2006年2月上旬

2006-02-01「THE DRIFTER」
今日も雨。
だけど今日は歩いて通勤。
ちょっと音楽が聴きたかったから。
ROGER NICHOLS&PAUL WILLIAMSのデモ音源をCD化した「WE'VE ONLY JUST BEGUN〜COMPOSED BY ROGER NICHOLS&PAUL WILLIAMS」。
昨日の続きで、どうにもポール・ウィリアムスのしわがれた声が聴きたくて。
こんな憂鬱な雨の日に聴くといつも以上に沁みるな。
仕事、相変わらず。
夜は会社の宴会。
パーティーはやっぱり苦手だな。
俺、何がしたいんだろ?とか湖岸を一人ぶらつきながら想う。
Not a lot I can do/But give in to the drifter/There's a drifter in me
どうしてだか、今日はやけに星がきれいだ。


2006-02-02「晴れた日に。」
今日はいい天気だ。
でいきなりですが聴いてた音楽は鈴木博文「無敵の人」。
氏のブログ[wangan-noteron]開設を記念して。
このアルバムも相当聴きこんだな。
高校生の頃-おかしな言い方だが-鈴木博文になりたかった。
ムーンライダーズと出合ったのが中学3年の時、「アニマル・インデックス」というアルバム。
鈴木博文作の2曲「ウルフはウルフ」「駅は今、朝の中」に痺れた。
今思えば、僕にとっての最初の文学でもあった。
そして2枚組みライブ盤「THE WORST OF MOONRIDERS」。
「くれない埠頭」「月の酒場」「さよならは夜明けの夢に」僕はいよいよライダーズにはまっていく。
そしてその中でも鈴木博文の存在は特別なものになっていった。
氏が17歳の時に作った「大寒町」。
15歳の僕は、この曲のロマンティシズムとダンディズムにいたく感激し毎晩毎晩聴いた。
もう毎晩、毎晩だ。
5畳の部屋の窓から見える星を眺めては、口ずさんでみたり。
そして「Don't trust over 30」。
決定打だった。
もうムーンライダーズに一生ついていこうと決めた。
「Don't trust anyone over Thirty」鈴木博文の詞、僕は未だにこれ以上“ロック”な詞を聴いたことがない。
すっかりover30になった今も、この詞のひりひりするような感触に捉えられて逃れられない。
「ボクハナク」の乾いた叙情。
ここでの鈴木博文の歌唱、僕はロックの意味を知った。
で「無敵の人」までなかなか辿り着かないな。
続きはまた明日にでも-。


2006-02-03「kucha kucha」
金曜に辿り着く。
しっかりお仕事して、7時には退社。
外は雪がちらちら。
寒い。
相変わらずの飢餓感、ふらふらと映画館。
小泉堯史監督「博士の愛した数式」観る。
穏やかで端正な映画。
だが、退屈でもある。
数学は言うまでもなくとてもロマンティックな学問だ。
もっと深く、もっと過剰に本気で描いて欲しかったな。
今の僕の心情には、はまらなかった。
なんだろう、今年に入って過剰さを求めている。
激しさとはまた違う。
もっと胸を揺さぶられたいのだ。
胸をもっと痛めつけたい衝動にかられている。
35歳になった。
もう、我慢したくねーんだよ。
ま、なんつってね。
外出ると雪が激しく降ってる。
いや、ここは穏やかに…。
寒さは過剰にならなくてよろしい。
今日聴いてたのは鈴木博文「SINGS MOONRIDERS」。
じゃ、昨日の続き… 「Don't trust over 30」の衝撃。
その年に新潮文庫から出た「ムーンライダーズ詩集」をいつもカバンに入れていた。
通学の途中、休み時間、僕のバイブルになった。
元来人見知りで、憂鬱で陰気で協調性がなくって、小心で天邪鬼だった僕は、明るく楽しい学園生活なんか送れなかった。
休み時間はいつも壊れかけのウォークマンでムーンライダーズを聴きながら、図書館の隅で時間をつぶしてた。
ムーンライダーズが長い冬眠に入っている間、僕は旧譜を一枚、一枚買い揃えた。
「カメラ=万年筆」の「インテリア」、「マニア・マニエラ」の「工場と微笑」、「青空百景」の「霧の10u」etc.etc.。
時々、授業をさぼって鴨川沿いのベンチに座って聴いた曲だ。
あの頃、音楽と出会ってなかったら、ムーンライダーズと出会ってなかったらどうなってただろう。
そしてそんな頃、発表されたのが鈴木博文の初ソロアルバム「WAN-GAN KING」。
鈴木慶一、博文兄弟が湾岸スタジオを拠点に立ち上げた「メトロトロンレコード」の第一弾。
歌詞カードが手紙みたいに封筒に入ってて、その封筒にはナンバーがふってある。
僕は「304」番。
で僕は16歳だった。
まだ終わんないや…。
続きは後日。


