ナイツエレメンタル、格納庫。
智彦が中心となって何か作業をしている。
その中心にはビーグル形態のムト、アート、アウラソルトのエレメントテクターがあった。
精霊は融合していない。
「なにをしているのじゃ?」
偶然そこに来たムトが尋ねる。
「ライティのデータからちょっと面白い物ができたのでね。それを取り付けているのですよ。」
「面白い物?」
「ええ、エレメントブースター。これがうまく起動すればあなた達の力になるはずです。」
作業を眺めつつムトは何かを考えている様だった。
「ところで、アウラさん達はどうしました?」
「うむ、なんでも真希ちゃんの買い物に付き合うとか言っておったぞ。」
「きゃあ!やっぱり似合う。」
僕は、真希ちゃんに翔護、アートさん、そしてアウラソルトさんとで買い物に来ていた。
アウラさんに街を案内したいからって真希ちゃんが言い出したんだけど。
今、僕達は洋服店にいる。
「なんか、変ではござらんか?」
「いえ、よく似合っておられますよ。」
アートさんはそう言ってるが、顔が笑ってる。
なにしろ今のアウラさんの服装は女物の白いブラウスにひらひらのスカート。
すごく似合ってるけど。アウラさん一応男なんだけどなあ。
「じゃあ、次これね。」
「真希どのぉ、まだあるのでござるかぁ。」
アウラさんの情けない声が店内に響くのであった。
第7話
「黄金の力」
「だいぶ買ったなあ。小遣い大丈夫なの?」
大きな袋を持つ僕が真希ちゃんに尋ねる。
「大丈夫、臨時収入があったからね。」
「にしても、買ったよなぁ。」
僕と同じく大きな袋を引っさげている翔護が言う。
「なあ、雄也。こんな時、なんで俺達だけが荷物もってるんだろう。」
「それはお約束だからですよ。」
あっさり言うアートさん。お約束っていったい?
「あっ、雄也君。」
この声は、武信さん?
「やっぱりそうだ。真希さん達も一緒ですね。」
相変わらず優しげな声、動きやすい格好をしている。
あれ、そのとなりにいる人は?
「武信さん。お知りあいですか?」
「ええ。」
その女性に答える武信さん。なんか嬉しそう。
僕達はその女性に自己紹介をした。アートさんとアウラさんは父さんの知り合いの姉弟という事にしておいた。
「月崎?確かお父様の会社の研究員にそのような方がいらしたような。」
僕の名前を聞いた時、彼女がそんな事をいった。えっ?お父様の会社って。
「あっ、申し遅れました。わたくし、大鳥佐希子と申します。」
おおとり……たしかそれって。
「まさか大鳥グループの?」
真希ちゃんの驚く声に佐希子さんは頷く。
大鳥グループ、衣食住全てに関連会社を持ち、日本はもちろん世界にもその勢力を持つ大企業である。
そして僕の父さんも、この大鳥グループの研究所に勤めているんだ。
そう言えば、佐希子さんとアートさんってよく似ているよな。
性格も話し方も、髪の色が黒と言うこと以外はそっくりだ。
そのためかアートさんと佐希子さんはすぐ仲が良くなったようだ。
「武信さん、悪かったですね。デートの邪魔しちゃって。」
「えっ、でででででーと?ちちちちがっ。」
真希ちゃんの言葉に武信さんがまともにうろたえる。
ここまで過剰に反応されると逆に気持ちがいい。
「あの、よろしかったのですか?デートの途中でしたのに。」
「いえ、デートではありませんよ。大学の課題で調べものがあって図書館に行っていたんです。」
あっさり答える佐希子さん。がっくし肩を落としている武信さん。
「大丈夫ですか?私なにか変なこといったでしょうか?」
その佐希子さんがわけもわからないように武信さんに尋ねている。
佐希子さん本当に武信さんの気持ちに気がついていないようだ。
