2000年6月上旬

6月突入。残業しないと決めたのでさっさと帰る。がまっすぐ家に向かうとは限らず。案の定、本屋に寄り道。「笑芸人」2号購入。特集は「笑点」と「たけしのオールナイトニッポン」。前号にも増しての濃い内容は嬉しい限り。今、誰が「三遊亭円楽師匠ロングインタビュー」なんて考える?


今日はいつものようにタワーレコードに寄り道。ロケットマン「ロケットマンデラックス」堺正章のファーストソロ「マチャアキのベストスコア」リイシュー盤購入。


最近、やたら腹が空いている。帰りに阪神百貨店の地下食料品売り場を意味なく通り過ぎる。ショーウインドウに並んだあまりにもうまそうなケーキ群を横目に。


土曜。今日は名古屋まで鈴木慶一のライブ見に行く。先日、吉原聖洋氏とお会いした時、「ソロライブにおける鈴木慶一の天才ぶり」を聞いていたこともあり、これは行くしかないだろと決心したのだ。ちょうど土曜だし、名古屋には友人Uもいる。寸前までいっしょに遊んでた娘がさびしそうにする姿を見るのはかなり辛いが、「明日の昼までには帰ってくるから、待っててね。これが父ちゃんの生き方なんだよ」と言い残し家を出る。そんな俺を見送ろうともしない妻の冷たい視線が恐ろしい。駅前の金券ショップで新幹線のチケットを購入し早速名古屋に向かう。京都駅で京都最強の土産もの「阿砂利餅」買って新幹線に飛び乗る。土産用とは別に自分用に買った阿砂利を頬張りつつ、小林信彦「おかしな男・渥美清」読みながら名古屋。で数回の乗り換えしてUの住む三郷まで。迷いつつもU宅到着。相変わらず美人の奥さんとかわいい二人の娘さんにご挨拶。でU一家ととりあえず「味噌煮込みうどん」食べに行く。味噌煮込み初体験であったが、おもったより濃い味。癖になる系の食べ物だな、これは。でそのままUと共にライブ会場である「TOKUZO」に向かう。開演時間ぎりぎりに到着。入り口のとこで吉原さんと会い、御挨拶。先週も「デマゴーグ」のライブで名古屋だったとかで「なんか毎週名古屋来てるなぁ」と吉原さん。でTシャツ買っていざ、店内へ。会場は思ったより小さく、ステージがほんとすぐそこという感じ。こういうとこがライブハウスのいいとこだな。でオープニングアクトの森脇松平が登場。細野さんのカバーなど含め、いい感じで数曲。で慶一氏登場。いきなりかよーって感じで「火の玉ボーイ」。こりゃものすごいライブになりそうだ!!


2時間後、すっかり放心状態。いや、はや、ここまでやるか。鈴木慶一の「狂気」をみた。やっぱ、天才だなぁ。


で興奮のままUと三郷まで帰り、久々にじっくりと飲む。話は多岐に渡り、実の多い内容だった。やはりUは冴えてる。たまにこの男と話するのは、僕にとってはある種、答え合わせみたいなところがあって、今自分の向かってる方向が間違ってないのかなんてことが確認できる。「鈴木慶一のビート」「孤立と狂気」「本物の音楽」などなど話がでたが「希望」というキーワードにたどりついたのが良かった。多分これが、これからの生き方に大きく関わってくるはずだ。


僕らがこれからやりたいこと、やらなければならないことは「希望」を伝えることなんだ。もう迷わない。


でU宅にお泊まり。翌朝、近くの喫茶店に朝食食べに。「名古屋人は喫茶店好き」というだけに日曜の朝8時だというのに喫茶店はいっぱい。何考えてんだ、名古屋人。で午前中には帰ると娘と約束してるので9時にはU宅を後にし大津へ。妻の好物・ういろうのお土産もしっかり買って。


9時に名古屋を出て、12時には大津の自宅で妻と娘の為にチャーハンを作ってるなんざ、俺もかなりタフだな。ま、できればゆっくり休みたいのだが・・・。


名古屋行きがたたってすでに小遣いはマイナス。へそくりを切り崩す。こんな時に限って出産祝いやら毎朝会社で飲むヤクルトの集金とかで更にマイナス。


小林信彦「おかしな男・渥美清」読了。あまりにもおもしろい。そして感動した。いつもながらべたつかない筆はこびで主に「寅さん」以前の渥美の姿が描かれる。あくまで自分が接した本当のことだけを書く姿勢。とても冷静な厳しい視線でありながら、時おり溢れ出すセンチメンタルに心が動いた。「おかしな男」っていうタイトルにこめられた想い。そんなものを感じた。大傑作。


「ほぼ日刊イトイ新聞」の夏に行われる「ビューティフルソングス」というコンサートに絡んでの大貫妙子、矢野顕子への電話インタビューが実に興味深い。「アクティブリスニング」ってのはいい。僕自身もそういう気構えでいたいものだ。対音楽だけでなく、対人間だったり全てに対してそうして接すると世界の見え方が変わってくるもんだ。


