2004年4月下旬

4/16
昼は天下一品で豚キムチ定食、ラーメンはこってり、にんにく抜きで。
で夜、滋賀会館シネマホールで田口トモロヲ監督「アイデン&ティティ」観る。
みうらじゅんの原作はもちろん初版の単行本を持ってるし、何回も何回も読み返した。
つまりは思い入れたっぷりというわけ。
得てして原作に思い入れを持っちゃってると映画みてがっかりということも多いのだが、これは大丈夫。
むしろ思い入れあるほうが、納得できるし感動できる。
脚本・宮藤官九郎は原作の台詞はほぼ忠実に、しかし時間軸の入れ替えなど絶妙な構成の直しでよりテーマを鮮明に浮き上がらせた。
これには正直、参った。
クドカンの職人的な上手さを再認識。
主演の峯田和伸は、はっきり言って下手だが、その下手さゆえのリアリティが作品の熱となった。
またそれに引っ張られるようにバンドメンバーを演じた中村獅童、大森南朗、マギーが揃って素晴らしい。
特に中村獅童演じるジョニーは、原作よりも深みのある人物に仕上がっていて、中村獅童の上手さを越えたパッションが大きい。
なんか正しい“男の子”映画で青春映画。
麻生久美子の存在感も含め、青春の微熱感が高く、あー嫌いになれないって感じ。
そして宮藤もそうだが、監督・田口トモロヲの原作に対するリスペクトというか愛の深さこそが肝なんだと思う。
この青臭さはやっぱり正しい。
恋愛はゲームなんかじゃないし、友情は計算なんかではかれるもんじゃない。
「愛しかない。それが世界を動かしている」


4/17
休日。
朝からアーカスに行って、それから草津のユニクロで妻と娘はシャツを僕は靴下を購入。
今日は妻の誕生日なのでシャトレーゼでケーキ買って。
で昼は昨日の残りのカレー。
お菓子問屋でお菓子を仕入れて・・・というなんだか無理やりな感じで。
夜は久々に外食。
何にしようかあれこれ悩むが、結局娘の強い要望で「くら寿司」へ。
庶民でんなぁ・・。


4/18
休日。
昼食はうどん。
娘は同じマンションの友達と遊びに、でひとり散歩。
図書館を少し覗いて、100円ショップでクリアフォルダと耳掻きを購入。
で後は部屋掃除。
山と積まれた本とCD、こりゃどうしようもない。
夜はハンバーグ作り。
きっちり作ってるんだけど、どうしても肉汁が外に出ちゃうなぁ。
程よいジューシーさがなかなかでない。


4/21
昼はスーパーの食堂街で冷やしうどんと助六寿司のセット。
ラジオから吉幾三の新曲「TOFU」。
ラテン風味のベタなサウンドに、あきらかにやりすぎというか、悪ふざけに過ぎる吉の歌唱が響く。
恐るべし幾三。


4/22
夜、部長に拉致され飲み。
総務の女の子交え、よくわからない組み合わせでの飲み会に。
基本的に仕事の話はしない主義の部長、僕も同様なので楽しいお酒。
飲みながら仕事の話を熱くされるってのはどうもねぇ。
語る人はストレス発散になるんだろうけど、聞かされるほうはたまったもんじゃないもんね。
飲みの場では、仕事抜きにして、その人そのものの話を聞き出したいし、語りたい。
そうそう、毎日新聞のコラム「日本のスイッチ」(佐藤雅彦研究室がやってるコーナーで毎週2択式の設問があって読者がケータイを使って回答するというアンケート企画)の中で「宮崎駿の新作で木村拓也が主役の声を担当:A・絶対見たい、B・見る気がしない」という設問に対しての結果が「見る気がしない」が63%という結果。
なんか、「王様は裸だ!」って言っちゃったみたいな爽快感があるねぇ。
やっぱ、そうだよねぇ、普通見る気しなくなるよね。
結局、キムタク人気ってのは幻想で、怠慢な作り手側(マスコミなど)が自分達の安心の為に、流布してるデマみたいなもんなんだ。
もう、そろそろはっきり言っていい。「くそみたいなドラマや音楽は、いらない」ってね。


