2006年8月下旬

2006-08-16「しかしまぁ何だなぁ」
夏バテである、文章が。
もうね、ここんとこ何も書けない。
浮かばない。
枯れ果てている。
言葉が底をついた-という感じだ。
ここんとこ、向田邦子さんのエッセイとか、北村薫氏の小説とか読んでて、ああいった地に足が着いた、凛として清楚な文章に惹かれるんだが、どう転んでもああいったふうには書けない。
資質としてもっと俗で、野暮なんだな、俺は。
で今日もヒマ。
6時には会社出る。
パルコに寄り道して、改装前の売り尽くしセール中の無印でシャツを一枚。
紀伊国屋でクイックジャパン誌購入。
特集は森達也責任編集による「政治」と「長澤まさみ」!
なんちゅう組み合わせや。
でもまさにストライク。
なんつっても長澤まさみちゃん初主演映画「ロボコン」('03)を劇場で観てるからね、俺は。
小林信彦氏も言っている様に、彼女は「スター」なのだ。
何十年に一人の逸材。
ま、「ラフ」は観ないけどね(キッパリ)。


2006-08-17「夏らしい」
夜中、暑くて何度も目を覚ます。
クーラーはつけてるのだが、タイマーが切れるたびに目を覚ましてちゃしょうがない。
あー、なんだかなぁ。
朝も暑くって、服着る気にならない。
会社行く時間ギリギリまでパンツ一丁で過ごす。
ギリギリガールズ(意味はありません)。
25分の徒歩通勤。
会社につく頃にはすっかり疲れてる。
ま、なんとか仕事はこなす。
夏休みモード抜けきらず、やる気がでない。
やる気、元気、井脇(意味はありません)。
7時過ぎ会社出る。
妻と娘は花火観に行ってるので、一人スーパーで買い物。
半額のかつおのたたきを買う。
ついでに「アイスまんじゅう」を買って食べながらトボトボ歩く。
家に着いたらまずシャワーを浴びる。
シャワーな気分(意味はありません)。
冷蔵庫にあった油揚げを焼いて、たたきといっしょに日本酒で。
あー美味しい日本酒飲みに行きたいナー。
ニュース見てたら河合隼雄さん重体の報。
一時期、よく氏の本を読んでた。


2006-08-18「暗闇から手を伸ばせ」
長い一週間だった。
今日はサッサと帰るつもりだったのに、結局8時まで仕事。
お人好しというかなんというか。
外は蒸し暑い。
不穏な風が電線を揺らしてる。
とろみを効かせた空気が身体にまとわりつき、じっとりと額に汗が浮かぶ。
帰ってシャワーを浴びる。
身体にこびりついた不純物を排水口に流せ。
本当の穏やかさってどこにあんだ。
心に沈殿していく怒りや嘆きや恨みやつらみや妬みやもう全部。
なんだよ、これ。
もうたくさんだなぁ。


2006-08-19「水中モーター」
9時起床。
暑さでとろける。
窓を開けて、扇風機をフル稼働して過ごす。
ホント、もう中身のないダメ日記が続きますがすいませんね。
午後、少し町を散策。
来週出張なので駅で切符買って、本屋覗いたり中古盤屋覗いたり、図書館寄ってみたりダラダラと歩く。
ホント、つまんないでしょ。
夜、大津に帰省してきた友人と飲み。
いろいろ30代後半男子の胸のうちを吐露したり。
背中押されるような言葉を聞き、いっちょ頑張るかなんて思う。
ま、そのうち。


2006-08-20「サマーツアー」
8時起床。
今日は地蔵盆。
自治会長だからして1日立会い。
っつーか、ここに至るまでもはっきりいって大変だった。
ここ数年はお参りのみ30分で終了だったのだが、子供達も増えてきたからってんで、実に当自治会8年ぶりに本格的な地蔵盆することに。
軽く考えていたのだが、細々とした届出やお願い事、マンションの新世代と町内の旧世代との微妙な軋轢で既に僕も妻(子供会の担当)もヘトヘト。
ま、もちろん皆さん良かれと思ってイロイロ言ってくださってるのもわかるし、実際お世話にもなったんだが、まー疲れる。
もちろん妻は僕が動けない平日に準備したり、嫌味の一つも言われたりで僕以上に大変な思いをしている。
ご苦労様、そしてありがとうと記しておこう。
でも子供らは随分楽しんでくれたようだし、実際は新世代、旧世代とも多く集まってくれ交流もあったし、途中ふらりと通りかかった県知事が気さくに参加してくれるハプニングもありで良しとしよう。
しかし朝9時から夕方5時までずっと外であれやこれやと気を揉んで疲労困憊である。
ま、この後も会計処理したり報告したり御礼に回ったりといろいろあんだが、それはまた後日考えよう。
僕が子供の頃は、なんしか子供が一杯いたから地蔵盆って一大イベントだった。
毎年楽しみにもしてた。
こうして自分が大人になって取り仕切る立場になると、いやぁアノ頃の大人達はもっと大変だったんだろうなと思う。
地蔵盆が楽しい思い出として残ってる以上は、やはり自分の次の世代にもそう思わせてあげたい。
子供達、楽しい夏休みの一日を過ごせたかい?