2006-02-04「午後のレディ」
8時半起床…二度寝して10時起床。
「土曜の朝は目玉焼きに決めてんの!」という娘にせかされ目玉焼きの朝食。
二人でウダウダ「どうぶつの森」とかしながらあっという間に昼。
娘が友達んちに遊びに行っちゃったので、その間に別宅へ。
そ、僕の別宅、滋賀会館シネマホールへ。
内田けんじ監督「運命じゃない人」観る。
面白い。スゲーおもしろい。
いや、もうめちゃめちゃオモロイじゃないかっ!
ここんとこ映画観たおしてるけど、ちょっと群を抜いてる。
見るからにいい人、人畜無害なサラリーマン・内田のちょっといい話的な一晩の物語。
…が内田の友人、探偵の神田の視点から、内田のかっての恋人・あゆみの現在の恋人、やくざの浅井の視点から観てみると…時間軸が交差し、それぞれの物語が絡み合い、スリルとサスペンス溢れる奇跡的な一晩の物語となる。
なにしろこの構成の妙。
あのシーンがこう繋がって、これがここに繋がっちゃうんだ、えーっそう来るのか!と30人ほどの観客だったんだが、上映中何度も小さな「おぉーっ」という感嘆の声があがったもんね。
海外で既に様々な賞とってるって聞いてたから、ある程度はおもしろいだろうとは思ってたが、そのハードル軽々越えちゃった。
笑えて、気持ちよくって、唸っちゃう、映画そのものの面白さを堪能。
脚本・監督の「内田けんじ」この名前は憶えとけ!
で役者陣は主演の中村靖日以下、無名な人がほとんどなんだがいい味だしてたなぁ。
探偵・神田を演じた山中聡は多分これからバンバン出てきて女子人気上がってくと思うな。
それとやくざ・浅井を演じた山下規介(ジェームス三木の息子)が軽妙な演技で大好演してて驚いた。
高校生の時観た大林宣彦監督の「廃市」以来、まさか2006年に山下規介を評価する日が来るとは。
で物語をかき回す美女・あゆみを演じた板谷由夏!
ホント物凄い美人でかわいくて色っぽくて、ショートカットで…もう大ファンになっちゃったよ。
美女鑑定家として(俺の頭の中で)編纂中の「世界美女百選」に加えることにする。


2006-02-05「hibiki」
8時半起床。
娘と妻は、近所のチビッコ&奥さん軍団でボウリングへ。
で一人ゆっくり朝食。
妻の出掛けの一言「掃除しといてや」に従い、掃除。
自転車に乗って、ちょっとパルコまで。
紀伊国屋とタワー流すも、別に何買うでもなし。
結局1時間もせずに帰る。
娘が置いてったDSで「どうぶつの森」。
ゲームの中でも村をウロウロ。
海岸に落ちてる貝殻を拾って、スーパーに売りに行って、ローンを返して、コーヒー飲む…。
はっ、俺は何をしてるんだ。
昼は「食べてくるから、テキトーに食べといて」ってことなので、テキトーに。
作るの面倒だったので、弁当用冷凍食品の盛り合わせにしてやった。
それと白ご飯に塩。
午後からものんびり、本読んだり、音楽聴いたり、HP更新したり、ビデオでまだ観終わっていない「オールザッツマンザイ」見たり。
生産性0ですな。
そうそう昨日、BSフジでやった「ハイドパーク」のライブをビデオで。
高野寛の真摯な演奏が良かった。
僕が女子なら確実に惚れる。


