2000年11月初旬

さて、もう11月。でいきなり会社でトラブル発生。対応に追われ退社時間、深夜2時でまたカプセルホテルへ。いつものように大浴場で疲れを落とし、カプセルに潜り込むも、変に神経が高ぶっていたのかなんだか寝られない。どこからか聞こえる誰かのいびきも気になってしょうがない。で結局寝つけたのは4時過ぎ。なにやってんだか。


休日前、会社帰りにタワーによる。別に何を買うってわけでもないが、ぶらぶらと店内うろつく。なにげに除いたジャズコーナーで長年聞きたかったBOB DOROUGH「DEVIL MAY CARE」を見つけたので早速購入。


日。朝からみんなで買い物いったり、遊んだり。娘とお絵かき。「とうちゃんの顔書いてよ」というと「わかった!」と早速書いてくれる。娘は俺の顔の回りにいっぱいハートのマークを書いた。「どうしてハートなの?」と聞くと「とうちゃんが大好きだから」だって。なんという嬉しいこといってくれるのか。この一言に俺は泣きそうになったね。もうこういうことを言われると、この子の為なら何だってできるなぁとか思っちゃうわけだ、親父として。


大学時代の後輩に呼ばれ大阪まで飲みに。早めに出かけタワーで待ち合わせした友人Mと打ち合わせと称しての無駄話。なんかこればっかだな。で後輩達との待ち合わせ場所に。卒業以来8年ぶりに会う子もいるし、なんつっても後輩、それもきれいどころからのお誘いとあってちょっと浮足だったりして。でやっぱりなんとも楽しい時を過ごす。もう俺も30になろうとしているし、後輩っつっても結構いい年といえばそうなんだが、久々にあっていろいろ話すとなんか20才頃に戻っちまうな。んでそのままいつもの店・グラナダへ。店にいたどっかの社長さんとなんかみんなで話たりして、うまいぐあいにワインとかご馳走してもらい心地よく酔う。すっかり上機嫌になったそのおやっさん、最終的にはボトルいれてくれるは、払いもってくれるはでなんともありがたい。で今は僕の家からわずか車で20分ぐらいのとこに住んでるということがわかった8年ぶりにあう後輩とJRにゆられ帰る。実に、なんとも、いい塩梅。


で駅から家までの帰り道。県庁の横のゆるやかな坂道を星空みながら歩いてると流れ星。生まれて初めて見た流れ星。ちょっと感動。


今日の帰りの音楽は妻に買ってもらった矢野顕子「Home Girl Journey」。「海辺のワインディングロード」、ライブで数回聞いてそのたびに泣いた「さよなら」そして奥田民生の最高傑作「さすらい」のまさに真芯をとらえた素晴らしいカバーに感動。


娘がじいさん、ばあさんに略奪されていったので静かな週末。借りていたウッディアレンのジャズバンドでのツアーを追ったドキュメント「ワイルド・マン・ブルース」ビデオで。言葉の一つ、一つがなんともウッディアレンで嬉しくなる。初めてウッディアレンの映画を見たのは18才の時だった。「カイロの紫のバラ」という作品。当時のアレンのパートナー・ミアファロー演じる田舎のさえない娘が映画の中から文字どおり抜け出してきた映画の主人公と恋に落ちるというある種ファンタジーな作品。すっかりそのおもしろさとそのなんというかちょっと感傷的なティストに強く感動しちまった。で一回好きになったら、割としつこい性格なのでビデオ屋にあるその映画を作ったウッディアレンという監督の作品を片っ端から借りては見るという時期が続く。特に何回も見たのはやはり「アニーホール」と「ハンナとその姉妹」かな。さえなくて、皮肉屋で、自信過剰かと思えば弱気だったりして、そしていつも魅力的な女性に振り回されてるウッディアレンの姿にいたくシンパシーを感じたものだ。でそんなウッディアレンをさえなくて、皮肉屋で、文化系な僕が強く憧れるのはもうあんまりにも当たり前のことでちょっと恥ずかしい気もするが、やっぱもうはまってしまったのだ。なんとなく授業に出たくない日はいつも大学の図書館の視聴覚室で「ハンナとその姉妹」を見た。夕暮れ時、ポケットに手を突っ込んで秋から冬に変わる季節の風に吹かれてキャンパスの片隅を歩く時、僕はもうウッディアレンになった気でいた。ただ大きく違うところは実際のウッディアレンはモテモテだが、僕は本当にもてなかったというところか。ま、そこがポイントなんだが。働きだしてからも学生の時のようにはいかないが新作は一応チェックしている。比較的近作の「ブロードウェイと銃弾」「誘惑のアフロディーテ」なんかも大好き。そしてウッディアレン作品でというかあらゆる映画の中で最も好きな「世界中がアイラブユー」。いつか娘と映画館で見たいなぁと思う。