2006-08-21「Seven Deadlines」
昨日は太田光と小沢一郎の微妙に噛み合わない対談を観る。
最近の太田光はリスクの高いことをあえてしてるように見える。
お笑い芸人としては全く得策ではないし、やるべきことじゃないとも思う。
でも、それでも「やらずにはいられない」いや、目に見えない何かに突き動かされ「やらされてしまう」太田光に僕は惹かれてしまう。
でチャンネル変えると、「大阪ほんわかテレビ」。
笑瓶ちゃんと中川家礼二が美輪&江原に扮するゆるゆるコントに爆笑。
ここんとこ毎週意味無く推している礼二の井筒監督のマネ「〜パッチギみればいいんだよ、パッチギを」もくだらなくてオモロ。
仁鶴師匠、大竹まこと、寛平ちゃんといった十分大人な面々が、全く思想も意味も無い軽演劇を繰り広げる姿は美しいし素晴らしいし、まったくもってくだらない(最高級の褒め言葉)!
で今日。
また、暑いなぁ。
会社出ると、やけに休みの人が多くて拍子抜け。
大丈夫か?というぐらい仕事らしい仕事も無い。
ちっちゃな仕事をダラダラ片付ける感じで、調子狂う。
さっさと帰って-ま、パルコには寄り道しちゃうんだけど-ビール。
平日、家で飲むなんてずっとなかったんだけど、この頃たまに飲むようになった。
一人、男前豆腐食べながらビールを煽る。


2006-08-22「抱きしめたい」
今日は久しぶりに音楽の話。
巡回先ブログのあちらこちらで目にする、はっぴぃえんど「風街ろまん」。
夏のうちに聴こうと思ってCD棚から引っ張り出す。
オリジナルは71年11月発売だから、35年前か。
僕はまだ一歳になってない。
日本の夏。
なんて特に意識したこと無かったけど、朝の日差しとアスファルトから立ち込める湿気を帯びた空気にまとわりつかれながら聴いてたら「日本の夏」が浮かび上がってきた。
日本の気候、この夏のやるせない暑さに根ざした音楽なんだなと思う。
一番古い夏の記憶ってなんだろう。
まだ埃っぽい舗装されてない道、蝉の鳴き声、蚊取り線香の匂い、網戸を抜ける風。
21世紀になってもやっぱり夏は暑い。
アスファルトに覆われた道、蝉の鳴き声はアブラゼミ、カトリスから目に見えないなんかが噴出してる、窓を閉めた部屋にはクーラーから涼しい風。
それでも、この夏の感覚は変わらない。
どこまでいってもギンギンギラギラの太陽だ。
そしてどこか湿気を帯びた大瀧詠一や細野晴臣の歌声は、もはや夏の一部なのかもしれない。
しかし改めて松本隆の詞を聴いてみると、やけにいいな。
目に映る風景と、心に映る風景がふっと入れ替わるような感覚。
覗き込んだ胸のうち、その先に広がってる宇宙。
手だれの表現とは違う青臭い輝きが、とても眩しい。


2006-08-23「暮れてゆく空」
今朝も相変わらず暑い。
今日は午後から会議で、その後懇親会。
幹事役なのでバタバタと。
湖岸にあるドイツレストランに皆さんをお連れしてビールで乾杯。
湖から心地よい風が吹き抜けるテラスで。
料理も美味しく満足いただけたよう。
幹事としては一安心。
しこたま飲んで皆さんを見送って、もう一回会社に戻る。
明日から出張なんでちょっと仕事片付けとく。
うん、でもやるんだよってなことで。
今日聴いてたのは高野寛「tide」。
この時のアコースティックライブは僕が観たライブの中でもベストに入る素晴らしいものだった。
ま、それはまた別の話。
ネオアコ、フリッパーズへのオマージュ的な「新しいカメラ」。
高野寛ってつくづく真面目な音楽家だなぁと思う。
日本のポップシーンをしっかり俯瞰で捉えていて、世代や音楽を繋ぐ重要な役割を果たしている。
何度も言うけど、もっともっと評価されるべき。
日本音楽シーンの最重要人物の一人なんだから。