金がない癖に帰りまたしてもタワーに。テクノ歌謡DXとして再発されたクリス「プードル」購入。帰ると妻から来月からの小遣いダウンを宣告される。泣きっ面に蜂とはこういうことである。


ボーナス査定とかで上司と面談。話してて気付いたが小学生の時から言われること変わってないでやんの。嫌みに聞こえるかもしれないが僕は中学生の頃まではかなりの優等生だった(高校入学後、転がり落ちるのだが・・)。でいつも通知簿なんかにはこう書いてある。「真面目で成績優秀、問題はありません。しかし自分の力をもっと積極的にみんなの為に使いましょう」で今はこうだ。「仕事は全然問題ない、あとはもうちょっと積極的に会社の為に・・・」性格というのはそう簡単には直らない。というかさらに強固になっていくもんだ。


会社帰りに後輩宅に寄る。最近ギターを始めた後輩とセッションでもということで。後輩が焼きそばとリゾットを作ってくれる。これが、またちゃんとうまいんだな。で後はひたすらギター弾きまくり。ギブソンのエレキギターが、またなんともいい音だしやがる。後輩と後輩の彼女があまりに「うまいですねぇ」「凄いですねぇ」とのせるのでCDに合わせてひたすらアドリブをかます。しかし、僕のギターテクは、はっきりいってかなりでたらめなもの。二人が全くの初心者だから騙せてるようなひどいシロモノ。多分、半年ぐらいしたら彼らも気付くだろう。


しかし、後輩と後輩の彼女の仲良しぶりにはまいった。帰り道。思わず「俺も彼女欲しなぁ〜」と夜空につぶやいちゃったよ。


小学校時代からの友人Tと数年ぶりに会う。彼は昔からかっこいい男だった。なんというか地に足着いた、男っぷりのいい奴だった。がこの数年、いろんなことがあって、闇に沈んでしまったような時期をくぐり、傷つき、しばらく調子を崩していた。久々にあったTはまだ全快とは言えないものの、だいぶ調子も取り戻してるようで、言葉の端々からそれが伺い知れて良かった。2時間ばかり話込む。今、こうして再び出会い、話をしてることがいつかきっと必然だったと思う時がくるだろう。


両親が娘見たさに来宅。夜、中華をみんなで食べに行く。さすが太っ腹。こういうときは甘えるに限る。


電撃的に情報システム部への移動が決定。7年いた営業からまさに急転直下と言う感じで。なんというか、タイミングだな。ここ数カ月の自分自身の内面的変化に呼応するかのようなこのタイミング。こういう時に「神」を意識してしまう。


そんな訳でいきなり東京までネットセキュリティに関する講習に。・・・さ〜っぱり、わからん。先は険しいなぁ。


いろんな偶然が何かに向かってリンクされ必然になっていく感じ。最近ひしひしと感じる。何かが動き出してる。


会社帰り、クリス「プードル」聞く。オリジナルは84年の発表。当時13才の美少女アイドル・クリスの為にムーンライダーズの面々をはじめとしたおっさん達がよってたかってポップソングを作り上げた作品。長らく幻の一品とされていたアルバムの再発。いや、いや、これがもうたまらん。おっさん達の美少女に託した幻想が奇跡のようなポップマジックを生み出している。激甘かつひねりの効いたポップソングに感動。でクリスはこのアルバム後、芸能界から消え去る。で大人になった彼女はというと真木蔵人との妊娠騒動でワイドショーに登場しちゃうんだから、現実って夢も希望もないな。


昼休み、同僚達と「結婚するとなぜに女性はコンセントを抜くのか」というよな話。どうして妻という女性達は節電にうるさいのか。テレビの主電源がついてるといっては怒鳴られ、トイレの電気がつけっぱなしだといってはどつかれ、あげくに玄関のセンサーライトはオフにされており、遅くに疲れて帰ってきても一人暗闇で下駄箱にぶつかったりしながら部屋に向かうというよなことになるのである。あと、風呂のお湯、浴槽の3分の1しか入れてないでやんの。お湯ぐらいたっぷり使わせてくれよ!しかし「あんたが安月給やからやろ!この甲斐性なし!」と言われるとその通りなので何も言わず節電、倹約につとめてるのですがね・・。


会社帰り本屋で「ストレンジディズ」購入。電車の中でざっと一読み。杉山達氏の連載「東京メトロサウンド」は大好きだった「ポータブルロック」について。現ピチカートファイヴの野宮真貴がかって在籍したバンドで当時全く売れなかったバンド。でもいい曲多いんだよ、ほんと。この辺のバンドには思い入れ強いからなぁ、俺。


で家帰ってメールチェックしてびっくり。先の「東京メトロサウンド」書いてるライター・杉山達氏からメールが。以前日記で氏が書いた「80年代中期のテクノニューウェーブ」についての文章にとても共感憶えたということを書いたのだが、どこからか僕のHP見られてメール下さったのだ。いや、はや、こういうことがあるからインターネットっておもしろいんだ。


「only is not lonely」。「ほぼ日」で見つけた言葉なんだけど、とても深いいい言葉だと思う。

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