泡沫戦史研究所/ドイツ治安警察部隊史/警察装甲車/戦車部隊(1942年〜1945年)

第15警察戦車中隊
15.Polizei-Panzer-Kompanie

 第15警察戦車中隊は1944年7月11日付の治安警察長官通達によって編成が開始されました。編成作業はイタリア警察司令官(BdO Italien)の管轄下で進められ、編成にあたっては陸軍戦力定数指標(K.St.N)1149号B項の装備定数が適用され、装備予定の装甲車輌14両は南部編成司令部(Aufstellungsstab Sud)から捕獲車両が供給されることになりました。その他に中隊には陸軍戦力定数指標(K.St.N)1112号b項(第1小隊)の編成によるオートバイ狙撃兵小隊が配属されることになりました。

中隊の編成は次のようになる計画でした。


第15警察戦車中隊(1944年7月の計画)

中隊本部
  指揮班:小型乗用車×1両、サイドカー×1両
  M15装軌式装甲車×1両、M42突撃砲×1両
  補給段列:小型乗用車×2両、乗用車×1両、フィールドキッチン×1両、中型トラック×8両
  車輌整備班(第43修理工場小隊):小型乗用車×1両、サイドカー×1両、
    戦車トランスポータ×1両、中型トラック×2両、大型トラック×1両
  予備班:中型トラック×1両
第1小隊:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、中型トラック×1両、
  M15装軌式装甲車×4両
第2小隊:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、中型トラック×1両、
  M42突撃砲×4両
第3小隊:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、中型トラック×1両、
  M42突撃砲×4両
オートバイ狙撃兵小隊:小型乗用車×1両、オートバイ×1両、中型乗用車×1両、
  中型トラック×1両、サイドカー×12両


第15警察戦車中隊(1944年7月の計画)

中隊本部
指揮班:

Stkw.4

Krad Bwg.

K-Pzkw.M15

StuG.M42
補給段列

Stkw.4

Stkw.4

Stkw.4

Wkw.

Wkw.

WkW.mit Feldkuche

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.
車両整備班(第34修理工場小隊):

Stkw.4

Krad Bwg.

Zugwagen

Wkw.

Wkw.

Wkw.
予備班:

Wkw.
第1小隊

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

K-Pzkw.M15

K-Pzkw.M15

K-Pzkw.M15

K-Pzkw.M15
第2小隊

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

StuG.M42

StuG.M42

StuG.M42

StuG.M42
第3小隊

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

StuG.M42

StuG.M42

StuG.M42

StuG.M42
オートバイ狙撃兵小隊

Stkw.4

Krad

Stkw.8

Wkw.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.
 このスケールで縦1m、横5mです。

 K.St.N1149号B項による中隊の装甲車輌以外の編成定数は、小型乗用車×7両、乗用車×1両、サイドカー×4両、2tトラック×4両、3tトラック×10両、4.5tトラック×2両、戦車トランスポーター×1両からなり、兵員は将校3名、下士官41名、兵69名と規定されていました。これに加えて、K.St.N1142号b項(第1小隊)によるオートバイ狙撃兵小隊は、小型乗用車×2両、オートバイ×1両、サイドカー×12両、中型トラック×1両を装備し、兵員は将校1名、下士官5名、兵38名と規定されていました。


 中隊の編成に必要な要員と車輌はイグラウ警察自動車学校、警察衛生訓練及び予備大隊、ウィーン警察自動車学校の予備戦車大隊、ベルリン警察本部などから供給されました。また、オートバイ狙撃兵小隊についてはウィーン警察自動車学校の予備戦車大隊から工兵下士官と工兵及びオートバイが供給され、その他の必要車輌はウィーン警察自動車学校から抽出されたほか小隊には1組の工兵機材も配備されましたが、軽機関銃は定数の6挺に対してたった3挺しか配備されませんでした。その後イタリア戦線の戦局悪化により1944年8月23日にはイタリア警察司令官(BdO Italien)が解散したため、配属された要員と車両類は一旦ウィーン警察自動車学校に集められました。

 1944年9月23日付けの治安警察長官通達により第15警察戦車中隊の編成に必要な要員がウィーン警察自動車学校から供給されましたが、中隊の編成は当初の計画どおりには進まず、第15警察戦車中隊へ配備するために集められたM15戦車とM42突撃砲は結局9月の時点で第12警察戦車中隊の装備に転用されたようです。

 その後中隊はベロナ警察司令官(BdO Verona)のもとに配属されますが、1944年11月9日現在の第15警察戦車中隊の兵力はたった60名にすぎませんでした。しかし、その後短期間のうちに中隊の兵力は将校5名、下士官116名、兵29名にまで増加しており、11月中旬のこの時期に新装備としてP40戦車(装軌式装甲車)が配備されたものと思われます。


第15警察戦車中隊(1944年11月現在)

中隊本部
  指揮班:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、P40装軌式装甲車×2両
  補給段列:小型乗用車×2両、乗用車×1両、フィールドキッチン×1両、中型トラック×8両
  車輌整備班(第43修理工場小隊):小型乗用車×1両、サイドカー×1両、
    戦車トランスポーター×1両、中型トラック×2両、大型トラック×1両
  予備班:中型トラック×1両
第1小隊:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、中型トラック×1両、
  P40装軌式装甲車×4両
第2小隊:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、中型トラック×1両、
  P40装軌式装甲車×4両
第3小隊:小型乗用車×1両、サイドカー×1両、中型トラック×1両、
  P40装軌式装甲車×4両
オートバイ狙撃兵小隊:小型乗用車×1両、オートバイ×1両、中型乗用車×1両、
  中型トラック×1両、サイドカー×12両


第15警察戦車中隊(1944年11月現在)

中隊本部
指揮班: 

Stkw.4

Krad Bwg.

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40
補給段列

Stkw.4

Stkw.4

Stkw.4

WkW.mit Feldkuche

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.

Wkw.
車両整備班(第34修理工場小隊):

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

Wkw.

Zugwagen

Wkw.
予備班:

Wkw.
第1小隊

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40
第2小隊

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40
第3小隊

Stkw.4

Krad Bwg.

Wkw.

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40

K-Pzkw.P40
オートバイ狙撃兵小隊

Stkw.4

Krad

Stkw.8

Wkw.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.

Krad Bwg.
 このスケールで縦1m、横5mです。

 1944年10月20日現在の治安警察部隊兵力概要および配備状況によると、中隊はベロナ警察司令官(BdO Verona)の指揮下にあり、St. Micheleに配備されていました。1944年11月11日には中隊はポーの南方地域にあり28両の戦闘車両を保有していましたが、その後移動中に空襲にあい6両の戦闘車両を失ったほか中隊長が重症を負うなどの損害を出しました。1945年4月9日現在の最高級SS及び警察指導者「イタリア」の戦闘序列によると第15警察戦車中隊はノヴァッラ(Novarra)に在り、将校3名、兵90名とP40戦車×13両のほか機関短銃×20挺、小銃×38挺、ピストル×80挺を保有していました。


2000.11.26 新規作成

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