これが授業?????


先輩が帰ってきた。「茶店でも行こか?」そういいながら体育館をでた私達は、運動場を横切り、
正門の前にある喫茶店に入った。
先輩は、喫茶店の窓から一直線に、正門、運動場が見える席につき、おばちゃんに「いつもの2つ」
と注文した。
先輩は、正門を見ながら「昨日は飲み過ぎやな」と言いながら水をお代わりした。
目線は、正門から離さない。「先輩、遅刻者を見張ってるんですか?」
「まあな」そんな会話をしていると目の前に、大盛りのご飯と、とんかつが出てきた。
朝から、とんかつ定食?それもご飯大盛り?2日酔いの私には、苦行だった。
先輩は、平気な顔して食べ始めた。
「先輩、半分食べてください。」私は泣きが入った。
食べながら色々な話をまたしだした。
「先輩、週に何回ぐらい泊まるんですか?」
「そやな、3回は泊まるな。」
「いつも、飲んでですか?」
「そうや、人気もんやからしゃーないわ、お誘いが多いから」
「いつも朝からここで、とんかつ定食ですか?」
「大体な」
「この前、朝まで飲んできつかったわ」
「授業出来るんですか?」
「この前、バスケの授業やったんや、1時間目、バスケゲームさせていたら寝てもたんや」
「起きたら、4時間目になっていてな、生徒ら勝手にゲームしとってん」
「えっ、1時間目からずーーっと寝てたんですか?」
「そや、生徒ら起したらあかん思って、声もださんと静かにやっとったは、優しい生徒やで」
「そんなん、いいんですか?授業勝手に、生徒出来るんですか?」
「ちゃんと、仕込んだある」(猿やないねんから、仕込むとは・・・・)
「寝ているときに、勝手なことしません?」
「そんなん、俺に見られたら、えらい目にあわされるからビビッてようせんわ」
ちらっと、時計を見た先輩は、「行こうか?」と言いながら立ち上がった。
お金も払わずに、喫茶店を出た。
「先輩、お金いいんですか?」
「ああ、つけや、給料日にまとめて払うねん」
そういえば、なけなしのお金で、昨日飲んだくれたから、私も先輩も1円の金も持っていなかった。
正門を、くぐり私は先輩に挨拶して、駐車場に向かい歩きだした。
先輩は、グランドの方に歩きだし、笛を吹いた。
「集合!!!!」大きな声を出し、生徒を集めた。
ちょうどチャイムが鳴り響き、先輩は、2、3言葉を生徒たちに掛け、生徒は散らばって
校舎に、走って入っていった。
先輩は、私の方を振り返り、笑いながら手を振った。

先輩は、私と朝食を取りながら授業をしていたのだった。