2006年10月下旬

2006-10-16「Silly Game」
月曜。
いろいろと言いたいこともあるが、吠えるのはやめよう。
どこにでも可哀相な人はいる。
あー疲れた。


2006-10-17「青春狂走曲」
いきなりですが、今日聴いてたのは曽我部恵一「東京コンサート」。
10年前のアルバム「東京」を再演したライブ盤。
実にいい。
収録された「下高井戸シネマ」の空気感までも伝わってくる。
大切に、愛されてきた「歌」がここにはある。
曽我部恵一本人はもとより、多くの人の心の中で育ってきたんだな。
歌とギターだけ。
派手さもなけりゃ、マーケティングもされてない。
もちろんただ懐かしむだけのものじゃない。
でも、いいんだよ。
10年前より、少し太くなった声で歌われる「歌」。
この前オリジナルの「東京」を聴いて「狙いすぎなとこが、今聴けば微笑ましい」と書いたが、そんな青臭い部分が凄く慈しむように歌われてて、グッときたな。
こんな風に言葉や音が発せられ、受け止められる。
これは音楽にとっても幸福なことだと思うな。
10年の時間が何を与えたのだろう。
例えば「青春狂走曲」の「そっちはどうだい/うまくやってるかい/こっちはこうさ/どうにもならんよ/今んとこはまあ/そんな感じなんだ」なんてフレーズ。
10年前はいかにも「それっぽい」言葉で、薄っぺらな言葉遊びにも聴こえた。
でも10年経って歌われるこのフレーズは言葉遊びなんかじゃない。
「実」を伴った言葉。
心地よい風を受けて、いつもの帰り道を歩く。
ポケットに手を突っ込んで、信号に足を止められる。
ふと耳元でこのフレーズが歌われる。
ちょっと苦笑しつつ思う。
全くだ。
「今んとこはまぁ、そんな感じなんだ」って。
ちょっと顔を上げてみる。
道の向こうには夜に浮かび上がるマンション。
小さな窓から小さな灯りが漏れる。
その小さな部屋には小さな家族が住んでて、小さな喜びや小さな悲しみを積み上げているんだな。


2006-10-18「もういいかい」
午後から大阪へ。
会議の後、そのまま飲み。
同業他社さんらとの会合、仕事絡みの飲みでは唯一楽しい飲み会。
今日も話題豊富で勉強になりつつ楽しい。
11時20分大阪駅発の新快速で帰宅。
そんなわけで今日はもう寝ます…。


2006-10-19「12時間」
頭の中が真っ白である。
日記を書こうと画面を開けたはいいものの、何も浮かばない。
一日を振り返る。
目覚まし時計に起され、パンを牛乳で流し込み、布団をあげて、娘にいってらっしゃいを言って、新聞を読んで、妻が作ってくれた弁当を持って、家を出る。
今日は朝日美穂「Classics」聴きながら会社まで歩く。
暑くもなく寒くもなくちょうどいい気候だ。
シンプルなピアノトリオの演奏に耳を傾ける。
会社に着く、仕事に取り掛かる、ひたすら働く。
仕事は嫌いじゃない。
会社はちょっとメンドくさいけどね。
気がつくと一人になってる。
昨日の夜、従兄弟が倒れたと連絡が入った。
母に状況を聞く。
「あんたも身体には気をつけなあかんで」と母。
俺もそう思う。
それにしても、今年はいろんなことが起こるな。
伯父が亡くなり、父が入院し、この前は大叔母が亡くなり、今度は従兄弟が倒れた。
いろんなバランスが崩れてく。
なんだかひどく疲れてる。
何かが終わろうとしてる。
何かが始まろうとしてる。
そろそろ改行しなくちゃいけない。
明日はどっちだ。


