2006年3月上旬

2006-03-01「ボブ」
3月。 雨の朝。
庭先の野良猫はますます図々しくなって部屋の中で、俺より豪華な朝飯を食べている。
で夜も雨。
今日聴いてたのはまたまたNONA REEVES「3×3」。
もう既に何十回と聴いてるが、飽きない。
聴く度に新しい発見があるってのは良いアルバムの絶対条件。
ずっと聴いてて思ったんだが、このアルバムは「音楽」についてのアルバムだ。
どうして僕らは音楽を聴くのか?音楽はどこからきて、どこに行くのか?音楽を巡る旅の過程。
音楽へ向けて歌われるラブソング。
優れた音楽は、音楽そのものがメッセージになる。
ちょっと類をみないぐらい緻密に作られたアルバムでもある。
曲の並びは当然、一音一音の選び方、その残響、曲間の秒数、そして選び抜かれたメロディ、声の乗せ方…。
こだわり?そんなもんじゃない。
音楽が与えてくれたもの、教えてくれたこと、音楽への深い愛と畏敬の念が、自然とこうさせたんだと思う。
彼らの音楽への向かい方は、間違いなく正しい。
なんて難しく言わなくても、聴けばわかるよね。
何かしながらとか、いろんなこと考えながらとか、そんな風に聴きはじめたのに、いつの間にかその音楽だけに支配されてしまうことってある。
気がついたら、頭ん中、胸の奥、指の先までもう音楽でいっぱいになってるって時が。
もう自分すらどっか行っちゃって、音楽と同化する瞬間。
心が生まれた場所、確かにそこにこの音楽はあったんだって思う。
だからずっと音楽を聴いてる。


2006-03-02「思い出俄爛道」
今日はやけに忙しかったなー。
とまぁ、何もない一日。
さようなら…というのもなんだかアレなので本を一冊ご紹介。
山川直人「コーヒーもう一杯」という漫画を最近読んだんだけど、これが良かった。
いかにも僕好みと言えばわかってもらえるでしょうか。
コーヒーを巡る短編集。
絵がとても個性的でかわいい。
いや、かわいいなんてなんとボキャブラリーが貧困なことか。
凄く味わい深いんだけど、やっぱりかわいい絵だな、これは。
物語もかわいいんだ。
大袈裟な話じゃなくて、叙情までもいかない、程よいウェット感。
ずっと昔からあったような漫画。
だから多分この先もずっと読んでいける。


2006-03-03「野いちご」
やっと金曜。
ちょっと息切れ気味か。
燃料補給をしたいとこだ。
今日は早く帰る。
帰り道の途中にあるキムチ屋で大根キムチを買う。
燃料補給のつもりで。
一応、雛祭りだなぁということで娘を持つ親として、寄り道せず帰る。
金曜の夜、寄り道しないなんて。
が帰ったとこで家族から「…なんで早いの」と面倒くさそうに言われるだけというのもなかなか…。
給食でちらし寿司はもう食べたとかで夕飯はカレー。
その後、貰い物のケーキを。
フルーティーなケーキを食べたかったが、父親に選択権はない。
コーヒー味のケーキ。
いや、美味しいんだけどね。
やっぱり明日、自分で買ってこよう。
一人で風呂に浸かってボンヤリ。
脳みそを取り出してゴシゴシ洗いたい気分だ。
ダメだ、こういうこと書いてるとまた鬱になっちゃう。
そうだ、Huricaneからカーネーションのファンクラブ会報が届く。
3人のサイン入りCD-Rつき!やった!そうだ、こんな時にはカーネーションだ。
で今、ハリケーンフェスティバルのDVD観てる。
男の子だからな。
強く、やさぐれて生きていくのだ。


2006-03-04「GOD SAVE THE MEN」
9時起床。
妻と娘はもう起きてて、「行ってくるわー」と出かけていった。
えっ、どこに?ハムエッグとトーストの朝食。
味気ない。
あー、意味無くホテルの朝食とか食べるよな生活をしたいもんだね。
顔洗って、歯を磨いて、着替えて、布団あげて、新聞を読んで。
ちょっとのつもりで「どうぶつの森」やり始めたらもうお昼。
昨日のカレーを温め直しているうちに家族が帰ってくる。
で昼食。
娘はまた友達のとこに遊びに行ってしまう。
買い物に行って、妻をそのままバイト先まで送っていく。
で堂島孝平聴きながらしばし一人ドライブして、ブックオフに立ち寄ってイロイロ物色。
コンビニでシュークリーム買っておやつに。
なんだ、結局ヒマなの俺だけか。
帰って「草野キッド」とか見ながら夕飯の支度。
そうすっとまた家族が帰ってくる。
主夫だな、こりゃ。
しかし、なんだな、この野性味溢れない感じ。
まさに草食動物的な生活ぶり。
ソファと同化しちまいそうだ。
あっ、脳みそが耳から出てきた…。


