本物の線を引く
さあ、いよいよデッサンの第一歩、線を引きましょう。
でもその前に断っておきますが、私はお父さんに、無理やり絵の世界に引き込むような魂胆はありません。このレッスンで絵が上手になると思ったら大間違いです。
何より線を通して、お父さんに本物を理解していただきたいのです。
少しは絵に理解を持っていただきたいのも事実ですが・・・
lesson1からlesson3で実感していただいた自分をいつも意識に留めておいてください。
それではレッスンを始めましょう。紙と鉛筆を用意してください。
どんな紙?どんな鉛筆?なんて野暮なこと聞かないでくださいよ。
どうしたらいいの?と聞いたらあなたはレッスンの最初から失格です。
どこかに答えがあって、それを模倣すればいいなんて考えるのは最低です。
そんな事を求める教室は大抵あなたに抜け殻を身につけさせようとしているのです。せっかくまとわりついた殻を脱ぎ捨てたのに、いまさら抜け殻を身につけるなんてばかげていると思いませんか。
さあ、始めましょう
●あなたの身の回りに転がっている鉛筆と紙を探してください。
え?広告の裏でもいいかって??まだそんなことを言ってるの、お父さん!!そんなもの何でもいいに決まってます。あなたがこれと思ったもの、手に触れたものでいいのです。間違っても画材店で高級紙などを買い込むような見栄を張ってはいけませんよ。
●目の前に紙を広げて、心を静かにさせましょう。雑念が浮かぶようなら瞑想してあなたの命を全身で感じてください。
何を描いたらいいの?どこから線を引いたらいいの?どんな濃さの鉛筆で?円なの四角なの?
そんな質問には一切お答えいたしません。
答えは私の中に在るのではありません。あなたの中にあるのですから。
あなたの中に自然に生まれている
命の流れを感じてください。
そして線を引きたくなったら、線を一本引きましょう。
●一本の線が生まれましたか?十人いたら十人。一億人いたら、一億の違った線が生まれたはずですね。そんなことを思うと少し楽しくなりませんか。じっくりその線を観察しましょう。緩やかな曲線、微妙なくびれ、山や谷、線の中にいろいろなものが見えてくるはずです。
●では次に、今度は瞑想して心の中にとどまっていた意識を外に向けましょう。目の前にお手本があります。
そう、今しがたあなたが描いた1本の線。それが今回のレッスンのお手本となります。
その手本を見ながら、そっくりそのままの線が描けるように練習します。嫌になるかもしれませんが、ここまで付き合ってくれたあなたなら、今までの時間を無駄にしないためにも、多少の苦痛は耐えて練習してくださる事と信じます。でもどうか絵が嫌いになりませんように。・・・・
●最初に描いた線の上を直接なぞってはいけません。コピーをとってそれをなぞって練習するのはOK。
とにかく、お手本と同じ線がかけるようになるまで特訓です。間違ったら消して、何度も書き直しましょう。練習を重ねて、自分で納得の出来るものが出来たら、清書してください。どの程度同じものが描けましたか?満足のいく線が出来ましたでしょうか。もういい!!と癇癪を起こされたお父さんには気の毒ですが退場願いましょう。・・・・
というのは嘘。。嘘ですよお父さん。退場なんてありえません。
くしゃくしゃに丸めた紙をもう一度丁寧に広げてください。大丈夫、私を信じて。、ホラホラ、機嫌を直してくださいな。破ってしまったのなら、テープで貼ってもいいし、何なら気を取り直してもう1枚描いてみましょうか。
●さあ、とにかく時間はかかっても、お手本と、清書が目の前に並びましたね。
見比べてみましょう。どちらが本物の絵だと思います?苦労した分、清書のほうが本物かもしれません。それとも、どちらも本物?どっちも自分で描いたのだからあたりまえですよね。どちらも本物だとしたら、線の出来栄えはどうですか?同じ出来栄えと思います?どちらが上手な線に見えますか?
時間はたっぷりあるお父さん。じっくり二本の線を眺めて、考えてみてください。
そして答えはここに。 答え クリックして答えを開きましょう
間違っても先に答えを開けて興ざめなことしてはいけませんよ。
ま、そんなことはどうでもいいことですけど
●答えから帰ってきたお父さん。ここまで付き合っていただいてありがとうございました。
さあ、もう一度、納得のいくまで、二本の線を見比べてください。
あなたの本物が実感できれば、私はとても幸せに思います。
この幸せは互いに分かち合える幸せなのです。
そんなことをなんとなく理解していただければ合格です。おめでとうございます。
このレッスンはこれで終了です。
お疲れ様でした。