4/23
仕事後、京都の友人と待ち合わせライブへ。
「音楽感謝」 in 拾得。
出演はベベチオ、ヒックスビルに我らがカーネーション。
時間の都合でベベチオは観れなかったが、ちょうど会場に着いたところでヒックスビル登場。
ずっとライブを観たかったバンド。
でもう一曲目でノックアウト。
素晴らしい!
友人と顔を見合わせニッコリ。
これですよ、これ。
真城めぐみ嬢の歌声は「ソウルフル」と簡単に語れるようなものじゃない。
彼女の歌声はいろんな表情を持っている。
全てを包み込むような母性的な優しさをみせたかと思うと、大人の女の凛とした強さを見せる、かと思えば友達以上恋人未満な実に胸キュンなキュートさ覗かせたりと、はっきりいって胸を打ちぬかれたね。
中森・木暮両氏の息のあったギタープレイも素晴らしい。
「く〜っ、それっ、そこ、最高!」と音楽の楽しさに浸りきる。
で途中にゲストとして登場したのが青山陽一!
アコギ一本でさらりと新曲。
これがまたカッコイイ。
ほんと、唯一無二の弾き語りスタイルでお酒飲みながらじっくり聴きたい。
そして僕も大好きな「電波組曲」をヒックスビルとともに。
真城めぐみ嬢はCDでも素晴らしいコーラスを聴かせてくれているが、それを生で堪能できるとは。
青山、真城という素晴らしいヴォーカリストの豊かなる共演にグッとくる。
でカーネーションの最強のリズム隊をゲストに超がつく名曲「バイバイ・ブルース」。
ヒックスビルの曲の中でも大好きな曲。
完璧。
これが音楽。
これこそが本物なのだ。
自分の耳を信じてきて良かった。
つくづくそう思う。
でヒックスビル終了で次は我らがカーネーション。
ロック魂溢れるワイルドな演奏に大興奮。
カーネーションは21世紀、最高で最強のロックトリオだ!と言っておこう。
直枝氏の唄も真城めぐみ嬢同様、様々な表情を持っている。
ロックのパッション、男の弱さ、ロマンティシズム、年輪を重ね、さらにいい声になってきた。
直枝氏、弾き語りでの「拾得」に捧げる久保田真琴のカヴァーも実にいい。
ベース・太田氏がヴォーカルをとった「愚か者、走る」も渋すぎ。
大人の男の、本気のロック。
ラストは中森・木暮・青山も登場しての「夜の煙突」。
初めてカーネーションを聴いたのはラジオから流れてきたこの「夜の煙突」だった。
あれから約20年。
カーネーションについて来て良かった。
思わず男泣き。
でライブ終了後、そのまま拾得に居残り友人と飲み。
酒の肴は素晴らしい音楽。
「ヒックスビル、最高!」などと言いながら。
そこに素晴らしい音楽があって、おいしいお酒があって、気の合う友人が居て、人生とはかくあるべし。
で帰り際、ふと後ろ見ると、青山陽一氏が!
酔ってる勢いもあり、「素晴らしい音楽をありがとうございます」と挨拶。
これでも一応、ラジオ局勤めなので名刺差し出す。
隣に居たマネージャーさんに「即、見本盤お送りします」と言われ恐縮。
それにしてもラジオ局に転職して、良かった・・。
夜の京都を、友人とぶらぶら歩きながら、ふと「俺が死ぬ時、今日のことを思い出すだろうな」と思った。
素晴らしい一日。