2006-03-05「眠る、泳ぐ、歩く」
8時半起床。
昨日買った「赤いウィンナー」とキャベツを塩コショウで炒めて、ホットドッグを作る。
やはり「赤いウィンナー」の安っぽい味が最高、ケチャップも下品にぶっかけよう。
でそんなことより、今日は9時半からマンションの修繕委員の会議、続いて理事会、さらに昼はさんで自治会の会議とたまらん日曜日。
あー地域生活ってメンドクサイ。
でも不必要かと言われると、やっぱ大切なんだよねぇ。
午後2時、やっと全て終了。
遅い昼食の後、堅田に安いメガネ屋有りと聞いたので出かけるが、店じまいしてやんの。
結局、最近出来た大型スーパーで買い物。
行き帰りの車中で聴いていたのは、おおはた雄一「ふたつの朝」、ゲントウキ「路面電車とチーズケーキ」。
詳しくは後日。
帰ったらもう6時。
夕飯はお好み焼きにする。
米炊くのメンドウだったので。
しかし土日、スーパーばっかり行ってる気がする。
誰がスーパーマンや、違うかっ(中川家・礼二扮する「ベタなスナックの客」のニュアンスで)。
町山智浩氏の[今日の日記]にグッとくる。
-でも やるんだよ-それはポップカルチャーが教えてくれたこと。


2006-03-06「E PRECISCO CANTAR」
月曜、雨。
バスで行こうか、歩いていこうか、悩んで、結局歩くことにした。
こつこつ、黙々と仕事。
時々、息が詰まりそうになる。
あー、いい音楽が聴きたい。
で今日聴いていたのは、ふと聴きたくなったMARCOS VALLE。
カフェ・アプレミディのベスト盤。
かくも豊かな音楽。
音楽って無限の可能性があんだな-なんて思う。
美しくて、優しくて、甘くて、切ない。
身体の隅々まで音楽が満ちてくる喜び。
さしていた傘をクルクルと回しながら、夜道を歩く。


2006-03-07「Intro」
やけに天気がいい日。
午後から会議の為、京都へ。
電車に揺られながら聴く音楽はジョアン・ジルベルト「ジョアン・ジルベルトの伝説」。
車窓から拡がる雲ひとつない青空を見てたら、このまま何時間も、何日もこうして電車に揺られていたいと思う。
ダメ男にもなりきれない自分のダメっぷりにダメだなぁと思うこの頃。
会議の後、そのまま京都で懇親会。
他社の方々とイロイロ話。
ここんとこ自分の仕事の出来なさ具合にホトホトあきれている。
いい加減で、テキトーで、詰めが甘くて、要領が悪い。
改めて、ここから始めなきゃいけない。
仕事できないからこそ、できるようにやんなきゃならない。
仕事でも何でも、やっぱ人間性だなぁとも思う。
不満や不安、苛立ち、全て自分からきてる。
見事に自分が映し出される。
このパッとしない気持ち、空回っていく行動、これ全て自分の人間力の低さによる。
ジョアン・ジルベルトの歌とギターを聴いて、静かに心落ち着かせよう。
そしてもう一度、はじめてみよう。


2006-03-08「深呼吸」
もうすっかり春の天気。
なのに、なぜ俺は冬物のコートをはおっているのか。
判断力の無さにあきれる。
今日は一日、バタバタ。
心落ち着けて、丁寧に仕事を…と思いつつ、追われる感じで。
ついつい苛立ってしまったり。
自分が正しいとか相手が正しいとか、そういうことじゃなくて、仕事にとって一番正しいことはなにか。
言葉足らずだったり、誤解が誤解を呼んだり、ボタンの掛け違いはそこらじゅうにある。
巻き込まれることもあれば、巻き込むこともある。
ついついそこを責めたり責められたり。
でも、それ飲み込んで、その仕事にとって正しい答えを導き出すことに注力すべき。
…とかなんとか。
昨日、今日と自分に言い聞かせてるなぁ。
ま、僕は怒らせたり、苛つかせたりしてしまう側なんですが。
で今日も聴いていたのは、ジョアン・ジルベルト「声とギター」。
静かに耳を澄ます。声とギター、それだけが世界を包む。
地に足をつけて歩く。
そういうことだ。にしても、このジャケットいいなぁ。


