽくてなんだか切ない直枝節だ。
僕の/何か一つを/信じてほしい…「The End of Summer」で一部終了。
いやいや既にお腹一杯ですよ。
でもまだ入るぜ。
2部のスタートはピアノ(!)で。
少したどたどしいピアノが逆にグッとくる「Sweet Baby」。
くぅ胸に去来する俺のSweet Babyたち…なんつって。
これ、モテる奴には絶対書けないラヴソングだと思う。
そして続く「ホリディ」(!)。
これには驚いたな。
苛立ちと憂鬱とボンクラに塗りつぶされた夏の記憶。
笑えて泣ける直枝「政太郎」が書いた名曲だ。
そしてまたギターを手に。
ここから先はもう好きな曲、なんて簡単に片付けられない曲が続く。
ファーストからずっとリアルタイムで聴いてんだ。
くそ憂鬱な部屋の隅で、孤独に押しつぶされそうな夜の地下道で、笑っちゃうぐらい切ない月の下で…。
客観的になんかなれる訳ない。
だから今もずっと聴き続けてる。
「宇宙の柳、たましいの下着」。
それがこれ。
本編ラスト「Angel」。
最高の一曲。
CDでもライブでも何回も聴いたけど、今夜の演奏は格別。
ロック史上に残る名演。
これ以上ないほどに剥き出し。
俺、多分死ぬ時この演奏を思い出す。
アンコール、ラストは「Buffalo」。
そうだな、まだ旅は終わんねーな。
月世界から帰ってきた先にもずっと続いてやがる。
幻想列車から降りてもBuffaloみたいに歩くしかないね。
今までよりずっと辛い道のりだとしても。
でもなんか大丈夫だって思ってる。
ほら、やっぱり全然ライブレポになってない。
結局自分のことしか書いてないや。
でもこれが僕の聴き方なんだな。
でこうして恥ずかしい言葉でさらけ出す。
自分が出来る唯一の方法だから。
音楽に感謝してる。
本気で。
で明日は政風会編です。
これまた凄かったんだから!

2007-12-12「残月」
さて早速ですが一昨日の話から…
仕事を半分で切り上げて大阪へ。
インディアンカレーで腹ごしらえして少しブラブラ。
で目指す先は梅田シャングリラ。
そう政風会のライブだ。
まさかこんな日が来るなんてね。
前日の月世界同様、ここも開場を前に集まる人々からはなんともいえない熱気が溢れてる。
一体どんなことが起こるんだろうといった期待。
なんせ20年ぶり、まさかの再結成。
アルバムが出たこと自体がミラクル。
そして開場。最前列を陣取るは知る人ぞ知る西村会の面々(笑)。
それにしてもステージが近い。
ここに置かれた2本のギターが、どんな音を奏でるんだろうとビール片手にワクワクしながら開演を待つ。
さぁ客電が消えた。
ステージには二人の男。
果たして一曲目は-。
武骨なギターがポツリポツリと語りだす。
85年に録音された未発表曲、07年のアルバムで世に出た「霧笛」だ。
22年という時間がメビウスの輪のごとく、ぐるっと円を作って繋がる。
一曲が終わり、次にギターが奏でた旋律を聴いた瞬間、胸が詰まった。
片面がカーネーション、片面が政風会というレコード「Duck Boat」は86年2月に発表された。
僕が聴いたのは少し後、多分87年の頭だ。
85年10月のムーンライダーズ「ANIMAL INDEX」を皮切りにすっかりライダーズのファンになった。
続く12インチ「夏の日のオーガズム」、ライブ盤「The worst of MOONRIDERS」、で恐るべき傑作「Don't trust over thirty」。
ライダーズの中でもとりわけ鈴木博文の曲が好きだった。
A5版の「宝島」に載ってたモノクロの広告で「Duck Boat」というアルバムの存在は知っていたし、そのレコードが四条烏丸の十字屋には無くって、河原町ビブレの中のユリナレコードに一枚あることも判っていた。
でもいかんせん小遣いが足りなかった。
生まれて初めてのバイトは年賀状の配達。
86年〜87年の冬。
16歳の誕生日、僕は初めて女の子から好きだと言われた。
なんて、それはまた別の話。
そんな冬の日に、バイト代で手にしたレコードが「Duck Boat」だ。
めちゃめちゃ聴いた。
もう何回も聴いた旋律。
「見晴らし台から」だ(はい、やっとライブに戻りましたよ)。
博文さんの乾いた歌声が胸に刺さる。
あの頃と同じように。
そして「水門」から「夜警」へ。
「DUCK BOAT」からの曲が続く。
「夜警」なんて何百回、何千回聴いたかわかんないよ。
博文さんと直枝さんの声が重なるコーラス。
胸の奥で16歳の俺が震えてやがる。
おい、信じられるかい?
36歳になってこうして生でこの曲を聴く日がくるなんてさ。
笑っちゃって、泣けてくるね。
見上げたステージ、スポットライトに照らされた二人。
二人の音楽がこうして再び邂逅したように、16歳の俺と36歳の俺が邂逅する。
あぁ息が出来ないよ。
二つのギターは馴れ合うことなく、ピーンと張り詰めた空気をビリビリと切り裂いていく。
まるで禅問答のように音が呼応し合う。
どこにもない、誰にも似てない音楽。
ソロともバンドとも違う、紛れもない「政風会」の音がここにある。
一曲終わるごとにため息。
身動きできない。
スゲーや。
気まぐれな5分間の休憩をはさみソロコーナー。
まずは博文さん。
ソロアルバムから3曲。
独特の緊張感、突き刺さってくるギターと唄。
高校生の時、鈴木博文になりたかった。
バカだなぁ。
でもホントにそう思ってた。
そして直枝さん。
激しくギターを掻き鳴らし「ダイナマイト・ボイン」(!)。
おぉ、凄い隠し玉。
昨日のソロライブでも披露しなかったまさかの選曲。
この曲、アコースティック弾き語りでやるかぁ。
「おぉ」とどよめく会場の直枝ファン多数。
心の中でひっくり返ってたでしょ、みんな。
そして再び二人で。
新作からの曲がどんどん続く。
バンドサウンドのアルバムとは違う剥き出しのアレンジ。
ひたすら凶暴で優しくてぐいぐい引き込まれる。
博文さんのブルースハープがまたド渋いんだ。
飄々と暴走する博文さんに半ば呆れ嬉しそうに突っ込む直枝さん。
MCもやたら可笑しい。
政風会、最高だよ。
アンコールは「くれない埠頭」。
直枝さんのヴォーカルがたまらんかったな。
これぞ正調、湾岸サウンド。
で「DUCK BOAT」のラストナンバー「裸足のリタ」。
この曲、待ってた。
遠い記憶が生々しくフラッシュバック。
くそ憂鬱な部屋の隅。窓の向こうの電信柱、夜空に浮かぶ月。
回るターンテーブル、胸を締め付けるメロディと言葉。
ドア越しのリタがそこにいる。
アンコールラストは「大寒町」。
もう何も言わなくていいね。
真のスタンダードナンバー。
ゆっくりとロマンが沈むよ。
それにしても二日連続で濃いライブ観たもんだ。
負けじと濃い文章になっちゃったよ。
はっきり言って書き疲れたけど、心地良かったりもする。
ま、そんなとこです。
2007-12-13「Mr.Ankle Uncle」
久々にみっちり書いたので、今日からしばらく薄味で…。
なんて。
頭の中で政風会鳴らしながら仕事ザザッと。
午後から京都で会議。
近いから余裕ぶっこいてたらギリギリになっちゃった。
で会議の後は忘年会。
町屋風のお店で上品なコース。
美味しかった。
でも久々に飲んだら妙に回ってしまって途中グロッキー状態に。
なんとか持ち直して2軒目。
ここもまたいい店。
なにがって店員さんがめちゃめちゃかわいくて(スイマセン。おっさん発言で)「京都のクオリティは高いねー」なんて言い合ったり。
一保堂のほうじ茶で締めて日付またいで帰宅。
でも京都だと帰りが楽でいいね。
さ、明日は金曜だ。

