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フィリピンの世界遺産  (World Heritage List)


フィリピン(1985年)

トウバクハ岩礁海洋公園 (がんしょう)1993年
東南アジア最大のサンゴ礁が広がるトウバタハ岩礁海洋公園は,スル海に位置し,海流の影響で大小の岩礁が発達している。マンタ(オニイトマキエイ),チョウチョウウオ,アオウミガメなど豊富な海洋生物が見られる。

フィリピンのバロック様式教会 1993年
スペインの植民地時代に建てられた,石づくりのバロック様式教会。キリスト教の布教と同時に要塞をかねた堅牢(けんろう)な教会堂が各地に残る。最古のものは,16世紀に建てられたマニラのサン・アグステイン教会。

フィリピン・コルディレラの棚田(たなだ) 1995年
イフガオの人びとが何世紀にもわたって受けついできた,ルソン島北部の棚田。標高1,000メートル以上の山岳地帯に階段状につくられた水田は,「天国への階段」とよばれる。いまもほとんど人の手による米づくりが行われている。

プエルトプリンセサ地下河川国立公園 1999年
地下を流れる川とカルスト地形が特徴。地下の川はそのまま海にそそぐため,下流は潮の影響を受ける。さまざまな生物が暮らしており,山から海までの生態系が見られる。

ヴィガン歴史地区 1999年
アジアにあったスペイン植民都市のうちでも,当時の姿がよく保存されている町。フィリピン,ヨーロッパ,中国などの文化がまじりあい,独特な都市景観を生みだしている。

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  トゥバタハ岩礁海洋公園
さまざまな生物をはぐくむ岩礁東南アジア最大のサンゴ礁,トウバタハ岩礁海洋公園は,パラワン島の東側に広がるスル海に位置しています。スル海は,フィリピン最大の漁場です。
 この海洋公園では,海鳥のカツオドリのほか,マンタ(オニイトマキエイ),アオウミガメ,チョウチョ
ウウオなどの海洋生物もゆたかです。
   たくさんの島からなるフィリピン
フィリピンは,約7,100の島でつくられる国です。なかでも,首都マニラのあるルソン島とミンダナオ島は,国土の総面積の60%以上をしめ,人口の大部分が集中しています。
火山が多いことでも知られ,また,台風の発生する地域でもあります
  チョウチョウウオ
トウバタハ岩礁海洋公園は∴海流の影響で発達した大小の岩礁を中心に,さまざまな生物をはぐくむ海です。しかし,この楽園もまた,自然破壊の危機にさらされています。



アジアのキリスト教国に残るスペイン植民地時代の遺産鵬フィリピン 1993年
   フィリピンのバロック様式教会
  植民地時代の歴史と多様な文化
フィリピン国民の約80%以上は,現在カトリックを信仰しています。
これは,スペインの植民地であったことに関係しています。
フィリピンは,15世紀にはイスラム教国でした。16世紀には東南アジアの交易地として栄え,マニラには日本人町もありました。1521年,スペイン人マゼランが来航したのをきっかけに,16世紀後半から宣教師が各地でキリスト教の布教をはじめます。その後スペインは,サトウキビや麻の栽培などを行い、フィリピンを植民地として支配していきました。各地に残る石づくりのバロック様式教会は,布教のためだけでなく,統治のための要塞としての役目もはたしました。
19世紀末の独立戦争で,約300年つづいたスペインの支配は終わりますが,その後はアメリカによる支配を受けるようになります。第2次世界大戦では,日本軍の侵攻と占領により多くの被害を受けています。フィリピンは,何世紀にもわたりさまざまな民族が流入し,多様な言語と文化をもった国となっています。
   サン・アグステイン教会
マニラのサン・アグステイン教会は,現存する石づくりの教会では,フィリピン最古のものです。16世紀に建てられました。要塞もかねた頑強な建物は,大地震や第2次世界大戦にも生き延びました。


    カルデラの棚田(たなだ)  フィリピン 1995 
  古代からの稲作文化を伝える山岳地帯の農業
 壮観なライス・テラス
コルデイレラは,ルソン島北部、マニラから約340kに位置する、標高1000mをこす山岳地帯です。そのなかのイフガオ州バナウエには,山並みに沿って棚田(ライス・テラス)が広がっています。
棚田は,平地の少ない山間部でくふうされた水田です。山の斜面に数メートルずつの幅で階段状につくられています。この地の棚田は,1枚ずつをつないでいくと,全長が約2万キロ,地球半周分にも相当するという壮観(そうかん)なものです。まるで空にとどくようにも見えることから,「天国への階段」とよばれています。伝統を守りつづけるイフガオの人びとフィリピンは,それぞれの島にさまざまな先住民が暮らしています。
コルデイレラの棚田は,山岳に住むイフガオの人びとが,何世紀にもわたって受けついできたものです。住民にとって,米は主要穀物であり,儀礼(ぎれい)などにももちいる貴重なものです。
彼らは棚田を受けつぐと同時に,生活様式や祖霊(それい)への信仰などにおいても伝統文化を守ってきました。
2000年以上もの昔から現在まで受けつがれてきたコルデイレラの棚田は,きびしい自然を克服し,環境との調和をみごとに実現してきた人類の知恵といってもよいでしょう。

 コルディレラの棚田
棚田の作り方は,まず傾斜のおだやかな斜面を階段状に切りくずし,その段をていねいにな
らしてから水をひき,水が高い田から低い田へ流れるように濯漑設備(かんがいせつび)をつくっていきます。米
をつくる作業は,一部に水牛などを使いますが.ほとんどが人の手で行われます。
 日本の棚田(佐賀県西松浦郡西有田町)
山の斜面の土地を最大限に利用しています。

 日本の棚田
もともと東南アジア付近ではじまった稲作は,東南アジアや東アジアなどで主要な産業となっています。しかし,平地の広い水田と山地の棚田とでは,稲作の方法は異なります。
日本でも,中部地方の高地や,海岸近くの傾斜面などに棚田が見られます。平地の水田では用水路を整備して大型機械を使いますが,棚田ではわき水を利用することが多く,仕事も手作業に多くをたよっています。あぜを泥でぬりかためて高く築き,冬の間も水をためておくなどのくふうをします。
平地の水田とはちがい,棚田は1枚1枚を小さくつくりますが,これは,地すべりで田がこわれるのを最小限にくいとめる知恵です。
棚田は,中国の雲南省,台湾,それにインドネシアのジャワ島など東南アジア各地でも見られます。