2006年4月上旬

2006-04-01「ひとつだけ」
まずは昨日のこと。
父、朝から手術。
午後、無事終了と母からの電話。
とるべきものはしっかりとって、まずは大成功。
これからが大変だろうが、ひとまず安心。
夜、仕事終え実家に車飛ばす。
車中の音楽はカーネーション。
ここ一番はやっぱり、カーネーションだろ。
男気を注入する。
実家に着くと、母が夜食を用意してくれていた。
数日前は泣き崩れていた母も、やっと安心できたよう。
食べながら、喋り続ける母の話をウンウンと聞く。
そして数年ぶりに実家に泊まる。
改築後の実家に泊まるのは初めて。
約20年暮らした家は、数年前に全面改築して今は見る影も無いが、それでもその土地の感触と言うのだろうか、懐かしく感じるから不思議だ。
で今朝は8時前に起床。
トーストにハムエッグにサラダに苺。
実家ならではの豪華な朝食。
何が嬉しいかって、自分で作らなくてもいいんだもん。
で母、兄とともに病院へ。
父はまだ集中治療室。
1時間ばかり待合室で待ってると、個室への移動が完了したと看護婦さんが呼びに来てくれる。
父は身体にいろんな管つけてるものの、意識はもうハッキリしてる。
「大丈夫や、ほら力もあるやろ」と僕の手をギュッと握る。
ずっと子供の頃、多分小学1年とか2年とかそのぐらい。
父と二人で散歩をしたことがあって、父は僕と手を繋ごうと僕の手を握ってくるんだけど、僕はなんだか恥ずかしくて、その度に手を離そうとした。
その時のなんとも言えない気持ち、そのとき歩いてた道、風景をなぜだか今でもずっと覚えてる。
こうして父に手を握られるのは、もしかしたらその時以来かもしれない。
病室に家族四人が揃う。
僕が結婚して家を出てから、こんな風に家族が四人だけで一つの部屋に揃うなんてことさえなかったな。
真面目だけど冗談が好きな父、明るくて陽気でお喋りな母、お調子者で優しくて遊び人の兄に、陰気でひねくれてて甘ったれな弟(僕)。
そんなありふれた家族。
でも世界でたった一つの家族。
一安心したとこで、兄貴を実家まで送って、そのまま大津に帰る。
ソファーには必至でマリオカートに興じる妻と娘。
その横では当たり前のように黒猫がくつろいでる。
で陰気でひねくれてて甘ったれで、不器用な器用貧乏の父は早速、夕飯を作りはじめるのだった…。


2006-04-02「アーリーモーニング」
朝から家族と病院へ。
義父、義母もお見舞いにと言ってくれていたのでいっしょに。
父、昨日はあまり呂律が回ってなかったが、今日は随分ハッキリと喋れてる。
で義父らを送って、そのまま買い物。
雨の日曜、スーパーも混み合ってる。
うどんからピザ、ソーセージにヨーグルト、さつまあげにジュース、卑しく試食しながら家族で「今日のおやつはこれで十分やなぁ」とかなんとか。
なんだか、ゆるいよねぇ。
WOWOWで「キャット・ウーマン」やってたので観る。
まったくもって何も感じない映画。
響かせようとしてないんだから、響きようもないやね。
しかしハル・ベリーになら蹴られてもいい。


2006-04-03「PASSING BY」
四月最初の月曜。
ま、何があるというわけではないが。
昔から新学期ってのが苦手だった。
人見知りが激しくて、陰気でひねくれてた僕は、新しいクラスに馴染むのが毎年一苦労だった。
2学期まで友達が出来ないタイプ-というのは冗談ではなく本当のことだ。
実は今でもそうで、自分をうまく表現できないでいる。
ってまったく35歳の親父が何言ってんだか。
黙々コツコツと作業仕事。
あー、どっか行きたい!
今日聴いてたのは小西康陽選曲によるピチカートファイヴのベスト「pizzicato five I love you」。
僕がどうしても小西康陽を嫌いになれない理由がここにある。
ハッピーでキャッチーなピチカートの、ひどくシリアスで悲しくて美しい歌。
今でもずっとリアルに胸に響く。


