内的関係を重視したReading指導


帝塚山中学・高等学校 中北 里
c−michi@tezukayama−u.ac.jp
 
0.はじめに
(1)大学入試英語問題(長文)の現状
ア)長文化
イ)口語英語化
ウ)文法問題の減少化
エ)客観問題
オ)思考能力を問う問題
(2)生徒の現状
ア)語彙力の不足
イ)テキスト内部のつながりをみない
ウ)テキスト全体がみえない
エ)背景知識の不足
オ)日本語能力の低下
1.reading指導に何が必要か
(1)生徒のニーズ
(2)テキスト内の結束性を重視した指導−cohesive marker (資料1)
(3)background knowledgeの強化
(4)思考能力の習得
ア)知的・好奇心の問題
イ)日常レベルの問題
2.授業の実践例
(1)教材:大学入試問題
 対象:高校3年男子20名(英語演習上・2単位)
 目的:入試問題も1つの英文、例えば、1つ教養が増えるという感覚で捉え、文と文との関係、各文の役割、段落相互の関係を認識させる
(2)手順
ア)テキスト内部のインターラクションの提示(資料2)
イ)つなぎ言葉の紹介(資料1・3)
ウ)英文の提示(資料4)    設問は省き英文のみ 
エ)発問
a.キーワードとなっている語彙、語句を問う発問
 例 (the) picture(s)
b.語句と語句との言換え関係、対照関係を問う発問
 例 word pictures worth a thousand words when… worth little in terms of… particular category
c.文と文のつながりを問う発問
 例 a single demand:they want… To take another example…
d.各文が段落でどのようなは働きをしているのか問う発問
 例 topic sentenceとsupporting sentenceを見つけさせる
e.段落相互の関係を問う発問
 例 各段落のキーワードを問う
オ)実際の入試問題の形式で解かせ、必要なら添削(資料5・6)
カ)音読指導(チャンクがみえているか確認)
キ)その他
a.言語外情報の説明
 例 a shore bird encased in oil tar
b.生徒のニーズに応じて大意要約などの事後指導
4. 問題点
(1)進度の問題
 英作文に最初の15分くらい割いている(資料7)ので進みが遅い
(2)即効性の問題
 他の英語の授業で強化(Reader:4単位 Grammar:4単位)
(3)英語の読解指導以外の問題
 背景知識、知的好奇心の問題
4.まとめと課題
  テキスト全体を理解しようと思えば、テキスト内部のつながりを理解しなければならない。このことはreading指導で教授することができそうである。しかし学習者が、母国語で論理の展開を身につけていなかったり、日常自分の考えを持っていなかったり、知的好奇心がなければ、英語の読解を要求することはより困難である。今後こういった母国語レベル、日常レベルに焦点を当てた指導も大事ではないだろうか。

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