4/24
土曜。
訳あって少々仕事。
夜、オープンするレストランのレセプションパーティーに行かなきゃならないので京都へ。
少し時間があったので京都駅ビルで始まった、「まんが道・藤子不二雄A展」観にいく。
どちらかというとF派な俺だが、もちろんA先生も好き。
叙情とエンターティメントそしてブラック、ナンセンス、シュールまでという揺れ幅の広さは漫画界随一。
その独自の感覚とビジュアルセンスはティム・バートンより20年早い。(「怪物くん」をティム・バートンに映画化して欲しい)
で初めてみるA先生の生原稿。
その迫力にはビビッたね。
白いF、黒いAと呼ばれるように、黒を基調としたA先生のビジュアルセンスは、日本人離れしていて、一コマ一コマにアートを感じる。
黒と白のコントラストを極限まで追求した「絵」は魂をグイグイ揺さぶる。
で今回さらに驚いたことは、カラー原稿の美しさだ。
モノクロで強烈なセンスを発揮するA先生だが、カラー原稿もこれまた強烈だった。
とにかく色使いが美しい。
原色を多く使いながらも、どぎつくなくて「美しい」という言葉がぴったり。
そしてA先生の物持ちの良さが凄い。
「トキワ荘」マニアなら確実に狂喜してしまうだろう、あの「テラさんからの手紙」(先輩漫画家・寺田ヒロオがトキワ荘に引っ越してくる若き藤子不二雄の下に送った生活指南書)の本物には感動した。
そして手塚先生から譲り受けた机、その実物も展示されてるんだから凄い。
で一人、A先生の原画を見てるとふと視界にどこかで見た顔が。
なんと、偶然に「はとこ」とばったり。
京都の大学院に通う彼女とはここ最近、法事の時ぐらいしか会わないのにこんなとこでばったりとは。
今から20年ほど前、彼女が小学校1年か2年で僕が中学2年だったかの頃、彼女のお父さんが入院して、冬休み中、我が家で預かったことがあった。
本当の妹ができたみたいで嬉しくて、やんちゃでかわいかった彼女と毎日散々遊んだ。
今でも娘と遊んでいると、その時のことを思い出すほどだ。
で今の彼女はすっかり美しい大人の女性なのだが、あの頃と同じ嬉しそうなキラキラした目でA先生の原画を見てて、その姿にちょっと感動した。
しかし彼女からしたら、スーツ姿で「テラさんからの手紙」に感動してる叔父さんを見て、まさに「変な叔父さん」やなぁと思っただろうな。
それにしてもお互いすっかり大人なのにこんなところで会うとは、血の濃さを思い知るな。
でその後、ビアホールのオープンパーティーとやらに同僚と顔を出す。
・・・寒いっちゅうねん。
一通り名刺交換とかしてあまりの寒さに脱出。
で結局、同僚と飲みなおし。


4/25
休日。
家族で甲賀の忍者村へ。
すっかり寂れきった忍者村、まさに「昭和へワープ」な世界。
ここでは忍者の衣装を借りることができるらしく、忍者ファッションに身を包んだ子供達がちらほら。
ふと見ると、年の頃なら20代後半、残念ながら彼氏はいなさそうなOL三人組が、旅の恥はかき捨て気分で忍者姿になってしまっていた。
寂れた滋賀の山奥で忍者ファッションのOL三人組とは・・・笑いを通り越して、ちょっと泣けてくるね。


4/28
青山陽一の新作「ODREL」見本盤が本当に届く。
早速聴き込む。
うん、来た、来たね。
ほぼ一人で仕上げられた前作とは一転、バンドで聴かせる青山流のダンス&ソウルアルバム。
もちろん一筋縄ではいかないストレンジな魅力も十分。
パッと聴いても楽しめ、じっくり聴いても聴き応えある作品。
いい年の重ね方してるなぁ。
ドキャッチーなサビとエレピが渋い「Rainbow」、先日のライブでやった青山印全開の弾き語りナンバー「Are Domo」が最高。
早速、気の合うディレクターさんにCD配布し、社内営業。
外部のディレクターさんで、その選曲から絶対音楽の趣味近いと思っていたUさんに「かけてくださいよ」と手渡すと、案の定「青山陽一!ライブ行ったことあるで」とのこと。
心強い。
夜、部長に誘われ、お天気担当のアナウンサーさんと3人で県の武道場へ合気道の見学へ。
習う気満々のアナさんと部長、まずは一度見学してから決めようとのことで今日の見学会となった訳。
たまたま家が近いということもあり半ば強引に部長に連れてこられたが、これが見学してみるとなかなかおもしろい。
基本的には関節技で30過ぎてから始める武道としては良さそう。
先生にいろいろお話聞きつつ、「こんな感じです」と2秒で関節決められる。
そんな訳で次回、ジャージ持参で体験入門することに。
でその後、部長・アナさんとともに飲み。
仕事の話はしない方針で。


4/29
休日。
娘と近所のペットショップへ。
子供ってどうしてこんなに犬とか猫とか好きなのか。
ハムスターを買って欲しいとねだられるが、これは娘の誕生日までおあずけ。


4/30
仕事後、また部長に誘われ飲み。
ここんとこ、部長と僕のコンビに誰か交えてというのがパターン化しつつある。
今日は制作の子をゲストに、仕事の話はしない方針で。
で途中抜けして滋賀会館シネマホールへ映画を観にきてた友人と駅前で飲み直し。
「ジョゼと虎と魚たち」の最終上映で、絶対観るべきと勧めていたのだ。
で「ジョゼ〜」がいかに素晴らしい映画か語りつつ軽く一杯。
映画や音楽の話を肴に飲むってのが最高の道楽だなぁ。


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