「ショート・ショート」


その1  「偉くなったね!」
 
私は花園ラグビー場へはよく行く。
大学生の試合だったり、社会人の試合だったり、またはテストマッチ(国際試合)だったり。
ご多分にもれずラグビーの諸先輩方達も観戦に来ている。
私はいつも、観客席で誰か見知っている顔はないか?無意識に探しているのである。
ある日、先輩を見つけ「こんちわー」と挨拶した。
その数メートル横に別の先輩が座っているのを私は、気がつかなかった。
ゲームが終わり、帰ろうとするとその先輩から声をかけられた。
私は挨拶をした。
その先輩は「お前、xxには挨拶してたなぁ〜〜」
「えっ?、先輩、近くにいてらしたんですか?」
「おう、ちょっと離れた横に座っとったわ」
「すみません、気がつかなかったもので・・・」
「いや、お前はわざと、俺を無視ししたな!(笑)」
「いえ、そんなことありませんよ。」
「いやいや、君は偉くなったね!!(笑)」
 
こんな訳で、観客席を見る癖がついてしまっている。」
 
 
その2  「来なくていいのに!」
 
先日、夜10時過ぎ私の携帯がなった。
出てみると、高校時代の監督だった。
「おう、何してるんや」
(寝るに決まってますがな)
「はい、家でくつろいでいます。」
「おおーーそうか!!今、○○町のxxって店で飲んでるんやーー」
「来んでも、ええぞ!!」
ガチャ・・・・・・(電話は切れた。)
私は、直ぐに着替えた。
家内が「監督さん来いって言ってはんの?」
「いや、来んでも良いって言っていた。」
「それやったら、行かなくてもええんちゃうの?」
「アホ、来んかえって言うこっちゃ!」
私は店に着いた。
すると監督は上機嫌で「来んでもええって言うたやろ」
私は1時間ばかり、お茶でつき合い家まで送っていた。
帰ったのは夜中の1時を過ぎていた。
 
その3  「伝統」
 
高校ラグビーの名門校の話しである。
その高校は、全国制覇したこともある名門、古豪であり、有名な高校である。
部の規則で、部員は全員丸坊主が義務付けられていた。
監督もその高校のOBであり、何かと古いOBがうるさい高校であった。
ある年の部員が「丸坊主」に対して坊主頭にしたくないと、監督に押し入れた。
監督も坊主頭にこだわる人ではなかったが、坊主頭を廃止すると、
伝統、伝統とうるさいOBが何を言い出すか?
気が気で無かったっと思う。
翌日、その監督は自ら頭を丸坊主にしてグラウンドへ出た。
現在はその高校も丸坊主を廃止している。