2006-04-04「流れ星老人」
仕事やっと少し落ち着いてきた感じ。
要領悪いので、なかなか机周りがキレイにならないが。
夜、会社出ると雨。
ちょうどバスが来たので珍しくバスで帰る。
あー、このままどっか連れてってくんないかな。
で今日聴いてたのは「ナゴムポップスコレクション」。
「ナゴム」は80年代「有頂天」のケラが主催したレーベル。
大槻ケンヂや石野卓球、田口トモロヲなどを輩出したことで有名。
まさに80年代、ラフィン・ノーズ、ウィラード、有頂天がインディーズ御三家なんて呼ばれてたころ。
田舎の中学生だった僕は、A5版の「宝島」が教科書でサブカル街道まっしぐらだった。
「俺はちょっと違うぜ」なんて今思えば自意識過剰な、いかにもな中学男なんだけど。
もう「ナゴム」って聞いただけで懐かしい。
まぁ僕はもうちょっと完成されたポップスが好きだったから、ドストライクだったわけじゃないけど、やっぱり気にはなっていた。
でこの「ナゴムポップスコレクション」にはカーネーションのデビューシングル「夜の煙突」が初CD化。
ラジオのインディーズ特集でこの曲を聴いたのが、僕とカーネーションの出会い。
この時、エアチェック失敗したんだよ。
この後の「DUCK BOAT」以降は全てリアルタイムで入手してんだけど、このシングル盤だけが手に入れられなくってねぇ。
もう20年ぶりにナゴム版「夜の煙突」と再会!直枝さん、歌声若っ!捻くれた構成、ニューウェーヴィーな音、でもこのドポップなサビの力強さは永遠だな。
この曲は世界ポップソング100選なんてのがあれば確実に選ばれる。
世界ポップ遺産に認定したい。
そしてグランドファーザーズの曲も収録。
ケラの先見性たるや素晴らしいな。
青山さん、すでにこの時点で十分個性的。
西村さんのギターもちゃんと西村さんのギターってわかるもんな。


2006-04-05「空の停車場」
今日も雨。
バス通勤。
仕事地道に片付けてたら、もうなんか鬱々としてくる。
というか、俺ってなんて鬱々とした人間なのだろうと薄ぼんやり考えてたら、鬱が鬱を呼ぶようにさらに鬱々としてきて、すっかり気分が滅入ってしまった。
会社にも居たくないし、家にも帰りたくない。
しょうがないね、どうも。
だからゆっくりと音楽を聴きながら夜の散歩。
畠山美由紀「リフレクション」聴く。
これ、素晴らしい。
97年に出たport of notesのデビュー盤はその時に買ってるから、彼女のことは随分前から知ってたことになる。
でもちょっと好みの声じゃないかなぁってことで今までしっかり聴いてなかった。
で今回フルアルバムをじっくり聴いてみたわけだが、いや、これが本当に素晴らしい。
丁寧に丁寧に作られたアルバムで、その姿勢にまず好感が持てる。
彼女の声は、いい意味で歌謡曲声で、それこそ「火曜サスペンス」の主題歌でも違和感ないようなそんな感じ。
上手いんだけどただキレイなだけの声じゃなくて、艶かしい色気、生々しい匂いがかすかに感じられる。
そこがいい。
崇高なまでのエロかっこよさ。
自身の作による「くちづけ」、堀込泰行作曲の「若葉の頃や」なんていうちょっと癖のあるメロディーに、彼女の声が魔法をかける。
1回目よりも2回目、2回目よりも3回目聴けば聴くほど、その声に引き込まれていく。
さわやかなメロディーから徐々にフラメンコギターが激しさを増していく「水彩画」なんて、聴いていくうちにどんどんその音楽に飲み込まれていくのがわかる。
その感覚って音楽を聴く醍醐味でもあるんだよね。
それから1曲目の「ある晴れた日に君は似てる」。
このタイトル、このフレーズ素晴らしい。
-ある晴れた日に、君は似ている-なんてロマンティックな!
そのフレーズいただきっ!
…っていつ誰に使うんだよ。
にしても彼女は「顔声一致」だなぁ。
中ジャケの写真に見とれる。


