2007年2月下旬

2007-02-17「Big Boy Now」
「…敏感ですね。もっと開いて下さい」男はそう言って、黒くて硬い「モノ」をグッと突き刺した。

「…か、堪忍して…」声にならない声が、個室の暗闇に消えていった。
固いベッドの上に、飛び散った体液と汚れたティッシュが無造作に散らかっている。
〜 〜 〜 〜
さて昨日はサーバーが混み合っていたのか、日記UP出来ず。
ま、大した内容でもなかったからいいけど。
で昨晩は9時までに全ての飲食は終わらせ夜更かしもせずに就寝。
で今朝7時起床。
バイトの妻を見送り、眠る娘に「ちょっと出かけるから少し留守番しといてね」と声をかけ8時に家を出る。
駅前のクリニック、アポは8時15分。
「…予約してたのですが」と言うやいなや「お待ちしてました!どうぞ」とすぐに個室に通される。
「じゃまずは胃の動き止めます」と左腕に筋肉注射を一本。
「はい、喉の麻酔ね」と喉の奥にシュッシュと吹き付けられる。
その時点で「オエっ」と数度えずく。
「…喉弱いんです。すぐにえずくんです。大丈夫でしょうか…」とボク。
白衣の男は穏やかに微笑んだ。
「さぁこちらで横になって」暗い個室の固いベッドに横たわる。
「さぁ口を大きく開けて下さい。後は全てこちらでやりますから、ただ口を開けておいてください」。
男は長くて黒い「モノ」を取り出す。
「オ、オェ、ゥオェ〜」。
「…敏感ですね。もっと開いて下さい」男はそう言って、黒くて硬い「モノ」をグッと突き刺した。
「ゥオッ!オェッグエッ〜」「リラックスしてください。深呼吸して。大丈夫ですよ」。
際限なくえずき、胃液を垂れ流すボクにティッシュを渡しながら看護婦さんが背中をポンポンと叩いてくれる。
しかし子供の頃から喉は敏感だった。
小学校で「歯」の検査のたび、口にちょっと鏡を入れられただけで「オエッ」とえずいていた。
だからこうなることは予想していた。
しかし予想を越えるえずきっぷり。
人間、ここまでえずけるのか!というぐらいに。
「…か、堪忍して…」声にならない声が、個室の暗闇に消えていった。
頭上のモニターを観る余裕などあるはずもない。
時間にしてわずか5分程度のはず、しかしながら「グエッ、ゥオォッ、ボヴェ〜」と無間地獄とはこのことか!と感じるぐらいの心持ち。
「はい、終わりましたよ」スルスルスルっと引き抜かれていく「胃カメラ」。
「…あ、ありがとうございます。ご迷惑おかけしました…」ぐったりとうなだれているのはボク。
固いベッドの上に、飛び散った体液と汚れたティッシュが無造作に散らかっている。
そんな訳で人生初の「胃カメラ」体験は終わった。
病院着いてからここまでわずか15分ぐらいの話。
実際カメラは素晴らしい手際の良さでスルスルと喉を通り、胃の内部を撮影、そしてまたスルスルっと引き抜かれた。
先生の腕は確かで、普通の人ならなんなく終了だろう。
が極度に喉が敏感な僕は、まー、ホント、なんつーか、思い出しただけで、「オェッ〜」というわけだ。
で胃カメラで撮影された胃の内部はきれいなピンク色。
1箇所ポコッとできた小さな「イボ」は「過形成ポリープ」と言われるもので問題なしという結果。
とにかく良かった。
そして僕は大人になった。
まだ朝の9時前で既に大仕事終えた気分。
帰ってまだ寝ている娘を起こし朝ごはん作ってやって洗濯物干して…といういつもの土曜日。
昼はお腹に優しくうどんを一杯。
午後からもダラダラとHDDチェック。
「リンカーン」「めちゃイケ」(やっと正月のスペシャルを)「志の輔の越中座」「めがね番長」「徹子の部屋」(清水ミチコが「ミチコの部屋」として黒柳徹子を逆にインタビューする回、オモロ)バババッと。
夕方、映画観にいく。
周防正行監督「それでもボクはやってない」観る。
なんなんだ、この感触。
2時間を越える上映時間。
裁判のシーンがほとんど。
アクションもなければダンスもない。
そして観終わった後に残るやりきれない気持ち。
…でもこれは傑作やがな!最後までダレるとこが全くない。
映画ってフィクションで、嘘の世界。
そんなことわかってるけど、もう映画越えちゃってるんだ。
見せつけられた現実にクラクラと眩暈がする。
沸き起こる感情は映画の向こう側に向かっている。
「社会派」なんて聞くとそんな大層なって気持ちになるが、これはすぐそこにある社会。
明日自分が巻き込まれるかもしれないホラー。
「映画でしょ」なんて気分で観てられないのだ。
これ一人でも多くの人に見てもらいたい。
そしてもう一回、国家権力、裁判ってものをみんなで考え直しましょうや。
とここまでの気持ちにさせるのはやはり周防監督の緻密な脚本と演出の巧さ。
主演の加瀬亮の色のついてない演技も素晴らしいが、脇を固めるのがずるいぐらいの芸達者揃い。
役所広司は別格として、日本映画に欠かせないバイプレイヤー、お馴染み光石研と本田博太郎(怪演!)をはじめ小日向文世(巧いんだ、また)、山本耕史、尾美としのり、田中哲司に山本浩司(この二人の名前は憶えとくように)、お気に入りの唯野未歩子嬢などなど。
そして瀬戸朝香が良し。
今年の助演女優賞に軒並みノミネートされるだろうな。