2006-08-26「夏休みが待ち遠しい」
さて24日は出張で東京へ。
相変わらず新幹線は落ち着くなぁ。
車中で聴いてたのは野本かりあ「KARLY」。
今、あえて言うけど大傑作。
小西康陽の最高傑作!とはちょっと言いすぎか。
でもアルバムとしての構成力と完成度はとんでもない。
ハッキリ言って野本かりあはまるでタイプじゃないんだけど、この「KARLY」の主演女優として野本かりあの名前は僕の中に残り続けるだろう。
「私が死んでも」は音楽家・小西康陽の遺書みたいな曲だなぁ。
聴く度に泣きそうになる。
で東京着。
支局の人とランチして午後から会議。
夕方までざくっと。
で終了後から夏休みだ。
で浅草まで出る。
仲入り後からになったが浅草演芸ホールで落語。
東京ボーイズの生「謎かけ問答」が観れて嬉しい。
宮田章司さんの「江戸売り声」という芸も素晴らしかったな。
金魚屋とかさおだけ屋、飴屋なんていう「売り声」をお客さんのリクエストで次々やっていくのだがなぜだか懐かしい気持ちになる。
懐かしいもなにも知らないんだけどね、おかしなもんだ。
晴乃ピーチク師匠の漫談も最高。
お客さんを巻き込んだ軽妙な喋り、軽くて笑えてね。
で落語のほうは「禁演落語の会」ということで戦時中、不謹慎ということで禁じられていた落語が演じられる。
三笑亭夢太郎師「目薬」。
江戸の気のいい夫婦のちょい艶話。
三遊亭遊三師は廓噺「お見立て」。
最後は春風亭小柳枝師で「蛙茶番」。
言葉の伏線が後からじわじわ効いてくる。
この手のバカバカしさって好きだなぁ。
そこらでワンカップ片手の親父がごろごろ寝ている浅草を出て、南千住の安宿で一泊。
で翌朝、バスでまた浅草に出て、そこから始まり1日東京観光。
下北沢をうろついたり、長谷川町子美術館行ったり、意味無く六本木ヒルズとか銀座とか、アースダイバーな感じで歩き倒す。
最終八重洲でトンカツ喰って終了。
足パンパンなままバスで帰宅。
7時前には大津。
で今日は結局1日グータラと。
太田光・中沢新一「憲法九条を世界遺産に」読了。
このラディカルでロマンティックな理想主義者の本については後日。


2006-08-27「ベステンダンク」
太田光と中沢新一の対談をまとめた「憲法九条を世界遺産に」は、熱を帯びた本だ。
中沢新一は前書きでここ最近の太田光の言動を「最前線にたったひとりで踊り出て、背後にひとりの援護射撃もない状態で、太田君はラッパを吹いているのである」と評する。
同感である。
リスクだらけなのは目に見えてる、虚しいまでに空回ってることも自覚してるだろう。
芸人が言うべきことじゃない-それでも「言わずにはいられない」という衝動。
それもまた太田光が紛れも無い「芸人」だからなのだと思う。
宮沢賢治の矛盾をきっかけに二人は「憲法九条」を語り始める。
考え方は人それぞれだろうから押し付けるものではない。
僕自身で言えば何度となく日記にも書いてることだけど-「感受性」と「想像力」の欠如が戦争を生む-と思ってる。
まさに同じことが書いてあって共感というより共振という気持ちだ。
子供じみてて、非現実的で、ロマンティックで、理想主義的な考え方かもしれない。
いくらでも批判できちゃうだろう。
でもしょうがない、魂が震えてしまうのに理屈はないのだから。
それに僕は、子供じみてて、非現実的で、ロマンティックな理想主義者だからな。
あっ、でもこの本、読み物として単純に面白いんだ。
「一万年規模の歴史性を持った平和思想」と「憲法九条」を捉える中沢新一のアースダイバー的なロマンティックな視線とか、太田光の「芸」論にもなってて、もともと二人のファンだからめちゃめちゃ楽しめた。
で今日は娘のピアノ発表会。
練習嫌いの娘が毎日頑張ってたのは知ってるから、もうね、いいんだ。
素晴らしい演奏だった。
いい奴なんだよ、俺の娘。
「24時間テレビ」。ガンバレの洪水は勘弁してほしい。
とりあえず奈良会場に「なす・なかにし」っていう「もっさり感」が一番良かった。
ビデオで犬童一心監督「タッチ」観る。
まあね、2時間にまとめるのは無理あるよね。
脚本失敗してるし。
でもとりあえずほぼ全編、長沢まさみちゃんがノースリーブだったとこが偉い。
犬童監督、わかってらっしゃる。