なんだか、武信さんがかわいそうになってきた。
「がんばれよ。」
翔護が武信さんを慰めている。良く考えると小学生に慰められる大学生というのも悲しい物があるなぁ。
ゼグル基地
「どういうつもりだ、ラバル。」
デスモードがラバルに詰め寄っている。
「言ったはずだ、手出しはするなと。」
「お前の戦いには手を出しちゃいねえぜ。」
デスモードはラバルに背を向ける。
「手段は選べ。あまり非道な真似を続ければ私にも考えがある。」
「考え?指揮権は俺にあるんだ。俺に手を出すことはあの御方に逆らう事になるんだぜ。」
答えずにデスモードはその場から立ち去った。
「いいの?デスモード。あいつに大きな顔をさせといて。」
廊下を歩くデスモードに紫色の髪をした女の子が話しかけてきた。
「今、奴に手を出す訳にはいかんのだ。わかっているだろ、スニア。」
「ふうん、まったくの虎の威を借る狐よね。今のラバルって。」
スニアが口を尖らせて言う。
「そう言うな。我らも結局、ラバルと何ら変わらぬのだからな。」
「そりゃあ、そうだけど………。」
「今、あの御方に逆らうわけにはいかんのだ、我が望みのためにも。」
デスモードは歩き去った。
「望みねぇ。デスモードの望みってなんなのかしら?」
スニアは悩んでいたようだが。すぐに表情を変えてその場から去った。
「すいません、荷物を持ってもらって。」
「いえ、いいんですよ。」
あの後、武信さんが荷物を持ってくれたので僕は少しは楽になった。
それでも両手がうまってるけど。
少し休もうというという事になって、公園に来たんだ。
アウラさんとアートさんは佐希子さんと共にブランコに乗っている。
ああしてみると本当に仲のいい姉弟に見える。
まあ、実際は僕より年上なんだけど。
翔護と武信さんはなんか買ってくると言って歩いていった。
僕はと言えばベンチに座っている。となりには真希ちゃんがいる。
風に彼女の髪がたなびく。その横顔を僕は見つめていた。
僕は真希ちゃんの事が好きだ。真希ちゃんも僕のことを好きと言ってくれる。
けど、僕は本当に真希ちゃんの恋人でいていいのかな。
彼女を守るために力を得た。それなのに結局は彼女を悲しませてしまう。
僕なんかより翔護や武信さんの方がずっと真希ちゃんにふさわしいような気がしてきた。
「ねえ、雄也くん。」
急に真希ちゃんがこっちを向いた。そのため互いの目が会う。
「なっ、なに?」
「私、雄也くんの恋人でいていいのかな……。」
「えっ?」
真希ちゃんは沈んだ声で尋ねてきた。
「私、雄也の力になれない。戦っている雄也くんのなんの力になれないよ。」
「そんなことない!真希ちゃんはちゃんと僕の力になってる。僕のほうこそ真希ちゃんに心配ばかりかけて。」
「謝らないで……私、この間の戦いで雄也が死にそうになっていた時、なにもできなかった。わたし……。」
真希ちゃんの頬を涙が伝う。
「真希ちゃん、僕は君の微笑を守るために戦っているんだ。だから、泣かないでよ。」
……自分で言っておいてなんだけど、ものすごく恥ずかしい。
「なに、それ。雄也くんらしくないよ。」
真希ちゃんが涙を指でぬぐって言う。
「そうかも。けど、さっきいったことは本当だからね。」
「うん。」
その微笑に僕は吸い寄せられるような気がした。
真希ちゃんが瞳を閉じる。そして僕も……。
「おーい、買ってきたぞ!」
翔護の声が辺りに響く。僕と真希ちゃんは慌てて離れた。
「ほい、コーラだったな。」
翔護が僕にコーラを渡す。いやにタイミング良く戻ってきたなあと思っていると翔護が僕の耳元で言った。
「残念だったな。もう少しでキス寸前だったのに。」
「なっ!」
もしかして、翔護は全部見てたの?