2007-02-18「三時の子守唄」
朝から実家へ。
旧正月ということで兄、香港から婚約者ともども帰国。
合わせて父も病院から一時帰宅。
さらにロシア人妻を連れた従兄弟も来宅。
…ホンマ、一気に国際化するんやからなぁ。
何語で喋ったらええねんな。
でお年玉替わりといって兄が娘に買ってくれた「Wii」で遊ぶ。
うーん、よくできてる。
楽しい。
ベッドの父も「お正月みたいやなぁ」と。
そう、旧正月だ。
「R-1」。
ついに、なだぎ氏優勝。
良かった。
嬉しい。
ディランここまできたねぇ。
めちゃめちゃくだらなくて、おもろかった。
徳井のヨギータも素晴らしい完成度で同点決勝も納得。
余芸が本芸を喰っちまった形だが、ま、おもろいからいいか。
夕方、介護タクシーで父、病院へ。
いい気分転換になったかな。
身体の負担もあるからどうするのが一番いいのか悩むとこではあるが。
楽しいと思える時間を、一分、一秒でも多く持ってもらいたい。


2007-02-19「遠い願い」
月曜。
朝からバタバタと忙しい。
飯食ってる時とか帰り支度してる時を見計らったかのように仕事をふってくる人が居る。
こういうのってちょっとした気遣いだと思うけどな。
まぁいい。
一時はどうなることかと思ったが、夕方には全然余裕になりやんの。
まだまだ不景気ってことだね。
残業もほとんどせずに会社出る。
久しぶりに久保田麻琴「ON THE BORDER」聴きながら帰る。
ちょっと前に[けすいけさん]が書いてて「あぁ確か持ってたな」と聴きなおしたらやけに良かったので。
あぁどっか行きたいな。
一人旅したくなる音楽。
あがた森魚さんの「Mezcal」のカヴァーが実にいい塩梅。
がちょうど気持ちいいとこで電池切れ。
まだ旅には出れそうにない。


2007-02-20「good idea」
最近、朝、家を出る時間を5分遅らせた。
徒歩通勤だから大差はない。
ま、それだけの話。だから、飯時に仕事を振ってくるなよ。
答えの出ない会議。
誰も言わない本音。
多分、ホントは、どーでもいい。
家を出る時間を、もう5分遅らせよう。


2007-02-21「サプリメント」
分裂症気味に仕事をこなして一日が終わる。
頭をすっきりさせようと紀伊国屋に寄り道。
「ミュージック・マガジン」(エンケン特集!)や「映画秘宝」(吉田豪による角川春樹インタビューがおもろ。それと蒼井優ちゃんの粗い質感の写真がいい)を立ち読み。
買えよって話だが、ま、いーじゃない。
で今日聴いてたのはHARCOのベスト盤「PICNICS」。
ボクにとっては直球ストレートのポップミュージック。
きらきらと輝いてて、どうしようもなく切ない音楽。
「世界でいちばん頑張ってる君に」がスマッシュ・ヒット(懐かしい言葉だな)したけど、この人は例えば「Night Hike」にみられるセクシャリティこそが持ち味なんじゃなかろうか。
ここんとこ食後のデザートにコーヒーゼリーを食べてる。
お湯に溶かして固めるだけってやつを貰ったので週末に大量に作っておいたのだ。
バニラアイスをちょっと乗っけて食べる。
これが美味しい。


