自己紹介


中学生の頃から音楽に熱中しはじめたのは、
聴き終わって心に残るいろいろな想いが大切に思えたからです。
音楽を聴くと、何故か気持ちが素直になるのが不思議でした。
生意気な中学生ですね。

学生時代は貧乏で、アンプを自作していました。
工業高校の電気科を出たあと、改めて大学の電子工学科に入ったのは、
きちんと基礎を踏まえたうえでアンプを作りたかったから。
でも、大学を卒業するとオーディオ市場は活況で、ちょっと背伸びすれば、
自作で到達できるのはいつだろうと思う製品が手に入る状況になっていました。
知恵を絞って工夫して、失敗を重ねながら学ぶ過程は面白いのですが、
工作を楽しむことと音楽を聴くことは別物と心の整理が付いて、私は自作を止めました。
音楽を聴きたい欲求が原点で、機器はそれを実現する道具と、その頃から考えていたようです。

以来、機器の取り替えを続けますが、スピーカーだけは浮気することなく長く使っていました。
音の性格はスピーカーに左右されやすいし、聴き手との相性が出やすいとも思います。
大学を卒業した当時、私がエレガントに鳴ると感じるJBLはstudio monitor 4341だけでした。
ところが4341は短命で、注文できる目処をつけたときには4343に交替していました。
幸いなことに初期の4343は4341の清楚さを残していたし、
明朗で健康で元気な音に変化していくその後の4343とは別物で、翳りの表現にも長けていました。
私には、クラシックを鳴らすこともできる希有なJBLと映っていたのですね。

しかしそのJBLを15年後に入れ替えます。
私の中で、音楽の受け止め方が変質しているのを自覚したからです。
音楽に飛び込んで燃焼するような聴き方は、もう無理になっていると感じ始めていました。
いつの間にか、心の反応を冷静に分析できる、行儀のいい聴き手になっていたわけです。
そんな私に寄り添ってくれるように鳴る、やっと見つけた次のスピーカーがAPOGEEでした。
しかしAPOGEEで聴くようになっても、私の裡で変わらないことがあって、
それは音楽を聴いた途端に、仕事や生活で私を支えていたはずの自負と意地が消えて、
とても素直な気持ちになれることだったのですね。
この作用が失われたら、私は音楽を聴かなくなるかもしれません。




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聴くための機材