翔護は意地悪そうな顔で僕達を見ていた。
「なあ、なんで俺がこんなに持たなきゃいけないんだ?」
「さあ、なんででしょうね。」
真希ちゃんが少し怒ったように翔護に言う。
あの後、翔護は真希ちゃんにも同じ事を言ったらしいけど、その結果がこれ。
翔護の両手には公園に来る時以上の荷物が持たされていた。
僕と武信さんが持っていた分全てを持っているのだからその重さは言うまでもない。
「ちょっと持ってくれよ、雄也。」
「自業自得だよ。」
僕も、ちょっとだけど怒っている。もう少しで……。
「顔が赤いでござる、具合が悪いでござるか?雄也殿。」
「なっ、なんでもないよ。アウラさん。」
「もう少しで、ふぎょ。」
翔護がなにか言おうとしたが真希ちゃんの右脚が翔護のすねにきまっている。
「もう……言わないでよ。」
顔を赤らめながら真希ちゃんが言う。
それを見ていた武信さんが横でアートさんと話している佐希子さんを見た。
何を考えているかはわからない。けれど溜息をついた所を見ると。
まあ、詮索しないほうがいいよね。
武信さん達と別れた僕らもそろそろ戻ろうかと言う事になった。
そのとき、空をなにかが横切った。
「あれって、ブルードラッケン?」
真希ちゃんの言葉に僕は頷く。
ここ1週間姿を現していなかったけど。また現れたか。
「雄也くん。」
真希ちゃんが心配そうに僕を見る。
「大丈夫だよ。僕は一人で戦ってるんじゃない。」
「そうですよ。私達も自分が守りたい人達のために戦っています。
けど、自分がいなくなって悲しまれるのはいやです。だから必ず戻ります。」
「拙者らを信じて下され。」
「うん、わかったよ。」
真希ちゃんを安心させると、僕達はブルードラッケンが飛んでいった方に走った。
途中でライティ、そしてムトさんが乗る金色のトレーラーが合流した。
そのトレーラーにはムトさんとアートさんのエレメントテクターが乗せられている。
「ムト殿、行くでござるよ。」
ムトさんとアートさんは自分のテクターに乗る。アウラソルトさんは金色のトレーラーに乗った。
そう、このトレーラーがアウラさんのテクターなんだ。
ようし僕も!
「サモン!サンダーブレイダー!!」
エレメントコマンダーより放たれた光がサンダーブレイダーに変わり、僕は乗りこんだ。
「急くぞ!雄也。」
僕達はブルードラッケンの飛んでいった方へ急いだ。
目の前のビルが爆破される。
そこにはブルードラッケンのほかに2体の人型ロボットがいた。
黒と赤の2体のロボットは、どちらも似た姿をしている。
ライティ達はロボットの姿を確認すると変形し始めた。
「モードチェンジ!雷剣士ライティ!!」
「モードチェンジ!土の拳士ムト」
「モードチェンジ!木の拳士アート」
次々と変形するライティ達。そしてアウラさんも変形する。
「モードチェンジ!」
後部のキャリー部が分離し、ワゴン車に似たメカが走る。
ワゴン車の上部分の中ほどが左右に分かれ運転席の左右に移動して肩と腕になる。
そのまま前が上になるように起きあがると、下がわかれ足になった。
運転席の部分が前に倒れて胸になる。最後に青いバイザーが目を覆っている金色の頭部が現れた。
「金剛武人!アウラソルト推参!!」
大地に降り立つ四体の戦士。
目の前にいるのはブルードラッケンと2体のロボット。
「今日こそは、お前らを倒して見せる!いけコレクションNO.04、05!」
赤と黒のロボットがアウラさんとライティに襲いかかる。
それをムトさんとアートさんが防いだ。
「敵の数が少ない、ここはブレイブライティになって一気に勝負を決めるんじゃ!」
「わかりました、ムトさん。雄也いくよ!」
「うん、ブレイブチェンジ!!」
サンダーブレイザーが天空に向かって昇り、変形して人の形を取る。
そして、ライティが胸部に収納された。
「雷帝合体!ブレイブ・ライティ!!」
合体完了!狙うはブルードラッケンだ!