2006-10-20「Japanese Beauty」
昨日の夜、NAIVES(いとうせいこう+高木完+ヤン富田)の「Forever Young」という曲を聴いてた。
その中の「昨日の自分が明日を救う/明日の自分が今日ふりかえる/いつしか空にかかる虹」というフレーズに、なぜだかひどくグッときた。
わかるというか、わかりたいという気持ち。
金曜日。
小泉今日子03年作「厚木I.C.」聴く。
秋口になると無性に聴きたくなる。
日記でも何回も書いてるが、これはド名盤。
高野寛をはじめとした音楽を愛するミュージシャン達の真摯な演奏、そして小泉今日子の歌が素晴らしいのだ。
宮沢和史が書いた「あの頃と同じ空」を聴いてると息が詰まりそうなぐらい、胸を締め付けられる。
少し高くなった空、淡く透き通っていく空気。
秋口になると無性に聞きたくなる。
仕事を早めに切り上げる。
映画でも観にいきたいとこだが、今日は自治連合会の定例会。
たまらんなぁ。
平均年齢オーバー60の他地区の自治会長さんたちと自治会館に軟禁され、いろんな連絡事項説明され、持ちきれないぐらいの回覧物とか貰って帰るという…。
で帰って夕食。
鯖の味噌煮。
さかなへんにブルーと書いて鯖。
魚の中で一番好きかも。
それにしても今週も疲れたなぁ。
こんな俺を癒してくれるのは、長澤まさみちゃんの笑顔だけだ。
「セーラー服と機関銃」見るも、ストーリーとか演出とかもはや邪魔。
長澤まさみちゃんだけでいい。
かわいいにも程があるぜ。
それにしてもドラマのリメイクまではなんとか許すとしても、「セーラー服と機関銃」歌わせることないんじゃないの、それも役名で。
愛情もアイデアもないカヴァーは罪だろ。
ホントもうやめようぜ「役名でCDデビュー」っての。
それだけで、ちょっとイラっとくる。
いや、長澤まさみちゃんは悪くないよ。
ハッキリ言って「友達以上、恋人未満」的なアイドル声は最高。
歌声にちょっとキュッときたもん。
でもこのいかにも広告代理店が仕掛けてますってなやり口はヘドが出そうだ。
長澤まさみちゃんには、バカな大人達につぶされないでほしい。
にしても長澤まさみちゃんはかーいーなー(しつこい?)。
「のだめカンタービレ」には上野樹里ちゃんも出てるし、今クールは目の保養になるなぁ。
っておっさん丸出しでスマン。
あと美女選別家としては「ポッキー」CMの新垣結衣ちゃんと、吉本新喜劇の宇都宮マキちゃんを推していきたい。


2006-10-21「あの子のあの頃」
休前日は相変わらず夜更かし。
「新喜劇ボンバー」でのケンコバ&千原Jr.の悪ふざけっぷりにヘラヘラ笑ったりしながら。
で8時半起床。
いつものように娘と目玉焼きの朝食。
それから二人で京都の実家へ。
車中のBGMはピチカートに堂島君にカーネーション。
娘への擦り込み効果狙って。
しかし娘はDSに夢中で全く聴いてない。
父、再検査の結果はいいものではなかったが、気長に付き合っていく感じで薬治療継続することに。
新しい薬は割と合うようでここんとこ調子いいとのこと。
母の作ったスパゲッティミートソースの昼食。
実に15年ぶりぐらいに食べるな。
パスタでもボロネーゼでもなく、あくまで「スパゲッティミートソース」。
缶詰とはまるで違う懐かしいミートソース。
なぜか効いてるウィスターソースの味が美味い。
それから両親を連れて従兄弟を見舞いに。
昨日も世話しに行った母から、意識はあるものの言葉が出てないし半身動かない状態だと聞いてたが、今日は随分回復している。
しっかりとは言わないまでも話もできてるし、心配してた身体のほうも感覚が戻っているようだ。
逆に父の姿を見て「えらい痩せたなぁ」と心配してくれていた。
とにかく一安心。
病院の向かいの今は無いアパートに、両親は新婚時代住んでいたのだということで、しばしその辺りをウロウロ。
40年前、父と母はどんなことを思ってここで暮らしてたのだろう。
そして40年たった今、どんな想いでいるのだろう。
そしてまた両親を乗せて実家へ戻り一休み。
夕飯に食べなさいとおかず一式持たされ帰宅。
娘にはここんとこ病院とか葬式とかそんなのばっかり付きあわせてるな。
なんだかんだ言いつつもちゃんと付いてきてくれるのはありがたいことだ。
上手くいえないけれど、こういうことの中から「生きる」ってことを少しでも感じてくれたらいい。
昼、やたら暑かったこともありぐったり。
今日はちょっとは早く寝よう。