2006-02-06「歩いて、車で、スプートニクで」
月曜。
昨日は早く寝たのに、眠い。
仕事、忙しくなりそうだと朝からターボかけてやる。
そのおかげで午後は余裕でさっさと帰る。
みぞれ交じりの雨模様。
あまりにも空腹だったので、寄り道せずに帰る。
妻と娘はマリオカートに夢中。
おかずを温め、お湯を沸かして、ご飯よそってがっつく。
やっぱり寄り道してくりゃ良かった。
で今日聴いてたのはムーンライダーズ「ANIMAL INDEX」。
85年10月21日発売。
ということは85年10月20日の夕方に買ったんだな、14歳の俺は。
ムーンライダーズと高橋幸広がキャニオン内に立ち上げたのがTENTレーベル。
結果的に寂しい幕切れを迎えたレーベルだったが、僕にとっては細野さんのノンスタンダードと並んで、思い出深いレーベル。
で「ANIMAL INDEX」、独自の陰影、滲む音像、冬の匂いがするアルバム。
20年経って聴いてもその印象は変わらない。
「夢が見れる機械が欲しい」「駅は今、朝の中」「僕は走って灰になる」…国語の教科書に出てくるどんな言葉よりそれは文学だった。
布団の中に入って、歌詞カード見ながら聴いたな。
シリーズ「ムーンライダーズと私」、あれっ続きじゃなくて、スタート地点に後戻りしちゃったよ。


2006-02-07「COMON MAN」
さて、いきなりですがTENTレーベルのことを書いたら、やっぱり聴きたくなってしまうのがTHE BEATNIKS「EXITENTIALIST A GO GO」。
まぁ、飽きずに聴き続けてるもんだ。
鈴木慶一、高橋幸宏からなるTHE BEATNIKSの2枚目、87年作品。
この時のライブに行かなかったことは未だに後悔してる。
だってこの時のツアーメンバーが凄い。
大村憲司、高野寛、矢部浩志、渡辺等、鈴木祥子、小林武史、矢口博康ですからねぇ。
高野寛、鈴木祥子はまだデビュー前だし、小林武史もほぼ無名。
当時「夜のヒットスタジオ」に出演したときのビデオ持ってるんだけど、高野寛若っ!でこのアルバム、小林武史がまたいい仕事してるんだ。
そして鈴木慶一の詞が冴えてる!つーか、ここから鈴木慶一は「情けない男」の歌を書かせたら世界一となるのだ。
「ちょっとツラインダ」「大切な言葉は一つまだ君が好き」のダメっぷりに高校時代も共感したが、30半ばにしてまさに地で行く状態に自分自身なっているような。
このアルバム以降、例えば高橋幸宏に書いた「1%の関係」だとか、ムーンライダーズの「涙は悲しさだけで出来てるんじゃない」、ソロアルバムの「GOD SAVE THE MEN」に至る「優しくて骨のない男」の逃げ道のない切なさはホントたまんねー気持ちになる。
この辺りの歌を書いてた頃、鈴木慶一はまさに30半ばから40。
まさに今の僕の年齢。
そりゃリアルに感じちゃうよ。
夜道に聴く「COMON MAN」のリアル。
40までの5年がちょっと怖い。


2006-02-08「今日の空」
ここんとこ、停滞気味。
いや、何がと問われれば、全てがとしか言いようがない。
ここにきてどん詰まり感が否めない。
去年は穏やかな美しさに惹かれてたのだが、その反動か狂気や毒に向かってる。
そんなのおもしろくねーんだよと何もかもに毒づきたくなる衝動、でもそれはつまるところ自分に向けられてる。
自分という人間のつまらなさをぶち壊したい衝動なのだ。
うそつきで偽善者で、臆病で卑怯で、見栄っ張りな小心者。
ホントにイラつく野郎だ。
一体、何がしたいんだ?どーなりゃ満足するんだ?
あー、ヤな日記。
なら書くなよって話だけど。
で今日聴いてたのは高橋幸宏「HEART OF HURT」。
どこを切っても幸宏節。
「1%の関係」とか「LEFT BANK」とか重くて切ないの聴きたいなと思って聴いたんだけど、より淡くて繊細な「蜉蝣」「前兆」がやけに響く。
狂気や毒に向かってるのは、その逆を求めてるからなんだな。
ほら、こうして書いてるうちに気付く。