僕の方を見たブルードラッケンは魔王剣を空に向ける。なんか嫌な予感が。
「魔王剣、死酷滅荒霧!」
ブルードラッケンの周囲に黒い霧が現れる。それが周囲に広がっていった。
あれ?なんか力が抜けていく……。
「さあ、お前達のエネルギーを破壊し尽くしてやろう。」
あの霧が力を奪っているの?それじゃあ街にいる人達も!
下を見るとアウラさん達も動きが鈍くなっている。
「くぅっ、金剛刀!」
アウラさんの太刀が赤いロボットに振り下ろされる。けどそれはいつもの鋭さがなくあっさりかわされた。
黒いロボットと対峙しているムトさんとアートさんも黒いロボットの攻撃をまともに受けてしまう。
早くブルードラッケンをなんとかしないと。
「ライティ!魔王剣をなんとしても破壊するんだ。」
「わかっている!行くよ雄也!!」
サンダーソードを右手にブースターが火を吹き、ブルードラッケンに近づく。
「無駄だ無駄だ無駄ァ!」
ラバルの声とともに霧が集まり僕らを包む。
「動けない……。」
苦しげなライティの声が聞こえる。このままじゃあ。
武信は佐希子を連れて逃げていた。
何しろブルードラッケンとライティ達が戦い始めた所に彼らはいたのだから。
「大丈夫ですか、佐希子さん。」
尋ねる武信に彼女は震えつつも頷く。
黒い霧が彼らの周囲にも漂っている。武信も体が思うように動かない事に気がついていた。
だが、自分は大丈夫だと佐希子に言い、はやくこの場から離れようとしていた。
彼女を不安がらせちゃいけないから。
「はやく、ここから離れましょう。」
「ええ、武信さん。」
武信のもとに歩こうとする佐希子だが途中で倒れそうになる。
「佐希子さん!」
武信は倒れそうになった佐希子を支える。佐希子の顔色は悪い。
「佐希子さん?」
尋ねる武信に佐希子は何の反応も示さない。
その武信も目眩がしてきた。
「はやく、ここから…離れないと…。」
武信は佐希子を抱きかかえると、この場から離れようとした。
「エレメントブースター発動!」
ムトは叫ぶ、だが何も変化がない。
「なっ、うぐぉぉ!」
黒いロボットに弾き飛ばされたムトがビルに叩き付けられる。
「ムトさん!きゃああ!」
ムトに注意がそれた瞬間、赤いロボットの剣がアートを斬り裂く。
「ムト殿、アート殿!あれは、武信殿、何でこのようなところに。」
アウラソルトが武信達に気がついた時、2体のロボットは胸部より光弾を放った。
それは反れて武信達の方に飛んでいく。
「いかん!」
アウラソルトは光弾と武信の間に飛び込んだ。
「うぐぉぉぉ!」
金剛刀で光弾を防ぐ。いつもなら簡単に防ぎきれるがこの時は黒い霧の為、完全に防ぎきれなかった。
後におされるアウラソルト、そこに黒いロボットが突っ込んできた。
司令室で智彦はキーボードを叩きつつモニターを見ていた。
「雄也、このままでは……いや、信じないといけないな。
しかし、なぜエレメントブースターが起動しないのだ。」
キーボードを叩き続ける智彦。画面にはプログラム文が流れていく。
「これは……そうか、そうだったのか。待てよ、という事は。シミュレーションプログラム起動。」
慌てて彼はプログラムを起動させた。
目の前で起こった突然の閃光、そして自分に向かって倒れこむ金色のロボットの姿を武信はただ見ていた。
「大丈夫でござるか。武信殿、佐希子殿。」
この口調で話す者を武信は一人しか知らなかった。
「アウラさん。僕はなんとか。」
「そうか、良かったでござる。」
「あの、アウラさんって。」
「佐希子さん。気がついたんですね。」
武信は気がついた佐希子さんの顔を覗きこむ。まともに目と目が合う。
「あの、武信さん。降ろしてください。」