2006-10-22「タリホー」
今日はなにもしない1日。
娘は朝から遊びに行っちゃったし、ひたすら「じゃりン子チエ」読む。
ってまだ読んでるのかよ!
45巻〜48巻のサッちゃん編に突入し止められず、ヒラメちゃんはいいやっちゃなぁ〜と思わず最後に泣く。
結局今日は夕方に図書館に行ったぐらいで、53巻まで読んでしまった。
そうそうこの前「セーラー服と機関銃」観てて、本田博太郎をあえて「地獄組のボス」にキャスティングしたら面白いんじゃないかと思いつく。
そんなことをひたすら考えてたら、凄いアイデアを思いつく。
本田博太郎、かって「北京原人」(ウパー)を演じた断ることを知らない役者バカ(褒め言葉です!)、この男ならもっと凄い役を演じられるかもしれん。
今の特撮技術&CGを使えば…。
そう、本田博太郎を「小鉄」役に!
本田博太郎ならやってくれるはず。
あの小鉄の活躍ぶり、もう本田博太郎しか考えられん。


2006-10-23「マカロニスコープ」
余裕の無い一日を過ごす。
ダメだなぁ。
昼飯ぐらいゆっくり食べたいと思いつつも、それもうまくいかない。
会社出ると、雨はあがっていた。
濡れたアスファルトを蹴飛ばしながら帰る。
また憂鬱の淵で倒れそうだったが今日は加藤千晶「おせっかいカレンダー」を聴いてたので救われた。
そうだユーモアが必要だ。
もっと楽しむ術を知らなくちゃいけない。


2006-10-24「Damn!Moonriders」
壁に向かって黙々と仕事して、外に出るとそこはもう夜の入り口だ。
そんなことよりとにかく今日はタワーに急ごう。
ムーンライダーズ「MOON OVER the ROSEBUD」購入。
ムーンライダーズよ、まだ俺を発売日前日にレコード屋に走らせるのか。
そんな訳でメシ喰って、風呂入って、CDトレイに今のっけた。
おぉ!続きは明日。


2006-10-25「Vintage WineSpirits,and Roses」
今日は1日、一人ぼっちでひたすら仕事。
ま、そんなことはさておきムーンライダーズ「MOON OVER the ROSEBUD」ですが、既に3回目のリピート中。
そういうことだ。
一曲目「Cool Dynamo,Right on」慶一-岡田コンビのロマンティック路線。
これで魂掴まれたな。
いや、まだまだ聴き込まないと。
「メロディーの復権」「静かな狂気いや、やんちゃな正気」「ロマンティックな凄み。極上」「21世紀の青空百景?21世紀の最後の晩餐?」「ニューウェーヴ!出た、しゃくりあげ唱法」「慶一作、冴えまくり」etc.etc. 毎回、期待裏切って越える。
ムーンライダーズの新作を聴くと、いつも胸がかき乱される。
なんだか、わからないけど「まだ、やれるぜ」って気持ちになる。
それにしてもよくムーンライダーズの音に出会えたもんだ。
なんだかんだ言って、もう逃れられないぐらい影響受けてるしな。
なんつーか「価値観」だ。
それを教わった。
人生やり直したいなんて思いやしないけど、何回やり直すことになってもムーンライダーズだけは聴いていたい。