2006-04-06「ただ、在るだけ」
今日も畠山美由紀聴きながら通勤。
まだ咲ききらない桜の木の間から、零れ落ちる朝の光がとても気持ちいい。
ひとしきり仕事。
とにかく誠実に仕事やるように心がける。
苦手なところではあるんだけど、ボンクラな分、心がけだけでも。
夜、風があって少し寒い。
ずっと畠山美由紀聴く。
実にいい。
胸に染み入る。
この声に包まれてたいって思う。
孤独をこじらせて倒れそうな時にはいつも、音楽にくるまってた。


2006-04-07「ある晴れた日に君は似てる」
金曜。
会社今日は人も少なくのんびり。
同僚とお喋りしつつ小さなことをコツコツと。
週末の夜、久々に映画でも。
アン・リー監督「ブロークバック・マウンテン」観る。
1963年夏、ブロークバックマウンテンでの出来事。
牧場に雇われた二人のカウボーイ、寡黙で無骨なイニス(ヒース・レジャー)と奔放なジャック(ジェイク・ギレンホール)。
過酷な労働条件の中、二人は徐々に気を許しあい意気投合していく。
ある夜、二人はふいに何かがはじけたように結ばれる。
二人は二人だけの秘密を持ってしまうのだ。
夏が過ぎ、二人は秘密を胸の奥に隠したまま日常に戻っていく。
イニスは結婚し、二人の子供をもうけ貧しいながらも夫として父としての暮らしを全うする。
ジャックも大富豪の娘と結婚し子供をもうける。
不満なんてあるはずのない暮らし。
あの夏から4年後、ジャックがイニスのもとを訪れる。
二人はお互いがお互いを強く求めていることをしるが、それは決して明かしてはいけない秘密。
それから20年二人は年に数日だけつかの間の逢引を重ねるのだが…。
という、まぁなんつーか深い話ですわ。
でもこれ凄くいい映画だった。
これは胸に開いた「穴」の映画。
極端な描き方をしてるので、とっつきにくかったり、共感しにくかったりもするんだが、どこか理解できる。
秘密は時として人を捕らえて離さない。
不安なんてあるはずのない暮らし、でもこの飢餓感はどこから来る。
いろんなもん背負って、何食わぬ顔して日常を過ごしてるけど、誰かにすがりついて泣きたいこともある。
おっさんだって、誰かに抱きしめられたい時があるのだ。
イニスとジャック、二人の瞳の奥にある暗い影。
秘密にすがることは罪なのか。
どうすることも出来ない感情、胸の震え。
強くなんてないんだ。
うーん、いろんなことを感じながら考えながら観た。
そういう映画。
で話大きく変わるけど、一言だけ。
今日生まれた新しい命に祝福を。
僕が出来る小さなお祝い。
今日の日記のタイトルを、今日が誕生日になる赤ちゃんに捧げよう。