2006-08-28「最後まで楽しもう」
さて、ここんとこ毎日のように聴いてるのが吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズ「Seven&Bi-decade」。
音の楽しみに満ちたアルバム。
親父達の笑えるボヤキ芸、この感覚まるで寄席で落語を聞いてるようだ。
スウィンギンなイントロから「最近どう?近頃どう?」と呼びかける一曲目頭数秒で、いやなこと忘れられる。
「IT Boogie」や「物件に出物なし2006(物件に偽装あり)」なんて世相を皮肉る曲も、落語家が「いや、しかしなんですな、最近の〜」と語りだすマクラのようで「切る」というより「ちょっとおちょくる」感じがたまらない。
血圧が上がっていく様を歌った「150〜300」の人間臭い可笑し味。
Leyonaが色っぽくてかわいいヴォーカルを聴かせる「SILENT GEORGE」も最高。
しかし、なんでこういう音楽がラジオから流れてこないのか理解に苦しむ。
で会社帰りにパルコへ寄って「木村祐一展」観る。
入場料200円、ちょうど元が取れる感じで。
それにしても昔々、深夜で「摩訶不思議ダウンタウンの…」なんて番組ゲラゲラ笑いながら見てたけど、当時まだ全国区では無名、関西でも2軍扱いだった木村祐一に今田、東野、板尾創路…いまや全国区で「笑いの強打者」としての地位を確立してるもんなぁ。
そりゃレベル高かったはずだよ。


2006-08-29「学校出たのかな」
なんだか、ダリぃーなぁー。
夏バテってことにしておこう。
黙々と仕事して、粛々と残業して、鬱々として帰る。
食後に阿闍梨餅食べてちょっと元気になる。
甘いものは偉大だね。
画像は東京で買ってきた「草野☆キッドチョコブッセ」。
六本木ヒルズ行って唯一の買い物がこれ。
っつーかこれ目的でわざわざ六本木に立ち寄ったんだけど。
ドラえもんグッズを手にした子供達に混ざって、いい年したおっさんが嬉々としてこの箱を持って並ぶのはちょっと恥ずかしかったが…。


2006-08-30「真夏のストレート」
ここんとこ火曜日は、「リンカーン」をビデオ録画して「結婚できない男」(阿部寛の「動き」はMr.BEANを参考にしてるのだろうか)を観るというパターン。
昨日もそうだったのだが、その合間を縫って「きよしとヘレン」のドラマ観る。
というかもう一台のビデオで録画してしまっている。
西川ファミリーウォッチャーなもので…。
過去、生瀬勝久や板尾創路が演じてきた西川きよし役についに真打登場、息子の忠志がきよし役を!ってことでこれはおさえとかないと。
「西川ファミリーで誰が一番好き?」と問われれば迷わず「忠志!」と答える。
いや、今まで一度もそんな質問されたことないが。
これから先もきっとないだろう。
あえて初対面の人にこの質問をぶつけてみるのもいいかもしれない。
「林先生!(かの子の夫)」と即答してくれたなら、僕はその人のことを大好きになってしまうだろう。
ま、そんなことはどうでもいいのだが、忠志見てるだけでオモロイわぁ。
やすし役の二丁拳銃・川谷は、なぜこのキャスティング?と思ったが意外に巧かった。
坂田利夫役にジャリズム・山下…なんちゅうなげやりなキャスティングや。
しかしドラマの内容については全く興味ありません(キッパリ)。
そんなこんなで夏も終わり。
月末ということで今日はド仕事。
目が疲れた〜


2006-08-31「どうにかなっちまう」
月末。
八月も終わり。
なんだか疲れた。
考えれば考えるほど、喋れば喋るほど空回っていくもんさ。
沈み込んだ気持ちを、浮かび上がらせるのは容易じゃない。
11時過ぎ会社を出る。
雨がしみこんだ真っ黒なアスファルトを、薄汚れた靴が踏みつける。
吐き出した息は行き場を失い、やがて足元に転がる。
なんだか今日は疲れた。


2006年9月上旬の日記へ


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