2006-10-26「Cool Dynamo,Right on」
今日もバタバタ。
午後から会議でそのまま懇親会。
知り合い見つけて端っこの方で飲む。
大人な感じで硬軟交えて世間話。
…疲れる。
世間話ってやつがどうも苦手だ。
会社なんかであまり懇意じゃない人と何気なく話して間を持たすなんてのがダメ。
何を話せば間が持つの?と焦ってしまう。
天気の話してもどーもだし。
野球とかゴルフとか車の話なんか振られた日にゃ、まったく引き出しがない。
自分の引き出しに入れてるものは世間話向きではないとは薄々気付いてたが、さすがに30過ぎてそれはさらに強まってる。
引き出しの奥の宝物は、世間的にはガラクタだってことか。
で僕の宝物ムーンライダーズを今日も聴いている。
ここ最近のアルバムは、一曲一曲が積み重なりアルバム全体で強烈な世界観を作り上げるような印象だったが、今作は一曲、一曲が単独に「いい曲」である。
もちろん、ライダーズだから、「いい曲」ってもロマンティックだったり、キンキーだったり、一筋縄ではいかないが。
慶一-岡田コンビ作の憂いを秘めたメロディー、情けなさを通過した男の切なさと悲しみと強さを持った詞と歌声に、痺れる。
ライダーズには様々な魅力があるが、僕はやっぱりこの文学的なロマンティックさに一番惹かれてる。
今思えば中学生の時からずっとそうだ。
白井曲はやっぱりヤンチャだし、かしぶち曲はエロティックだ。
博文曲は乾いた響きがやるせなく果てしない、武川の弾くヴァイオリンは胸の奥に共鳴する。
慶一曲は川の始まりの一滴に触れる。
そしてこれらの曲が揃って、ムーンライダーズになる。
それにしても鈴木慶一の詞は、もはや前人未到の域。
「優しくて骨の無い男」だった30代を通過し、黒いシェパードを携え、覚悟を胸に歩いてきた男が吐く「月が消え/朝が来る/この世はカスだ/飲み直そうか/いろんな男/いるけれど/俺はましなほうだろう/どうだい」。
痺れる。


2006-10-27「LET’S DANCE BABY」
金曜だ。
仕事なんかテキトーに流して、パッと楽しもう!ってことあるわけないか。
誰もいなくなったフロアで壁に向かってキーボードを叩く。
コーヒーを飲んでじっと手を見る。
働けど、働けど…なんて。
電気を消して鍵をかけて会社出る。
もうタワーも紀伊国屋も閉まってるなぁ。
大津の夜は早いのだ。
まぁいい。
明日は休みだ。
さて今日もムーンライダーズって思ったでしょ。
でも今日聴いてたのは和田アキ子「今日までそして明日から」。
和田アキ子って歌が上手いとは思わない。
全然。
個性的ではある。
とにかく歌を自分の方に持ってくるパワーがある。
もう「アッコにおまかせ!」であり「文句あっか?」ということなのだ。
そして彼女はやっぱり「歌謡」の人なのだ。
「リズム&ブルース歌謡」であり、「ソウル歌謡」なのだ。
そこがいいんだ。
そこを間違ってプロデュースすると酷い作品になる。
m-flowみたいな。
あっ、言っちゃった。
そんな訳で今作はすっかりお馴染み感がある小西康陽プロデュース(ちゃんとわかってるから安心)で「風をあつめて」「タイムマシンにお願い」「雨上がりの夜空に」とロッククラシックスをカヴァー、白井良明プロデュースで「スカンピン」(!)とか窪田晴男プロデュースで「情熱の薔薇」とか絶妙な「いい」選曲のカバーナンバーが並ぶ。
小西の「風をあつめて」の一筆書きみたいな「スライ」なアレンジが最高だな。
ピコピコ言ってる「タイムマシン〜」はカエラよりかっこいい。
窪田晴男があの間奏のギターリフ弾いてるのが嬉しい。
「雨上がり〜」で「こんな夜にっオマエに乗れないなんて〜ハッ!」っとかますとこがもう「悩み無用!」だなぁ。
でも今回凄く良かったのがCHOKKAKU氏プロデュースの「バラとワイン」。
レッドウォリアーズのゴージャスなロックナンバー。
この選曲した奴は偉い!
めちゃ懐かしいな。
兄貴が好きで僕もレコードよく聴いたもんだ。
ダイヤモンド・ユカイっても今じゃ「三浦理恵子に手玉に取られて捨てられた元ロッカー」としか認識ないだろうけど、当時はなかなかかっこ良かったのだよ。
当の本人がコーラスで参加、ワンフレーズ歌ってるのがちょっと嬉しい。
例えばこれドライブ中にカーラジオからバンと流れてきたら、相当気持ちいいと思う。
そしてもう一曲、はちみつぱい〜ムーンライダーズの「スカンピン」が素晴らしい。
はっきり言って曲目リストに「スカンピン」があったからこのCD買った。
壮大なるブルーカラーの貧乏ロック。
白井良明による「正調・スカンピン」アレンジで、むさくるしいコーラスは「Eye Don't Nose(ポカスカジャン&白井)」。
格差社会が叫ばれる現在、和田アキ子はこの曲で紅白のトリをとるべき。
「俺たち/いつまでも/ほしくず拾う/ルンペン」。
このロマンティシズムに全国民は痺れろ!


