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コラム
擦りダコの手術
 はじめに

オスカーの口先に擦りダコが出来てしまいました。
水槽面に口先を擦り付けることが原因でよく擦りダコが出来てしまいます。
水槽面に口先を擦り付けること自体に問題がある場合がありますが、それについては後ほど。

今回は麻酔を使いましたのでそのあたりのレポートです。
最初に、もしこの記事を参考に手術を実行された際に万が一、事故が発生したとしても当方では一切責任を負いません。
あくまで自己責任によって実行してください。

 手順

麻酔自体は、以前アジアアロワナのエラ捲れの手術の際に使用しましたので2回目の使用となりますが、ざっくりと手順を紹介します。
助手がいませんでしたので、写真が少なくテキストメインとなりますが、ご了承ください。

患者はトカンチンス産のテリー(約25センチ)です。
以前、一度麻酔なしで強引に切ったんですが、今回再発(と言うよりは完治しなかった)しましたので、再度手術を行いました。
単なるタコだけなら、手術による余計な負担をかけたくありませんので、そのまま放っておいたのですが、タコの中心部分の皮が剥がれて潰瘍のような状態になってしまったので、そこからの感染症などの恐れも出てきますので止む無く実施しました。
(分かり辛いですが、一部が赤黒く変色しています。)

まず、前日に換水を行い、その日の夜以降はエサを抜きました。
エサを抜くのは、麻酔をかけた際にエサを吐き戻すことがあるためで、麻酔の負担の上にさらに魚体に負担をかけることになってしまいます。

使用したものは、
1.麻酔薬
2.プラスチックコンテナー(25リットル程度)
3.バケツ(5.2リットル)
4.カッターナイフ、はさみ
5.タオル
6.アクリル板(汚れ防止に下に敷く新聞代わり)
7.グリーンFゴールド
です。

手順
1.水槽の飼育水をプレスチックコンテナーに移す。
今回はコンテナーを使用しましたが、大き目のビニール袋が良いと思います。魚のサイズに合わせてショップで分けてもらいましょう)
2.魚を水槽からコンテナーに移す。

3.麻酔薬を少しずつコンテナーに注いでよくかき混ぜる。
今回は、水約20リットルに対して、合計5ミリリットル使用。
4.あらかじめ濡らしておいたタオルを滑り止めに下に敷いておき、麻酔が効いたらその上に魚を乗せます。汚れてもいいようにタオルの下に新聞紙など(今回はアクリル板が余っていましたのでそれを敷いています。)

5.タコを切除します。
6.切除した部分にグリーンFゴールド(雑菌の感染予防ができる魚病薬なら他のものでも大丈夫だと思います)を直接粉末のまま塗ります。

7.魚を水槽に戻します。


 ポイント

・麻酔薬の使用は、使い方を誤ると魚がそのまま目覚めず死んでしまう可能性がありますので、ショップで相談するなど正しい使い方を確認した上でご使用ください。
また、小さな子供さんや犬、猫などのペットがいるご家庭では取り扱い、保管に十分注意してください。

・麻酔薬は100ミリリットル入りで約5000〜6000円くらい。
小分けして売ってもらえることもありますので、ショップで相談してください。

・麻酔薬は、最初3ミリリットル入れましたが、20分以上経ってもあまり効いてこなかったため、1ミリリットルずつ2回足して合計で5ミリリットル使用しています。
以前40センチ程度のアロワナで使用したときも5ミリリットル使用しましたが、数分で効いてひっくり返ってきましたので、魚種や魚のサイズ、体調によって効きが違うのかもしれません。

・タコはかなり硬く、今回使用したカッターナイフやハサミ(どちらも結構良く切れるものです)では中々スパッとは切れず、ゴリゴリと削り取るような形になってしまいました。
使用していないので何とも言えませんが、剃刀など刃の薄いものが良いかもしれません。
この切除作業については、アロワナのエラめくれ手術のほうがずっと楽です。

・通常、よく麻酔が効いている状態で魚を水槽に戻す際は、フィルターの給水口の流水がエラに通るように当て、泳ぎだすまで手で支えてやる必要があります。

・オスカーの体表は粘膜で非常にヌルヌルしてすべります。
今回滑り止めに濡れタオルを敷いて行いましたが、タオルとこすれてかなり粘膜が剥がれてしまいますので、飼育水に粘膜保護剤(アクアセーフなど)を入れててください。
また軍手などを嵌めて行うと同じように粘膜が剥がれてしまいますので注意してください。
逆に、素手のままだと非常に滑りやすいため、刃物の扱いには十分注意する必要があります。


 水槽面に口先を擦り付ける動作について

水槽面に口先を擦り付ける動作は、よく見かけると思います。
水槽の前に立つと、餌をねだって擦り寄ってきますね。
オスカーの飼育の中でも楽しいひと時です。

ところが、それ以外でも水槽面に口先を擦り付けながら泳いでいることがあります。
個体差と言ってしまっていいのかどうか分かりませんが、同じようにしていてもタコができる個体とできない個体があり、今回ご紹介したように大きなタコになってしまう個体もいます。

なぜこのように水槽面に口先を擦り付けるような泳ぎ方をするのか考えて見ますと、
1.他の混泳魚がいる場合、そのプレッシャーによるストレス。
2.水槽サイズによるもの(水槽が小さすぎる)。
3.水槽は透明ですので、その先にまだ泳いでいけると思っている。
4.水槽面に映った自分の姿に対して興奮している。
5.スリスリするのが気持ちいい。
6.暇だから遊んでいる。
など、半分冗談のようなものもありますが考えられます。

飼育者が原因を判断しないといけないんですが、解決方法としては、
1.は水槽を分ける。もしくは魚を減らして単独飼育にする。
2.はより大きな水槽に変更する。
3と4.は水槽面が透明でない(反射しない)、底面、左右、背面の4面が黒マットのアクリル水槽(所謂アロワナ水槽)に変更したり、水草を植えたり(すぐに抜いてしまうと思いますが)して水槽面に直接触れにくい工夫をする。
などは物理的に解決可能だと思いますので、諸事情が許すのであれば実施できますね。
(と言いながら、うちでは諸事情が許しませんので現状では難しいのがつらいところですが。)
ただ、5や6の場合、魚に言い聞かせて分かる話ではありませんので、何ともしようがないですよね。。。

いずれにしても、原因がある程度特定できるのであれば、防止策も採りようがありますので、できるだけその原因を取り除いて防止してやることが大事だと思います。
麻酔や手術など、魚にとっては負担にしかなりませんので。



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