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そして、1991年2月21日、ついにMacintosh IIsiを購入するに到ったのであった。当時のスペックは内蔵メモリ5MB、ハードディスク80MB、68030が20MHzで走っていた。OSは漢字Talk6.0.5。それに13inch RGBカラーディスプレイとキーボードをつけて、¥916,700というお値段だった。決して安い買い物ではなかったが、それ以前と比較すれば、100万円以下でこのスペックは、破格と言えるほどリーズナブルなものであった。(職場の同僚某は、メモリ2MB+HD20MBのMacintosh Plusに、それ以上の投資をしていた。)当時は「80MBのハードディスクが一杯になるなんて、一生かかりますよ。」なんて言われていたのである。その頃のシステムって、今だったら全部RAMに入るじゃん、なんつって。そんな具合だから、当初は自分がメモリの増設すらやることになるとは思わなかった。技術の進歩を甘く見ていたわけではなく、当面はこれで良いと考えもし、いたずらに機器の速度を追求するよりも、自分の仕事やら何やらにいかに役立てるかが大切だったのである。しかし、技術革新の方が、こちらを放っておいてはくれなかった。(言い訳か)最初に元手がかかってるという意識が強かったものだから、結局メモリは17MBまで増設し、キャッシュ、ビデオボート、アクセラレータと投資を重ね、結構しつこく使い込んだ。現在も職場の片隅で、時々使用されている……それはともあれ購入時には、せっかくだからsiで始まる名前を着けようと考えて、Siouxieと名付けることとした。スージーと言われて、スージー・クワトロを思い出される方には申し訳ないが、スージー・スーからいただいた名前なんである。SIOUXIE AND THE BANSHEESのセカンド・アルバム『JOIN HANDS』には、「ICON」という曲も入っており、コマンド・ラインで操作するMS-DOSに対して、GUIとWYSIWYGがウリだったMacintoshには相応しいネーミングであっただろう(本当か?)。以後、自前のPCには「-ie」で終わる女性名を付けるという習慣が、ここで方向づけられた。
写真は、まだ割と素直な状態のsiouxieである。上に見えるのは初代のStyleWriter。これは、その後(多分93年2月)発表されたStyleWriter IIに比べると、欠陥商品じゃないのか、交換してくれよ、と言いたくなる代物だったが、漢字TrueTypeとの組み合わせで、使うことは使った。部屋の狭さと使い勝手を両立させるため、マンテン社(サイト見たら、ごっつう変なもんも作ってるな、この会社)のアングルでオリジナルの棚をこしらえたが、この棚だけでも3万円ちょっとかかっている。凝ったものである。キーボードの奥にはKensington Turbo Mouseが見える。マウスよりトラックボールの方が好きなんである。現在も4ボタンのTurbo Mouseを使っている。最初から仕事と趣味の両面での活用を考えていたのだが、現在までひたすら仕事にしか使われていないのは、何とかしたいところだ。ビジネスでパソコンといえばスプレッドシート、というのが一つの常識かもしれない。マッキントッシュにはエクセルという、ものすごい相棒もあったのだけれども、私の場合はデータベースとワード・プロセッサ、そしてアウトライン・プロセッサを中心に使っている。その他に、やはりこの時代のマック・ユーザーとしては、Hyper Cardというソフトの素晴らしさに触れないわけにはいかないだろう。そう、それはそれは素晴らしいソフトだったんである。現在、ウェブで実現されているハイパー・テキストによる表現を、単体のソフトとして具体的に提示した、最初の実用的なソフトウェアだったのではないだろうか。その名もHyperTalkと名付けられた言語によって、さまざまなスクリプトを組み、相当複雑な作業をこなすこともできるソフトだった。のだが、しかし、やはりコンピュータ屋さんではない私には、それを完全にマスターし、自由自在に使いこなすことは無理があった。誰かが作ったスタック(Hyper Cardのファイルをそう呼んだ)を見て感心はするものの、自分は結局、比較的単純なカード型データベースとして使ったに過ぎない。そういえば当時、ビル・ゲイツも相当感心してたらしいなんて話もあったけど。
だが、データベースとして使うには、マシンパワーとソフトとしてのHyper Card双方に限界があり、徐々に主力はファイルメーカーIIへと移っていった。
……まだまだ、先があるのだが、一旦「続く」とさせていただこう。
それはそれとして、持ち歩いて使えるコンピュータに対する欲求も高まっていった。Appeからは、PowerBookやPowerBookDuoとDuoDockというような、それなりに魅力的な製品も出ていたのだが、購入に踏み切るにはちょっと高価であったし、実際「持ち運ぶ」ことを考えると、依然として「ラップ・トップ」であるよりは「ラップ・クラッシュ」マシンであった。だが、求めよさらば与えられんというジーザスの教えの通り、全然別のマシンが与えられたのである。HP200LXがそれであった。>