FZ10・FZ20情報集積所 周辺減光をレタッチで除去する

 テレコンなどを使用すると外側が暗く写ってしまう周辺減光が生じる場合があります。このページでは、この周辺減光をレタッチによって除去、軽減する方法を考えてみたいと思います。
 以下具体例をあげてみます。下の写真はオリンパスのTCON-17というテレコンバーションレンズをFZ10につけて撮影したものです。外側の四隅が暗くなっているのがはっきりご覧いただけると思います。この周辺減光をレタッチによって軽減したのが2枚目の写真です。かなり目立たなくなっていると思います。


具体的な方法
 では、具体的な方法に入っていきましょう。使用したソフトはPhotoshopElements2.0ですが、一般的なレタッチソフトならほとんど同じ操作ですので、参考にしていただけると思います。やり方はいろいろあるのですが、最も理にかなっていて比較的簡単なものを3種類ご紹介します。ソフトウェアによってメニューや機能が若干違いますので、お使いのソフトウェアに合ったやり方でお試し下さい。3種類の方法とは、「レベル補正」による方法「明るさ調整」による方法「周辺減光反転パターンの重ね合わせ」による方法です。以下、順番にご紹介します。なお、この記事をまとめるために、価格.comのFZ10掲示板でいろいろな方法を教えていただきました(記事NO.2865654)。ご協力いただいた皆様にここで謝意を表します。ありがとうございました。なお、「周辺減光反転パターンの重ねあわせ」による方法のPaintShopPro6によるレタッチ法を他のユーザーの方に教えていただきました。→参照

 

「レベル補正」による方法
(1)楕円選択ツールを選ぶ(他ソフトの円形選択ツールでも同じです)
(2)選択範囲を決定する・・・だいたい以下のような感じで円形に選択します。いろいろ試してみた結果、2回に分けて処理するとより自然に処理できるようです。1回目は小さめに円を選択し、2回目は以下のように大き目の円を選択するようにします。
(3)選択範囲を反転させる
(4)境界をぼかす・・・周辺減光の度合いにより数字を入力します。この数字をある程度大きくしないと不自然になってしまします。この場合は「100」としました。
(5)「レベル補正」を選ぶ
(6)「出力レベルの中間値レバー」で調整・・・実際の画像を見ながら調整します。プレビューにチェックを入れておけばリアルタイムに確認できます。
(7)選択を解除
(8)出来上がりを確認・・・出来上がりを確認して、まだ四隅が暗かったら、もう一度円の選択から同じ操作を繰りかえします。コツとしては、1回で完成させるのではなく、2回に分けて処理する方が良いようです。1回目は小さめの円で選択し、2回目に大きな円で選択すると隅の方まで綺麗に補正できるようです。いろいろと試してみてください。
(9)別名で保存・・・作業が終わったら、オリジナルに上書きしてしまわないように別名で保存します。

 

「明るさ補正」による方法
(1)-(4)はレベル補正と同じ
(5)「明るさ・コントラスト」を選ぶ
(6)「明るさのレバー」で調整・・・実際の画像を見ながら調整します。プレビューにチェックを入れておけばリアルタイムに確認できます。
(7)-(9)はレベル補正と同じ

 

「周辺減光反転パターンの重ね合わせ」による方法
この方法には、ちょっとした下準備が必要です。周辺減光の反転パターンというものを作らなければなりません。少し面倒に思いますが、一度準備すれば後は何度でも利用でき、以後は簡単に綺麗に補正できるようになります。
(1)周辺減光反転パターンの元になる撮影を行う・・・補正したい写真を撮影したのと同じテレコンを使って、ズーム倍率と絞りを同じにして白いものを撮影します。下の写真は封筒を地面に置いて撮影したもので、若干色が付いていますが、後で色情報を破棄しますので、必ずしも真っ白である必要はありません。大事なのは質感が出ないようにわざとピントを外して撮影することです。
(2)色情報を破棄する・・・上の写真をPhotshopElements2.0で開き、グレースケールで、「カラー情報」を破棄します。

すると、以下のようになります。
(3)階調の反転・・・階調を反転します。
すると、以下のようになります。
(4)ノイズを除去する・・・ダスト&スクラッチでノイズを除去します。値は、半径「6」しきい値「0」程度で良いと思います。
これで周辺減光反転パターンは出来上がりです。
(5)別名で保存・・・次回も使えますので別名で保存しておきます。
(6)すべてを選択する・・・すべてを選択したら次の準備として周辺減光反転パターンの写真をコピーします。
(7)補正する写真を読み込みペースト・・・補正したい写真を読み込んだら、先ほどコピーした反転パターンをペーストする。
これで、補正したい写真と周辺減光反転パターンとがレイヤーで重なりました。
(8)レイヤーの覆い焼き(リニア)を選択する・・・覆い焼き(リニア)以外にもオーバーレイも使えると思います。
(9)不透明度で調整する・・・不透明度のスライドで最も自然になるように調整する。この場合は42%としました。外側が明るくなりすぎないように注意してください。
(10)別名で保存・・・・・・作業が終わったら、オリジナルに上書きしてしまわないように別名で保存します。
補正した写真は以下です。実際に使用したテレコンの周辺減光を反転しているので、上記の方法よりも、より自然に仕上がると思います。ただし、この方法のデメリットは、手ブレ補正を使用して撮影した際に光軸がずれることがあるため、補正したい写真の減光パターンと用意してある反転パターンとが完全に一致しない場合があることです。ずれが少しであればレタッチにはほとんど問題はありませんが、大きくずれている場合は、上記の「レベル補正」か「明るさ調整」による方法で、円の中心をずらして円を選択してレタッチした方が良いかもしれません。

 

PaintShopPro6による方法
1.白い紙等を撮影して周辺減光イメージを作る。
2.周辺減光イメージをカラー反転して、明るさやコントラストを調整する。
3.補正したい写真イメージに周辺減光イメージを新しいレイヤーとして貼り付ける。
4.周辺減光レイヤーの合成タイプを覆い焼きにして、濃度を調整する。
→実際の補正画像
このページを作成する際に参考にさせていただいたサイト
安物デジカメの使いこなし(シェーディング編)
なお、補正前と補正後のオリジナル写真はこちらでご覧いただくことが出来ます。
ちょっと一工夫に戻る
2004/5/30作成
2004/5/31追記
2004/6/7追記
2004/8/16改定