そろそろ、1年生から集めた卒業アルバムの、電話相手もなくなりだし、ナンパねたも切れた頃。
また、寮に「まむしの兄弟」のZさん、Qさんが、寮にやってきた。
手には、大学が学生に無料配布した、学生名簿を持っていた。
その、学生名簿は、氏名、学年、住所、所属クラブ、電話番号が記載されており、学生課で
無料で貰えたのだった。
Zさんが、また1年を集合に掛けた。
私たちは、いつものようにミィーティング室に集められた。
「今から、陸上部の1年のR子に電話する、誰か代わりに電話してくれ」
またもや、1年に電話を掛けさせるために集合をかけたのだ。
私は、「先輩、もしうまい事行けば、声とか、イントネーション、しゃべり方でばれますよ」
「今回は、同じ大学ですから、自分で掛けたほうがいいと思いますけど・・」するとZさんは
「そやなーー、うまい事いった時、その方がええな」とあっさり納得した。
ありったけの10円玉がZさんに集められた。
寮の公衆電話の前には、ZさんとQさんだけ残り、1年生は部屋に帰された。
しばらくすると、また、1年に集合が掛かった。
「先輩、どうでしたん?」
「そやねん、それがな、大学入ったとこやし、陸上と勉強に専念したいから、誰とも付き合う気持ち無いらしいわ」
「まぁーー先輩、体よく断られたんですね。」
「そういうこっちゃ」
ここで、私はちょっとZさんを「からかおう」と思った。
「先輩、名前名乗ったんでしょう。」
「ちゃんと、ラグビー部のZやって言うた。」
「先輩、女は喋りやから、ひょっとして、明日ラグビー部のZさんから、交際申し込まれた」
なんて自慢げに言い触らすかもしれませんね。」
すかさずQさんが「そや、Z、十分考えられるぞ!!!、カッコ悪いのーーーー」と追い打ち。
その気になったZさんは、「どうしょう」と暫らく考えた。
「そや、今からR子に、ラグビー部の1年全員が電話掛けて、付き合うてくれって言うたらええんや!!」
とまたも、他人の迷惑顧みずに悪巧みを考え付いた。
結局1年が順番にR子の自宅に電話をかけるハメになったのだ。
「もしもし、R子さんのお宅ですか?」
「ラグビー部の1年のXXと申します。お付き合いしたいのですが・・」
同じ返答が返ってきた。
3番目に、私がすることになった。掛けた瞬間、彼女はもう笑っている。
彼女は、私に「これって、いらずら電話?」と問い掛けてきた。
私は、「そうです、いたずら電話です。」と言って電話を切った。
「先輩、いたずら電話か?って聞かれましたからもう大丈夫ですよ!!」
「そうかーーこれでホンマに電話したんも、いたずらやって思うな」
「よし、次はバスケット部のP子に電話しょうっと」
「先輩、またいたずら電話ですか?」
「ちゃう、ほんまにつき会うてって言うつもりや!!」
「断られたらどうするんですか?」
「おう、さっきと同じ作戦やーー」
1年全員が寮から飛び出して行った。