2006-04-08「戦争は終わった」
休日。
8時起床。
妻と娘は今日、明日と近所の奥さん&チビッコ軍団でログハウスでキャンプ。
つーことで真の休日だ。
二人を送り出し、朝から別宅・滋賀会館シネマホールへ。
ずっと観たかったテリー・ジョージ監督「ホテル・ルワンダ」観る。
1994年、ルワンダ。
民族抗争が激化し、わずか100日の間に100万人もの罪なき人々が虐殺される。
そのさなか、一人のホテルマンが、ホテルマンとして培われた叡智と機転で、1200人の命を救うことになる実話がベースになっている。
もうずっと胸を揺さぶられ続けた。
もうずっと涙が止まらなかった。
「全米が泣いた」的なやわな感動話なんかじゃない、この涙はそんなもんじゃない。
ずっと人間という存在について考えた。
正義の名のもとに、ナタを振りかざし、いとも簡単に人を殺すのも人。
昨日までの隣人に何の罪も無いのに殺されるのも人、その命をなんとか守ろうと苦悩し戦うのも人、その事実を他人事として見て見ぬふりをするのも人、そんな事実すら知らないのも人。
みんな同じ人間なのだ。
わずか12年前の出来事。
僕は去年、町山智浩氏の日記でこの映画が紹介されているのを読んで、初めてこの虐殺の事実を知った。
同じ星に暮らしながら、100万人もの人が虐殺されていたことすら知らなかったのだ。
全く恥ずかしい話だ。
主人公、ポール(ドン・チードル)は決して特別な人間じゃない。
スーパーマンでもなければ正義のヒーローでもない。
ただ、愛する人が虫けらみたいに殺されることを望んでいないだけのこと。
その気持ちを守りぬくことが結果1200人もの命を救うことになる。
愛する人が目の前で頭をぶち抜かれたら、どんな気がする?
ちょっとした想像力があれば、とても普通な気持ちじゃいられないだろう。
誰もそんなこと望むわけないじゃないか。
でもね、悲しいことに、現実はそうじゃなかった。
人間の歴史を見てみるとそれがよくわかる。
だって戦争はいつまでたってもなくならない。
僕たちはいつでも隣人の頭をぶち抜く可能性があるし、ぶち抜かれる可能性がある。
これは他人事じゃない。
12年前、ルワンダでは隣人を守る人より、隣人の頭をぶち抜く人の方が圧倒的に多数派だった。
日本だって、数年前まで隣人の頭をぶち抜くことが正義とされ圧倒的に多数派だったし、もしかしたら今その状況になれば、悲しいかなそうかもしれない。
アメリカは隣人の頭をぶち抜くことこそが正義だと言ってるように僕には聞こえる。
愛する人を守る為に、殺しあうなんてナンセンスな話じゃないか。
でも、戦争はどうしてなくならないのかな。
ずっと考えてた。
なんて悲しいんだろう。
お前はどっちなんだ-自分に聞いてみる。
どんな状況下にあっても、愛する人を守る、その気持ちの強さを持っていられるか。
どんな状況下にあっても、隣人の頭をぶち抜く側じゃなくて、守る側にまわれるか。
たとえ、自分の頭がぶち抜かれようとも。
この映画は、はるか遠くの物語じゃない。
ほんの数年前、同じ星で起こった現実なのだ。
そしてそれは自分にも繋がっている。
その現実は今もすぐそばに在るものなのだ。
もし、この映画を観ることが出来るのなら、是非観て欲しい。
そして考えてみて欲しい。
自分自身の問題として。
午後、父が入院する病院へ。
玄関先の桜は満開ではないけれど、とてもキレイ。
父、手術して二週間、一人で歩けるようになり、クッキーを1枚ゆっくりゆっくり食べられるようになった。
後2週間ほどで退院できるかもとの話。
人間の回復力って凄い。
病室で父と母と3人で。
夕方まで居て、母と一緒に帰る。
帰り道で寿司を買って、二人で夕飯。
で帰宅。
一人チューハイをちびちび。
新番組「くるくるドカン」で掟ポルシェ氏に大爆笑。
こういうくだらなさを、本気で守りたいって思ってる。
頭ぶち抜かれるとしてもね。