日曜。妻とのんびりビデオを返しにいったり、電気屋覗いたり、そろそろ車欲しいなぁと試乗しにいったり、いらなくなった本売りにいったりと娘がいない間にいろいろ片づける。娘迎えに行く車中で妻といろいろ話。教育についてなんてことから、田代まさし問題まで。


で娘つれて帰って家でテレビ。たけしがリポーターのガウディの話をほへぇーってな感じで見る。ガウディの建築物、死ぬまでに一回実物見たいなぁと前から思ってたけど、まず無理だろうな。


仕事。やることはいっぱいあるんだが、なんかエアポケットに落ちた感じでどーも調子今一つ。自分のスキルのなさになんかやけに落ち込んだりして精神的にぐらぐら。やばい、やばい、ちょっとブルーモードだ。


会社帰りに大槻ケンヂ「グミチョコレートパイン チョコ編」読了。過剰な自意識と妄想とオナニーにまみれた文化系ダメ男の青春。わかりすぎてわかりすぎて泣けてくるなぁ。情けなくて、最低で、でもいとおしいあの時代。果たして俺はあの時から少しは大人になったのだろうか?


金曜、仕事後、先輩にふぐご馳走になる。先輩の波瀾万丈でワイルドな半生を聞き、自分のなんとも平々凡々で温室育ちのぼんくら生活ぶりがぐっと浮き彫りにされて、俺はつくづく甘いもの好きの甘ちゃん野郎のすっとこどっこいだなぁと実感する。30才を目前にいろいろと考え込む。やっぱり俺は今でも文化系ダメ男なんだなぁ。だけど一つわかってる、本当に俺が行きたいところは、目指してるとこは本物の文化系ダメ男になることなんだ。今の俺はどっちつかずの偽物にしかすぎない。


土曜、家族で遊園地に。休日だというのに8時前に起床し、弁当作る。なんでまた、俺が作ってるの?と思いつつも入魂のおにぎり作り。


ラジオからaikoの「ボーイフレンド」。この曲、やけにメロディーが気持ちいいねぇ。こういう微妙なコード感に弱いんだなぁ。


「歩こう歩こうわたしは元気〜」という「となりのトトロ」の唄があって、娘が好きなのでいつも車で聞いてる。なんとなく耳について離れないのでなにげに「鶴光〜鶴光〜」とくだらない替え歌にして口ずさんでいたら、横から妻が「鶴光〜南光〜わたしは三枝〜」とあまりにくだらなくかつ絶妙に唄ったもんだから、思わずつぼに入る。悔しいぐらいに笑わされた。


会社帰り、閉店のアナウンスが流れるタワーレコードに滑り込み、待望のカーネーション・直枝政広初ソロ作「HOPKINS CREEK」購入。何も30才近くにもなって、いくら早く聞きたいからって発売日前日に入手しとかなければならないなんてことはないのに。大体俺は昔からこうだ。小学生の時、欲しい漫画の単行本なんて必ず発売日の前日夕方には購入してたし、音楽を聞き出した中学生の時から欲しいレコードは絶対、発売日前日には購入。もう15年もその癖直らず。で電車の中でもう袋破ってディスクマンにセットしてやんの。


でその直枝政広「HOPKINS CREEK」。予想を裏切りかつ予想を越えるマッドなロックに思わず唸る。直枝氏の歌声はどうしてこうも30男の魂を揺さぶるのか。もうディスクマンに入れっぱなの聞きっぱな。聞けば聞くほどに発見ありの傑作。

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