隠しトビラ

今回は小ネタです
が、極一部の方には有益な情報だと思います

ヤマハのCG182Sと云うクラシックギターの上駒(ナット)交換が楽器店からの下請け仕事として入りました
以前の記事に量販店からの下請け仕事が激減したと愚痴を書きましたが、今でも月に数本くらいはあっちこっちの楽器店からこの様に依頼はあります
件の記事の大量に仕事を回してくれていた某量販店さんも今でも年に数回厄介な仕事を回してくれます
たぶん通常依頼しているリペア業者がお手上げになったものがこっち回ってくるのでしょう
なんだか「都合の良い女」扱いですが、まぁ私の仕事がダメで切られたんならこんな厄介な仕事は回して来るはずも無いので腕は信頼してくれているのだと思う事にしています

おっと、脱線脱線(^^ゞ
そのヤマハCG182Sの上駒交換をするべく上駒を外すと「?」な物を発見しました
(通常当店では上駒の事を「ナット」と呼びますが、この記事で上駒をナットと呼ぶとややこしい事になってしまいますので今回あえて「上駒」と呼びます)
 
上駒を外すとネックに溝が入っていて、そこの六角ナットがありました
見る限りトラスロッドの調整ナットに見えるのですが…
クラシックギターなどナイロン弦ギターのネックには調整式のトラスロッドが入っていることは少なく、一部のエレガット機種で見られるくらいで、そう云った場合もサウンドホール部分に調整穴があったり、ヘッドにトラスロッドカバーが付いていたりして調整式のトラスロッドが入っている事が分かり易くなっていますが、こんな風に上駒を外さないと分からないような所に付いているのは見た事がありません
しかも高級クラシックギターなどでは上駒は嵌め込み式で接着されていない事が多いのですが、このヤマハCG182Sの上駒はネックに接着されていて上駒交換でもしない限りその存在に気がつきません

今回の修理内容とは関係無い事ですが気になって仕方ないので調べてみました
まずヤマハのサイトを見てみましたが該当機種にトラスロッドが入っていて反り調整が出来ると云ったような内容は見つけられませんでした
ネット検索もしてみましたがこれも該当する記事は見つかりませんでした
とりあえずこの六角ナットを回してみれば何か分かりそうなので、試しに少し緩めさせてもらう事に。
もちろん六角ナットが固ければあきらめるつもりで軽〜い力で六角ナットを緩めると…動きました!
ネックの状態を見ると、わずかですがさっきよりも順反りが大きくなっています
そこで元の位置まで六角ナットを戻すと、ネックの反りも元の状態に戻りました!
やはりこれはトラスロッドの調整ナットだったのです!
ヤマハのクラシックギター、少なくともCG182Sではトラスロッドで反り調整をする事が出来るんです

この依頼品は新品だったのでマニュアルや付属品も一緒に送られてきたのですが、調整スパナも付属されていませんし、調整するにもギターにダメージを与えないように上駒の接着を外し、調整後にまた接着する必要があるのでユーザーさんには難しい事なのですが、なぜこれをマニュアルに明記しないのか?不思議です
恐らくヤマハのアフターサービス内では周知されているのだとは思いますが、ユーザー自身も知っておいた方が良いと思うし、我々メーカー外の修理業者も知らされていた方が良いと思うんです

通常クラシックギターのような調整式のトラスロッドが入って居ないネックの反り修正は、フレットを抜き指板を削って反りを修正する方法と、ネック用の「アイロン」と呼ばれる工具で熱を掛けて矯正する方法があり、指板を削る方法ですと上駒を外してから削りますのでその時点でこの六角ナットの存在に気が付きますが、アイロンを使用する方法ですと六角ナットの存在に気が付かないままアイロンを掛けて修理してしまいそうです
当店ではアイロンを使用する方法は行いませんが一般には1万円前後の工賃が掛かるようですのでトラスロッド調整よりは費用が掛かります
ちなみに当店でトラスロッド調整をした場合、上駒の取り外し・再接着を含めても2,000円の工賃ですので8,000円ほど無駄な費用を使ってしまう事になりますね

リペアマンが調整式のトラスロッドが入っている事を知らなくても、ユーザーさんが知っていれば修理時にリペアマンに伝えられる事ですし、知っていて損は無い情報だと思います
なのに上駒(ナット)と云う隠しトビラに隠すなんてねぇ〜

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