お詫びと答え
よくいらっしゃいました。ごめんなさいm(−。−)m
先に謝らせてください。お父さんにペテンにかけた私を許してください。
もっとも嘘も方便といいますから、私はそんなに罪の意識を持っていませんけれど・・・
さて答えです
●正直なお父さんは、さどかしご苦労なさった事とお察しいたします。いい加減にやったお父さんはやっぱり見てみろといきまいておられるかも知れません。でもいまさら、どちらでもかまいません。苦労した方がきっといいのですが、とにかく紙を前においてください。
●もう一度、清書した線をごらんください。そしてそれを描いた様子をもう一度思い返してください。きっといい思い出にはならなかったでしょうね。辛いだけで、面白くもないことだったとご推察いたします。そしてやっぱりお手本の方がいい出来だと思います。
●私の答はこうです。
本物はお手本にしかないそれが真実です。
真似は真似です。どんな精巧な真似でも、本物ではありません。精巧に描く技術は褒められても、贋作は哀れなものです。その苦労はほとんど無駄な苦労だと思います。
●あえてお父さんに贋作を描いてもらったのは理由があります。
それは抜け殻を求めてする努力がいかに空しいことかを理解していただきたかったからです。
だましたのは悪気ではなかったと、そう理解していただければ幸いです。
●本物とは、一切の迷いもなくそして単純で尊いもの。
次は高名な画家の言った言葉ですが、
何度も線を引いてみて、一番いい線は最初の線だと気付いた
というのがあります。言い回しなどは記憶違いですが、本物の線を求めて探求した結果の画家の言葉として重みがありますね。その言葉をかみ締めてください。あなたの今の境地はまさにその画家と肩を並べているのです。そしてあなたが描く一本の線も世界の巨匠に匹敵するものなのです。
●今回のレッスンであなたが体験したことは、真似をする努力の空しさです。そして趣味を求める人たちの一番多く陥っている誤りは、この真似をすることをなのです。だから私は必ずあなたが陥るだろう落とし穴に真っ先に突き落としました。それを理解してください。
●真似をする。真似を強要される。それでもそのことの意味を知らずに喜んで、たとえば絵を描く。真似のうまい人は優等生。自信満々、いい気分ですね。一方真似の下手なお父さんは、俺には向かないんだと諦めたり、真似の出来ないへたくそな絵を恥ずかしがって人にも見せられない。
上手と褒められて悦に入っている人はまだしも、自信喪失のお父さんは救いようがない。
どちらも本物を忘れて、自分のいる場所とは違う見当はずれの人生を歩んでいるのに変わりはありません。
真似がすべて悪いといっているのではありませんので、ぉえらい先生がこれを読んで、怒鳴り込んでこられないこないことを祈りながら・・・
●さあ、これが趣味の実体です。自分で描いたものでさえ、それと同じものをつくろうとする努力は物真似に過ぎません。無駄で空しい努力だというしかありません。それを今体験したばかりですね。
●そして一番大切なことは、あなたが描いた最初の線、これはあなたの命から生まれた尊いものだという自信と確信と、それを認める勇気を持っていただきたいということです。
いつも最初の線を描く。それは今生きているあなたの心と体の延長線なのです。
その尊さに是非とも気付いていただきたいと願っています。
●最後に堀尾貞冶という作家を紹介します。自分はへたくそだと自慢して、世界的に有名な現代美術作家になった方です。名前を覚えておいてください。今も元気で一年に100回以上も個展をこなしています。元具体美術協会の草分けです。もし作品に触れる機会があれば是非見てください。
きっとこんなもの俺にも出来ると思われるほど、むちゃくちゃなものが並んでいるはずです。
でもそれがなぜ素晴らしいのか、あなたにはもうお分かりのはずですね。
ではレッスンに戻りましょう。 GO