アフターディナーティー     〜Afterdinner tea〜
アフターディナーテイーは、夕食後のくつろぎの時間に頂くお茶の事。
19世紀に食後に男性はライブラリー(書斎)に、女性はドローイングルームへと分かれ、会話を楽しんだと言われています。
リラックスした時間をすごすのが普通ですが、家族だけの場合はもちろんのこと、お客様を交えたり、夫婦だけでということもあります。
またリビングで通常過ごしますが、場所も時には書斎などで読みかけの本を読みながら......というのもあります。
1日の終わりを迎える前にホッとする時ですから、お茶だけでなくリキュールやブランデー、ボートワインなどといった強いお酒も合わせて出すことが多く、お菓子もそれを引き立てる甘味の強いものやチョコレートなどが添えられます。
とりわけおしゃれな男性なら、そのお酒の銘柄やグラスにもこだわり、洗練された演出がなされます。
ですから、アフターディナーティーはもっとも雰囲気を大切にするティータイムでもあります。

ティータイムにはおしゃべりはつき物ですが、アフターディナーティーはくつろぎの時ですから、アフタヌーンティーの時のように知的な話題、あるいハイティーのようにワイワイと騒ぎながら、というのではありません。
むしろ1日のしめくくりのお茶の時にふさわしい、静かな時を過ごし、ゆったりとした気持ちの中で大人の会話を楽しみます。
ですから、音楽や映画、旅の話など趣味に触れた話題を選ぶといいでしょう。

またここでは、お酒と紅茶の両方を一緒に頂いて構いません。
ただ、お酒を頂くときは酔っ払って声を荒立てたり居眠りをしてしまったりというのは、その人の品性が疑われかねません。
特に女性が酔っている姿は、どんな美人でも決していい印象は与えませんから、すすめられても飲めない人ははっきり断ってかまいません。
招かれた先でいくらお酒をすすめられ、飲めるからと言って調子にのって頂いてしまったり、「自分の家にいるようにくつろいで」と言われて、本当に自分の家にいるようにソファーに横になってしまったりというのはやはりマナー違反です。いくらリラックスとはいっても限度があります。
また、アフターディナーティーは、自分の家ならともかく、ご招待を受けたお宅では、遅い時間まで長居をするのは失礼になります。
いくら楽しくてもあまり長居せず、さりげなく時計を見ながらスマートにおいとましましょう。
アフターディナーティーにおすすめの紅茶
アフターディナーティーは、食後の口直しやリラックスのためのお茶ですから、香りに特徴のあるフレーバードティーやハーブティーがおすすめです。
好みや気分で選んで良いのですが、お代わりのたびに茶葉を変えて何種類かのお茶を楽しむというスタイルも良いでしょう。
フレーバードティーはフルーツや香辛料、花の香りなどをつけた、着香茶とも呼ばれるもので、スウェーデンやドイツ、フランスなどで愛飲されています。
どちらかというと保守的な英国人の中では相対的に少ないお茶ですが、このアフターディナーティーではよく飲まれています。
種類は沢山あり、アールグレイやラプサンスーチョンもそのひとつです。
最近人気の高いキャラメルは、インド・セイロンのOPタイプの茶葉に甘く香ばしいキャラメルフレーバーを着香したもので、独特の甘味に特徴があります。
いずれもストレートで楽しめますが、キャラメルはミルクを加えると違った滋味でいただけます。

そして英国の昔ながらの着香茶のひとつがジャスミンです。
中国産緑茶にジャスミンの花のつぼみを混ぜ、茶葉に自然にその香を吸い込ませたもので、気分を明るくしたり、神経高揚や抗うつなどの作用があるといわれています。
いずれのフレーバードティーも個性ある香と甘味があり、一日の終わりにふさわしい豊かな時を作ってくれます。
また、独特の効用をもっていますから、それに合わせて選んでみるのもフレーバードティーならではの楽しみ方かもしれません。


参考 : 英国式ティーパーティーの愉しみ

[英国風ティースタイル]