2006-03-09「流星」
そろそろ、目が痒くなってきた。
季節の変わり目、冬越え。
春はそこまで。
ちょっと忙しいほうが調子上がる。
ガシガシと仕事。
明日は金曜だ。
いや、何もないんだけど、時間てのは上手くできたもんで、それなりに過ぎていく。
いいことばかりはありゃしないけど、今はそういう時期だ。
静かに春を待とう。
少し暖かくなった夜道を歩きながら聴くPolarisがまた合うんだ。
穏やかな気持ちで、音に身を委ねよう。


2006-03-10「Naked Song」
金曜。
雨降り。
中途半端な降り具合。
傘をさすほどじゃないが、濡れていくにはちょとツライ。
今日も、ガシガシ仕事。
と、ここで唐突ですが一枚CDを紹介。
おおはた雄一「ふたつの朝」。
つい先日出たばかりのアルバムですが、これがいい。
若いのに、実に渋いギター弾きでありヴォーカリストでもある。
去年出た「ラグタイム」というアルバムも凄く良くて愛聴してたんだけど、今作はさらにその上をいく。
なんたってあの細野さんの「ハリケーン・ドロシー」をカヴァーしてんだから、それだけで嬉しくなっちゃう。
で今日、ひょんなことからその「ハリケーン・ドロシー」生演奏を間近で聴く機会に恵まれる。
アコースティックギター&ペダルスティールみたいな不思議な楽器(Weissenbornって言うんだとか)を爪弾きながら歌う姿に痺れる。
まぁ、とにかく聴いてみて欲しい。
穏やかで、地に足着いた音楽。
淡い光が射す様な美しさがある。
ホント、良いから。
で閉店5分前のタワーレコードに滑り込んで、小沢健二の、あの小沢健二の新作「毎日の環境学」購入。
噂のインストアルバム。
一体、どんなものなのか!?と思ってたんだが、今、ちょうど通しで聴き終わっての感想を言うと、予想以上に“良い”です。
ちょっと驚きました。
開かれた明るさすら感じました。
そんな訳でまた聞き込みます。


2006-03-11「MY LIFE」
9時起床。
娘に目玉焼き作って土曜日の始まり。
午前中はのんびりゲームやったりビデオチェックしたり。
先週やってた友近の特番をビデオで。
プラン9・なだぎ氏とのコント「ディランとキャサリン」に爆笑。
なだぎ扮するアメリカ人青年「ディラン」は年末の「オールザッツ」でも大活躍だったが、今回も実にくだらなくて最高。
近年稀にみるバカバカしさ。
「意味」がこれっぽっちも無いとこがいい。
午後はバイトの妻を送って、そのまま娘と堂島孝平聴きながらドライブ。
「スマイリンブギ」の「深夜の甲州街道で/トッドラングレン聴きながら」ってフレーズにクーって気持ちになる。
いいねぇ、堂島孝平。
で近所ウロウロして、コンビニで「とろりんシュー」買ったり、ブックオフで「ぼのぼの」買ったりしてって感じで時間つぶして、そのまま妻迎えに行って、スーパー寄って帰宅。
ご飯炊くのメンドーだってんで、昨日の残りカレー使って、カレーうどんの夕食。
土曜の夜に、カレーうどんて…。
レイトショーでも観にいきたいとこだが、録画したまま観てない映画が結構あるので片付けることに。
阪本順治監督「ぼくんち」観る。
西原理恵子の原作は超が付く名作だが、やはり映画化は無理があったなぁ。
オリジナルと考えれば悪くないんだけど、原作とは本質的に違う。
西原理恵子の徹底した叙情と生の強さ、これには到底かなわない。
いくら男が理詰めで語っても、これはもう敵わないのである。