2007-02-22「CAN’T SHAKE IT LOOSE」
今日はえらくバタついた一日だったな。
久々にド残業で疲れた…。
えっと、今日は何があったっけ。
忘れた。
今日聴いてたのはDIANA ROSS AND THE SUPREMES「LOVE CHILD」。
「ドリームガールズ」観て久々に聴いてみようと思って。
こっち聴くと、逆に「ドリームガールズ」で作られた楽曲が実に良く出来たパスティーシュだったことがわかるな。
アク抜きされたソウル。
この軽さ、これはこれで嫌いじゃないな。


2007-02-23「巻き戻す時間」
朝から雨、バスに揺られて会社へ。
っと今日はなんか疲れる1日だったにゃー。
ちょい大きな会議の仕切りで普段使わない神経を使ってしまった。
で家帰るとちょうど山田洋次監督「隠し剣 鬼の爪」やってたので観る。
端正な映画っすね。
正しい日本映画という感じでほっとする。
あぁ俺ってアジア人だなぁなんて思ったりしてね。
「僕らの音楽」に椎名林檎。
彼女の音楽は悪いとは思わないが、あまり好みじゃなかった。
ボクにはちょっと彼女の日本語はうるさ過ぎて。
が日本語詞じゃない彼女の音楽はびっくりするぐらい良かった。
明日CD買いに行こうかなってぐらい。
かっこいいねぇ。
でイチローと対談してたんだが、これが妙にイヤラシイ。
いい事言ってるんだが、両者から滲み出る下心っつーか、今まさに口説き落とされてる瞬間を見せつけられてるような。
イチロー、完全にお持ち帰りできるやん!…って下品ですいません。


2007-02-24「Father & Mad Son」
昨晩は夜更かし。
グダグダの浜ちゃんと東野の番組観たりしてボンヤリ。
なんだか寝たくない日もある。
空っぽのPCを覗き込んでも何も埋まらないけど。
で今朝はすっかり寝坊。
10時起床。
自治会の回覧配りがてら散歩。
饅頭が食べたくなり近所の和菓子屋で桜餅と草餅を買う。
甘い物を食わせろ。
それから娘とWiiで遊ぶ。
難しいなー。
昼は松喜屋の近江牛ビーフカレー(レトルト)。
美味しいじゃないか。
午後、病院へ。
土曜の病室は静かだな。
夜まで居て母と帰る。
実家で夕飯。
母と色々と話。
辛いな。
車を走らせ大津へ戻る。
夜の171号線。
子供の頃、父が運転する車の後部座席で眺めた景色を、運転席から眺める。
西大路通りに入る角、そこのレストランが大好きでよくせがんで連れてってもらった。
生クリームがいっぱい入ったチョコレートパフェ、美味しかったな。
もう30年近く昔の話だ。
でも家族4人で囲んだテーブルや、その時の楽しい気持ちは、まだ胸んとこに残ってる。
幸せな子供時代を過ごさせてもらった。
今、それがよくわかる。
今はもうなくなったそのレストラン。
僕は運転席に居て、ウインカーを出してハンドルを切る。
あの頃、後部座席からみた運転する父の後姿に、僕の後姿は似てるだろうか。
帰って、娘と風呂に入り、髪を洗ってあげる。
ここでの僕は父親で、それがとても不思議な気がする。


2007-02-25「8分音符の詩」
早起きして床屋に行こうと思ってたのだが、結局起きれず。
9時起床。
娘は学校の子供会に出かけたので、妻と病院へ。
父、今日はわりと調子良く一安心。
まだまだ大丈夫。
きっと良くなるはず。
一旦、大津に戻って大阪へ。
今日はライブ「Root is One〜歌うギタリスト達の宴〜」@シャングリラ。
出演は青山陽一、田中拡邦(MAMALAID RAG)そして鈴木茂!!
いやー、とにかく鈴木茂!スゲーっ!
まさか「はいからはくち」のあのリフを生で聴ける日がくるとは!
もーそれだけでチケット代元とれたなー。
それにしてもなんだあの音は。
恐るべし鈴木茂御大。
っつーことで詳しくは明日。