2006-02-09「グッドタイムス&バッドタイムス」
目覚ましが鳴る45分前、実家からの電話で起される。
叔父が亡くなったという知らせ。
今晩がお通夜で、明日が告別式。
もうながく寝たきりだったからそうなのかという感じではある。
もう一眠りしようかと思ったが、結局寝付けずに起きる。
カーテンを開けると、いつもの黒猫が朝飯を待っている。
今では窓を少しあけると、なんのためらいもなく部屋に上がりこんで、ニャーニャーと催促する。
ドライタイプの餌に加え、缶詰にミルク。
僕のごはんが無いときはあっても、こいつの餌が切れていることはない。
優遇されてやがんなと思い、トーストを焼く。
いつものように会社へ。
少しターボかけて仕事して早退。
帰宅して喪服に着替え京都の葬儀場へ。
親族の控え室でお茶を一杯。
久しぶりに会う親戚達と挨拶。
考えてみればこんな時にしか顔を会わせる事もなくなった。
今日は受付担当。
つつがなく通夜は終る。
妻と娘は先に帰して、明日の打ち合わせやらなんやら。
そして両親を京都の実家まで送る。
亡くなった叔父は父親の兄。
早くに父親を亡くしてから、姉、母、そして兄を看取った僕の父。
これで自分が属していた家族が誰一人いなくなったわけだ。
どんな気持ちなんだろう。
もちろん父には、妻がいて子供(僕のことね)がいて孫(我が娘のことね)がいるんだけど、自分が子供として属していた家族はもうないのだ。
助手席の父がぽつりと言った-寂しいな-。
不純物の全くないその言葉は、紛れもなく父の心から湧き出てきた言葉だろう。
明日で69歳になる父親でも、やっぱりそう思うんだな。
その言葉にね、子供である僕は胸を打たれた。
両親を実家で降ろして、そのまま大津へ。
真夜中の国道を一人、車走らせる。
家族のことを思いながら。


2006-02-10「ニュー.ソウル」
今日は叔父の告別式のため、休暇とる。
朝は久しぶりに冷ご飯とアツアツの炒り玉子(醤油たっぷりかけ)の朝食。
喪服に着替え、葬儀場へ。
亡くなった叔父の話を少し。
穏やかで朗らかで面白い人だった。
僕がまだ生まれる前、叔父は身体を壊し会社を辞めざる得なくなったらしい。
それから自宅に機械を入れ、細々と繊維加工の仕事をしていた。
子供の頃、両親に連れられ叔父のところに行くと、糸を巻き上げる機械がガシャガシャと動いていて、それを見てるのが好きだった。
今思えば、バリバリ働き盛りの頃に身体壊して、様々な悩みや葛藤があったんだろうけど、それを微塵も感じさせなかった。
いつも飄々としてて、ちょっと“天然”なところがあって、周りをなんとも和やかな雰囲気にしてしまうような人だった。
通っていた大学が、叔父の家に近くて、時々寄っては通学用のバイクを置いといてもらったりした。
大学近くの天満宮で市がたつ日があって、たまに授業をさぼってブラブラ覗きに行ってたんだけど、何度となく叔父とすれ違った。
ブラブラ町を歩くのが好きで、旅行が好きで、芸術を好んだ叔父には、なんとなく親近感を持ってた。
そうそう、僕が高校生の時、叔父が九州に住んでいた親戚のところに行くといって出かけたはいいが、なぜか船を乗り間違えて四国に降り立ったということがあった。
この呑気な面白エピソードは実に叔父らしくて、今でも相当好きなエピソードだ。
10年程前、再び叔父は倒れた。
それからはほぼ寝たきりだった。
娘が出来て連れて行った時には、叔父は既に言葉を失っていた。
でもとても嬉しそうな目で僕の娘を見て、言葉にならない言葉で喜んでくれた。
告別式はつつがなく終り、三号車の札をつけて火葬場へ車は走らせる。
子供の頃、葬式なんてずっと遠いもので、訳もわからず参加してるだけだった。
それが今はこんな風に葬式をなにかと手伝うようになってる。
いづれは葬式を取り仕切ることになるだろうし、最後には葬式の主役になるんだろう。
あの遺影の中で僕は笑ってるかな。
棺桶の中で、僕はどんな表情をしてるかな。
叔父の棺桶の中に、花といっしょにいつも被っていた帽子や大好物だった「赤福餅」を入れる。
そして娘に言う、僕の棺桶には「阿闍梨餅」を入れてねって。