2006-10-28「最後まで楽しもう」
8時起床もダラダラと9時ごろまで布団の中で。
娘、今日はお弁当持って湖岸まで友達と遊びに行くということなので、朝からお弁当作る。
砂糖を入れた卵焼きがメインの手抜き弁当だが。
昼、パルコへ行ってタワーでキリンジ「DODEGAGON」、宮川弾アンサンブル「pied-piper」購入。
欲しいCDが多すぎて困る。
高校生の頃、働いて稼いで好きなだけCD買えるようになりたいと思ってたが、相変わらず小遣いの残高とにらめっこしてのCD購入。
「飲む・打つ・買う」ならぬ「読む・聴く・観る」三拍子揃った文化系男の悲劇。
で紀伊国屋で「じゃりン子チエ」(文庫版)41〜43巻購入。
「じゃりン子チエ」手持ちの57巻まで読破。
こうなったら最終巻まで揃えることを誓う。
がもはやアクションコミック版は入手困難、Amazonでも60巻以降は高値がついてる状態。
ほんとはアクションコミック版で揃えたいのだが文庫版に乗り換えることに。
1冊の収録話数が異なる為、ネットでアクションコミック版と文庫版の対応表をチェックしての購入。
帰宅してHDDチェック。
「リンカーン」「働くおっさん劇場」「ガキの使い〜」とダウンタウン三昧。
「ガキの使い〜」カラオケで浜田が「私鉄沿線」熱唱してると、そこに「野口五郎」の姿、歌声がオーバーラップする(言葉にするとサッパリわかりませんな)というバカバカしいネタに大爆笑。
久々に大声出して笑った。
もう何回繰り返しても可笑しい。
よくこんなの思いつくなー。
夕方から桂米朝一門会@大津市民会館。
チケットを2枚もらったんだが、さらに一枚買い足して家族3人で観にいく。
米朝師匠は休養中のため、月亭八方が代演。
これはしょうがないね。
まん我、米左と心地よく噺が進んだとこで、なんと米朝師登場!
思わず「おぉ!」と声でたね。
まだ一席というわけにはいかないが、一言ご挨拶にと登場されたのだ。
「もう大丈夫です。来月からは高座にも…」との言葉。
生・米朝、生・人間国宝!
これは嬉しい。
で続いて雀々「代書屋」。
師匠譲りの抱腹絶倒な高座で会場が一気に華やぐ。
そしてざこば師「子は鎹」。
昨日書いた和田アキ子じゃないけれど、この人も落語を自分の方に引き寄せる。
「人」が滲み出る「いい」人情噺。
中入り後は代演の八方師「軒づけ」。
テレビでの自由でテキトーな姿と比べるといささか硬いような。
米朝師の代演というのはさすがにプレッシャーなのか。
でトリは南光師「壺算」。
噺自体が乾いた笑いが炸裂する「落語」らしい噺。
南光師もまた師匠の「陽」を引き継いだ華のある高座。
実に気持ちよく笑わせてくれる。
あぁ楽しかった。
落語はまだまだ知らないことが多いから、この先どんどん楽しめるなぁ。