2006-03-12「大人の悩みに子供の涙」
夜中、いつもの調子で一人部屋にこもってネットしたり、テレビ見たり、本読んだり。
で喉かわいたなぁと真っ暗な台所に向かうと足に何かがあたった。
ドキっとして電気つけると、いつもメシ喰いにくる黒猫が。俺のメシはなくとも猫のメシは忘れないというぐらい妻と娘に歓待を受けてる黒猫、もはや飼い猫状態で今日は寝床まで用意されていた模様。
で今朝は9時起床。
雨。
駅前の床屋へ髪切りに。
随分伸びちゃってたのでバッサリと。
あースッキリした。
午後、久しぶりにブラッと図書館へ。
本棚端から端までチェックしては気になる本をパラパラと。
結局2時間ばかり過ごす。
老後はもう図書館に入り浸りたい。
そんな余裕がある老後を過ごせたらの話だが。
いや、そもそも老後なんてくるのか。
なんか、やっと自由にのんびりできるってなった瞬間、ポックリ逝きそうな。
悠悠自適なんて想像も出来ないもんなぁ。
つーか、1年後も想像できない。
そしてホントのところ、将来のこと考えるの怖くって考えないようにしてんだけど。
帰宅して、インスタントの「おしるこ」飲む。
あんまり美味しくはないけど、おしるこ大好き!ってことで。
ここんとこ頭を悩ませていた「自治会」の諸々処理。
結局、来期の自治会長をやるはめになってしまった。
いくらなんでも荷が重過ぎるが、持ち回りで誰かがやんなきゃしょうがないので。
早速、今の会長さんと引継ぎの打ち合わせ。
あーなんかオモロイことないかなぁっ!って子供みたいなこと言ってますが。
子供なんだもん、俺は!と開き直ったとこで、誰が見ても中年ですからねぇ。
中年クライシスっすよ。
世の30代半ば男子よ、そこんとこどうなのよ?
どうやって折り合いつけてけばいいのよ?
これから先どうすりゃいいのよ?


2006-03-13「Strange Days」
月曜。
寒ぃ…。
今日もなんだか黙々と仕事しちゃったな。
昼休み、「ほぼ日」の糸井重里と岡田斗司夫の対談-[プチクリをめぐる歌]-の第三回分読んで、妙に納得。
もうずっと抱えてる寂寥感。
逃れられない孤独感。
それは結局、自分の愛のなさゆえなんだと、このところ強く思っていたので。
うーん、そうなんだよ、確かに昔から人にものを頼めない。
そして自分で一人になりにいってんだ。
誰かとつながりたいっていつも思ってるのに、自分でつながりを断ってしまう。
依存して拒否されることが怖いんだな。
要するに臆病なのだ。
…と一人、納得。


2006-03-14「あの川」
夜中、ふいに目がさめる。
なんだか、頭の中にいろんなモヤモヤが浮かんでは消え、眠れない。
自分でもハッキリとわからない漠然とした不安。
なにかが足りないんだけど、その「なにか」がわからない。
しかし今日も寒ぃーなぁ。
3月も半ばだってのに雪が降ってる。
で、昨日今日とひたすら聴いていたのは小沢健二「毎日の環境学」。
新作はインスト-という報を聞いた時、まるで想像できなかった。
前作「eclectic」を聴いて僕は「30男の心象風景としては実に真っ当な音楽」と書いたのだが、ここにある音楽を聴いて、やはり小沢健二ってのは正直な音楽家だなぁと思った。
音は前作の延長線上にある官能的なリズム(でも、それでいてしつこくない)を基調としていて端正。
だがより開放的な響きがある。
言葉が無いのに前作より饒舌に聴こえる。
完全に開け放たれているわけではなくて、ここから光が拡がっていこうとする瞬間。
この先を見てみたい。
昨日の日記について。
ある信頼する方から言葉をもらう。
できるかどうかわからないけど、その先へ進みたいって思う。


2006-03-15「Something’s Coming」
仕事で久しぶりに外回り。
そのおかげか、午後からはわりとニュートラルな気持ちで仕事に取り組めた。
いろんな人と関わる。
平気で嘘をついたり、人を欺いたりできる人、どこかで誰かが傷ついてるなんて思いも及ばない人、いろんな人がいる。
ほんとは僕だって同じだ。
先回りして苦しんで、感じすぎて傷ついてた。
もう、とにかく先に進もう。
簡単なことじゃないけど、そう思うだけでも違うはずだ。
おくびょうなライオン/それはいつも僕の中にいる/だれにでも愛されりゃ/それでいいとはとても思えない〜はじめよう/小さな夢/世界一平凡なやつ/だって/ぼくはいままでひとりぼっちで戦ってたんだぜなんてね。
実は何にも見えてないんだよ。
それでもそんな気持ちでいるなんておかしな話でしょ。
今日はすっごく早く帰る。
娘が一人留守番だったので。
いっしょにゲームして、お風呂入って、アイス食べて。
たまにはこんな日もいいや。


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