2006-04-09「ハッピー☆アンラッキー」
8時には起きようと思ってたのに結局は10時前起床。
ベランダで黒猫がニャーニャーうるさい。
窓を開けてミルクと餌をやって、それから自分の朝食。
ホットドックを作って、のんびり新聞読みながら食べる。
なんて穏やかな朝なのか。
着替えて、掃除機をかけて、天気もいいので散歩。
近所をブラブラ歩いて、そのままパルコ行って、ちょうど上映時間だったので映画観ることに。
マキノ雅彦監督「寝ずの番」観る。
原作は中島らも。
上方落語界の重鎮・笑満亭橋鶴(長門裕之、絶品なり)の今まさに臨終の時から話(いや「噺」と書くべきか)は始まる。
掴みはOK的な艶笑噺を手始めに、師匠、一番弟子、おかみさんと3連続のお通夜の席で、弟子達によって繰り広げられる爆笑噺の数々。
あまり期待はしてなかったんだけど、意外に拾い物。
バカバカしいまでのエピソードに艶噺、これが見事に粋に語られるのだ。
人間の可笑しみが詰まった、愛すべき映画。
笑えて泣ける、これぞ純日本映画ってとこだ。
主演の中井ミキプルーン貴一をはじめ、前出の長門裕之、笹野高史(めちゃめちゃいい味だしてますよ)、岸部一徳(さすが!)と役者がいい。
通夜の作法にやたら詳しい、茶髪の弟子・橋枝を演じた木下ほうか氏に個人的には大注目。
それから中井貴一の気の強い妻を演じた木村佳乃が良い。
この人、森田芳光監督の「阿修羅のごとく」でも思ったんだが、どこかカラッと乾いてるんだよね。
決して上手くはないのだが、日本の女優さんにありがちな「べたついた演技派」とは正反対でそこが魅力。
大傑作ではないけれど、なんか人間って可笑しいな、やっぱ好きだなって思える映画。
ま、日曜の昼間に観る映画ではないけどね。
でも観客結構入ってたな。
平均年齢オーバー60だったけど。


2006-04-10「レインボー・シー・ライン」
娘、今日から新学期。
もう3年生。
早いなぁ…としみじみ。
朝からなんとなく調子悪し。
2月、3月と肉体的にも精神的にも不調だったので、4月はなんとか盛り返したいのだが。
特になんてこともなく一日が過ぎる。
仕事を終え、会社を出る。
雨に濡れたアスファルトの上に、桜の花びらがちらばっている。
帰り道に聴いてたのはアン・サリー、03年作「day dream」。
彼女の声もまた素晴らしい。
一歩一歩、歩を進める。
着実に時間は過ぎていく。


2006-04-11「少年カリブ」
朝から激しい雨。
バス通勤。
なんだかなぁ。
で今日は定時で退社し、大阪へ。
急いで駅に向かったのに電車が大幅に遅れてやがる。
うーイライラしちゃうな。
でだだ混みの電車に揺られること40分、大阪へ。
そこから地下道を、西田敏行演じるところの「サンキュー先生」よろしく、競歩スタイルで歩きぬける。
で今日はあがた森魚@梅田レインドッグス。
これがまた良かった!
がさすがに仕事後、大阪往復はしんどい。
つーことで、感想は明日!


