右翼的生活指導教師


私は、大学在学中の採用試験に落ちた。卒業後講師になるべく教育委員会へ履歴書を
提出。教育委員会の電話を待った。丁度派遣社員の登録と同じようなものだ。
1年間電話は鳴らなかった。
翌春、再度履歴書を提出するために教育委員会を訪ねる。
夏も過ぎ秋になる頃、電話は鳴った。
「教育委員会のXXと申します。今年の春に講師の申し込みをなさってますが、
 まだ御意志はおありでしょうか?」
(あるあるーーー待ってたよーーー)
「お仕事の方は大丈夫ですか?」
(この電話のために親と喧嘩しながらアルバイトで食いつないできたんだよーーーーーー)
「ただ2、3か月の非常勤講師なんですが・・」(関係ない関係ない一日でも行きますよーー)
「それでは、明日教育委員会に来てください」(わかりました)
赴任先の中学はH中学だ。自宅からバイクで約10分。近い。ラッキー。
赴任前日に、中学校へ挨拶に行く。
校長、教頭に挨拶をし、次に生活指導教師と対面、ヤバイ、風貌がヤバイ。
古典的な空手の師範代が、竹刀を持って弟子を砂浜でランニングさせているような風貌だ。
まだいたのかーーーこんな先生。
そして、職員朝礼で簡単な挨拶。その後、机に案内されて机の整理をしていた。
誰か近寄ってくる。ふと見上げると・・・・・・・ゲッーー中学時代の先生ではないか。
今日から同僚???
「お前が来るとはなーー時代も変わったな」
「それはないよ先生、優等生でもなかったけど・・・・」
とりあえず挨拶もそこそこに休職している先生の病院に見舞いに行き、簡単な引継ぎをした。
初登校、今日は私のために全校朝礼をしてくれるらしい。
私は、朝礼台の横で生徒がやってくるのを待った。
私の横には、生活指導の教師。 ジャージ姿に竹刀、時代錯誤もいいとこだ。
滑稽にさえ思える。
生徒がやってきた。ゲッーーーーー担任が先頭に歩き一糸乱れぬ行進。
軍隊だーーーーーーまるで学徒出陣だ。
私は違和感を覚えた。 ここまでやらせる??????
3日もすると学内の事情が飲み込めてきた。
この中学は、数年前校内暴力が吹き荒れ、沈静化させるために、生活指導教師を中心に
力で押さえ付けられる教師を集め、沈静化させたのだ。
私は、体罰を否定しない。なぜなら現場はそんな生易しいものではない。
体罰否定論者の評論家の皆様、あなたが教師になってやってご覧なさい。
ぼろぼろになるはずだ。
でも、ここの体罰教師は、体罰がすべてなんだ。
力で押さえ込み、生気の無い生徒を作り出している。
体罰は、最後の宝刀のはずだ。簡単に抜く。一旦力で押さえた生徒は、いじめられた子犬
のように従順になり、後ちの生徒指導が楽になるからだ。
体罰を行なえば、後の方が膨大な労力が必要になるのに、この教師たちは簡単に抜く、
後の恐さも知らずに・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてこの学校にもご多分にもれず派閥があった。
体罰教師軍団とそれをよく思わない教師たちだ。(この人たちも無責任)
いやーな予感がしていた。たった2、3ヵ月の非常勤講師だ巻き込まないでくれーー
赴任して2、3日たって生活指導教師が私に、「体育科で君の歓迎会をするから」
と言われ仕方なしに言われた店にいった。
入ってびっくり体罰教師軍団の集会だった。
やっやっやられたーーー
タダ酒飲んだら派閥入りかーーー?(派閥入りしたら、選挙資金くれるんか?)
組合活動教師は、サボりだの、あいつは口だけだの(あんたらは体罰だけやん。
(今頃。何処かの居酒屋で、あいつらは体罰だけや、殴るのを教育だと勘違いしてる、て
言われてるんやぞ!)
私は、決心した。たった2、3ヵ月だ両方うまく泳いでやれ。得意中の得意だ。練習している
振りしてサボる。長年培われてきた本能だ。任期終了時、私は両派閥のアイドルになっていた。