最初に結論からいってしまえば、おいしい紅茶を淹れるために用意する水は、くみたての水道水です。
水道管の赤サビが混じっていたり、あまりにもカルキ臭が強かったりしなければ、水道水を使って特に問題はありません。
水に関してしばしば「軟水」「硬水」ということばを聞きますが、紅茶の味や香り、色を引き出すのは軟水のほうです。
一般的にいって、日本の水は軟水ですので、くみたての水を使えばいいわけです。
軟水と硬水については後で説明するとして、まずは紅茶に不向きな水を具体的に記述します。
紅茶に適した水とは、無臭で空気(酸素)をたくさん含んだ水です。市販のミネラルウォーター
ですから、水道水のカルキを取るためにも、くみ置きして使う事を考えてしまいがちですが、実はくみ置きの水には紅茶をおいしくするための大切な酸素がかけているのです。
紅茶をおいしく淹れるためには、ポット内で茶葉を「ジャンピング」させることがかかせません。
ジャンピングは水に含まれる空気によって活発になるわけですが、水をくみおくと、この大事な空気が抜けてしまうのです。
実際にくみ置きの水で紅茶を淹れると、ジャンピングが起こりにくくなり、水色も黒ずみ、香りの失われた紅茶になってしまいます。
ペットボトルに入ったミネラルウォーターにも、くみ置きの水と全く同じことがいえます。二度沸かしの湯、沸かしすぎの湯
ミネラルウォーターにはやはり空気が含まれていないため、紅茶には適しません。
また、本来のミネラルウォーターは、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルを含む硬水です。
特に、輸入物のミネラルウォーターの多くは硬水なので、お茶の味と香りが出にくいのです。
これが硬水は紅茶には向かないという理由です。
しかし、市販のミネラルウォーターでも、純水や天然水なら問題は無いでしょう。
もしもお使いになるなら、軟水の国産天然水が安心です。
日本のほとんどの地方では水道水でも十分なのに、カルキ臭を飛ばそうと沸かしすぎるのはかえって禁物です。電気ポットのお湯
沸かしすぎたお湯はカルシウム濃度が高まり、硬度が高くなります。
せっかく硬度の低い軟水を沸かしても、これでは台無しですよね。
また、沸かしすぎると水の中の紅茶をおいしくするための大切な酸素が飛んでしまい、お湯が「死んで」しまうのです。
二度沸かしの湯は、一度冷める段階で変質しています。
茶葉に含まれる可溶成分を溶かす力が既に消えていますので、ちょうどくみ置きの水を使った時と全く同じようになってしまいます。
電気ポットの湯は、温度が低すぎます。
また、湯も古くなっているためおいしい紅茶を淹れる事は出来ません。
水の硬度とは.....
紅茶に適した軟水と不向きな硬水
軟水か硬水かを決めるのは、水に溶けている酸化カルシウムの量です。
酸化カルシウム量が多い水を硬水、少ない水を軟水といいます。
この水の質を表す単位を「硬度」といい、100ccの水に酸化カルシウムが1mg溶け込んでいる状態を「硬度1」と表します。
硬水に多く含まれる酸化カルシウムは、紅茶のおいしさの元となるタンニンが溶けるのを妨げ、本来の香りや水色が浸出しないようにしてしまうのです。
日本の水は酸化カルシウムの少ない軟水ですので、香気の高い茶葉を十分に味わうことが可能なのです。
参考 : 紅茶の辞典