2006-04-12「クレゾールの魔法」
で昨日のあがた森魚@梅田レインドッグスの話。
雨の中、なんとか開演ギリギリに辿り着き、モスコミュール飲みながら、あがたさんの登場を待つ。
レインドッグスは初めてだったが、天井が高い、いい感じの小屋。
全員座れるぐらいのちょうどいい集客。
であがたさん登場。
今回はラリーパパの水田十夢(ベース)、太田ピカリ(ドラム)、佐藤ふくみ(ヴァイオリン)、五十川清(パーカッションetc)というバンドスタイル。
これがかっこよかった!
水田十夢氏のグルーヴィーなベースがバンドを転がしていく、美人ドラマー・太田ピカリ嬢の音は初めて聴いたが、タイトなドラミングはバッチリ僕好み。
キュートなコーラスも最高で、心奪われた。
この若きリズム隊が今回のポイント。
でももちろん、あがたさんだ。
彼の音楽を聴いてると、時間とか時代とか、場所とか空間の境界線が全部なくなっていくようだ。
全てを越えてしまう。
例えば彼が55年を歌ったり、76年を歌うとき、それはノスタルジーではないし、過ぎ去った時間ではない。
そこに隣り合ってる。
小樽も東京もドミニカも、そこに在る。
どんなものも彼の音楽を縛り付けることはできない。
自由に自在に飛び越えていく。
そこにどうしようもなく惹かれてしまう。
そうそう、アンコールで高浪敬太郎作曲「空飛ぶ理科教室」を聴けたのが、嬉しかった。
ピチカートの91年作「レディメイドのピチカートファイヴ」に高浪ヴォーカルヴァージョンが収録されてて、それがずっと大好きだったから。
本家・あがたヴァージョン痺れたなぁ。
で今日。
午後、会議で京都まで。
駅までの道すがら、桜の花の隙間から覗く曇り空。
どこか晴れきらない気持ちみたい。
ボケーっと歩いてるとなぜか頭の中で「バイバイしないで〜」という森三中・黒沢嬢の歌声が回る。
なんだそれ。
別に好きでもないのに、なぜか耳について離れない歌ってのがあるね。
例えば、80年代後半「ミュージックトマトジャパン」で嫌がらせか!っちゅーぐらい流れてたアンジーの「天井裏から愛をこめて」とかね。
20年近く経ってるのに、まだ頭の中で「天井〜裏から愛をこめて〜う〜ら〜」ってフレーズが流れることがある。
「バイバイしないで〜」ってなんだこの歌。
ところで森三中はポスト・シティボーイズ狙えると思う。
いい作家をつけて、ライブ展開していけばおもしろいと思うんだけどな。
三人のバランス感がなんか良いんだよね。
大島を突っ込みにしてナンセンスなコントを力入れすぎずにやってけばいい。
シティボーイズライブの数々のフライヤーを思い出して、そこの三人の姿を森三中に置き換えると上手くはまるんだよね。
ダチョウ倶楽部でもネプチューンでもインスタントジョンソンでもましてや安田大サーカスでもなくて、森三中なら不思議とはまるんだ。
あと意外にレッツゴー三匹もはまる。
で3時間近い会議を終え、疲れたのでちょっと京都駅で寄り道。
近鉄の大型書店へ。
大津では紀伊国屋でも所詮絶対量が少ないから、出会えない本があるんだよね。
イロイロ物色して吉田豪「セメント!スーパースター列伝」購入。
地下の食品売り場に「ロンドン焼き」を売ってて懐かしくて買っちゃう。
子供の頃、新京極通りのロンドン焼き屋で、ロンドン焼き製造機がコトコト動いてロンドン焼きをドンドン作っていくのを見てるのが好きだった。
理路整然と動く機械を見るのって、麻薬的な気持ちよさがあるよね。


2006-04-13「Urtra sonic Bicycle」
そんな訳で行ってきました、青山陽一、ママレイド・ラグ@心斎橋クラブクアトロ。
スゲーもん観ちゃったよ。
なんなんだ、あの音は!
青山陽一&BM'S、最強のトリオじゃねーかっ!うぉーっ!って気分なんだが、さすがに仕事後、大阪往復はキツイね。
ライブもずっと立ちっぱなしだったし。
体力の限界だなぁ…てことで感想は明日


