lesson2

ステンレス鍋と
アルミホイルを観る


今回は、最も華やかに光を意識させてくれる素材を観ることにしましょう。

表面が滑らかで、鏡のように光を全反射するもの、
その特徴は、コントラストの強さにあります。
最暗部分と、最明部分がいつも隣り合わせにいます。

この特徴のために、ものの形を見失ってしまいそうになります。
デッサンするのに、難しいと感じるのはそのためでしょう。

でも、しっかり観ることによって、この光るものたちも、そう難しくない事がわかってきます。

さっそく観る事から始めましょう。
できれば手元に、適当な光りものを用意して、
それを手にとりながらこの課題を進めてみてください


まずはこの鍋、筆触法で鍋の表面をくまなく散歩してみてください


ものが見えるのは、光の反射によります。
木や石など多くの素材は表面で光を吸収したり、乱反射させているため、ものの形が正確に見えます。

しかしこの鍋は、やってくる光をほとんど全て跳ね返しています。

鏡で日の光をとばした経験はありませんか、鏡を動かして光を人の顔に当てていたずらをしたものですが、
実はこの鍋のいたるところでそんないたずら小僧が光を飛ばしているのです。(←イ、ロ、ハ、取っ手部分)

最明部分は、いたずらが成功した部分、つまり私の顔にうまく光を当てた所です。(←イ,ロ,ハ、その他とって部分)

←イ

←ロ

←ハ

イの部分は鍋の側面のカーブの上に現れた光です。
自分の目と、反射された光と、側面の角度を意識してください。いたずら鏡の角度が変わったとたん、光が目から外れて直接光が見えなくなります。そこにくっきりした光の線が現れています。

(ロ)の光は鍋の底の部分、テーブルと同じ面と考えられます。大きな光の面は天井の光源が映りこんでいるのです。

(イ)の部分は鍋の側面に出来た光のおび、いたずら反射光が成功したところ。  自分の目と鍋の面,そして光の関係を意識してください。  鏡の角度が変わると光は目から外れます。  それが光の帯の境界線、眩しさがなくなると鍋が正しく見えてきます。(暗い部分)
下の1番明るい点は底とのつなぎ目で、光が全て目に当たって眩しい。

(ハ)は、ふちから側面に曲がるところに出来た角度によるもの

←ニ

(ニ)は、机の反射光が鍋の底で再び反射したもの、←ハが太陽ならここは月にたとえられる

いたずら小僧の光を無視しましょう。
すると鍋のほんとの姿が見えてきます。


1観 る

2鏡のいたずら

3 いたずらその2

今度は逆に光がまったくやって来ないところを観ましょう。

いたずら小僧の反射光が、私の目線からそっぽを向く方向に
飛ばされると、そこから光がやってきませんので真っ暗になっ
てしまうのです。(←ホ、へ、ト)

←ホ

←ヘ

ト→

(ホ)と(ヘ)は本来の影の部分と重なっていますが、普通こん
なに暗くはありません。 いたずらに引っかからないようにして
くださいよ。

(ト)は(ヘ)より明るいはずですが、やっぱりいたずらで真っ暗になっていますね。

全てこれらは、鍋の表面の角度とやってくる光の角度、そして見る者(あなた)の目の位置によって作り出される錯覚なのです。

3 鍋の本当の姿は





ヲ→

(↓チ、リ、ヌ、ル、ヲ)は鍋の実際のまま見えているところ。これを を参考にして、鍋の本当の姿を確認してください。

心のアリが、鍋の表面を散歩します。

眩しくて目が開けられなくても、闇で道が見えなくてもおそれず進んでください。鍋の感触を楽しみましょう。


4 アルミホイルを観る


5 光のいたずらその3


上の2枚の写真は、同じものを目の位置を変えて撮影したものです。どんな目の位置かはわかりますよね。


←カ

←ヨ

←タ

(ワ)が(カ)に変化し、(ヨ)が(タ)に変化していのがわかりますか。
目の位置を変えるだけで夜と昼がひっくり返るのです。(面白い)これはみな反射光のいたずらです。

二つの図を見比べて、光のいたずら(魔法の世界を)を楽しんで下さい。

6 最後に


デッサンに際しては、○印のようなくっきりした光のコントラストに注意しましょう。
不自然と思っても、見えたまま描くことが大切です。

蛇足ですが、光があたってキラキラ輝くのはどうしてかわかりますか


ちなみにキラッと光っているところをみたままウインクして見て下さい。

すると輝いているところは、左右の目のどちらか一方で光って見え、
その片方は光って見えないのがわかります。

つまりキラキラするのは、光と闇を同時に見ているからなのです。

面白いですね。今回のlessonはこれで終わりです

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アルミホイル
アルミホイルの写真