2006-10-29「愛し愛されて生きるのさ」
9時起床。
妻と娘はご近所さんと遊びに行くとかで、一人朝から滋賀会館シネマホールへ。
黒木和雄監督の遺作「紙屋悦子の青春」観る。
時は昭和20年春。
鹿児島の田舎町で悦子(原田知世)は兄夫婦(小林薫、本上まなみ)といっしょに暮らしている。
戦時中ながら平穏な暮らし。
そこに悦子の縁談話が持ち上がる。
兄の後輩、明石少尉(松岡俊介)に密かに思いを寄せる悦子だが、相手は明石の親友・永与少尉(永瀬正敏)だった-。
ごく自然なふるまいとして、誰もが互いを思いやり、いたわりあう。
彼らは懸命に日常を暮らす。
小さな喜びや、小さな悲しみを積み上げながら。
「戦争」はそんな彼らの「小さな生活」を奪おうとする。
映画は淡々と彼女らの生活を映す。
爆弾が落ちてくるわけではない、でもじわじわと戦争はその影を広げていく。
前作「父と暮らせば」もそうだったが、黒木監督は声高に戦争反対を叫ぶわけではない。
そこに懸命に生きた人々の小さな暮らしを丁寧に描く。
そのことで「戦争」の不毛さを浮かび上がらせる。
社会的な難しい映画じゃない。
永瀬正敏演じる実直な永与と悦子のやり取りは微笑ましくもある。
だからこそ、もう二度とそこに影を落としてはいけないと思う。
楽天的な考え方かもしれないけど、僕らはもっと自然にお互いを思いあい、いたわりあえるはずだ。
時代なんて多分関係ないし、難しいことじゃない。
家族や友人を大切に思う気持ちって特別なもんじゃないだろう。
なんてそんなことを感じさせてくれる映画だった。
でココで特筆しときたいのは本上まなみ。
彼女がなんだかやけに良かったんだなぁ。
ま、めちゃタイプではあるのだが。
女優としては?というのが彼女の評価だったんだが、一気に女優・本上まなみ株が上がった。
上品なかわいさがあって目が離せなくなった。
もちろん我が永遠のアイドル、原田知世さんの笑顔の求心力たるや衰え知らずだけど。
でも原田知世、いい女優さんになったなぁ。
帰って「横丁」見ながら一人うどんすする。
徳井の「ヨギータ」相変わらずおもろ。
続いて「マルコポロリ」。
東野幸治の羽根を伸ばした司会っぷりが癖になって毎週見てる。
その後も「吉本陸上」や「そこまで言って委員会」見たり、ギター弾いたり、本読んだり、とインドア生活。
「松茸ごはんの素」があったので夕飯は松茸ごはん。
ま、ホンモノじゃないけど。
昨日買ってきたサンマを焼いて、大根と豚肉の煮物に、揚げ出し豆腐作る。
妻と娘帰ってくると同時に全て完成。
もうね、出来たら俺、俺の妻になりたい。
食後にはゼリーが冷え固まってるという(ゼリエースだけど)出来すぎぶり。
しかし怖いのはこれが当たり前になってるという事実。
娘はこれが一般家庭の姿だと思ってる。
父=休日ご飯作る人になってしまっているのだ。
娘の「未来の恋人達」に同情する。


2006-10-30「柳のように揺れるネクタイの」
月曜。
一時も心休まることなく夜の9時。
明日もバタつきそうだなー。
駅からの坂道を下る。
ポケットに入ってたアメ玉を口に含み、舌先で転がす。
懐かしい甘さが口の中に広がる。
甘くない現実のことはしばし忘れよう。
少なくともこのアメ玉は今、俺の味方だ。
礼を言うぜ。
今日も一日が過ぎてった。
で今日聴いてたのはキリンジ「DODECAGON」。
まだ最後まで聴けてないから、感想は後日。
しかしキリンジはいちいち曲名だけで痺れる。
「自棄っぱちのオプティミスト」なんていいねぇ。


2006-10-31「影の唄」
だから、結局ハロウィンってナニをどうする日なんだ?
そんな訳で月末。
わかっていても忙しい。
まぁ、いつものことさ。
駅からの坂道を下る。
ポケットにはしわくちゃのハンカチが一枚。
空回った親切だと気付いても後の祭り。
裏返ったコインで恨みを買うだけさ。
うすぼやけたオリオン座、空に滲む三日月。
頭のない影がまた伸びてく。
とかなんとか。
疲れてるな。
でキリンジ「DODECAGON」聴く。
一巡目はさらっと聴き流しちゃったが、二巡目突入で俄然その音のおもしろさに惹かれる。
エレクトロでメロディアス。
ダークなお伽噺。
耳に引っ掛かる音。
この気持ち悪い、気持ちよさ。
ソロを通過してのセルフプロデュース作。
剥き出されたキリンジの生理。
これは相当いいかも。
そんな訳で明日も聴こう。


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