2000年に行われたJASTECによる近畿6県(教育委員会に対する)の小学校英語活動実施状況によると奈良県の実施率が極めて低く最下位である上に、「実施するつもりはない・実施しないことに決めた」の割合が全体の約4分の3を占めていた。しかし、今回の調査により、回答を得た133校(約57%)の内、約55%の小学校で何らかの英語活動が実施されていることが明らかになった。そこで、「小学校への英語導入」に対する教師の意識を探るべく、「総合学習の一環として」と「教科として」の双方の実施に対する利点・問題点について、教師を6段階の実施頻度に分けて、その違いを考察したいと考えた。また、反対理由に着目することによって、奈良県の実施状況との関係を考えたいと思う。
結果的には、教科としての導入ではなく、「総合学習の一環」での英語の実施ゆえに、「ねらいに合わない」=実施していない事実があり、小・中連携が行われない原因となり、悪影響が出る、あるいは出ることが予想される。しかしながら、実施頻度の高い教師ほど、「英語のリズム感・Listening・基本的な表現・自己表現への態度」においてその効果を認めていることもわかった。さらに、挙げられた反対理由は、英語導入を阻止するものではなく、改善を望むものであると考えられる。
小学校への英語教育導入は、これからの初等教育の充実につながり、同時に英語教育における導入期の改善の機会でもあると私は考える。