言われるまで忘れていたが、武信は佐希子を抱きかかえたままであった。
真っ赤になりつつ慌てて下に降ろす武信。
それでも、不安なのか佐希子さんは武信さんの手を握っている。
「なぜ、エレメントブースターが発動せぬのだ。」
ムトの声が聞こえる。
さらにアートの、ライティと雄也の苦しむ声も聞こえる。
「僕は、なにもできないのか…。」
武信の声に佐希子は首を振って言った。
「あなたは、私を助けてくれたではないですか。」
「佐希子さん……。」
そのとき、武信の持つエレメントコマンダーに通信がはいった。
『武信君、聞こえるか!』
「その声は、智彦さん?」
『力を貸して欲しい。雄也とは連絡が取れない。他のみんなはここより遠くにいる。頼めるのは君だけだ。』
「なんですか、いったい。」
『エレメントブースターの起動プログラムに遺跡のデータが結びついていたんだ。
だからエレメントブースターが起動しなかった。修正プログラムを君のコマンダーに送る。』
「わかりました。」
『だが、三人全員にプログラムを送るには近づかなければならない。危険だが…それしか方法はない。』
「……武信さん?」
自分を見る佐希子さんに気がつき、武信は柔らかい笑みを見せると安心させるように言った。
「大丈夫、ここで待っていてくださいね。アウラさん、たのみます。」
「心得た。」
アウラソルトは手のひらを武信に向ける、彼がその上に乗るとアウラは立ち上がりムトとアートの元に急いだ。
そこに目の前に黒いロボットがとびこんできた。
「させぬ!」
ムトの渾身の蹴りが黒いロボットに決まる。
「今の内にプログラムを!」
アートが赤いロボットの腕にしがみついている。
「智彦さん!」
『今送る!プログラムドラィィィヴ!』
智彦の叫びと同時に武信のエレメントコマンダーから三つの光が放たれる。
それがアート、ムト、アウラソルトに注ぎ込まれた。
『心を空に、荒れ狂う心ではエレメントブースターは起動しません。』
「うむ…。」
「はああぁぁぁぁ」
ムトとアートの体がそれぞれオレンジと黄緑のオーラに包まれる。
「木々の命よ戒めとなれ!バインディング!!」
アートの言葉と共に地面より伸びた緑色をした光の蔓が2体のロボットの手足を縛りつけ動きを止める。
「岩石よ矛先となり貫け!ストーンランス!!」
ムトの言葉により宙に浮かんだ瓦礫や岩石がその2体のロボットにぶつかっていった。
「武信さん、佐希子さんを安全な所に……。」
アウラは武信を佐希子のもとに降ろすと、金剛刀を両手で構えた。
「すぅぅぅ……。」
深呼吸のあとアウラソルトの体が金色のオーラに包まれる。
そのオーラが金色の柱となった。
「なんだとぉ!」
ラバルの驚愕の声が響く。
「天を舞え刃よ、貫くは悪しき妖(あやかし)!ブレードダンス!!」
宙にいくつもの刀剣が浮かびあがる。
それが2体のロボット、そしてブルードラッケンに飛ぶ。
「くぉぉ!」
魔王剣でその刃を払うブルードラッケン。
彼は魔王剣の力でブレイブライティを押さえつけていた事を失念していた。
ブレイブライティを包んでいた闇が薄くなっていく。
目の前の闇が薄れた。僕の目の前でブルードラッケンの体勢が崩れている。
「ライティ!」
「ああっ!トールシステム発動!!」
ブレイブライティの体が輝きブースターが火を吹く。
手に持つ剣に雷撃が集まり光を放った。
「しまった!」
ラバルの叫び声がきこえる。
「シャープネス!サンダー!!」
ライティの剣が魔王剣をとらえた。
「くおぉぉぉ!」
光と闇が双方の間で渦巻く。そして、闇の霧が消えていった。
「これで、全力が出せる!」
光に包まれたブレイブライティにそれぞれのオーラに包まれたアウラさん達が敵の姿を見る。
形成逆転だ!