2006-02-11「銀色クリアデイズ」
8時半起床。
朝からおにぎり作って家族で出かける。
娘と約束していたスキーしにいく。
で行き2時間運転手して、スキー場で5時間ばかり(それにしても子供はタフだ)、それからまた2時間運転手して、スーパー銭湯に寄ってひとっ風呂。
近くのファミレスで夕飯食べて、スーパーで軽く買い物してやっと今、帰宅。
一昨日、昨日に続いてもうヘトヘト。
ヘトヘトになって寝ちまうのが、鬱なときには一番かもね。
おやすみなさい。


2006-02-12「Fence」
9時起床。
昨日はヘトヘトだったので夜更かしせず寝たのに、やっぱり起きられない。
朝はマーラーカオ。
相変わらず美味しい。
朝のうちに、買い物。
安いと評判のスーパー、日曜の朝だというのに物凄い賑わい。
で午後からはひたすらダラダラする。
「横丁へよーこちょ」観て、「めちゃイケ」の再放送観て、「リンカーン」2週分ビデオで。
「リンカーン」は結局、「さまぁ〜ず」と「おぎやはぎ」がオモロイ。
そうそうトリノでピーターガブリエルが「イマジン」歌ったそうな。
完全に観損ねましたが。
夕飯はたこ焼き。米買い忘れたんだよ。
デザートは娘作のフルーチェ。
美味しい。
イロイロとグダグダと考え込むのはよそう。
ほっといても考えちゃうんだから。
ずっとこうしてやってきた。
清も濁も、真も虚も、神も敵も自分の中にある。
なんてな。


2006-02-13「アンダーグラウンド」
昨晩はテレビで「CASSHERN」観る。
言われてるほど悪くない。
別に訳わからんってのではなかったな。
テーマ全部台詞で語っちゃってんだもん。
いっそのことストーリー全部、神田山陽に語らせて、アクションシーンだけあの映像使えばいいんじゃないか。
でもあの映像は大画面でみたら気持ちいいかも。
1時間でいいけど。
2,3本習作撮った後に、これ撮ったら良かったかもしれないな。
映画としての語り口がぎこちなくて勿体無い。
テーマも技術も悪くないんだから。
でCMの時に、ふとチャンネル変えると「大阪ほんわかテレビ」。
「CASSHERN」の映像で「ほんわかテレビ」を、「ほんわかテレビ」の出演者とノリで「CASSHERN」やったら相当オモロイと思う。
笑瓶ちゃんがキャシャーンの格好してるだけでも笑えるはず。
月曜。
お仕事。
仕事の話はまぁいい。
で夜、映画観にいく。
渡辺文樹監督「御巣鷹山」。
…これはねぇ、もう、実に、なんつーか、…とんでもないバカ映画だっ!
渡辺文樹監督の名前を最初に知ったのは中学生の時。
当時まだA5サイズでバリバリのサブカル雑誌だった「宝島」に載った氏のデビュー作「家庭教師」の記事を読んで。
溢れるバイタリティで自ら監督・出演と何役もこなす映画バカとしてインプットされていた。
その後も「映画秘宝」辺りでそのめちゃくちゃぶりを知るにつけ一度は見とくべきかと思ってたのだ。
大津にはなぜか新作が出来る度に上映しに来てて、監督自ら夜中に貼って回っているという「やりすぎ」なポスターが今回もそこらじゅうに貼ってあった。
先日も町を歩いてたら、ストーンズを大音量で流しながら宣伝カーが走っていた。
運転手を見ると監督本人だったのには笑った。
でこれもまたネタ作りと、会社の先輩誘って観にいったのだが…。
監督自ら映写機を回すという凄まじい上映会。
で映画は25年前に起こった日航機墜落事故の真相を暴く!というショッキングかつ深いテーマなんだが、映像技術、演技レベルが「高校の文化祭か!」と思わず突っ込みたくなるようなもの。
だって音声、カセットで流してんだもん。
口と声が合ってないよ!っつーか音途切れすぎや!
夏の飛行機事故やっつってんのに、なんで雪山でロケしてんだよ!
最後はなぜか監督(主演も務めてる)が老人達相手に大立ち回り(それも、よろけてこけちゃってるしさー)を繰り広げるという、驚くべきとんでも映画。
出演してるおばちゃん、受付のもぎりの人やん。
大真面目なテーマ、高い志、台無しだよっ!
いやー、これは2度と観たくないようなカルトな迷作。
渡辺監督はもう相当大真面目だし、凄い本気ぶりなんだが、作品がそれ全て台無しにしてるんだもんな。
多分、誰かちゃんとした人が、監督そのものをドキュメントしたらめちゃめちゃ傑作になると思う。
そういうオモロさなんだよな。
いやー参った。1200円返せ(笑)!