2007-02-26「花いちもんめ」
そんな訳で昨日の話。
ヨドバシカメラの裏を抜け、目指すはシャングリラ。
ここは初めてだな。
梅田といえどもひっそりとした場所に場違いな椰子の木を掲げたライブハウス。
前を歩くはお馴染みめんちかつさんとけすいけさん。
どもどもと声をかけ会場前で開場を待つ。
TSUKASAさんも来られていやどうもなんて。
そうこうするうちに開場。
先行チケット入手の御三人さんお先にどうぞで、僕は後から入場。
前から2列目、めんちかつさん席取ってくれてありがとう。
空きっ腹にビールを流し込んで開演を待つ。
ドラムにハモンド、今日はがっつりバンドサウンド。
スピーカーの真ん前が嬉しくもあり怖くもあり。
でライブが始まる。
オットコ前な中原由貴嬢のドラム、職人技が冴える伊藤隆博氏のハモンド、BM's最高!
クールな田中君は相変わらずハンサムボーイである。
水色のストラトからクリーンに響く音。
音のほうもハンサムボーイなんだから。
あんたそりゃモテるだろ!
で青山さん。
飄々としながらキレがあってコクがあるギターの音!
エレキの青山さんはやっぱかっこいい!
泥臭さとファンキーの絶妙なバランス。
二人のギターも相性いい。
田中君のスライドが決まる「難破船のセイラー」なんか絶品。
でだ。
鈴木茂御大登場!
昨年は生・細野さんを見れて大感激だったが、今年は生・鈴木茂!
あー20年以上音楽ファンやってきて良かった。
で、鈴木茂。
スゲーよ!
ファンキーでロッキンで暴れん坊なギタープレイ。
ぞくぞくしたねぇ。
痺れた。
「抱きしめたい」から始まって「スノーエキスプレス」(うっ、めちゃかっこいいぜ)爆笑の「森進一」ネタなど挟みつつまさにヒットパレードが続く。
すっとヴォーカルから入った「8分音符の詩」には思わず「おぉっ」と声が漏れたね。
それにしても「ソバカスのある少女」を生で聴く日がくるなんて高校生の時にゃ夢にも思わなかったね。
生きとくもんだなー。
このメンバー従えて、ハードにロッキンなソロアルバム作って欲しい。
いや、まじで。
ヘナヘナなジャリバンドなんて聴いてられない。
ここは一つ御大に登場願って、物欲まみれ宗教絡みのくそロックシーンにガチコーンと一発かまして頂きたい。
で鈴木御大はけて青山、田中両氏が最後の盛り上げ。
田中氏「春雨道中」、青山氏「Ultra Sonic Bicycle」と実に気持ちのいいラスト。
しっかし御大、強力すぎたよ。
でアンコール。
三人登場でまずはカバー。
で意外な選曲「さよなら通り3番地」。
伊藤氏のトロンボーンが渋い。
で大ラスは「はいからはくち」!あのイントロのリフを!鈴木茂が!今!目の前で!弾いてるんだって!感動だって!と越中詩郎口調になるぐらい興奮。
青山さのヴォーカルもいいねぇ。
「カンソー!」もあり(ちょい遅れたけど)。
それに中原由貴嬢の気合のドラムソロもスゲー!
松本隆より巧いって!
いやー盛り上がった。
「はいからはくち」やで。
どやさ。
いいライブだったなー。
あっという間の2時間。
細野箱DVDでも細野さん以上にインパクトを残す鈴木茂氏。
もうブームだね。
そんな訳で今日は早速「バンドワゴン」聴きながら通勤。
しかし感動も吹き飛ぶド忙しさ。
あのライブの後、仕事なんかばかばかしくてしてられないんだけどなー。
ま、大人なのでやるけどね。
ド残業して帰宅。
で今、「ラグーン」聴いて「風街ろまん」に入りましたとさ。


2007-02-27「あしたてんきになあれ」
通勤は「風街ろまん」で。
この「はいからはくち」の!イントロを!生で!聴いたんだって!最高だったって!
ってもういい?
あ、そう。
そんなゴキゲンな通勤を打ち消すかのごとく、ボディブローがごとく、仕事がジワジワ効いて来る。
うーなんかツライ。
気が狂いそうだ。
イライラが耳から出てきたよ〜。
とそんな調子で荒い仕事をしてしまったか。
回りの人を不快にさせたかもと反省。
行いが悪かったんだろうな、外出たら大雨。
ま、そういうことだ。
明日からちゃんとしよう。
そんな訳で帰りも「はいからはくち」。
このイントロを!鈴木茂のギターを!生で!聴いたんだって!
言いたいだけ…。


2007-02-28「GET AWAY」
中途半端に雨が降る。
しかし2月も終わりか。
あーどっか行きたい。
もう「ウガーッ!」って感じで仕事。
今日も会社の鍵閉めて帰宅。
疲れたよ。
で今日聴いてたのはNONA REEVESの新作「DAYDREAM PARK」。
うんうん。
ノーナ、一つ上のステージにあがったね。
迷いがない。
どこまでもキラキラでメロウでポップでね。
そして西寺郷太氏のヴォーカルがすんばらしい。
引き続き聴きこもう。


2007年3月上旬の日記へ


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引き続きお楽しみ下さい。