戒めが消えた2体のロボットがこっちに向かってくる。
「終わらせる!金色の刃により、あらゆる妖を斬り裂き撃ち砕かん!それが……金剛妖斬破!!」
アウラさんが赤いロボットの脇を通りすぎる刹那、銀光が走りそのロボットはずたずたになる。
これで決め!と思った瞬間、ブルードラッケンがこちらに飛んできた。
「こうなれば……最後の手段だ!合体!!」
崩れ落ちた赤いロボットの部品が浮かびあがり黒いロボットと融合していく。
そこにはさっきよりふたまわり以上大きくなった赤いロボットが出現した。
「完成、ラバルスペシャル!」
ネーミングはともかく、さっきまでのロボットとは思えないほどのパワーを感じる。
おそらく、ブルードラッケンと同じだけのパワーを持っていると思える。
普通ならなんとか勝てるかもしれないけど、傷ついた今のままでは……。
「合体するんです。アウラさん、ムトさん、アートさん!」
誰かの声が聞こえる。この声は武信さん?
「なぜこんな所に、はやく避難するでござるよ!」
『ブレイブライティ合体プログラム以外に、
あの時コマンダーに送られていたデータがあったんだが。
解析の結果それは、あなたがたの合体プログラムだったんです。』
父さんの声が聞こえる。
「人間が、目障りだ!」
ラバルの声とともにブルードラッケンの拳から光弾が放たれる。
「武信殿!」
「佐希子さん!」
アウラさんとアートさんが二人に向かう光弾を防いだ。
そこにラバルスペシャルが剣を振るってきた。
「させない!」
ブレイブライティの剣がそれを受けとめる。ムトさんはブルードラッケンにガドリング砲を撃っている。
「拙者の中に!」
アウラソルトさんの胸部から光が伸び武信さんと佐希子さんを包む。
そして、2人の体がアウラさんに吸い込まれていった。
闇の中、武信と佐希子さんが立っていた。
そこはアウラの中、雄也がライティの中にいるのと同じく。足元には魔法陣が浮かんでいる。
そして周囲には破壊された街並みが見える。
「ひどい…。」
佐希子さんの呟きに武信は頷いた。
「させるか!」
ブルードラッケンが、ラバルスペシャルがアウラさん達を狙っている。
けど、邪魔させないよ!