2006-04-14「FRIDAY RIDER」
で昨日の話。
無理やり仕事終わらせて、電車に飛び乗り心斎橋まで。
青山陽一&The BM's、ママレイド・ラグ@心斎橋クラブクアトロ。
まずはママレイド・ラグから。
音はちょこちょこ耳にする機会はあって、趣味のいい地味なバンドって印象だったんだが、例の青山陽一DVDで-こやつ、なかなかやるなぁ-ってことでちょっと期待。
ギター&ヴォーカルの田中氏は、とにかくニクイぐらいの男前。
クールな佇まい、不敵なニヤリ笑い、かっこいいギター弾きっぷりに、こりゃ婦女子は“じゅん”ときちゃうはずだと思う。
でそんな男前の音楽も、なかなかの男前っぷり。
意外と骨太で、ハードな曲のほうにむしろ可能性をみた。
放っておいても、彼はこれからのポップミュージックシーンを背負って立つ一人になるだろう。
で、青山陽一&The BM'sだよ。
出たよ、これ。
も一曲目からのけぞっちゃった。
スゲー音なんだもん。
貫禄。
青山さんに中原由貴(ドラム)、伊藤隆博(オルガン)のオルガントリオ編成。
凄まじいまでの演奏。
ハードロックとこういう音楽のことだと思うな、実際。
とにかく音の洪水(いや、陳腐な表現だけど、ホントそうなんだもん)にただ身を任せるしかない。
せめぎ合う三つの音。
青山さんのギターがうねる。
こりゃ、たまらん。
全くまともな感想になってませんが、一言「スゲー」でいいでしょ。
この音聴いて何も感じない奴なんているかよってこと。
ママレイド・ラグファンで初青山体験だった人もいたかもしれないが、確実にちびってるはずだ。
でママレイド・ラグの二人交えてのアンコール、クリームのカヴァーナンバー。
青山-田中のギター合戦、音の会話、最高!
ここ数年みたライブの中でもベストアクト。
スゲー、スゲーって心の中で叫ぶ。
参ったよ。
客電ついてるのに、いつまでも鳴り止まない拍手。
あの場に居た皆が同じ気持ちだったよね。
しかし、青山&BM's恐るべし。
このトリオでライブレコーディングしちゃって下さいよ。
いや、すべきでしょ。
で今日。
金曜、仕事がんばる。
ちと今週は遊びすぎたか。
いいか、ウォッチャーが本業だもん。


2006-04-15「Family Affair」
昨日は久しぶりに夜更かし。
本読んだり、音楽聴いたり、ネット徘徊したり。
そうそう本といえば、リリー・フランキー「東京タワー」読む。
今更というか、あえて避けてたんだけど。
en-tax誌初号の連載一回目はその時点でチェックしてたし、氏のオカンものだったら悪いわけないのはわかってた。
それと根が天邪鬼なので「泣ける」とか「大ヒット」とか盛り上がれば盛り上がるほど背を向けたくなるし、俺が読む必要ないだろって気になってた。
リリー・フランキー氏のことを知ったのはもう随分前で、それこそ当時インディーでアイドル活動してた宍戸留美のアルバムを作ってたりしてた頃。
初期の単行本はほぼ揃えてて、調べてみたら99年1月には「今、日本で一番おもろいコラムニスト」と日記に書いてる。
だから去年ぐらいからの消費されていく「リリー・フランキー」ブームには、なんかガックリ感があるんだよね。
ま、応援してたバンドがメジャーになって寂しいみたいな、陳腐なファン心理なんだが。
安易に「泣いた」とか言われると、その感覚にゾッとしちゃう。
でなんで読むことになったかというと、珍しく妻が図書館で借りてきたから。
ま、それだけなんだけど。
感想は書かなくていいよね。
超私的な想い、それは尊いもんだから。
数日前、「ほぼ日」で糸井重里氏が今年は「家族」がテーマってことを書いてたが、僕自身も確かにその感じがある。
自分の日記を読み返してみても、今年はイロイロあってやたら家族のことを書いてる。
そのタイミングもあって「東京タワー」もずっと避けてたのに、読むことになったんだろうな。
で今日。
9時半起床。
朝から自治会の書類をウンウン唸りながら作る。
ホント、自治会長なんて安請け合いするんじゃなかった。
出来もしないのに、ついつい「わかりました。私がやります」って言っちゃうんだよね。
その結果、迷惑をかけるという…なんとも、情けない。
ビデオでこの前の「めちゃイケ」スペシャル濱口どっきり企画観る。
毎度ながら、徹底してバカバカしい。
この作り手の本気さは貴重だ。
夜、自治会の会合。
そのために朝から書類作ってたのだ。
なんとか無事終了。
会場の手配から、案内の配布やらイロイロ面倒だったが、これで一安心。
ってまだ始まったとこじゃないか。
あー、既にめんどくせぇ。


2006年4月下旬の日記へ


今あなたがご覧になっているHPは「OFF! 音楽と笑いの日々」です。
引き続きお楽しみ下さい。