この話は、京都の大学に通い、下宿していた妹から聞いた話である。
妹の大学の同級生にT君が居た。
彼は下宿近くの居酒屋に飲みに出かけた・・・・・・
ふと横を見ると何と、俳優の中村雅俊が居るではないか。!!!
T君は絶句してしまった・・・・・ファンだったからである。
恐る恐る・・・「中村雅俊さんですか?」と尋ねた。
すると「そうだよ」と気さくに返事をしてくれたそうだ。
中村雅俊も1人で飲みに来ていた。
中村雅俊は「いいなーー京都は、学生の街だね」とつぶやいた。
「君、一人で飲んでるの?僕も一人だから一緒に飲もうよ。」と会話が続いた。
「あのーー中村さんはお仕事ですか?」と尋ねると・・・・
「そうだよ。」と答えた。
酔うほどに会話が弾んだ。
すると急に中村雅俊が「そうだ!ユウコを呼ぼうか?」と言い出した。
ユウコ?「あのーーユウコさんて誰ですか?」と尋ねると・・・・・
「古手川だよ、古手川祐子」
T君は、もう天にも登らん気持ちだった。
ドラマか、映画かわからないが、共演していてロケ日が同じだったのだ。
中村雅俊がホテルに電話を掛けるために席を立った。
ドキドキしながらT君はこれは夢なのか?と思ったらしい。
中村雅俊が、なにやら店の公衆電話から話をしている。
席に戻ってきた中村雅俊は、「化粧落としたらしくて、面倒だから来ない。」と告げた。
(おおーーーすっぴんが見たーーーーい)
店の営業時間も終わりに近づいてきた。
すると中村雅俊は、「君、下宿しているの?」と尋ねた。
T君は「ハイ」と答えると・・・・・・すかさず「じゃーー君の下宿で飲み直そう」と言いだした。
無論、断る理由はない。2人はT君の下宿で飲み直すことになった。
T君は不覚にも眠ってしまった。
朝目が覚めると誰もいない。(昨日の中村雅俊と飲んだのは夢だったのか?)
ふっと、ちゃぶ台のようなテーブルに目をやると・・・・・・・・
「ありがとう。昨日は楽しかったよ。 中村」と置き手紙がしてあった。