「わかってる、雄也。スパークショット!」
ブレイブライティの両腕から雷撃弾が発射される。
「今の内に合体するんです!」
「かたじけない!ライティ殿。」
『起動プログラムは武信君のコマンダーにある。』
智彦の声に武信はコマンダーを空に向けた。
「グランドドッキング!!」
その瞬間、アウラさんの体を包むオーラが一段と大きくなる。
それに呼応するかのようにムトさんとアートさんのオーラも大きくなった。
「いくでござるよ!」
『おう!』
アウラさんの声に答えるムトさんとアートさん。そして3体は宙に跳んだ。
先頭をアウラソルトが飛び、その後に右にムト、左にアートが続く。
ムトとアートがビーグル形態になり、武器と前部が分離する。
武器からひざ当て状のパーツが分離すると、武器前部が横に移動し後方にスライドして腕になる。
機体後部は上面が外側になるように全体が90度回転し、ひざ当て状のパーツが合体して脚になる。
機体前部からは二の腕が出て肩になった。
アウラソルトは脚部が腰部ごと左右にスライドし、拳とつま先が収納される。
太ももが脚の中に格納されるようにスライドし、腕も二の腕が収納されるようにスライドする。
そして背中のパーツが腰部に合体した。
ムトの変形したパーツがアウラの右側に、アートの変形したパーツは左側に移動する。
そして、脚部はアウラの脚に、肩がアウラの肩に合体し、その肩に腕が合体した。
アウラの頭部が収納され胸部が90度下に回転した。
最後に頭部が現れ、顔前面を覆うカバーが左右にわかれ額飾りが兜の飾りのように広がった。
『大地の武神!グランエレメンタル推参!!』
右拳を前に突き出し叫ぶ声はアウラソルトのものだった。
武信の左右に新たに二つの魔法陣が現れると、そこに人間の姿となったムトとアートの姿が現れた。
「アートさん?」
現れたアートの姿を見て驚く佐希子さん。
「そういえば、佐希子さんは知らなかったんですね。」
「どういう事なのです?」
「後で説明します。」
「合体したか、だが……ラバルスペシャルやれ!!」
ラバルスペシャルがグランエレメンタルに迫る。だが跳躍しそれをかわす。
「いざ参る!」
右腕のガドリングと左腕のキャノンがラバルスペシャルにむかって放たれた。
「金剛刀!」
左手に鞘に収められた太刀が現れた。同時に身体が金色のオーラに包まれる。
「金色の刃に我が魂を託し、悪しき者らを斬り裂かん!!これが!」
ラバルスペシャルの正面でグランエレメンタルが金剛刀を振り上げる。
そのプレッシャーでラバルスペシャルは動けない。
「金剛覇王斬!!」
大上段から振り下ろされた刃はラバルスペシャルを真っ二つにした。
「ばかな、こんなあっさりと!」
あっさり倒されたラバルスペシャルを見ているラバル。
「チャンスだよ、ライティ!」
「スパーククロス!」
ブレイブライティの左手より雷撃の十字架が現れブルードラッケンを磔にした。
「ふふ、この技はきかないぞ!」
ブルードラッケンは雷十字を振りほどこうとしている。けど、振りほどけない。
同じ技でもライティの時より威力は高くなってるんだ。
「コックピットは外して。ライティ!」
「わかっているさ。雄也!」
サンダーソードを逆手に持ち、ブレイブライティがブルードラッケンに迫る。
「ブレイク・エンド!!」
逆手に持った剣がブルードラッケンの右肩に突き刺さる。
次の瞬間、エネルギーが右肩に集まり大爆発を起こした。
右腕ごと魔王剣が地面に落ちる。それをグランエレメンタルが金剛刀で叩き斬った。
ガラスの割れるような音と共に魔王剣は砕け散った。
「くそぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ラバルの絶叫が響くと、ブルードラッケンから青い光が空に走った。
「逃げたようですね。」
「そうだね。」
ライティの言葉に僕は頷いた。
戦いが終わり、武信さんが佐希子さんに説明をしている。
「あの、すいません。危険な事に巻きこんでしまって。」
「いえ、いいんです。」
謝罪する武信さんを佐希子さんは微笑んで許してる。
あれ?佐希子さんの頬が赤いような。
武信さんは気がついていないようだけど、もしかしたら佐希子さんも武信さんの事が好きなのかも。
まあ、このことは推測だし、胸のうちにしまっとこう。
だが、僕らは知らなかった。この勝利が恐るべき作戦の引き金になる事を。
次回予告
雄也です。
突如海上に現れる巨大要塞。
それはラバルの最終作戦だった。
もう後のないラバルが吼える時、巨大な閃光が街をおそう。
そんな事はさせない!今こそラバルと決戦の時!!
次回、雷勇者ブレイブライティ
第8話「激闘!機械要塞」
今、新たな伝承が刻まれる
シークレットコード「シールジュエル」
タイトルページに戻る 第6話 第7話