2006-02-14「火山の下で」
さて、早速ですが(面白いことなんかナイので書くことありませんよ、実際)今日聴いてたのはcornets「乳の実」。
cornetsは女性4人のバンドで、唯一のアルバムが92年メトロトロンレコードから鈴木博文・棚谷祐一プロデュースのもと発表された今作。
薬師丸ひろ子系の(例えが古いね、どうも)伸びやかで澄んだ歌声が心地いい。
冬の朝のような音楽。
西村哲也さん(ほぼ全曲に渡って、素晴らしい仕事振り)、矢部さんや夏秋氏などメトロトロン周辺ミュージシャンが作り出す清々しい美しさを持った音。
こんな風に一音、一音が丁寧に作られてる音楽は信用できる。
このアルバムのことを知ってる人が何人いるかわからないが、隠れた名盤だと思う。
最近、女性作家の本をちょくちょく読んでるのだが、そこにある繊細さが、男性のそれとはやはり違うなぁと感じる。
うまくは言えないけど、男の場合は割りと自覚的だったり、意識的にそこに向かって、ある種技術として持ってるように思う。
女性ならではの繊細さ、それはもっと感覚的で、消えてなくなりそうかと思えば、大胆な方向に一瞬にして転じてしまうような「生」の息遣いをもったもの。
うん、やっぱりうまく言えない。
と、まぁそんなことを思いながら聴く。


2006-02-15「ちょっとツラインダ」
やけに暖かな日。
しかし、冬場のこの生暖かい湿気をおびた天気って大嫌い。
またバカだから、いつもの調子でコート着ちゃったのが悪かった。
今日は夕方、京都の某放送局で会議があったので電車に乗ったのだが、あー気分悪い。
この天気のせいって訳でもないんだろうけど、またいつもの鬱々とした気分が襲ってきやがる。
会議が終わって、一人歩いてるとほらまただ。
真っ直ぐ帰ればいいものをとてもそんな気にはならない。
地下鉄を降りて、京都駅んとこの近鉄百貨店へ。
ま、行くとこはいつものように本屋なんだけど。
小西真奈美嬢が表紙のInvitation誌、思わずジャケ買いならぬ表紙買い。
それと川勝正幸+下井草秀による文化デリック著「ポップカルチャー年鑑2006」発見したので即買い。
もうこういうの見つけると血が騒ぐ。
根っからの文化系資質、ポップ中毒(=popholic)なもんで。
でも気がついたらこうなってた。
一体、何なんだろうね。
うちは両親とも特に文化系ってわけではなかった。
家にはレコードなんか2,3枚、それも北島三郎とかしかなかったし、本もベストセラー本、歴史小説が数冊あったぐらい。
こんな風になっちゃう環境下にはなかったのに。
今思えば幼稚園、小学生低学年の頃からポップ中毒だった。
「怪獣・怪人大百科」なんて類の本が大好きだった。
しかも興味は「仮面ライダー」よりも「石森章太郎」で、子供ながらに「そうか、キカイダーもイナズマンも石森作品なわけね…」なんて思ってた。
本編よりもエンドクレジットに興味が向かう嫌味な子供だった。
そんな調子で30数年。
でも、ふと思う。
-いつまでこんなことやってんだ?-本屋をうろついてたら、そんな声が聞こえた。
いつまでも埋まらない穴、その穴の淵でなすすべもない冴えない中年男。
その穴が決して埋まるものではないことを、男は知っている。
忘れて生きてければ、もっとずっと楽なんだろう。
でも男は、穴の淵に今日も立っている。
外は鬱陶しい雨が降ってる。
なんだよ、やっと抜け出せそうだったのにな。
全部、天気のせいにしてしまおう。


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