2007-12-14「彼女のサイコロジー」
金曜。
今週は濃かったなぁ。
でザクッと仕事して、帰り友達と飲みに行こうってことになり京都へ。
久々に日本酒の美味しい店へ。
でも昨日、日本酒で目が回ったので今日は梅酒のソーダ割りにしとこ。
揚げ出し豆腐、丸大根の煮物が美味しかったな〜。
やっぱ出汁が決め手っすかねぇ。
ひたすら喋っていい感じに酔って帰宅。
で今日聴いてたのはシネマ「シネマ・リターンズ」だ!
ありえないでしょ、2007年にこれは。
どうよこのジャケット。
サイコー!
この凄いアルバムについてはもっと聴いて書きます。

2007-12-15「オールキャスト」
大学時代の仲間とプチ同窓会&忘年会。
夕方5時から飲み始め深夜2時半帰宅。
何時間呑んでんだ。
そんなわけで3日連続京都呑みで撃沈。
また明日!
で昨日の明日、変則的に日記更新。
朝からHDDチェック。
「ニッポンの教養」(社会言語学・田中克彦教授)。
激オモロ、まだまだ聞き続けたい。
言葉って奴はもどかしい。
想いを捕らえようとして言葉を尽くしても、想いはいつでも逃げていく。
だから考えて、言葉選んで、言葉尽くして、語り、書き続ける。
こうして書きながら、誰かと話しながら、いつでもジレンマを抱えている。
喋れば喋るほど誤解と勘違いが生まれ、時には沈黙が饒舌な言葉となる。
なんてなことをここんとこ考えたりしてたもんだから。
午後から娘が参加する金管クラブの発表会観に行く。
毎回ハラハラする演奏だけど、楽器を演奏する娘見るのは嬉しい。
それから京都へ出て飲み会。
大学時代の先輩、後輩、同回総勢16名。
卒業以来14年ぶりに再会した後輩なんかもいてひたすら楽し。
中学、高校時代を振り返ると憂鬱で悶々とした日々が浮かぶんだが、大学時代は楽しかった思い出しかないな。
くそ憂鬱な部屋で誰とも話せずにひたすら引き出しにアレもこれもを詰め込んでた時代が中・高時代。
そこから抜け出し、人と出会い、引き出しを開け放し、バンバンと扉が開いていった時代が大学時代だった。
陰気で友達もいなかった僕は、大学時代にはお喋り野郎と化していたもんだ。
そうそう一回生の夏合宿、カラオケ大会で歌う番になって機材トラブル。
どうしようもなくなって繋ぎでアドリブ漫談したら大うけしたんだっけ。
扉が開いたって思ったな。
それからはもういかに笑わせられるかばかり考えて発言してたよ。
久々にオモロな自分を爆発させて夕方5時から深夜2時まで喋り続ける。
めちゃめちゃ笑った一日。
 

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今あなたがご覧になっているHPは「OFF! 音楽と笑いの日々」です。
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